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Maresが開発した一般ダイバー向けのリブリーザー「HORIZON」でダイビングをもっと楽しく【連載vol.05】

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洗練されたデザインと革新的な技術で、世界的な人気を誇るイタリア生まれのダイビング器材ブランド「Mares(マレス)」。今回は、そのMaresが開発した画期的な「HORIZON」というレクリエーショナルダイビング(遊びのダイビング)の幅を大きく広げてくれるリブリーザーをご紹介。「リブリーザーってテクニカルダイバーの人が使うものでしょ?」と思う方もいるかもしれないが、このHORIZONは一般ダイバーがレクリエーショナルダイビングをさらに楽しむためのギアとして開発された画期的な器材なのだ。

リブリーザーとは

「Re Breath(リブリーズ)=再呼吸」の名のとおり、自分の吐いた息を無駄にせず、もう一度自分が吸う空気として再利用できる機能を持つ(※)。その中のひとつであるHORIZONは、ダイビング中、常に付きまとうあの「ボコボコッ」とした自分の排気音が聞こえなくなり生き物に普段より近づけたり、長時間潜れたりと、実はダイビングを楽しむうえでのメリットがたくさん。

※リブリーザーには、大きく分けて「CCR(クローズドサーキットリブリーザー)」、「SCR(セミクローズドリブリーザー)」の2種類ありますが、HORIZONはSCR。酸素濃度の高いガスを定量で流して酸素を補充する仕組み。
リブリーザーとは

HORIZONって何?

リブリーザーというと、テクニカルダイビングのような特殊な技術・知識が必要な難しいダイビングを想像してしまいがち。しかし、このHORIZONは、安全で軽量、そして他のリブリーザーより準備が簡単という明確なコンセプトに基づいて皆さんの想像以上にシンプルで使い勝手がいいもの。しかもMaresが、リブリーザー界随一のメーカーともいわれるrEVOと共同で開発しており、複数のバックアップ安全システムも搭載。安全性に関しても万全を期しているのだ

HORIZON使うメリット6選

では、このHORIZONを使うとどんなことができるのか、具体的に見ていこう。

1.驚くほど、海洋生物に近づくことができる

リブリーザーを使用する一番の醍醐味でもあるのが、オープンサーキット(普段の呼気が外に出ていくダイビング)と比べて生き物に近づけること。HORIZONからは気泡がほんのわずかしか出ず、自分の呼吸音が聞こえないくらいかなり静か。そのため、生き物が自分の存在に気付いていないのか、全然逃げない。フォト派ダイバーにも人気の高いハゼなどの生物にもかなり近づけるのでぜひ試していただきたい!

2.空気が乾燥しないし、暖かさもある

オープンサーキットでのダイビングで、冷たい乾燥した空気を吸って喉カラカラ…という経験はないだろうか?HORIZONはダイバーが履いた二酸化炭素を吸収する際の化学反応で水と熱が発生するので、喉が乾燥したり、呼吸による身体の冷えの心配はなし。たかが湿度と暖かさと思うかもしれないが、呼吸の快適性が保たれることにより、ダイビング中の心身へのストレスがかなり軽減される。

3.潜水時間が長くなる!

HORIZONは、酸素濃度の高いガス(エンリッチド・エア・ナイトロックス)を定量で流して酸素を補充してくれる仕組み。空気を再利用してくれるから当然エアも長持ちするし、吸う空気も酸素濃度が濃いめなので体内の窒素の蓄積も少なく済む。だからオープンサーキットに比べ、長時間潜れるうえ、体への負担が少ないダイビングを実現している。たとえば、オープンサーキットであれば、2ダイブするところを1ダイブで長くゆったりと長時間潜ってみるというのもいいかもしれない。

4.感動的なトリム姿勢と中性浮力が取れる

HORIZONは人間工学に基づいてデザインされているので、トリム姿勢が取りやすく快適性が抜群!さらに、普通に呼吸をしているのにピタッと止まって中性浮力をとることができるという、リブリーザーの特徴をマスターできれば、今までのダイビングの常識を覆すほどの快適な水中遊泳を楽しめる。この中性浮力のコツを掴むのは一筋縄ではいかないが、かなりやりごたえのあるスキルとも言える!

5.女性でも使えるくらいコンパクト

「見た目が重装備だし、もし自分のHORIZONを購入したら持ち運びが大変では…?」と思った方もご安心を。このHORIZONには特に専用のシリンダーやウェイトは必要なく、現地のダイビングサービスなどで手に入るエンリッチド・エア・ナイトロックスを使用するだけ。HORIZON自体の重さも約12kgで他のリブリーザーよりも軽量でサイズもコンパクト。

6.工具不要で簡単に使用できる

リブリーザーというと一見複雑な構造に見えるが、HORIZONは工具を使用せずシンプルにセットアップできるのが特徴。二酸化炭素の吸収剤(スクラバー剤)キャニスターをセットするときもネジを手で締めるくらいで、呼吸ホースもすぐに取り外しできる構造になっている。この手軽さは、HORIZONならでは。

トレーニングはもちろんアプリで完結できる

このHORIZONを提供するのは、Maresと運営元が同じSSIというダイビング指導団体。このSSIは、トレーニング教材への資源使用による環境負荷削減、そして教材が更新されたときにはいち早く最新の情報がダイバーの手元に反映されるよう2006年に、グローバル展開する他指導団体の中で最も早く、トレーニング教材を完全にデジタル化する方針に切り替えた。そして2015年にはすべての教材をデジタル化。そのため、このHORIZONもリブリーザーとはいえ、他のSSIの学科トレーニングに倣い、もちろんオンライン(SSIの無料アプリ「MySSI」)で完結する。

「MySSI」について

「MySSI 3.0」では学科トレーニングができるだけでなくログ付け、生物検索など機能がたくさん!
スマートフォンのGoogle PlayもしくはApple Storeでダウンロードし、無料アカウントを登録(ブラウザからでも登録可能)。
▶︎iOSの方はこちら(Apple Store)
▶︎Androidの方はこちら(Google Play)
▶︎ブラウザを使用する方はこちら
「MySSI」の機能をもっと詳しく見る

HORIZONを使ってダイビングするには?

HORIZONを使用してレクリエーショナルダイビングを行うためには、まずSSIが提供する「SCRダイビングコース」を受講し、ライセンス(Cカード)を取得する必要がある。さらにレベルアップしたい方は「SCR EXTENDED RANGE」まで取得すると、減圧理論を学んだ上で、40mまで潜れるようになる。いきなりライセンス取得に挑戦するのではなく、まずは体験してみたいという方に向けて「トライSCR」という体験コースも用意されている。

HORIZONに少しでも興味を持っていただけただろうか。下記の関連記事ではocean+α編集部が実際にHORIZONを試したレポート記事も配信中。一度使ってみれば、そのすごさにハマってしまうかも!?


▶︎「SCRダイビングコース」を提供中の加盟店一覧はこちら
※上記リンク先で「フィルター」から「リブリーザー」を選択
▶︎「SCRダイビングコース」のプログラム詳細はこちら

Powered by HEAD Japan

創業75年を迎える老舗ダイビング器材メーカー「Mares」と50年以上の伝統をもつ指導団体「SSI」を運営。自然を舞台に楽しむことをサポートする会社として、サスティナブルな社会への取り組みにも力を入れている。

【HEAD Japan ウォータースポーツ事業部 正社員募集】
HEADグループのウォータースポーツ(ダイビング)ブランドである Mares / SSI では、現在セールスメンバーを募集しています。詳しくは、お問合せください。

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【熱海ダイビング】ポイント・見どころ総まとめ!行く前に知っておきたい基本情報

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静岡県でも有数の観光地として知られる熱海。グルメや温泉、花火と楽しめるコンテンツ盛りだくさんだが、日本最大級の「沈船」が見られる屈指のダイビングのポイントとしても有名。もちろん沈船だけでなく、幻想的な光を見られる期間限定でオープンする洞窟のポイントや、色彩豊かなソフトコーラルが一面に広がるポイントなど、熱海の海は多様な魅力を秘めている!
本記事では、熱海の代表的なダイビングポイントの魅力だけでなく、熱海までのアクセス、ダイビングスタイル、そしてアフターダイビング情報までご紹介。ぜひ熱海でのダイビング準備の参考に!

熱海ってそもそもどこにある?

熱海は、静岡県伊豆半島の北端に位置する、風光明媚な海辺の町。東京都心から約100km、新幹線を利用すればわずか約50分というアクセスの良さがなんといっても魅力。泊まりがけで訪れてもいいし、東京や神奈川からの日帰り旅行にも最適だ。

熱海までのアクセス

車の場合

●東京方面から
東京からの場合、東名高速道路または小田原厚木道路を経由し、約2時間で到着。
●大阪・名古屋から
大阪からの場合は、新名神高速道路や名神高速道路を利用して名古屋へ向かい、そこから東名高速道路を経由し、約6時間。名古屋からの場合は、東名高速道路を利用し、約3時間。

電車の場合

●東京方面から(1時間ほど)
最も早い方法は東京駅から熱海駅まで、新幹線を利用すること。約50分であっという間に着いてしまう。交通費を安く抑えたいという方は、約1時間40分かかるが新幹線を利用せずJR東海道線で行くことも可能。
熱海駅からダイビングショップまでは、スタッフが送迎をしてくれる場合もあれば、自分でタクシーやバスを利用して行く場合もあるので、各ダイビングショップに問い合わせてみよう。

●大阪・名古屋方面から(2〜3時間ほど)
新大阪駅から熱海駅まで、新幹線で約2時間50分。名古屋駅から熱海駅まで、新幹線で約2時間。熱海駅からダイビングショップまでは、同上。

熱海のダイビングスタイル

熱海でのダイビングは、その地形の特性上、ビーチエントリーのポイントはなく、100%ボートダイビングスタイル。横磯港と熱海港の2つの港があり、ダイビングショップやダイビングサービスによって使い分けている。どちらの港も船は熱海漁業協同組合の漁船を利用する形で、港から各ダイビングポイントまでは、船に乗ることたったの5〜10分で到着。ボートダイビングの流れやエントリー方法などに慣れておく必要はあるが、船酔いをする間もなく到着してしまうので安心。

熱海の町並みを眺めながら、ダイビングポイントへ

船に乗っている時間が短いので、基本的には港で器材のセッティングを行い、重器材を背負い、軽器材は手に持ってボートに乗り込む。エントリー方法(ジャイアントストライドもしくはバックロールエントリー)は、船によっても異なるので、ガイドの指示に従おう。エントリーしたら、水面で集合し、潜降ロープに沿ってゆっくりと潜降していく。

熱海のシーズナリティ

生物に関して、年間を通じて見られるのは、群れを成すイナダやタカベなどの回遊魚やキンギョハナダイ、サクラダイ、そしてソフトコーラル周辺では、季節ごとに種類が変わるさまざまなマクロ生物。どの時期に訪れてもにぎやかな景観を楽しむことができる。また、熱海のダイビングポイントは風が強い時期でもクローズしにくいため、天候に左右されずに年間を通してダイビングが可能。

その中で、特におすすめしたいのは冬の時期。熱海に来たら一度は見たい沈船の全貌を見ることができるのでおすすめ。逆に初めて熱海を訪れる方は、春の濁りで透明度が下がる3〜5月は避けたほうがよさそう。春に比べ、透明度が上がる夏場もGOOD。水温が上昇し、魚の種類と数が増える傾向にある。

冬の熱海の海。1年で一番おすすめしたいシーズン(写真提供:Clover Diving Service)

冬の熱海の海。1年で一番おすすめしたいシーズン(写真提供:Clover Diving Service)

熱海のダイビングポイント詳細

①国内最大級の大きさを誇る「沈船」

●最大水深:30m
●流れ:ときどきあり
●備考:アドバンスレベルのダイバー向け。オープンウォーターレベルの場合はディープSPとボートSP必須

熱海の沈船は、全長81m、幅18m砂利運搬タンカー船の「旭16号」。1986年1月30日に船体の老朽化と砂利過剰積載のために砂利積載部分から船体が、中央から真っ二つに折れ沈んだ。国内最大級の大きさを誇るこの沈船は、ダイビングで全体像を一目で見ることは難しいが、透明度が高いときは船首から中央辺りまで見ることができる。

手前に映るのはアンカーロープを巻き上げるウインチ(写真提供:Clover Diving Service)

手前に映るのはアンカーロープを巻き上げるウインチ(写真提供:Clover Diving Service)

(写真提供:Clover Diving Service)

船尾にも鮮やかなソフトコーラルが繁茂(写真提供:Clover Diving Service)

沈船の周囲には群れを成したネンブツダイやクロホシイシモチ、そして色鮮やかなサクラダイやキンギョハナダイなどが回遊魚と共に群れ泳ぐ。特に水温が高い夏場は、魚の種類と数が増え、ワラサやカンパチ、サバなど大型回遊魚を観察できる確率もアップ。また、沈没後、長い年月が経過した船体に密集したカラフルなソフトコーラルも見どころのひとつ。

老朽化した沈船内には入らずに、遠目から景色を楽しむことが基本。また、最大水深約30m、最も浅いところでも約20mあるため、アドバンスレベルのダイバー向け。さらに無減圧潜水時間(NDL)にも注意し、安全なダイビングを心がけたい。潜降と浮上はブイのロープを利用。ときに流れることもあるので、ガイドの指示に従いしっかりとロープを握っておこう。

ネンブツダイの群れ

沈船の中にはネンブツダイが群れる(写真提供:Clover Diving Service)

サクラダイの群れ

サクラダイも乱舞し、沈船の周りはとっても賑やか(写真提供:Clover Diving Service)

【静岡県・熱海】ダイバー必見!2022年夏、全国各地のガイドたちが薦める海はここだ! 連載No.5

②地形派ダイバー必見!「ビタガ根」

●最大水深:28m
●流れ:ときどきあり

「沈船」のすぐ隣に位置するビタガ根は、「一の根」と「二の根」と呼ばれる大きな根を中心とするポイント。この根はソフトコーラルやカイメンに覆われており、その周りにはネンブツダイやスズメダイ、そして潮あたりもいいので回遊魚の群れが多く、魚影が非常に濃い。キンギョハナダイが大乱舞するエリアや、イソギンチャクが群生するエリアもあり、見どころ満載!さらに大小の根が複雑に入り組み、高低差20mのダイナミックなドロップオフにもなっているので、地形派ダイバーも楽しめる。
また、小規模ながら、船舶や水上構造物をロープでけん引したりする役割を持つタグボートが沈んでいるため、地形と沈船の両方を一度に味わえるポイントなのだ。

