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これからも続けていきます! ダイバーによる捜索と5年目の供養 ~3.11供養企画レポート~

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3.11東日本大震災から5年。

2016年3月11日(金)、宮城県南三陸町歌津で、行方不明者・遺留品捜索を含む「5年目の供養」が行なわれ、およそ50名のボランティアが集まった。

手をあげている人たちは、今回潜ったダイバーたち

手をあげている人たちは、今回潜ったダイバーたち

オープニングでは、企画の主催者「一般社団法人震災復興支援協会つながり」代表の勝又三成さんの「浮かれることなく、心をひとつにして今日一日活動していきましょう」というあいさつから始まり、捜索地区の行方不明者が読み上げられた。

衣類が多かったダイビング捜索

捜索は、陸と海中の二手に分かれて行われ、潜ったダイバーはメディアも入れて20名弱。
取材班は、ダイバーチームに同行した。

今回、ダイビングをコーディネートしたのは、日本安全潜水教育協会(JCUE)の会長・山中康さん。

プロダイバーから初ドライスーツのダイバーまでレベルはさまざま。
まずは、ダイバーの経験を確認しつつ、バディを決め、捜索方法を説明する。

ブリーフィング

この日、中山港は、水温8度で透明度は1mもない、との事前情報。
「バディ同士、必ずボディコンタクトを取る」「バディを見失ったらすぐ浮上」などの注意点やリコールサインの他、決まり事が細かく伝えられた。

セッティングするダイバーたち

セッティングするダイバーたち

自分の身長を優に超える港から、フィートトゥギャザーエントリー。
湾内と外海の境目にあるテトラポットまで水面移動し、皆が集合したら潜降する。

320度の方向を岸に向かって捜索しながらバディで進んでいく。

足をそろえて、フィンの裏面で着水するフィートトゥギャザーエントリー。着水の衝撃を受け止める、高い位置からのエントリーに向いている

足をそろえて、フィンの裏面で着水するフィートトゥギャザーエントリー。着水の衝撃を受け止める、高い位置からのエントリーに向いている

山中さんはパドルボートで水面からウォッチ&レスキュー態勢

山中さんはパドルボートで水面からウォッチ&レスキュー態勢

ボートチームは、浅瀬の湾内を捜索。

ボートチームは、浅瀬の湾内を捜索。

テトラ付近は意外と透明度がよく、水底に沈む、遺留品になりそうなものを効率よく回収。

回収物を見ると、衣類が多く、中には名前が刺繍されているものもあり、遺留品であれば、遺族のもとへ還ることを祈るばかりだ。

回収物

ビーチ捜索でも、「これほど回収物が多いのは初めて」と各地のビーチクリーンアップに参加している方が言うほどの量が集まり、やはり衣類が多かったようだ。

ビーチでの回収活動

ダイビングの捜索は、寒冷地で捜索するには準備不足やスキル的に厳しい部分もあったが、「思い出す」「忘れない」というきっかけとして、また、「まだまだやれることがある」、「ダイバーの力で支援したい」という決意の表れとして受け止めた。

TSUNAGARIの潜水チームが毎月、捜索を続けていることを知り、3.11に海の飲まれた方の体感を知るきっかけとしたい。

普段から捜索を率いる石田寛道さんも決意を新たに「活動はまだまだ続けていきます」と宣言。

「今でも遺骨が発見されて、DNA鑑定で遺族のもとに戻ることがあります。まだまだ“近くにいる”と信じている人も多く、そうした思いや、日々変化する海に対してフレキシブルに対応することが大事です」(石井)

JCUE

今回の参加者ダイバー

昼食は、各方面から炊き出しのボランティが集まった。

中に、ネパールの方がいたが、これは「つながり」のネパール地震で倒壊した学校を再建するプロジェクトが関係している。

同じ思いをした方に何かしたい、恩を形にして返したいという思いがこもったネパールカレーをふるまってくれた。

炊き出し

「忘れていないよ」というメッセージが大事

13時からは法要とお念仏。

冒頭、7人もの親族が亡くなったという地元のおばちゃんが「前に進もうとするけど、なかなか体がそうはいきません」と、当時の様子と共に、今の率直な気持ちを伝えてくれた。

そして、歌津に伝わる“お念仏”と呼ばれる供養が始まる。

「極楽浄土へ~、南無阿弥陀仏~」と歌いながら数珠を回し、追悼の意を表す。

「極楽浄土へ~、南無阿弥陀仏~」と歌いながら数珠を回し、追悼の意を表す。

そして、5年後のちょうど14時46分。

船上から黙とうが捧げられ、被災者が眠る海へ静かに花が手向けられた。

勝又

来年ももちろん開催します。そして、捜索は毎月続けていきます。意味がないという方もいるかもしれませんが、明るい話題についていけず、前を向けない人もいます。水中での捜索活動は、彼らに対する「忘れていないよ」「まだ探しているよ」というメッセージという意味も大きくて、心に寄り添うこともダイバーの大事な役割だと思っています。それに、実際に、今でも遺骨や遺留品は見つかっていますしね。
我々が捜索活動を続けていること、実際に今でも行方不明者が減っていることが、希望になればよいなと思っています。

卒塔婆

勝又さんは、捜索活動だけでなく、震災遺児や孤児、独居老人のためのケアや、海水浴のオープンと東北の復興に力を注ぐ一方、ネパール地震で倒壊した学校を建てるプロジェクトを立ち上げるなど、震災で培った力を発揮し、精力的に「つながり」を広げている。

勝又さん

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