長崎の大村湾で、貴重な生態シーンが動画に収められました。
それはカズナギ属の魚がお互いに威嚇し合って、口を大きく開けるシーン。
そのシーンを撮影したのは、長崎のダイビングサービス「海だより」の中村拓朗さん。
以下、その動画をご紹介します!
このシーンをずっと追い続け、これが見られた時はものすごく感動したという、中村さん。
その中村さんにお話をうかがいました!

「海だより」の中村拓朗さん
・まず、そもそもですいませんが、これは種名としてはなんという魚ですか?
これはタウエガジ科カズナギ属に属する魚類です。
種名は精査したわけではないので、あえてぼかしていますが、おそらくオオカズナギではないかと思われます。
この種類は映像にあったように非常に大きく口を広げ、闘争することで一躍有名になった魚です。
オオカズナギの闘争は、山口県の青海島でのみ見られている生態でした。
また、同じ科に属するハナイトギンポも同様の生態シーンが北海道で撮影されているのを見たことがあります。
そんな中、今回長崎の海で同生態を観察できたということは、非常に貴重な発見であったと感じています。
・どこのポイントのどのような場所で見られたシーンですか?
これは長崎県の大村湾で見ることができました。
大村湾は超閉鎖性水域と呼ばれている非常に内湾性の高い海です。
私が潜るまで、誰一人としてダイビングしている方がいなかった海です。
ダイビングポイントの水深も平均5m程と激浅!
しかし、その環境のおかげで生き物たちの生態をじっくりと観察することができるポイントです。
マダラギンポやナベカ、トサカギンポの仔魚放出を見ることができたり、他のポイントでは滅多に見ることができないテンジクダイの卵保護を浅い水深で見ることができたりと、素晴らしい生態シーンを見ることができています。
・中村さんにとって思い入れのあるシーンとのことですが、それはなぜだったんですか?
私が鹿児島の海で潜っていた大学生時代(約7年前)、雑誌でオオカズナギがケンカしている写真を初めて目にしました。
巨大な口をお互いにぶつけ合う迫力ある姿、まさかそんな生態を持つ魚がいるなんて!
ダイビングを始めてて間もない私は強い衝撃を受けました。
それから数年後、大学を卒業したのち地元長崎に戻り、長崎の海「大村湾」に同じ仲間がいることを知りました。
毎年、繁殖期になるたび巣を探したり、遊泳している個体の後を一日追いかけたりもしましたが、なかなか生態がつかみきれず繁殖期を終えていました。
それが山口県の青海島で見られるということは知っていましたが、私にとって地元の海でこの生態を観察するということが一つの大きな目標になっていたんです。
そして、ようやく本日、長年の夢が叶いました!
その貴重な生態を見ることができたんです!
学生時代に写真で見たとおり、迫力ある闘争シーン!
探し続けてきた努力が報われた瞬間でした!
その光景を目にしたときは言葉では言い表せないほどの喜びと感動でした!
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一つのシーンを追い続けて、ホームグラウンドである海を潜り続ける。
そんなダイビングガイドの努力と継続が実った、貴重で価値ある映像をご紹介しました!