根はソフトコーラルなどに覆われている(写真提供:Clover Diving Service)

根はソフトコーラルなどに覆われ、その周りを魚たちが乱舞(写真提供:Clover Diving Service)

③熱海一のサクラダイ天国!? 「ソーダイ根」

●最大水深:30m
●流れ:ときどきあり

沈船の近くに位置するポイントで、潮当たりが良く、トゲトサカやジュウジトサカなど色とりどりのソフトコーラルや海藻が海底を覆っており、これは伊豆半島でも随一の豊かさ。魚に関しては、サクラダイ、アカオビハナダイ、ニシキフウライウオ、クダゴンベなどフォト派に人気の魚が多く見られる場所でもある。特に水深25m以深で見られることが多いサクラダイにしては珍しく、水深10〜20m程度の場所で乱舞している。
ソーダイ根も沈船と同じく、夏に魚影が濃くなり、ハナダイや回遊魚の群れが増えてくる。沈船と並んで、熱海を代表する人気ダイビングポイントとなっている。

青い海に舞うサクラダイが美しい(写真提供:Clover Diving Service)

桃色に黄色い模様が美しいマダラハナダイ(写真提供:Clover Diving Service)

群れるカゴカキダイ(写真提供:Clover Diving Service)

④幻想的な地形と光の演出!期間限定オープンする「小曽我洞窟」

●最大水深:12m
●流れ:ほとんどなし
●備考: 毎年11月から翌年3月までの期間限定でオープン

洞窟の全長は約40mで、通り抜けることができる。水深は最大12mと浅めなのでビギナーダイバーからダイナミックな地形を楽しめる。洞窟内部には光が優しく入り込み、幻想的な光景が広がっている。洞窟内にはネンブツダイが群れていたり、岩と岩の間にはイセエビや、砂地にはマツカサウオの姿も。洞窟と沈船を同日に潜って、ドキドキ感のあるアドベンチャーなダイビングもいいかも!?

洞窟に差し込む光が美しい(写真提供:Clover Diving Service)

洞窟に差し込む光が幻想的(写真提供:Clover Diving Service)

ネンブツダイがダイバーの目の前を横切る(写真提供:Clover Diving Service)

ネンブツダイがダイバーの目の前を横切る(写真提供:Clover Diving Service)

アフターダイビングの観光にピッタリ!
せっかく熱海に来たら絶対押さえておきたいコト

熱海は静岡県有数の観光地として、日帰りで訪れてもダイビング以外に楽しめることがたくさん!そこで、ダイビングの後などにも楽しめる情報を最後にご紹介!

潜った後は美味しいグルメに舌鼓

ダイビングで海の魅力を堪能した後はお腹が空いてくる…。そんなときは、熱海のグルメを楽しもう!やはり外せないのは新鮮な海の幸。地元の魚介類を使った料理が多数あり、特に、熱海港近くの海鮮市場や飲食店では、その日に獲れた魚介類を使った刺身や寿司を味わうこともできる。また、熱海は温泉地としても有名なので、温泉街の中には伝統的な和食や地元の特産品を味わえるお店も多い。その他、熱海名物のスイーツなどもあるので、ダイビングの後に、ほっと一息、お腹も満たしちゃおう!

温泉で冷えた体を温めよう

熱海の温泉は、日本でも有数の泉質と豊富な湯量を誇り、温泉地としての歴史も深い。古い旅館からモダンなスパリゾートまで、さまざまなスタイルの温泉施設が点在しており、露天風呂からは、熱海の美しい自然景観を眺めることができ、四季折々の風情を楽しむことも!
ダイビングで冷えた体や疲れをホッと癒すのに最適。

夏なら花火も!

熱海と言えば、華やかな花火大会も見逃せない。毎年4月〜12月に「熱海海上花火大会」が定期的に開催されており、夜空を彩る壮大な花火が訪れる人々を魅了。熱海湾を背景に打ち上げられるので海面に映る光がなんとも美しい!この花火大会の開催に合わせて、ダイビングの計画をしてもいいかも!?
▶︎熱海海上花火大会の開催日程はこちら

熱海のダイビングポイントと陸の見どころについて詳細に紹介したが、いかがだっただろうか。リピーター続出の熱海をぜひ一度訪れてみては!

協力:Clover Diving Service
初心者大歓迎。器材フルレンタル無料!ドライスーツも無料。そしてなんとTG-4〜6のレンタルまで無料。Clover Diving Serviceの由来は、C(sea) – 「海」、Lover – 「愛する人」、で「海を愛する人」。熱海がホームポイントで、その他にも伊豆海洋公園や西伊豆の大瀬崎、雲見、そして南伊豆の神子元島までガイドをしている。オーナーの木部氏は東伊豆の伊東出身。地元の海を知り尽くしたガイドはもちろん、ハンマーヘッドシャークを追い求め、昨年の夏だけで150本も神子元島に潜りに行くサメガイドでもある。3mのサメから3mmのウミウシまで幅広くガイドをする。
TEL:0557-29-6086
〒413-0022 静岡県熱海市昭和町17-39サンハイム熱海1F

熱海のダイビングショップ

熱海には複数のダイビングショップがあり、現地で直接申し込むことも、都内のショップから熱海へのツアーに参加することも可能。熱海近辺にあるダイビングショップは下記をご参考ください。(順不同)
Clover Diving Service
熱海マリンスポーツクラブ
ダイビングサービス熱海
熱海スキューバ
ディーバオーシャンフィールド熱海
シーフロント初島 ダイビングサポート
熱海マリンボー
アトリエ ラウト
マリンハウス伊豆山
小田原ダイビングスクール
K’s REPUBLIC(ケイズリパブリック)

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発起人に詳細を取材「日本水中フォトコンテスト」 第2回開催の舞台裏

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昨年スタートした「日本水中フォトコンテスト」(以下、JUPC)の締め切りが、1月10日に迫っている。
審査員は第一線で活躍する水中写真家6名、グランプリ賞金は50万円。手探り状態で開催した第1回を踏まえて、応募規定などに変更が加えられている。参加者が楽しめてダイビング業界全体が盛り上がる水中フォトコンテストを目指してよりよいかたちにしていきたいと協議が重ねられた結果だ。発起人で実行委員長である株式会社フィッシュアイ代表の大村謙二氏と、共同発起人で実行副委員長の株式会社エーオーアイ・ジャパン代表の久野義憲氏に第1回からの変更点と開催の意気込みを聞いた。

新たな審査員4名が参加

まず、第1回から審査員の顔ぶれが変更になっている。名誉顧問の中村征夫氏と審査委員長の高砂淳二氏は引き続き就任したが、審査員4名は新メンバー。阿部秀樹氏、中村卓哉氏、むらいさち氏、上出俊作氏を迎えた。

写真左から、名誉顧問の中村征夫氏、審査委員長の高砂淳二氏、審査員の阿部秀樹氏

写真左から、名誉顧問の中村征夫氏、審査委員長の高砂淳二氏、審査員の阿部秀樹氏

写真左から、審査員の中村卓哉氏、むらいさち氏、上出俊作氏

写真左から、審査員の中村卓哉氏、むらいさち氏、上出俊作氏

名誉顧問の中村征夫さん、審査委員長の高砂淳二さんは継続して務めていただきますが、審査員は、視点に偏りが出にくいようにキャリアが異なる水中写真家の方々4名に交代で担当いただく形を取っています。これは当初から決めていたことで、実行委員会で協議して、ベテラン、中堅、若手と毎回選ばせていただきます。
第3回の審査員もすでに決まっていて、授賞式で発表する予定です。4回目をやるならお願いしたいと思っている方は複数いらっしゃいますし、多くの方に関わっていただきたいからこそ、開催し続けたいとも思っています。

審査員6名は多いと思われるかもしれませんが、個人の好みで賞が決まってしまわないようにするためです。できるだけ作風が異なるようにお願いしています。
ちなみに中村征夫さんと中村卓哉さんは親子で審査員を務めるのは初めてだとおっしゃっていましたので、ある意味貴重な共演かもしれないですね。

1人あたりの応募点数が半数に

応募要項で大きく変わったのは応募点数だ。第1回では1人10点まで応募可能だったが、第2回は5点に絞られた。

理由はいくつかあるのですが、まず、1人の応募点数を抑えることで、一次審査を通過するチャンスが多くの方に生まれる、ということです。
第1回では、作品レベルが安定して高い方は応募点数が多い傾向にありました。こうした特定の撮影者の写真が数多く一次審査を通過することで、応募点数が少ない方の作品が一次審査さえ通過できなくなっていたのではないか。第1回の場合、約2500点の応募作品から6名の審査員にそれぞれ60点ずつ一次審査通過作品を選んでいただきましたが、この60点の中に特定の方の作品が多く入っていました。
一次審査を通過した作品は、最終審査のために実行委員会で六ツ切りプリントします。このプリントは審査終了後に希望する応募者の手元にお届けしていました。仮に入賞はできなくとも、どの作品が一次審査を通過したのか確認いただけますし、プリントを手にして「次こそ頑張ろう」というモチベーションに繋げていただけると思っています。

他のコンテストに応募中や応募予定の作品、さらに過去のフォトコンに入賞した作品や雑誌・写真集などに掲載された作品の応募は禁止しているので、応募したい作品が10点もないという方もけっこう多くいました。

応募点数を減らしてはどうかという声は、審査員からもありましたね。

一方で10作品から5作品に減らしたことで、応募点数全体が減ってしまうのではないかという危惧はあります。第1回では応募者が461人で応募点数が2,512点でしたが、5点までしたことで2,000点以下となる可能性がないわけではありません。点数が多ければいいというものではありませんが、応募作品数は減らないでほしい、という想いはあります。ドキドキしながら5点にしました。

第1回のときは「コロナ禍で思うように撮影ができてないから応募は次からにする」という方も多かったのは確かです。コロナが終息し、以前より潜りやすい状況になりました。海外に作品撮りに行った方もいらっしゃるでしょうし、そういう人たちがたくさん応募してきてくださることを願いましょう。

入賞数は大幅増!

応募点数は半減したが、逆に入賞点数は大幅に増えている。第1回では25だった賞が、第2回では34に。優秀賞が5点から6点に、入選は12点から20点になった。

これは、賞に値する作品が多く集まった、もっと多くの方に賞を差し上げたい、というシンプルな理由です。
第1回の審査では、「え! これが入賞できなかったのか」という作品がけっこうありました。そう感じたのは我々だけかと思っていたら、審査員の皆さんも感じられたようで、「最終審査に残したかったが、やむなく落とした作品が多かった」「次回は入賞点数を増やしてはどうか」というご意見が審査中からありました。

だからといって最終審査を通らなかった作品が上位に入賞できたかというと、そこには歴然と差がありましたね。たとえばグランプリを受賞した作品は一次審査の段階から全審査員に選ばれていました。審査員それぞれの考え方もあるので多少のばらつきはありましたが、上位受賞の作品に関しては、軒並み評価が重なりましたね。

審査前は、第1回はグランプリに該当する作品が出ない可能性があるかもしれないと思っていました。コロナ禍で思うように作品が撮れていないのではないか、第1回は様子見する方もいるのではないか。そうであれば無理やりグランプリを選ぶのはやめましょう、という暗黙の了解が我々の中にはあったんです。

しかし、蓋を開けてみるとすばらしい作品が数多くありました。ネット上で開催されているフォトコンテストの入賞作品は、作風や構図が似通っていると感じていたのですが、JUPCの応募作品は多様で、プロの写真家が見てもおもしろい作品が多かったようです。実際そうした作品が入賞していました。

応募作品のクオリティが非常に高かったということですよね。今年は海外で撮影した作品も増えるでしょうから、傾向もまた変わってくると思います。ますます楽しみです。

入賞者に贈呈されるトロフィー。左からグランプリ、準グランプリ、審査員賞、優秀賞

入賞者に贈呈されるトロフィー。左からグランプリ、準グランプリ、審査員賞、優秀賞

授賞式後には親睦会も予定

授賞式は第1回と同様に4月6日(土)に「マリンダイビングフェア2024」会場内特設ステージで行われる。ただし、開催時間はフェア終了後の18時から開場時間内の15時に変更になる。

授賞式は厳かな雰囲気で行いたいという想いがあり、第1回はフェア終了後に行いました。開催中だとゆっくり作品を鑑賞していただく環境がつくりにくいのではないか、という理由でした。
しかし、フェア期間は遠方からダイビングガイドさんたちが集まり、夜に馴染みのお客さまたちと懇親会を行うのが恒例化しています。終了後だと授賞式に出席できる方が限られてしまうんですね。第1回では、関係者の方に授賞式を優先していただいたのですが、お店の会にも出席したいという方も当然いらっしゃいます。そこで思い切って時間を変更することにしました。

終了後だと会場の関係で、授賞式を見学できる人数を制限しなくてはいけなかったのですが、今回はどなたでも見学可能です。多くの方に見て盛り上がっていただきたいです。

まだ確定ではありませんが、授賞式の後に、審査員と受賞者・関係者だけの懇親会を1時間程度行う予定です。過去に行われていた雑誌主催のフォトコンテストでは、授賞式後に審査員や業界関係者、そして受賞者で懇親会が行われていました。交流が深められる大切な機会でした。昨年は終了時間が遅かったこともあり行いませんでしたが、今回は1時間だけでも懇親会をやりたいと思っています。懇親会では、審査の様子などもモニターで上映する予定です。

入賞作品は雑誌企画として全国へ

第1回は入賞作品集を制作し、雑誌「DIVING TOUR 2023」の付録として全国の書店などで販売された。第2回も雑誌誌面での作品発表を予定している。

作品集については、第1回は雑誌付録となりましたが、第2回は復刊予定の雑誌『DIVING WORLD magazine』の企画として誌面発表することになりました。
作品集制作はJUPCのひとつの特徴ですが、やはり作品を「紙」で残したいという想いが強いですね。オンライン上(Web)だけで審査し発表する水中フォトコンも多いですが、私たちの世代は雑誌・紙面が欲しいんですよ。ある種のノスタルジーかもしれませんが(笑)。
モニター越しに見るのと、誌面として落ち着いてじっくり作品を眺めるのでは、インパクトも含めて楽しみ方が違います。我々はかつてのフォトコンテストのよさを再現したい。だから作品集という形にこだわっています。受け取る皆さんは、どのようなかたちで手に取ることができたらうれしいのか、考えを巡らせているところです。

発起人のお二人から皆さまへメッセージ

最後に応募を迷っている方、応募しようとしている方々へメッセージをいただいた。

まずは、とにかく応募してみてほしいです。とりあえず何でも出してみよう、というのは違うかもしれませんが、「すごく気に入ってる」という写真が自分の中に1点でもあったら応募してみてほしいです。応募することで、結果が発表になるまでの約2か月間は、普段得られないドキドキ感が得られると思います。「このドキドキのために応募費用を払おう!」というのがあってもいいと思うんですよね(笑)。さらに自分が応募することで、JUPC自体を主体的に見られるので、より楽しめるのではないかと思います。

第1回の入賞者を見ると、クオリティは非常に高かったです。しかし、応募者のほとんどが「がっつり水中写真をやっています」という方だったかというとそうでもなくて、水中写真はビギナーに近いという方からの応募も多くありました。
グランプリは水中写真のプロである6名が「これぞ」という作品に票を入れるので、偶然の受賞は起きにくいと思います。しかし、審査員賞は好みがはっきりと出る傾向にあります。ですからビギナーであっても、審査員の琴線に触れる何かが作品として表現できていたら入賞できるかもしれません。チャンスは案外どなたにでもあるはず。「自分なんて無理だ」と言わずに、ぜひチャレンジしてみてください。

▶昨年の受賞作品、授賞式の様子はこちら
▶第1回日本水中フォトコンテストの発起人・審査員へのインタビューはこちら(日本水中フォトコンテスト連載)

日本水中フォトコンテスト概要

応募期間:2023年11月1日(水)〜2024年1月10日(水)
発表:2024年4月6日(土)(東京・池袋サンシャインシティで開催される「マリンダイビングフェア2024」会場内特設ステージにて授賞式および懇親会を実施予定)
審査員(敬称略)
・名誉顧問:中村征夫(写真家)
・審査委員長:高砂淳二(自然写真家)
・審査員:阿部秀樹(写真家)、中村卓哉(水中写真家)、むらいさち(写真家)、上出俊作(水中写真家)


・グランプリ:1点
・準グランプリ:1点
・審査員賞:6点
・優秀賞:6点
・入選:20点
*授賞は1人1賞(審査員賞との重複は除く)

副賞
・グランプリ:賞金50万円、賞状、トロフィー、記念品
・準グランプリ:賞金10万円、賞状、トロフィー、記念品
・審査員賞:賞状、トロフィー、記念品
・優秀賞:賞状、トロフィー、記念品
・入選:賞状、記念品

応募資格
アマチュアの方に限ります。プロの写真家はご応募いただけません。
・応募者の居住地は問いませんが、サポートは日本語のみです。
・応募者が未成年(18歳未満)の場合、保護者の承諾が必要です。
※プロの写真家とは、
-水中、陸上問わず、写真撮影、撮影された作品を販売することなどを生業とされておられる方
-自身が「写真家」と公にわかる形で自称し、活動しておられる方など
(ダイビングインストラクター・水中ガイドなどを生業とされておられても、上記に当てはまらない方は、ご応募いただけます)

対象作品
水中写真(半水面も含む)
・撮影地は、日本国内、海外、問いません。
・使用撮影機材の種類、メーカーは問いません。
・撮影年月日は問いません。

応募方法
「日本水中フォトコンテスト」公式サイトより、応募フォームに必要事項を入力して応募。

応募点数
1人、最大5点まで

応募費用
・1点につき1,000円(税込)。
・クレジット決済になります。
・決済後の返金はありません。

主催:日本水中写真コンテスト実行委員会

日本水中写真コンテスト実行委員会が新たにスタートする水中フォトコンテスト。より多くの方々に水中撮影を楽しみながら、受賞を目指し作品作りに励んで欲しいという想いから、日本を代表するフォトコンテストを目指し、企画された。

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「日本水中フォトコンテスト」 第2回開催の舞台裏
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【動画あり】「70歳の誕生日に水深70mへ!」レジェンドと若手チームが大瀬崎で潜った熱い一日

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水深70mと聞いて、ダイバーの皆さんはどんな光景を思い浮かべるだろうか? 通常、レクリエーショナルダイバーが潜れるのは水深40mまでだが、テクニカルダイビングのトレーニングを積んでいくと、それより深い“未知なる世界”を体験できる。
今回オーシャナ編集部は「テクニカルダイビングのレジェンド・久保(くぼ)彰良(あきよし)さん(以下、久保さん)が、70歳の誕生日に仲間たちと水深70mへ潜る」と聞き、ぜひその記念ダイブを取材したいと思い、西伊豆・大瀬崎へと向かった。

今回の主人公・久保彰良さん(中央)とサポートするダイバーや「大瀬館マリンサービス」のスタッフの皆さん。左から越村さん、「大瀬館マリンサービス」スタッフの若松さん、オーナーの安田さん、荻原さん、久保さん、伊左治さん、藤永さん、久保さんの奥様、スタッフの真木さん

日本のテックの第一人者・久保彰良さんとその仲間たちが大瀬崎に集合

テクニカルダイビングのレジェンド・久保彰良さんとはどんな人?

テクニカルダイビングの始まりは、1960年代後半から1970年代にかけて発展したケーブ(洞窟)ダイビングだといわれている。1980年代の中頃には現在のようなトレーニング内容が開発され、1990年代初期には、ケーブとレック(沈没船)の両方を探検するために、ディープダイビングのスキルが確立されるようになってきた。

そんな時代から、ダイビングインストラクターとして活躍してきたのが、今回の主人公・久保さんだ。久保さんは1980年にリサーチダイバーとして職業ダイビングの世界に入り、84年にPADIのインストラクターに。その後ダイブセンターの運営などを経てPADIコースディレクターとなり、91年から2000年までの10年間はPADI本部などで活躍。最後の2年間は「PADI TecRecコース」というテクニカルダイビングのコース開発に携わった。その後、アメリカへと留学し、DIR※というダイビングの手法に出会い、日本のダイビングシーンへの普及・啓蒙を目指し、多くのテクニカルダイバーを育てて現在に至る。

※DIR:Doing It Right(DIR)は、フロリダで洞窟潜水をしているグループがより安全に探検 ダイビングを行うために始めたダイビングスタイル。基本的なダイビングスキル、チームワーク、体力、合理化された最小限の器材構成などを重視する

2023年3月5日に70歳の誕生日を迎えた久保さん。年齢を感じさせないはつらつとした笑顔が素敵だ

まさに「日本にテクニカルダイビングを根づかせた第一人者」といえる久保さんを慕うダイバーは多い。今回の70mダイブでは、4人の仲間たちがサポートに入るという。まずは今回の企画のリーダー的存在である水中探検家でテクニカルダイビングインストラクターの伊左治(いさじ)佳孝(よしたか)さん(以下、伊左治さん)。そしてGUEインストラクターの荻原(おぎわら)庸介(ようすけ)さん。PADI インストラクターで「ベレタダイビングショップ」の代表・越村(こしむら)泰士(たいし)さんに、PADIインストラクターの藤永(ふじなが)高秋(たかあき)さん。
4人とも久保さんからテクニカルダイビングを学び、今はそれぞれ活躍中の若手インストラクターだ。

国内有数のテクニカルダイビングフィールド・大瀬崎が今回の舞台

今回、静岡県沼津市の大瀬崎がダイビングポイントとして選ばれたのには、いくつかの理由がある。まず、テクニカルダイビングで使用するミックスガスを使用するシリンダーの持ち込みができるサービスがあること。伊左治さんが頻繁にトレーニングや講習などで利用している「大瀬館マリンサービス」は、レクリエーショナルダイバーはもちろん、テクニカルダイバーも快く受け入れてくれる。

大瀬崎のビーチからは、富士山が臨める。海と富士山の絶景は、大瀬崎に来るたびに癒される

さらに大瀬崎は、西伊豆屈指のビーチポイントに恵まれたダイビングエリアだ。ビギナーやセルフダイビングでも安心して潜れる「湾内」、外海に面した「柵下」「一本松」など、そして岬の突端に位置する「先端」と、ポイントはバリエーションに富んでいる。その中でも「先端」はエントリーすると急斜面になっていて、今回のような深い水深をとりたいダイビングにはうってつけの水中環境なのだ。

まずはセッティング。器材アイテムの多さに圧倒される

久保さんの誕生日・3月5日の午前9時過ぎ、「大瀬館マリンサービス」前にメンバーが集合。うっすらと富士山も見える好天の中、70ⅿダイビングの準備が始まった。

まずはブルーシートの上に、ズラリとシリンダーや器材が並べられる。テクニカルダイビングは器材もレジャーダイビングとは異なり、使用するシリンダーの本数も多ければ、中に充填されているガスも違う。通常のダイビングでシリンダーに充填して使用するのは空気だが、テクニカルダイビングでは、1ダイブで複数の種類のガスを使用する。今回は大気と同じ酸素と窒素にヘリウムを加えたトライミックス、濃度が50%のエンリッチドエア、純酸素(100%の酸素)を使用する。

今回、潜るのは5名だが、ブルーシートの上にはタンクや器材がズラリ。これから丁寧に器材のセッティングが進められていく

水深70ⅿを潜るのに、どんな器材を使用するか気になる方も多いはず。そこで、今回は特別に久保さんの使用器材を見せてもらった。

久保さんの70ⅿダイブ 使用器材リスト
●BCD

アルミバックプレート(Halcyon(ハルシオン)
ハーネス(SUEX(スエックス)
エボルブ40ポンドウィング(Halcyon(ハルシオン)

●レギュレーター(すべてDiveways(ダイブウェイズ)

ロングホース(ライトサイド):SR-4N(7ftLPホース、ダブルシリンダー右ポスト)
ショートホース(レフトサイド):SR-4N(26″LPホース、ダブルシリンダー左ポスト)
トラベル/デコ用①:SR-4AN(40″LPホース)
     デコ用②:S-5N(40″LPホース)
     デコ用③:S-5N(40″LPホース)

●インフレーションシステム

6cfアルミシリンダー DIN (Luxfer(ラクスファー))
レギュレーター 22″LPホース(Highland(ハイランド)
マウントストラップ(Halcyon(ハルシオン)

久保さんが着用するドライスーツは、ポーランドのメーカーSANTI(サンティ)の「Eライト・プラス」。まだ水温が15度ほどしかない3月の大瀬崎、しかも深場へ行けば水温はさらに低くなるため、万全の防寒対策が必要だ。ドライスーツのインナーとフードも共にSANTIのものを使用。

マスクはSCUBAPRO(スキューバプロ)のフレームレスマスク(予備マスクはGULLのヴェンティア)、フィンはGULL(ガル)のGTフィン。ダイブコンピュータはShearwater(シアー・ウォーター)のPERDIX AI。この製品は通常のエア、ナイトロックスはもちろん、今回使用するトライミックスガスにもデフォルトで対応している。

そして何よりセッティング時に驚いたのが、久保さんが使用するシリンダーの数と種類だ。
水深70ⅿを減圧症のリスクを避けて安全に潜るには、エギジットするまでに水中で3回の呼吸ガスの変更が必要となる。そのために6本ものシリンダーが準備されていた。6本のうち1本は、ドライスーツインフレ―ション用なので、呼吸ガスではないため減圧には関係ない。なおドライスーツインフレーションシステムは、トライミックスの場合のみ使用する。


準備を万端に整えて、久保さんの「70歳70mダイビング」がスタート

ブリーフィングを行い、その後器材を積んで「先端」へと移動

器材のセッティングが終わったら、今日潜るメンバーでブリーフィング。役割分担を決めて、それぞれがどの時点でどんな動きをするのかを綿密に確認していく。今回は久保さんのほか、4名のダイバーがサポートで潜る。全員が70mまでは潜らず、水深40mで2名が待機。水深70mへは久保さんと2名が潜り、潜降時間を含めて20分の潜水時間。そこから浮上で約1時間、トータルダイブタイムで80分ほどの計画だ。

また水深70mの最深部から、浮上するまでには呼吸するガスを3回変えて、4種類のガスを使用する。さらに減圧停止の回数も、水深45mから6mまで、3mおきに数分ずつ停止して14回。レクリエーショナルダイビングの安全停止などよりも、かなり多くの段階を踏んで潜る必要があることがわかる。

伊左治さん(右から2人目)が中心になり、今日の70mダイブのシミュレーションをしながら、役割分担を確認していく。安全に潜るためには、こういった計画の共有・確認作業が欠かせない

運搬用の台車に器材を載せて、今日潜るポイント「先端」へと向かう

「先端」に行くには、大瀬神社を抜けていく必要があるため、足を止めて拝観料の100円をひとりずつ納める。そこでこれから行う70mダイブが成功するよう祈りを込めて、皆で神社に入口から参拝。

ダイビングスーツ姿で安全潜水を祈願して、大瀬神社を参拝。ダイバー冥利につきる体験だ

エントリー前には、入念に器材チェック。そしてエントリー!

「先端」に一行が着くころには、少し雨が降り出してきた。しかし空は暗くはなく、海も多少の流れはあるもののうねりはそれほどない。台車を止めて、ドライスーツを着て、器材を装着する。久保さんはもちろん、ほかのサポートダイバーの皆さんの器材も相当ごっつい。2人はリブリーザーを使用して潜るという。

器材を装着したら、一つずつ声をかけて確認していく。この確認作業にかなりの時間をかけることが、安全に潜るためには欠かせない

器材がきちんと作動することを確かめ、声を掛け合ってチェックしていく。そして、いよいよエントリー!

久保さんはリラックスした表情で、70mダイビングへと向かっていく

「先端」へ向かうビーチ際はごろた石が転がるが、足場に土嚢が敷かれているのでエントリーしやすくなっている。加速減圧に使用するシリンダーも準備万端

水深30m、50m、70m……。次第に光の届きにくい未知の領域へ

12時50分、久保さんたちはビーチから慎重に海に入り、いよいよ水深70mを目指して潜り始める。

まずは水深10mで写真撮影、その後24m地点で呼吸しているガスを入れ替えて、40mを目指す。背中にはダブルタンク、ほかに4本のタンクの計6本を装着し潜っていく久保さん。

水深40mで残圧を確認、5人のうち2人はここで待機。全員で予定通りで問題ないことを確認しあい、久保さんを含む3名がここから70mを目指して潜っていく。

水深50mを超すと、だんだん太陽光も弱くなり、暗くなってくる。レクリエーショナルダイビングでは到達できない領域だ。ライトでお互いにコミュニケーションを取りながら、さらに深度を増していく。

ついに64.9m地点に到達!残念ながら、撮影していたGoProはこの深度で水圧に負けてダウン。しかし久保さんは無事に水深70m地点へ!!
70mが記録されたダイビングコンピューターを確認しながら、一緒に到達したダイバ―たちと握手を交わし、70歳・70mの感慨に浸る。

さて、ここからは水面までの浮上だ。ここから60分間かけて、減圧停止を行いながら浮上してくることになる。

そろそろ戻ってくるころかと水面で筆者が待っていると、13時50分、予定通り80分間のダイビングを無事に終えて、久保さんたちが戻ってきた!

エキジットする久保さんを仲間のダイバーが出迎える

久保さんのダイブコンピュータには、70mを証明する「最大水深70.9m」が記録されていた

全員が無事エキジットし、特にトラブルもなく、久保さんの「70歳70mダイブ」は成功のうちに終わった。器材の片付けなどを終わらせた後には皆で祝杯を上げ、ダイビングの成功と久保さんの誕生日を祝った。

アフターダイブにはケーキも用意されて、皆で久保さんの誕生日とメモリアル記念ダイブの成功をお祝いした


無事70歳の誕生日に70mダイブ達成! 久保さんが思うこととは…

「先端」からエキジットして、ホッと一息つく久保さん

約80分のダイビングを終え、全員無事にエキジットし、記念すべき久保さんの「70歳70mダイブ」は完了した。水面は少し流れていたものの、エントリーした地点とほぼ同じ場所に戻ってきた皆さんは、晴れやかな笑顔が印象的。計画の立案から当日までの準備、そして本番のダイビング…。大きなプロジェクトをやり遂げた達成感にあふれていた。

記念ダイブというよりは、今の自分がきちんとやり遂げられるか。そのことが重要

海から上がった後、今日1日を振り返って、久保さんにどんなことを感じたかを伺ってみた。

――今日はお疲れさまでした。今回、この「70歳70mダイビング」を行おうと思ったのは、どんなお考えがあったのでしょうか?

久保さん

普通のシングルタンクのダイビングだったら健康であれば、まだまだ続けられると思うんです。しかしその一方で、若い人たちにダイビングを教えるという、責任を伴うことを現場でいつまでできるだろうかということは、この年齢になると考え始めるわけです。
私はPADIでずっと仕事をさせていただいて、インストラクターやトレーナーなどもしてきましたが、当時たくさんの人たちの前で「ダイビングの安全性を上げるにはこうしてください」などと話をしてきたわけです。しかし、今思うと現場で一緒に潜って、自分が直接教えられる範囲のことを教える。そのことが大事だなと思うようになってきました。とはいうものの自分の年齢が上がっていくと、体力的にも昔とは同じようにはいかないですし、新しい情報を吸収するモチベーションも鈍ってくる。それならば、いま自分がやりたいと思うことややってきたことを若い人たちに教えていく。育てていくというとおこがましいので、手伝わせていただく仕事をしたい。そう思って、ここ5年くらいは本当にそこに集中してきたんです。

また私と同様に、「大瀬館マリンサービス」のオーナーの安田さんも、大瀬崎で最初に始めたこのダイビング事業を、どんな形で次の世代に継いで応援できるかと、リタイアを考える年齢に達して真剣に心を砕いているはずです。

久保さんを師と慕う越村さん(左)と藤永さん(右)

――今日、一緒に潜られた方たちは皆さん、久保さんからテクニカルダイビングを学んだ若い世代の方たちですよね。

久保さん

本当にありがたいと思っています。今日の企画も僕が皆に声をかけたわけでなくて、たまたま70歳の誕生日に70m潜るよと言ったら、皆さんが協力してくれました(笑)。これは自分で今の自分の状態を確かめる一つの区切りみたいなものですかね。ゴルフで「エイジシュート」ってありますが、ダイビングでも「エイジダイブ」っていうのがあってもいいかなと思って。

実は以前に「80歳で80mダイブをする」という方がいらっしゃって、「久保さん手伝ってよ」と言われたことがあるんです。でもちょっと安全性に問題があるように感じてお手伝いはしなかったんです。結局「80歳80m」のダイビングは実現されなかったのですが、今回の「70歳70m」のヒントはそれなんですよ。

――そうだったんですね。

久保さん

僕は今回のダイビングは、自分で自信が持てる範囲で、確実に大丈夫だと思ったので行いました。普段から一緒に洞窟に潜ったりして、伊左治さんたちは命のやり取りができる信頼のおける仲間なので、安心でした。もっとも最初は一人でこっそり行って、自分のダイブコンピュータに記録を残してくればいいくらいに考えていたんですが(笑)。付き合っていただいて、とてもありがたかったですけど。

今回久保さん(中央)の70歳70mダイビングをサポートした伊左治さん。最近は一緒に潜る機会が多いので、頼りになるバディなのだそう。左は今回協力してくださった「大瀬館マリンサービス」オーナーの安田幸則さん

仕事の仕方は変わっても、安全に潜るためのノウハウをしっかり伝えていきたい

――水深70mまでの道中、どんなことを考えられたりしていたんですか?何か頭によぎることとかあったんでしょうか?

久保さん

いや、計画通りに進んでいるかというチェックだけですよ。非常に計画的で合理的な潜水なので。予定していたよりちょっと遅れているかなとかは考えたりしますが、必要な深度でガスのチェックをするとかは、本当にイメージ通りです。そして「誕生日の日に、自分はまだこういうダイビングができた。この1年くらいは能力を維持できるかな」と考えるくらいですかね。

――最初にこのダイビングの計画をお聞きした時は、チャレンジというか、そんな感じでとらえていたんですが。

久保さん

チャレンジや冒険ではないですね。今の自分がちゃんと計画どおりにできているかの「確認作業」です。「久保さん、まだまだやれますよ」とおっしゃってくださる方もたくさんいますが、それはありがたい言葉ですが勘違いしてはいけないなと。いずれ今までと同じようには潜れなくなることもあると思っています。しかし何らかの形で、死ぬまで潜水という仕事に関わっていきたいですね。

ダイビングって、すごく楽しい遊びなんですよね。しかし登山と一緒で、自然を相手にする遊びなので、危険は付き物です。そこをどうすれば安全に潜れるのかということを、具体的に教えていきたいと思います。

入念に器材のセッティングを行う久保さん。慎重にチェックしながら進めていく姿が印象的だった

――今日のエントリー前のチェックを見ていて、とても丁寧にひとつずつ確認していくんだと驚きました。

久保さん

具体性をもったやり方というのが、大事なんですね。チェックは毎回、テクニカルダイビングでなくてレクリエーショナルダイビングでも行っています。こういったことを習慣にすれば、バルブの開け忘れのような単純な事故は、なくなりますよね。

――本当にそうですよね。何よりも安全に楽しむということが、どんなダイビングスタイルでも一番大切だと実感しました。

「テクニカルダイビング」は、合理的で普遍的なダイビング

今回、久保さんの「70歳70m」の記念ダイブを取材して感じたのが、テクニカルダイビングは決して無理なことをするものではなく、きちんと計画を立ててミッションを完遂する、とても合理的なダイビングなのだということだ。そして、使用する器材やダイビング計画はレクリエーションダイビングとは異なるが、「安全に潜る」という面では普遍的なルールが共通している。

久保さんのサポートを行った伊左治さんは「一緒に楽しむ仲間をもっと増やしたい」と言う。テクニカルダイビングは今回のような深い水深を潜るディープダイビングのほかに、洞窟や沈没船の探検など、様々な楽しみが広がっていく。興味を持った方は、ぜひテクニカルダイビングにチャレンジしてみていただきたい。ダイビングの奥深さをさらに知ることができて、楽しみを広げていけることだろう。

DIVE Explorers

テクニカルダイビングショップであり、エクスプロア(探検)チームであり、調査機関であるDIVE Explorersは、伊左治さんが主宰する団体。テクニカルダイビングを始めたい、もっとスキルを学びたいという人向けの講習も行なっているので、興味のある方はぜひ連絡を。

プロフィール
久保彰良氏 Akiyoshi Kubo
久保彰良
コマーシャルやテクニカル・ダイビング用水中スクーターのイタリアSUEX社正規代理店である「株式会社アムテック」代表。DIR-TECH Diver’s Instituteを主宰し、東京とフィリピンの拠点を往復しながらダイビング・インストラクションを行うだけでなく、大学や政府機関の学術調査ダイビング、時計メーカーの商品開発サポートなど活動分野は広い。「日本水中科学協会」副代表理事および岩手県岩泉町の「日本洞穴学研究所」理事。

取材協力 大瀬館マリンサービス 

※この記事は取材時の2023年3月5日時点での情報で作成しています。

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高砂淳二氏(日本水中フォトコンテスト審査委員長)に聞くフォトコン開催とダイビング雑誌復刊への想い

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第2回「日本水中フォトコンテスト」(以下、JUPC)は2024年1月10日まで応募作品を受付中だ。そこで、第1回に続き審査委員長を務める自然写真家の高砂淳二氏に、日本水中フォトコンテスト開催への想いや復刊するダイビング専門誌についてインタビューさせていただいた。記事後半には応募のアドバイスもいただいているのでお見逃しなく!

想像以上にハイレベルだった第1回

編集部(以下、―――)第1回と第2回で大きく変わった点はありますか?

高砂(敬称略)

入賞数が25から34へ増えました。背景には、第1回で集まった作品が想像以上に素晴らしかったことがあります。第1回は様子を見ている方も多いのではないかと思っていましたが、蓋を開けてみると、すばらしい作品ばかりでした。一次審査の段階から、いい意味で選ぶのがかなり大変でした。やむなく落とす作品も多かったですね。審査終了直後から、審査員の間で「次回は賞の数を増やしたいですね」と話していました。

―――それだけハイレベルなフォトコンテストだったということですね。

高砂

候補がない状態から絞り上げてグランプリを選ばざる得ないフォトコンテストもありますが、JUPCはグランプリ候補がいくつもあって、どれが選ばれてもおかしくありませんでした。私自身、審査をしていて、ワクワクしてとても楽しかったです。他の審査員からも「アマチュアもここまできたか…」という声があがるほどレベルは高かったように思います。

ダイバーと泳ぐマンタ

第1回でグランプリを受賞した「求愛」 撮影/吾川真之

―――第2回も楽しみですね。

高砂

第2回は、賞の数が増えましたので、ますます盛り上がるのではないでしょうか。
新しい審査員の顔ぶれを見ても、第1回に引き続き、実力のあるしっかりした作品が選ばれていくのではないかと楽しみにしています。もちろん、審査員賞は審査員によって好みが分かれると思いますが、それ以外の賞は審査員全員で話し合って決定します。第2回も感性豊かな作品がたくさん選ばれるようなフォトコンテストにしていきたいですね。

「作者の気持ちが乗っている」写真に期待

―――高砂さん自身はどのような作品が集まることを期待されますか?

高砂

今回は、海外で撮影した作品が増えてくるのではないかと楽しみです。昨年は海外渡航が制限される中で日本の海と向き合って撮影した作品が多いと感じましたが、そういう方々が改めて海外で撮影すると、どんな作品になるのか見てみたいところですね。

もうひとつは、 “作者の気持ちが乗っている写真”ではないでしょうか。カメラの性能が向上したことで、パッと見てきれいで上手な写真というのは、たくさん撮れるようになってきました。しかし、単純にきれいなだけの写真からは、作者がどこに感動したのか、どこを見せたかったのか伝わってきません。これでは審査員の気持ちを動かせません。「この作者はこういう面に感動したのだな」とか「この魚のこういう面が好きなんだな」、とか、そういう思いが乗っている写真は別格で、審査する側もそれに応じて気持ちが動きます。ですから、ぜひ自分の気持ちがこもった写真を応募して欲しいですね。

第2回「日本水中フォトコンテスト」の入賞作品は、
ダイビング雑誌『DIVING WORLD magazine』で発表予定

第1回に引き続き、受賞作品は雑誌の企画としてもまとめられ全国の書店やamazonなどで流通する予定だ。その媒体が2024年4月発売予定の雑誌『DIVING WORLD magazine』(仮称)。ダイビング歴の長い方は記憶にあると思うが、1975年から2008年まで出版されていた『ダイビングワールド』の復刊版である。
高砂氏は『ダイビングワールド』の専属カメラマン出身で、新雑誌にもキャプテン(監修役)として携わっている。

―――まず、『ダイビングワールド』誌の思い出からうかがえますか?

高砂

私が『ダイビングワールド』のカメラマンになるきっかけが、まさにフォトコンテストでした。大学在学中にダイビングと写真を始めてからダイビング業界で水中カメラマンとして仕事をしたいと思っていました。どうやったらダイビング雑誌社に潜り込めるか考えた結果、まずはフォトコンテストに入賞することだと思い至って雑誌社主催のフォトコンに応募を始めました。そして、そのうちのひとつだった1985年の『ダイビングワールド』フォトコンテストで初めて入選に選んでいただきました。

それをきっかけに、『ダイビングワールド』を出版していた(株)マリン企画に自分の写真を持って行って「働かせてください」とお願いし、アルバイトとして携わらせていただくことになりました。最初はカメラマン業務ではなく、雑用ばかりでした(笑)。しばらくすると、カメラマンが足りないということで、ダイビングショップの撮影に始まって、徐々に海外のダイビングポイントの撮影にも行かせてもらえるようになりました。

マリン企画社へ持ち込んだ写真のひとつ。ニコノス(フィルムカメラ)で撮影されたもので、初めてダイビングワールドに見開き掲載された記念すべき写真でもある

(株)マリン企画へ持ち込んだ写真のひとつ。ニコノス(フィルムカメラ)で撮影されたもので、初めてダイビングワールドに見開き掲載された記念すべき写真でもある

ダイビングが盛り上がっていた時代で雑誌も売れていましたから、旅行会社と組んだ特集のために世界中を回りました。当時はインターネットもありませんでしたから、雑誌を通じて情報を日本に発信できていることが本当にうれしかったですね。

高砂氏が大きく特集された2004年6月号の『ダイビングワールド』

高砂氏が大きく特集された2004年6月号の『ダイビングワールド』

―――復刊について率直な思いを教えていただけますか?

高砂

やはりうれしいのひと言に尽きますね。私は『ダイビングワールド』という雑誌で育ったといっても過言ではありません。アルバイトで入社し、あらゆる撮影をそこで覚えました。最終的には『ダイビングワールド』主催のフォトコンテストの審査をする側に入らせていただきました。私自身の大特集も組んでいただきました。ですから、同名の雑誌の復刊に対しては、喜びもひとしおです。

『ダイビングワールド』の高砂氏の特集の中では、ダイビングを始めたきっかけから専属カメラマンになるまでの経緯も詳しく語られている

『ダイビングワールド』の高砂氏の特集の中では、ダイビングを始めたきっかけから専属カメラマンになるまでの経緯も詳しく語られている

―――ネットで情報を得る時代に、どのような雑誌にしたいと思われますか?

高砂

やはり、紙の本でしか味わえない、濃い情報や貴重でおもしろいストーリーがぎゅっと詰まった読み物にしたいですね。地球や海に想いを馳せられるような、海に関する深い話が入ってもいいかもしれません。雑誌を作るということは、木を切って、紙を作って、雑誌になるわけですから、無駄にならないように購入してくださった方が長く大切にできるような本になったらいいなと思います。

今改めて思い返すと、『ダイビングワールド』の編集部は根っからのダイビング好きというよりは“編集好き”の人たちが制作をしている印象がありました。読み物としておもしろい雑誌になるよう、真剣に考えて創り上げている雑誌でした。その特色を踏襲して、ダイバーでなくても海好きの人であれば、うなるような本になるといいですね。『DIVING WORLD magazine』の制作には、元『ダイビングワールド』編集メンバーだけでなく、競合誌に関わっていた方たちも加わると聞いていますのでさらにパワーアップするのではないでしょうか。かつての『ダイビングワールド』を手に取ったことがない方も楽しみにしていてください。

フォトコンに応募する方へアドバイス

最後に、高砂氏からこれからフォトコンに応募される方へメッセージをいただいた。

―――上位を狙うカギは何でしょうか。

高砂

単純に綺麗な写真ではなかなか上位には入れません。繰り返しになりますが、自分の想いがこもった写真であること。そして、ドラマを感じる作品ですね。写真のよさのひとつに「1枚でドラマを感じさせる」ことがあると思います。映像は時間かけていろいろな場面を見せることでドラマを感じさせますが、写真はたった1枚で、いろいろなことを想像させることができるわけです。それが写真の醍醐味でもあります。そういう想像を掻き立てる奥のあるドラマを感じる写真は強いですね。

―――応募を避けたほうがいい作品はありますか?

高砂

連続カットを2枚、3枚と出すのは、避けた方がいいかもしれません。審査員からすると、自分の目で作品を選び抜けなかったというマイナス評価の要因になります。ぜひご自身でこれこそは、というものを応募して勝負してほしいですね。

―――フォトコンを目指して撮影する方にアドバイスをお願いします。

高砂

これだ!という被写体に出会ったら、状況が許す限り時間をかけて、撮れるだけ撮ってほしいですね。「撮れた!」といってすぐに次に行かないで、時間を費やすと、「あ、こんな場面になった!」とか、予想もしなかった進展が意外とあります。被写体に迷惑をかけない程度に、じっくりと自分の子どもを最高に可愛く撮るようなイメージで向き合っていると、「自分はこの被写体のこういう面が撮りたいんだな」ということが徐々にわかってきて、ライティングやアングルを変えながら完成型に持っていくことができるはずです。撮影者の想いは、フイルムにも、印画紙にも、そして写真データにも気持ちがしっかり乗り、見る側にもその気持ちが伝わってくるものになると思います。

―――高砂さん、ありがとうございました。第2回「日本水中フォトコンテスト」、そして新雑誌を楽しみにしています!

高砂淳二
高砂淳二

写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。ダイビング専門誌の専属カメラマンを経て、1989年に独立。地球全体を仕事の場として、水中から陸上、空まで、自然の瞬間を捉え、野生生物、風景、自然現象、星を撮影しながら、世界中を旅している。著書多数。ニコンTHE GALLERY、東京ミッドタウン富士フイルムスクエア、渋谷パルコ、阪急百貨店、コニカミノルタプラザ、ザルツブルク美術館などで作品展を開催。2008年、外務省主催の太平洋・島サミット記念写真展「Pacific Islands」を担当。テレビ、ラジオ、雑誌、トークイベントなど幅広いメディアに出演し、自然への思いや自然と人間との関係を伝え続けている。2018年には宮城県の「みやぎ絆大使」に就任。海の環境NPO法人「OWS」理事を務める。また2022年、世界で最も権威のある写真賞のひとつであるロンドン自然史博物館が主催する「Wildlife Photographer of the Year」の自然芸術部門で最優秀賞を受賞。

Website:https://junjitakasago.com/

日本水中フォトコンテスト概要

応募期間:2023年11月1日(水)〜2024年1月10日(水)
発表:2024年4月6日(土)(東京・池袋サンシャインシティで開催される「マリンダイビングフェア2024」会場内特設ステージにて授賞式および懇親会を実施予定)
審査員(敬称略)
・名誉顧問:中村征夫(写真家)
・審査委員長:高砂淳二(自然写真家)
・審査員:阿部秀樹(写真家)、中村卓哉(水中写真家)、むらいさち(写真家)、上出俊作(水中写真家)


・グランプリ:1点
・準グランプリ:1点
・審査員賞:6点
・優秀賞:6点
・入選:20点
*授賞は1人1賞(審査員賞との重複は除く)

副賞
・グランプリ:賞金50万円、賞状、トロフィー、記念品
・準グランプリ:賞金10万円、賞状、トロフィー、記念品
・審査員賞:賞状、トロフィー、記念品
・優秀賞:賞状、トロフィー、記念品
・入選:賞状、記念品

応募資格
アマチュアの方に限ります。プロの写真家はご応募いただけません。
・応募者の居住地は問いませんが、サポートは日本語のみです。
・応募者が未成年(18歳未満)の場合、保護者の承諾が必要です。
※プロの写真家とは、
-水中、陸上問わず、写真撮影、撮影された作品を販売することなどを生業とされておられる方
-自身が「写真家」と公にわかる形で自称し、活動しておられる方など
(ダイビングインストラクター・水中ガイドなどを生業とされておられても、上記に当てはまらない方は、ご応募いただけます)

対象作品
水中写真(半水面も含む)
・撮影地は、日本国内、海外、問いません。
・使用撮影機材の種類、メーカーは問いません。
・撮影年月日は問いません。

応募方法
「日本水中フォトコンテスト」公式サイトより、応募フォームに必要事項を入力して応募。

応募点数
1人、最大5点まで

応募費用
・1点につき1,000円(税込)。
・クレジット決済になります。
・決済後の返金はありません。

主催:日本水中写真コンテスト実行委員会

日本水中写真コンテスト実行委員会が新たにスタートする水中フォトコンテスト。より多くの方々に水中撮影を楽しみながら、受賞を目指し作品作りに励んで欲しいという想いから、日本を代表するフォトコンテストを目指し、企画された。

日本水中フォトコンテスト公式SNSをフォローして最新情報をGETしよう。
   

▶昨年の受賞作品、授賞式の様子はこちら
▶第1回日本水中フォトコンテストの発起人・審査員へのインタビューはこちら(日本水中フォトコンテスト連載)

The post 高砂淳二氏(日本水中フォトコンテスト審査委員長)に聞く
フォトコン開催とダイビング雑誌復刊への想い
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テクニカルダイビング体験会に行ってみた!水中探検家が紹介する新しいダイビングの世界

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富士山を仰ぐ静岡県沼津市の絶景ダイビングスポット・大瀬崎で、水中探検家・伊左治佳孝氏が主催するテクニカルダイビング体験(以下、体験会)が7月に開催されるという話を聞きつけ、テクニカルダイビング未経験のocean+α編集部のセリーナが現地へ!テクニカルダイビングは誰でも挑戦できるのか?テクニカルダイビングの“体験”とは一体どんなことをするのか?など、レポートしていきたいと思います!

テクニカルダイビングとは?

まず、そもそもテクニカルダイビングが何か?ということに簡単に触れておきたい。テクニカルダイビングとは、“何かあったときにその場で浮上できる範囲を超えた、一般的なレクリエーショナルダイビングの領域を超えたダイビング”のことを指す。一般的なレクリエーショナルダイビングの範囲とは、1.水深40mより浅く、2.洞窟や沈船などすぐに水面に上がれない頭上閉鎖環境では太陽光が入っていて水深と進入距離の合計が40m以内 、3.無減圧潜水時間内(NDL内で、減圧停止を必要としない=DECOが出ない)範囲のことだ。この範囲を超えると緊急時でも簡単に水面に上がることができないため、より安全に関する知識や計画、それを実行するスキルが必要となってくる。より詳しく知りたい方は下記の記事をチェック。

テクニカルダイビングとは

そんなテクニカルダイビングで、実際に用いられる器材セッティングやスキルの一端を体験してみよう!というのが今回、開催されたテクニカルダイビング体験会だ。

テクニカルダイビング体験会スタート!

今回開催された体験会への参加条件は、ライセンスがアドバンスドランク以上で、かつダイビング本数50本以上であること。この体験会の開催理由を伊左治氏に伺ってみると「テクニカルダイビングは、一人ではなくチームで行うもの。だからこそ、まずはテクニカルダイビングというものがあることを知ってもらい、興味を持ってもらうきっかけをつくるために今回の体験会を開催しました。このような機会を通じて、新たにこの分野に挑戦する若手を育てたり、一緒にテクニカルダイビングを楽しむ仲間を増やしていきたいです」と熱く教えてくれた。ちなみに伊左治氏は、沖縄南大東島の水中洞窟をはじめ、世界各地のまだ誰も入ったことのないような場所の開拓も行っている。

そして、本日の参加者は普段からレクリエーショナルダイビングをしている20代の女性で、オーバーヘッド環境を潜ることに興味があるよう。「もともとメキシコ、ユカタン半島に見られる世界最大の水中鍾乳洞・セノーテでのダイビングに興味がありました。でも洞窟の中を潜るためには何が必要なのだろう?と思っているときに、たまたま今回の体験会のことをSNSで知って、こんなチャンス逃せない!未知のものに挑戦してみよう!と思ったのがきっかけです」とのこと。

まずは使用器材の紹介と器材セッティングから

今回の舞台は、大瀬崎。ここは、テクニカルダイビングに対応したダイビングサービスがあったり、横に広い沿岸線の複数箇所からセルフダイビングでビーチエントリーすることができるため、教育やトレーニングがしやすい環境が整っている場所と言われている。

当日朝、現地で合流した私たちは、大瀬崎のダイビングサービスのレクチャールームに向かい、自己紹介などをしつつ、まずは伊左治氏からテクニカルダイビングとは何か、使用器材の紹介、器材セッティング方法などのレクチャーを受ける。

今回のテクニカルダイビング体験会で使用した器材はレクリエーショナルダイビングとさほど変わらないが、何かトラブルが発生したときに、そのトラブルを解決するための器材の配置や取り付け方に工夫があるのが特徴といえる。

たとえば、2つあるうちの1つのレギュレータは、マウスピース(咥える部分)にゴムをネックレス状に取り付け、顎下にぶら下げるような形で配置する(テクニカルダイビングでは、ショートホースと言う。)。これは、レギュレーターを相手に渡したときに、もう一つのレギュレーターが必ず自分の口元にあるというメリットがある。
ネックレスを実際につくってみる。参加者はマウスピースを自分で取り外す方法に興味津々で撮影もしている

ネックレスを実際につくってみる。参加者はマウスピースを自分で取り外す方法に興味津々で撮影もしている

ネックレスを実際につくってみる。参加者はマウスピースを自分で取り外す方法に興味津々で撮影もしている

また、テクニカルダイビングでは、減圧停止を必要とする減圧ダイビングをすることもあり、その際には、メインで吸うシリンダーとは別に減圧用シリンダーを使用する。そこで必要になってくるのが、ガスの切り替えなのだが、今回はこれにも挑戦。減圧用シリンダーには、高濃度の酸素が充填されているため、決められた深度以浅で吸わないと酸素中毒の可能性がある。誤った深度で吸ってしまうことがないよう、シリンダーにガスを切り替えて良い深度が書かれたステッカーを貼ったり、ガスを安全に切り替える手順など、伊左治氏がわかりやすく教えてくれた。

ガスの切り替え方のレクチャーを受ける

ガスの切り替え方のレクチャーを受ける

セッティングした減圧用シリンダー。見慣れない器材を使用するのは、ワクワクする!

セッティングした減圧用シリンダー。見慣れない器材を使用するのは、ワクワクする!

水中でテクニカルダイビングを体験!

器材のセッティングが一通り済んだら、午後はいよいよ水中へ!ここでは、先ほど陸上でレクチャーを受けたガスの切り替えや、チームの仲間がエア切れをしたときのシミュレーション、そして極端に透視度が悪い洞窟を想定して目隠しを付けて目的地を目指す体験などをする。

まずは器材の装着。BCを背負うところまではいいのだが、普段のダイビングで使うレギュレーターよりも長いホースのもの(ロングホース)を使うので、そのホースは体の前を一周したあとに首の後ろを通って口元にくる。そして、ショートホースの方は脇の下を通してネックレスを首にかけて口元へ…。ややこしくなりながらも、見様見真似でやってみる。

器材の装着を完了するとこのような感じになる

器材の装着を完了するとこのような感じになる

長いホースのレギュレーターは首の後ろを通って口元にきて、短いホースのレギュレーターは顎下にぶら下がるような形。今回は背中には普段のダイビングと同じ空気が入ったシリンダーを背負っている。この装備に加えて、先ほどセッティングした減圧用シリンダーを装着するが、陸上で装着すると重いのでこのあと水中に入ってからBCの左脇にぶら下げる形で装着する)

では、ここから水中でのスキル体験の様子を見ていこう。

水中に入ったら、減圧用シリンダーを自分で左脇に取り付ける

水中に入ったら、減圧用シリンダーを自分で左脇に取り付ける

中性浮力でバランスをとりながら取り付けるのは難しい

中性浮力でバランスをとりながら取り付けるのは難しい

減圧用シリンダーを左脇に取り付け完了

減圧用シリンダーを左脇に取り付け完了

普段は1本だけ背負うシリンダーに加えて、今回はシリンダーがもう1本。それだけでもバランスや中性浮力が取りづらくなって、コツを掴むのが難しい。伊左治氏を先頭にしばらく、慣れるまで泳いでみる。

次にやったのは、エア切れのシミュレーション。エア切れのハンドシグナルはレクリエーショナルダイビングと変わらずだが、エア切れした相手にレギュレーターを差し出す手順、相手がレギュレーターを咥えたあとに、一緒に目的地を目指して泳ぐ方法などを体験した。

エア切れした相手にレギュレータを差し出す様子。実際にテクニカルダイビングで起こり得る状況を模擬したスキルを体験

エア切れした相手にレギュレータを差し出す様子。実際にテクニカルダイビングで起こり得る状況を模擬したスキルを体験

ガスの切り替えのスキルは、レクリエーショナルダイビングでもやったことのない初めての体験。器材のセッティング時に取り付けたステッカーを仲間に見せて、現在の深度で吸って問題ないガスなのかを確認したり、シリンダーに取り付けたレギュレータのホースを引き出したり、シリンダーのバルブを開けたりと手順が多くて、なかなか覚えるのに苦戦。そこで、伊左治氏は、手順を覚えるのではなく、“何のためにその行為をするのかを覚えるといい”とアドバイスをくれた。

ガスの切り替えをやってみる。初めてやるスキルで、最初はスムーズできなかったが、何回かやると徐々に慣れてきた様子

ガスの切り替えをやってみる。初めてやるスキルで、最初はスムーズできなかったが、何回かやると徐々に慣れてきた様子

水中スキルで最後に行ったのは、目隠しをした状態で張られたライン(ロープ)を頼りに仲間と一緒に目的地を目指すというもの。今回は2人1組で、まったく経験したことのない状況の中、手の感覚を頼りに進んでいく。このように視界がほぼゼロの状況になることも、洞窟でのダイビングでは稀にあるという。参加者2人とも落ち着いて、目的地に到達することができた。

ラインを進路に張って、慎重にそれを頼りに進む

ラインを進路に張って、慎重にそれを頼りに進む

充実感、達成感で満たされる大満足の1日が終了

テクニカルダイビングというと、どんなことをやるのか、いまいちピンと来ず、勝手に難しいイメージを持ちがち。しかし、体験会では伊左治氏が、テクニカルダイビングの要所をしぼってレクチャーしてくださったので、とてもわかりやすく、テクニカルダイビングにさらに興味を持つ良いきっかけになったのは間違いない。

水中でのスキルの実践は、中性浮力やバランスを取るのが難しく苦戦した様子もあったが、後半にはスムーズにできるようにもなって、水中から上がった参加者には達成感も見られた。

1日を終えて、参加者からは「テクニカルダイビングは確かに普段のダイビングよりも手順が多かったり、覚えることもたくさんあり、難しい部分もあったけれど、今日学んだ器材のセッティングや水中で冷静に行動するスキルは普段のダイビングにも確実に役立つと感じました。新しい経験ができて楽しかったです」とその満足感を伺える感想が。

伊左治氏からは「テクニカルダイビング初挑戦にしては、浮力やバランスのコントロールも取れていました。スキルの手順を誤っても、自分で気づいてやり直すこともできていたので、上出来ではないでしょうか。普段は、レクリエーショナルダイビングで各々がガイドについていくスタイルが一般的ですが、テクニカルダイビングではチームとして、お互いで計画を立てたり、バディ同士で残圧を確認しあったり連携をとりながら潜ります。これもまたテクニカルダイビングの楽しいところなので、今回の体験会をきっかけに一緒にテクニカルダイビングをやる仲間が増えると嬉しいですね」とお褒めの言葉をいただいた。

私自身、体験会を通じて、テクニカルダイビングの奥深さやレクリエーショナルダイビングとは違った魅力を多角的に感じることができた。技術的な面に関してもやりがいは大いにありそうだが、チームでの連携の大切さや楽しさにも興味が湧いてきた。

日本では、海外と比べるとまだテクニカルダイビング人口は少ないようだ。テクニカルダイビングに興味がある方は、まずは体験会などに参加してみるのも手かもしれない。今後の開催日時については、伊左治氏のSNSで随時発信予定!

水中探検家
伊左治 佳孝 Profile
1988年に生まれ、12歳からダイビングをスタート。
冒険をライフワークとして求める中でテクニカルダイビングに出会い、水中探検に情熱を燃やすことに。
それ以来、水深80mを越える大深度から前人未踏の水中洞窟まで、多岐に渡る探検を実践。
現在では水中の未踏エリアの探検とともに、その現場経験を伝えることのできる唯一無二のテクニカルダイビングインストラクターとして指導にもあたっている。
DIVE Explorers 公式HP

Sponsored by DIVE Explorers

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AOIの新製品情報 メタル製GoProケース他2点を水中写真家・清水淳が解説

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AOIの新製品情報を入手しました!
(発売時期、製品価格についての詳細情報は持ち合わせていません)

「こんな撮影機材やアクセサリーがあったら良いなぁ」という要望に応えてくれるのがAOI。どこかオシャレで、それでいて手が出ないほどハイレベルの価格帯ではなく、ちょっと背伸びすれば誰でも手に入れやすい身近な撮影アクセサリがAOIの魅力です。

今回はテストを担当している私自身が驚きを隠せないほどの撮影機材のオンパレード。この春に発売予定となっていますが、デビューが待ち遠しいAOI新製品を、一足先にご紹介していきます。

AOI新製品①
GoPro用メタルハウジング「AOI UH-GPx」

まずは、GoPro用のメタルハウジング「AOI UH-GPx」を紹介します。GoPro HERO12、11、10、9用のアルミハウジングで、耐圧水深は-60m。ワイドアングルレンズ「UWL-03」やクローズアップレンズ「UCL-03」をそのまま取り付け可能なポートマウントが標準装備され、背面には5インチHD16:9カラーモニターがビルトインされています。ハウジングには水深計、バキュームリークセンサーも標準装備。

各種センサーやビルトインモニターを作動させた状態で2時間30分の作動可能時間を確保するのに、大型の「リムーバルパワーバンク」を採用。取り外して充電が可能なバッテリーも標準装備されています。

AOI UH-GPx(試作機)

テスト用にシステムアップしたAOI UH-GPx(試作機)

ライトはRGBlueのSYSTEM01 SN&フロートジャケットにバンドアをセットしています。UH-GPxはコンパクトな設計のために、エアースペースがハウジング内になく、水中重量が意外に大きいです。その水中重量を相殺する目的で、XBフロートチューブ500gをAOIのカーボンアームAMC1-BB-8に左右それぞれセットして使っています。このシステムで、ややマイナス浮力の状態に仕上がっています。

水中バランスは抜群で、ワイド撮影にもマクロ撮影へもストレスなく対応が可能です。大きなビルトインモニターを見ながら、2時間30分のバッテリー交換なしで高画質な水中ムービー撮影を行えるカメラハウジングは、AOI UH-GPx以外に見当たらないでしょう。

それでは少し詳しく各部を紹介しますね。

AOI UH-GPx 各部の紹介

UH-GPxハウジングは大きく分けて3つのパーツで構成されます。前側ケース、カメラ取り付け部、コントロール基盤と液晶モニターが収納される後側ケース。バッテリーはリムーバルパワーバンク(22.5W, 10,000mAh)の大容量。USB3ケーブルで充電します。

ビルトインモニターのスペックは以下の通り。

サイズ

5インチ

解像度

Full HD (1920×1080 pixels)

アスペクト比

16:9

輝度

400 cd/m2

コントラスト比

1000:1

フォーカスピーキングアシスト(※)、デジタルズームアシスト機能が標準装備されているので小さな被写体のピント合わせにも大きく貢献してくれそうです。

※フォーカスピーキングアシスト:ピント合わせのアシスト機能の一つです。ピントが合っている画像の部分を強調表示させること。

水圧センサー&水深計が標準装備されている

ここがバキュームバルブ。このキャップを外してエアーポンプを接続させポンピングする

ワイドアングルレンズUWL-03が取り付けられた状態。UWL-03はこれまでも多くのGoProユーザーが使っているワイドレンズで、このUH-GPxにも使用が可能

クローズアップレンズUCL-03が取り付けられた状態

UCL-03は、この秋に新発売になったGoProでマクロ撮影を可能にするユニークなレンズで、このUH-GPxにも使用が可能。

本来アクションカムとしてハードな使い方が目的のGoProですが、このAOIの本格的なハウジングに収納すれば、超高画質のムービーカメラになります。優れたオートホワイトバランスを備え、水中での色彩を鮮やかに再現できるのもGoProの特徴です。

デジタル一眼と比べて大きな利点は、手ブレに強いところです。激しい動きのアクションカムですから、手ぶれ補正は一眼の比ではありません。ピント合わせが不要な点も大きなメリットを生む理由になります。完成品の到着が待ち遠しいですね。

世界中のGoPro水中撮影愛好家がこのハウジングの完成を待ち望んでいるようで、日本向けの台数は限定20台くらいになりそうな情報が入ってきています。従来のAOI製のハウジングは樹脂製で大量生産が可能でしたが、このUH-GPxはアルミ削り出し方式。大量生産ができないため、希少品になりそうです。

細かなスペックは下記の通りになります。

本体大きさ

192mm(W) x 114mm(H) x 106mm(D)

本体重量

陸上:1,877g. 水中:546g

最大耐圧

水深60mg

内蔵水深計

最大計測100m プリセット水深アラーム

浸水予防システム

バキュームセンサー+ウェットセンサー

レンズポートマウント

AOI QRS-02Mount

ポートガラスレンズ

Multi-layers AR and Hydrophobic Coating

発売時期

2024年春の予定(未定)

AOI新製品②
カーボンアーム「AMC1-BB-SLR 」

次はAOI製の「AMC1-BB-SLR カーボンアーム01」です(予約受付中)。AOIブランドのホワイトハウジングや水中ストロボとカラーコーディネートができる、カーボン製のホワイトアーム。アーム自体は、カーボンの素材感を活かしたデザイン。アクセントとしてメタルリングにはレーザー彫刻で、ブランド名が刻まれています。

AMC1-BB-SLR

内部は空洞構造・カーボン製なので、一般的なアームに比べて驚くほど軽量で、しかも強度に優れています。 スタンダードなボール径なので汎用性が高く、他ブランドのクランプやアダプターとの組み合わせも可能です。長さは、15cm、20cm、25cm、30cm、35cmの5種類。ご自身の撮影スタイルに合わせてお選びください。

一年間、清水がテストを重ねて使用した結果として、安心して皆さんに使っていただける強度と使い勝手の良さが自慢です。

AOIシステムが奏でる「ホワイト・コーデ」

ハウジング

AOI-UH-EM10lV-WHT OM SYSTEM E-M10 Mark IV

グリップ

AOI-HT-02D-220-SLR ダブルハンドグリップ/トレー

クランプ

AOI-CP-02-SLR クランプ

アーム

AOI-AMC1-BB-8-SLR カーボンアーム01-200M

ストロボ

UCS-Q1-RC-WHT ウルトラコンパクトストロボ RC

ランヤード

AOI-HLY-S01ハウジングランヤードS01

AOI新製品③
ドームポート

レンズポートも新しいラインナップが登場します。

8インチサイズドームポート「AOI DLP」

OM SYSTEM ZUIKO DIGITAL8mmFisheye,レンズ用に、新しくドームポートが発売されます(発売時期未定)。レンズは透明感が高く硬質なガラス製と、リーズナブルで軽量なアクリル製が選べます。ポートマウントはPENタイプとOM-Dタイプを準備しました。

従来の小型のドームポートより光学設計的に優れた大型ドームポートで、画像周辺部の歪みや流れがほぼない状態で撮影が可能です。半水面撮影にも有利な点もポイントです。

AOI DLP-12-PN

AOI DLP-12-PN

AOI DLP-12-OD

AOI DLP-12-OD

PENタイプポートマウント

PENタイプポートマウント

OM-Dタイプポートマウント

OM-Dタイプポートマウント

ラインナップ

8インチガラスドームポート:AOI DLP-11-OD , AOI DLP-11-PN
8インチアクリルドームポート:AOI DLP-12-OD, AOI DLP-12-PN

90mマクロプロレンズ用ポート
「AOI FLP-09」

コンパクト設計のED 90mm Macro PRO Lens用ポート「AOI FLP-09」も発売されます(発売時期未定)。従来の90mmマクロレンズポートは既存の中間ポートを利用するタイプでしたが、FLP-09はまったく新しい専用設計となっています。

OM-1+M.ZUIKO DIGITAL ED90mmMacro PRO,
AOI UH-OM1+AOI FLP-09

OM-1+M.ZUIKO DIGITAL ED90mmMacro PRO,
AOI UH-OM1+AOI FLP-09

しかも、ポリカーボネイト製でコンパクト設計なので、軽量で使い勝手が大幅に向上しています。レンズのスペックをフルに使用できるようにFnボタン、フォーカスエリア切り替え、マニュアルフォーカシングと欲しかった機能をすべて搭載。レンズ長ギリギリまで追い込んだ設計なので、スーパーマクロ選択時にもワーキングディスタンスに無理がなく、被写体を直前で捉えることができ、撮影の幅が広がります。

UH-OM1 OLYMPUS DIGITAL CAMERA

今回も盛りだくさんでしたね。
新しいアクセサリーが出るたびにテスト撮影をじっくりと行いますが、今回の新製品は驚きが今まで以上に大きく、新しい発見がありました。恒例のインスタライブでは実際の製品も見ていただきながら、書ききれない情報もご紹介していきます。
ぜひご参加ください。

インスタライブ

1月10日(水)20:00〜
ocean+α公式Instagram
↑フォローしておくと見逃しません↑

GoPro用マクロレンズ「AOI UCL-03」が登場 GoPro水中撮影は新たな領域へ!

清水氏の水中撮影教室でもっと学びたい方はこちら↓
▶マリーンプロダクト水中撮影教室

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【ランキング】2023年12月に人気だった海やダイビングのニュース・コラム・おもしろ記事

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こんにちは、オーシャナ編集部です。

年末年始は潜りに行きましたか? 今年も安全にたくさん潜れるといいですね。

さて、今日は2023年12月公開の人気記事ランキングをご紹介。
拡散&いいね、よろしくお願いします!!

海のニュース・記事・コンテンツ 人気ベスト10

第10位:Maresのレギュレータ、驚きのこだわり3選!独特な形状のイチオシ製品の紹介も【連載vol.04】

世界的な人気を誇るイタリア生まれのダイビング器材ブランド「Mares(マレス)」が、レギュレータを開発する上でここだけは譲れない!というこだわりの特徴3選が10位にランクイン。

第9位:伊豆ダイビングの新たな楽しみ!? 伊豆急行線全駅が海の生き物が描かれた「フォトジェニック駅」に!

9位にランクインしたのは伊豆急行線のフォトスポットニュース。各駅に設置された海の生き物のイラストとテーマカラーをチェック!

第8位:中村征夫賞 犬飼啓介氏「言葉で語らずとも伝わることが写真の魅力であり、人の心を動かせる最高の手段」

昨年第一回目となった日本水中フォトコンテスト受賞者インタビュー連載より、犬飼氏へのインタビューがランクイン。犬飼氏の想いや大切にしていることとは?

第7位:グランプリ 吾川真之氏「サメに魅せられ、水中写真にのめり込んだ」

8位に引き続き同連載からグランプリの吾川氏へのインタビューがランクイン。注目した人も多いのでは。

ダイバーと泳ぐマンタ

第6位:東京農大ダイビングクラブの小笠原合宿・前編 〜予約方法、24時間の船旅からダイビングスタイルまでまるっとお見せします〜

東京農業大学ダイビングクラブの合宿の様子から、第47代幹事のみさっちゃんが小笠原ダイビングをレポートした本記事がランクイン!

父島・宮之浜

第5位:準グランプリ 高谷英雄氏「海の感動を、作品を通して人に伝えたい」

またまた日本水中フォトコンテスト受賞者インタビューからランクイン。大好きな写真家が審査員のフォトコンだから応募したという準グランプリ受賞者の高谷氏の水中写真にかける思いとは。

タコクラゲの楽園~陸と海~

第4位:農大ダイビングクラブの小笠原合宿中編 ~小笠原は春に行くべき?大物との遭遇、おがさわら丸感動の見送り~

第4位はみさっちゃんの小笠原レポートの続編。引き続き海の見どころと島の様子をお届け。

第3位:絶海の孤島、沖縄・南大東島の水中鍾乳洞探検に密着【後編】

人類未踏の水中洞窟を探検する水中探検家・伊左治(いさじ)佳孝(よしたか)氏へのインタビューが3位にランクイン。探検をなぜするのか?そのおもしろさとは?

第2位:絶海の孤島、沖縄・南大東島の水中鍾乳洞探検に密着【前編】

第2位は第3位の前編。南大東島の美東洞窟を実際にどのように開拓しているのか、密着取材レポート。

第1位:【ウミウシ特集 Vol.1】 ウミウシ50選! ダイバーが会える「海の宝石」主なグループの人気種を徹底紹介

第1位に輝いたのはウミウシ特集。ウミウシシーズンのいま、人気種をチェックして探しに行こう。

ウミウシ

みなさん、いつも読んでいただきありがとうございます。
来月も海やダイビングの情報、楽しみに待っていてくださいね。

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農大ダイビングクラブの小笠原合宿【最終編】 ~ドルフィンスイム、沈船スイム、島民との交流など楽しみ盛りだくさん~

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こんにちは!東京農業大学ダイビングクラブ幹事の大西美沙希ことみさっちゃんです!小笠原合宿連載もいよいよ大詰めで、今回が最終編となります!今回は、おがさわら丸が出航している期間の小笠原での過ごし方やダイビング以外でも雄大な自然や景色を感じられる小笠原の楽しみ方をご紹介。南島ツアーの参加やレンタサイクルでの島めぐり、沈船スイムをしてきました!

農大ダイビングクラブについて

どこでポーズしても絵になる小笠原のビーチ・大村海岸

どこでポーズしても絵になる小笠原のビーチ・大村海岸

まるで別世界、南島ツアーで見たものとは!

おがさわら丸が小笠原から竹芝に向かっている出航期間中は、2航海以上で来ている人か島民しかいないので、観光客が少ないのです。そのため私たちはこの期間に、スキューバダイビング以外の小笠原観光をすることに。
まずは「南島上陸ツアー」へ!南島とは、小笠原父島の南西に位置する無人島で手つかずの自然が美しい秘境です。沈水カルスト地形(※)として国の天然記念物にも指定され、南島上陸には公認ガイドの同行が必要になります。

2航海とは

おがさわら丸は1度小笠原につくと3日間停泊してから竹芝に戻ります。これを1航海と呼び、次の便で帰ることを2航海と呼びます。食料や生活必需品は6日に1度のおがさわら丸のみに乗せて運ばれてくるので、島民たちは航海のサイクルを中心に生活しています。今回は、2023年3月14日から3月26日の2航海滞在しました!
2023年3月おがさわら丸時刻表

2023年3月おがさわら丸時刻表


▶おがさわら丸の2024年時刻表

※沈水カルスト地形:第三紀(約5,000万年前から2,000万年前)、海面が低下した時期に石灰質の土地が雨などで浸食されてできたカルスト地形が、その後地殻変動で再度沈んでできた独特の地形のこと。船の上や衛星写真からでも水中の隆起した石灰岩が見られます。

南島の位置▼

今回のツアーは、父島の西部に位置し本土と小笠原諸島を結ぶ二見港からも歩いてすぐの竹ネイチャーアカデミーで予約をしました。竹ネイチャーアカデミーの南島上陸ツアーはホエールウォッチングドルフィンスイムも込みのツアーを行っています。
ウエットスーツを腰まで穿き、フィン・マスク・ブーツ・ウエイトを持って、まずは小型船に乗船します。乗船するとすぐに、たくさんのザトウクジラの姿が!ダイビングの合間に船上から見るよりもじっくりと、近くでクジラが見られるのでとてもおすすめです。ザトウクジラの尾びれの白い模様はよく見ると個体差があり、個体を識別できるとガイドさんが教えてくださいました。

ザトウクジラ尾びれ 

ザトウクジラ尾びれ 

ザトウクジラのブロー

ザトウクジラのブロー

ザトウクジラの次はドルフィンスイムです。狙いのミナミハンドウイルカを懸命に探すもなかなか見つからず、その間にハシナガイルカの群れがたくさん近寄ってくれました。船の前でハシナガイルカが泳いでいるので、船首でうつ伏せになると、触れるほど近く、目も合うほど!群れの中の小さい赤ちゃんが、ジャンプの練習をしている様子も見ることができ、大興奮でした。

ボートからみられるハシナガイルカ

ボートからみられるハシナガイルカ

ボートから身を乗り出す部員たち

ボートから身を乗り出す部員たち

根気よく探し続けた甲斐があり、念願のミナミハンドウイルカが現れ、ガイドさんの指示で海に入ると…

ミナミハンドウイルカの大群

ミナミハンドウイルカの大群

なんと、勢いよく大群が押し寄せてきました!去り際にはゆっくりと泳ぐ親イルカと子イルカ姿もの。成熟すると腹部の斑点が表れるミナミハンドウイルカですが、この子イルカはまだ斑点がないので幼い個体でしょう。ドルフィンスイム直前、近くにいた別の船の船長が「マンタがいた!」と言っていたので、イルカを目の前にしながらもマンタが気になっていたことをイルカたちには黙っておいてください…。

親イルカと子イルカ

親イルカと子イルカ

私たちは毎年夏に、伊豆諸島のひとつである御蔵島でドルフィンスイムをしますが、御蔵島のイルカより人間に慣れており近寄ってくれる印象でした。オス同士の擬交尾(※)も目の前で初めて見られました。

※擬交尾:交尾の練習

ホエールウォッチング、ドルフィンスイムですでに大満足の私たちですが、ここからがメインイベントとも言えるお待ちかねの南島への上陸です。南島に近づくにつれて、石灰岩があちこちで隆起しているため、湾の中に入るだけでも一苦労。上陸するためには、ボート幅ぎりぎりの岩と岩の間を通過しなければならず、通過中に波の影響で流されると岩に衝突してしまいます。このときは波が高かったので、波が少し落ち着くまで少々待機し、落ち着いた瞬間を見計らって勢いよく通過!スリル満点の体験でした!

岩と岩の間を通過する緊張の瞬間

岩と岩の間を通過する緊張の瞬間

一度湾に入ってしまえば、穏やかなエメラルドグリーンの海が広がります。カメラで見るより実際に行った方が何倍もきれいで感動するのでぜひ訪れてほしいです。そしてこんな日本とは思えない贅沢な景色の中で、ランチ休憩。持参のおにぎりを頬張りました。

ランチ休憩より先に潜り始めた部員

ランチ休憩より先に潜り始めた部員

ここは、浅い砂地に大量のネムリブカが海底にいるので鮫池と呼ばれています。ここで休憩を挟むとついに上陸です。

注意

両手を使って登っていく道があるので、手や足腰に自信のない方は登るのが難しいので注意が必要です。

南島では自然保護のため決められたルートを歩かないといけないので、このように1列になって歩いていきます。見たこともない固有の草や花などをガイドさんが紹介してくれながら進みます。

頂上まで登ると、南島の代名詞でもある扇池が上から一望できます。ここでもガイドさんが記念写真を撮ってくれたり、南島形成の歴史を説明してくれたりします。

エメラルドグリーンの扇池

エメラルドグリーンの扇池

位置的には扇池の左側に、上陸した鮫池があり、右側に陰陽池があります。陰陽池は台風の高波で海水が溜まり、雨の影響で淡水が溜まる珍しい汽水湖だそうです。

頂上の反対側は父島が一望でき、壁には赤土が流出して赤くなったハート型の岩石「ハートロック」が見られます。は。それにちなんでいるのか、父島ではハートロックのデザインのお土産があったり、父島にはハートロックカフェというサメバーガーが食べられる人気のスポットがあったりします!

観光名所のハートロック

観光名所のハートロック

頂上から降りて扇池に行くと、そこの砂浜は真っ白でサラサラ。思わずつかんだり素足で歩いたりしてしまうほど。ここでは1000年以上前に絶滅したカタツムリの半化石がたくさん落ちています。よく見ると何種類ものカタツムリが。

カタツムリの半化石はマットな感じでで触り心地良し

カタツムリの半化石はマットな感じでで触り心地良し

南島上陸時の自然保護における注意点

・11月~2月までの約3ヶ月間は植生回復の入島禁止期間(年末年始は除く)
・上陸は東京都自然ガイドが同伴
・ガイド1名につきお客様が15名まで
・1回の上陸で利用時間は最大2時間まで
・決められたルートを歩きましょう
・島の物はすべて持ち出しが禁止
・外部からの植物の種や寄生虫等を持ち込まないために、上陸前には靴の裏を洗う

独自の生態系が保護されており自然の美しさを保っている南島。小笠原に来たら絶対に訪れてほしいポイントです。ホエールウォッチングドルフィンスイムできて大満足のツアーでした。ぜひ南島ツアー楽しんでみませんか!

自転車観光で沈船へ!?

次に、小笠原観光でおすすめしたいのが、電動自転車での観光。ここでの一番の目的は、境浦の沈船です。
自転車を漕いでいると、驚くほどきれいな海に思わず漕ぐ足が止まってしまいます。

二見港の対岸

二見港の対岸

もちろんサイクリングだけでも楽しめるのですが、私たちはどうしても海に入りたい!ということで、水着を服の下に着て、フィン・マスク・ブーツもしっかり持参。途中、小笠原水産センターの小さな水族館に寄り道して、それからひと山超えると境浦海岸に到着です!

境浦海岸の湾の真ん中には濱江丸が沈む

境浦海岸の湾の真ん中には濱江丸が沈む

まるで海外のような南国のビーチに私たちしかおらず、プライベートビーチ状態でした。3月なので水温はだいぶ低く、沈船まで割と距離がありましたが、農大ダイビングクラブで鍛えられた根性で水着のまま泳いでいきます。

根性が鍛え上げられる農大ダイビングクラブの実態はこちら

すると太平洋戦争中に座礁した輸送船「濱江丸」が見えてきます。真っ青な海に錆びた沈船が重々しく沈んでいました。

何やら船の部品も沈んでいます。

先が鋭い部分や表面がゴツゴツしていて、水着で潜ると切ったりすりむいてしまう可能性があり危ないのでウエットスーツを着ていくことをおすすめします。

このようにサンゴや海藻が生えており、魚たちの住処にもなっていました。
寒さに耐えられる限界まで、沈船をすみずみまで探検しました!上がって日向ぼっこしたり、木でできたブランコで遊んだりして境浦海岸を堪能しました。

そのあとは、さらに山を越えて別のビーチへ行ったり、カフェを見つけて入ったりと行き当たりばったりに楽しみました!

ゲストハウスでの島民との交流

最後にご紹介するのが、私たちが旅の後半に宿泊したゲストハウスについて。小笠原ユースホステルではお客さんがおがさわら丸で来る一航海ごとに毎回島民を呼んで歓迎会を行っています。そこでは自己紹介したり、東京から移住してきた人や父島で生まれ育った人など様々な人と交流させていただきました。

ゲストハウスのオーナーさんが、小笠原諸島について教えてくださりました

ゲストハウスのオーナーさんが、小笠原諸島について教えてくださりました

島から帰る出航日の前日にはお見送り会を開いてくださり、おいしいご飯とゲストハウスの人は出し物や歌のサプライズなどを用意してくださいました。

小笠原ユースホテルの女将さんの生歌(CDを出されており、売上の一部は小笠原村の社会福祉に寄付されます)

小笠原ユースホテルの女将さんの生歌(CDを出されており、売上の一部は小笠原村の社会福祉に寄付されます)

そこで私たちも農大名物大根踊りを即興で踊り、感謝を伝えました。滞在中は一人で小笠原ユースホステルに宿泊している人も何人かいましたが、島民やゲスト交流で色々な人と仲良くなり一人で来ても楽しめるホステルになっていました!

前・中・後編とお届けしてきた農大ダイビングクラブの小笠原合宿は、いかがだったでしょうか。父島滞在中は別の団体と仲良くなったり、よくすれ違うおじさんとおしゃべりする仲になったり、島民の子供たちと遊んだりと、東京や他の島では味わえないこのフレンドリーさは、小笠原の大きな魅力だとも感じました。また、リピーターが多く、1度来たら虜になる島ということもこの合宿を通じてよくわかりました。

小笠原は自然豊かでどこへ行ってもきれいな景色を楽しめ、島民もとても親切なので行ったら帰りたくなくなる、帰ってからもまた行きたくなるような最高の島です。人生が変わると言っても過言ではありません。ぜひ一度小笠原諸島を訪れてみませんか?

東京農業大学ダイビングクラブ
セルフダイビングを中心に毎週の練習と長期合宿を行い、日本の海を本格的に楽しむサークル。

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ノンダイバーを紹介して特典GET!ダイビングライセンス取得応援キャンペーン3月末まで実施中

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DIVENAVIダイビングライセンスをこれから取る人に向け、ダイビングライセンス取得応援キャンペーンを実施中! さらにこのキャンペーンをノンダイバーに紹介してくれたダイバーにもお得な特典があるキャンペーンも行っています。

すでにライセンス取得済みの方で、「あの人ダイビングに興味あるって言ってたな…」、「仲良い友達が一緒にやってみたいって言ってたな…」「この友達がダイバーになってくれたら一緒にダイビングできて楽しいな…」と誰かの顔が浮かんだら、先着30名様限定の紹介キャンペーンを要チェック。

紹介したあなたには下記のどちらか選べる特典が。

紹介されたお友達には講習ツアー金額に応じて割引特典が。

  • 15万円以下 5,000円引き
  • 15万円以上 10,000円引き

今すぐ紹介キャンペーン内容を見る

でも、そもそもDIVENAVIのライセンス講習ってどんなものか知りたいですよね。この記事では、DIVENAVIの特徴や3月末までの出発対象のライセンス取得キャンペーン、紹介キャンペーンを詳しくご紹介していきます。

ダイビングライセンス取得までの3ステップ

ダイビングライセンス取得のプロセスは、以下の3つのステップに分かれています。

  • ①学科講習:ダイビングの基本理論、器材の知識、水中での安全対策などを学びます。Eラーニングもしくはテキストを使用した自己学習とオンラインまたは対面での講習があります。
  • ②プール(限定水域)講習:ダイビング器材の実際の使い方や水中での基本スキルをプールで実践的に学びます。
  • ③海洋実習:実際の海洋環境でのダイビングを行い、学んだスキルを実践します。

フィリピンの人気エリア・セブにあるエメラルドグリーンマクタン店

3つのプロセスを通し、必要な知識とスキルを習得されたと認められれば、ライセンス(=Cカード)が発行されます。

DIVENAVIの特徴

DIVENAVI は1987年創業以来、海外ダイビングツアー日本一の実績を積み重ねている旅行会社です。さらに、DIVENAVI は直営のダイビングショップとして「DIVENAVI SCUBA ACADEMY」店舗を池袋に構えていて、ダイビングインストラクターの石田知佳さん(以下、CHIKAさん)が常駐しています。DIVENAVI のライセンス講習はこれらの強みを活かしたサービスが特徴です。

選べる行き先

提携している国内外各地のダイビングショップへ案内ができます。旅行会社なので、ダイビング講習だけでなく宿泊や航空券もまとめて手配が可能です。

出発前のダイビングに関する不安解消

旅行先はもちろん、ダイビングに関する不安や疑問を、海外のダイビングショップに直接コンタクトを取らなくても、CHIKAさんに相談できます。池袋に直接足を運んで対面で相談できるので、安心感が違います。

対面学科講習やオンライン学科講習の補講の実施

旅行先でのライセンス取得の場合、学科講習は事前にオンラインで受けるか、対面の場合は旅行期間中のみとなります。それだけだと不安だったり、物足りなかったりする場合は、池袋の店舗にて対面で学科講習を受けたり、オンラインの補講も対面で受けられます。

ライセンス取得後、スキルに不安がある方への補講

旅行先でライセンスを取得した方に多い悩みの一つが、スキルに対する不安。次にダイビング旅行に行く前に、スキルをもう少し練習したい! という方は池袋を拠点に、都内プールや都内から行きやすいエリアにて補講を受けることができます。

日本でも海外でも1年中ダイビングを楽しみたい方へのプログラム紹介

旅行先でライセンスを取得した後、次にどこでダイビングをしたらいいのか、どうやってしたらいいのか、実は多くのダイバーが悩んでいます。DIVENAVI では国内外問わず、ダイビングツアーを紹介できるので、あなたの思い描くダイビングライフに合わせた提案をしてくれます。

引率付きダイビングツアーの開催

旅行前の相談や補講、スキルアップコースなどを開催してくれるインストラクターのCHIKAさんが、ダイビング旅行先に引率してくれるツアーも開催。いつも一緒に潜るインストラクターが旅行先についてきてくれるのは安心ですよね。

次回の旅行相談

ダイビングを始めたばかりだと、そもそもどこにどんなダイビングポイントがあるのかなかなかわかりません。DIVENAVI では国内外各地のダイビングショップから得た情報をもとに、レベルや見たい生き物、場所、予算など好みに合わせた提案が可能です。

間が空いてしまった方へのおさらいダイビング

ライセンスを取得してから次のダイビング旅行に行くまでに間が空いてしまった場合、おさらいをする場所に悩むこともあります。そんな時におさらいダイビングがしやすいのもDIVENAVI の特徴。池袋から日帰りで行けるプールや海でおさらいできます。

スキルアップコースの開催

旅行先から帰ってきて、さらに上のコースを目指したい! でもなかなかすぐには旅行には行けない…という方に合わせて、都内近郊でスキルアップコースが開催されているのも嬉しいところ。

器材選びのご相談

自分のダイビング器材が欲しいという方からの相談も受けられるのがDIVENAVI の特徴。ダイビングスタイルやポイント、好みに合わせて器材の提案をしてくれます。

ダイバー仲間を増やせるイベントの開催

ダイバー同士の交流イベントをDIVENAVI では企画中。一緒にダイビングに行く友達を見つけたり、ダイバー同士の情報交換ができたりすること間違いなし。

店舗はペットショップ「かわいいいきものたち」内に

都内最大級の売場面積を誇るSTW直営のペットショップ「かわいいいきものたち」内の3階にあります。お店に行くだけでもいろんな生き物に出会えて楽しい気持ちになれるかも!?

犬や猫、魚だけでなく蛇やトカゲなど珍しい爬虫類、両生類など幅広い動物たちが1~2階に並ぶ

これからライセンスを取得される方への、旅先やダイビングへの不安、講習中の学科やスキルに対するフォローアップが手厚くできるのは、旅行会社だけど直営ダイビングショップにインストラクターがいるDIVENAVIならでは! ライセンス取得後も、ダイバーに寄り添った旅行先の相談やツアーへの同行などもお願いできちゃいます。

DIVENAVI SCUBA ACADEMYインストラクター
CHIKAさんよりメッセージ

みなさまこんにちは。インストラクターの石田知佳と申します。ダイビングを始めたら人生が変わると良く言いますが、私もその内の一人です。

海外旅行先でライセンスを取得し、未知の世界があまりにも楽しすぎてその勢いで器材を揃えてしまったほど。なのに、一人で潜りに行く勇気がなくてそのまま遠ざかってしまった。これが私のダイビング人生最大の挫折です。

「気軽に何でも相談できるアドバイザーがいたらいいのに」と、当時抱いたことをDIVENAVIで実現させることができました。ライセンスを取得した後こそ、是非CHIKAにご相談ください。
趣味の一環から本格的にダイビングされたい方までみなさんそれぞれが求めるサポートをさせていただきます。

是非、この機会にダイビングを始めてみませんか?

ライセンス取得応援キャンペーン

現在DIVENAVI では、2024年3月末までの出発の方を対象にライセンス取得応援キャンペーンを開催中。旅行先によって2つのパターンに内容が分かれています。

ライセンス取得応援キャンペーン①
事前対面学科講習無料

ダイビングライセンス取得までの3ステップ(学科講習、プール講習、海洋実習)のうち、対面での学科講習が無料になります。

  • 対面講習の場所:DIVENAVI SCUBA ACADEMY(池袋)
  • 開催日:毎週水曜日と日曜日(※その他曜日応相談)

※テキスト代別

対象旅行先

ハワイ(GREEN DOLPHIN)

サイパン(AQUACONNECTIONS)

ライセンス取得応援キャンペーン②
キャンペーン価格適用

学科講習に使用する教材をテキストではなくeラーニングを選んでくれた方を対象に、通常よりもお得なキャンペーン価格でツアーを提供しています。割引額は行き先や日数によって異なりますが、たとえばセブなら約5万円お得になります。さらに、CHIKAさんによるサポートとして、eラーニングでわからなかった部分の解説などもついてきます。

対象旅行先

セブ(エメラルドグリーン)

沖縄本島(D’s-PULSE)

ライセンス取得者向け
ノンダイバー紹介キャンペーン

この記事を読んでくれたダイバーにも特典をプレゼント。ノンダイバーを紹介してくれると以下の特典をそれぞれ受け取ることができます。

紹介したダイバー:下記どちらかの特典
  • Amazonギフト券1000円
  • エス・ティー・ワールド商品5,000円割引券
    ※有効期限:2024年12月末までの出発
紹介されたノンダイバー:講習ツアー金額に応じた割引特典
  • 15万円以下3000円引き
  • 15万円以上5000円引き
  • ※有効期限:2024年3月末までの出発

条件
  • お問い合わせ時に「ocean+α(オーシャナ)を見た」とお伝えください
  • 先着30名

▶DIVENAVIライセンス取得応援キャンペーンの詳細・問い合わせフォームはこちら

■Sponsored by エス・ティー・ワールド

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障がいの有無は関係ない!広島の江田島でユニバーサルなマリンレジャーイベント開催

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オーシャナのCEO・河本雄太が理事を務め、鹿児島県大島郡瀬戸内町にある障がい者と健常者が共に安心・安全に楽しめるマリンスポーツ総合施設「ゼログラヴィティ」を運営する一般社団法人・ゼログラヴィティ(以下、ゼログラヴィティ)が、全国のマリンアクティビティ施設へとユニバーサルデザイン導入支援プロジェクトを2022年7月から全国各地で実施中。

今回の舞台は、広島湾にある江田島(広島県江田島市)。豊かな自然や透明度の高い海が魅力の江田島では、マリンアクティビティも盛んに行われている。ここでは2022年からユニバーサルデザイン導入支援プロジェクトに取り組んでおり、昨夏、地域に密着したクローズドなマリンレジャーの実践研修として、実際に障がいのある方を招待し、サップやカヤックの体験イベントを開催した。本プロジェクトでのトレーニング担当であるユニバーサルコーディネーターの上岡央子氏の話も交えながらイベントの様子を紹介していきたい。

夏には多くの海水浴客が訪れる江田島の入鹿海水浴場でイベントは行われた

夏には多くの海水浴客が訪れる江田島の入鹿海水浴場でイベントは行われた

ゼログラヴィティが導入しようとする“ユニバーサルデザイン”とは

障がいの有無、国籍、年齢にかかわらず、誰にとっても海での遊びや学びが日常となるデザイン(設計)のこと。ゼログラヴィティでは、SDGs達成の原則にもある「誰一人取り残さない(leave no one behind)」という世界を実現するため、このユニバーサルデザインに則って障がい者向けのプログラムを作成したり、マリンアクティビティスタッフへの研修、設備導入などを実施している。

ゼログラヴィティが、ユニバーサルデザイン導入支援プロジェクトを本格的にスタートするきっかけとなったのは、初年度に行った障がい者に対する意識調査。そこで明らかになったのは、障がい者の70%以上が「障がい者はマリンアクティビティに参加できない」と思っていること。一方で半数以上がマリンアクティビティに興味を持っていること。実際にマリンアクティビティを体験された障がい者の方の90%以上が「世界が変わった」、「何事にも挑戦する意欲がわいた」と感じていることである。この結果を踏まえ、誰もがマリンアクティビティを楽しめる環境づくりをする強い必要性を再認識。

マリンレジャー体験イベントの様子

江田島でのユニバーサルデザイン導入支援プロジェクトでの取り組みは昨年からスタートし、江田島やその周辺地域(広島県、島根県、鳥取県、岡山県など)のアクティビティ提供者などに向けた座学研修会を実施した。このとき障がい者の受け入れについて多くの参加者から、「実際に障がい者からアクティビティ参加の問い合わせがあり、対応に困惑したが、積極的に受け入れて対応している。しかし障がい者に対する知識を持っていたら、もっと楽しんでもらえる提案ができたのに…」という声があったと。

上岡氏もこの座学研修会を通じて、10年前よりも障がい者の社会参加が増え、障がい者を受け入れる側も知識や経験の必要性が高まっていることを感じたという。

そこで今年度は、マリンレジャーのユニバーサル化を定着させるために地元が主体となった実践研修として、クローズドな体験イベントを実際に行うこととなった。ここでのゼログラヴィティの支援内容は、今後地元で運用することを踏まえてイベント実施の手順や方法のレクチャー。

イベント当日までにアクティビティを提供するマリンレジャー事業者が地元の障がい者福祉事業所などを伺い、参加を募った。その結果、当日は体験者として障がい者4名とスタッフ2名が集まった。

まずは、体験者にライフジャケットの着用方法と安全性を説明しつつ、不安を取り除くことからスタート。

ライフジャケットを初めて身につける体験者もいた

ライフジャケットを初めて身につける体験者もいた

地元のマリンレジャースタッフが体験者にパドルの使い方を説明

地元のマリンレジャースタッフが体験者にパドルの使い方を説明

ここでは、マリンレジャースタッフの経験値を増やし自信をもっていただくために、昨年の座学研修会で伝えたことを踏まえて普段から提供している形でマリンレジャー体験を始めてもらう。

まずはメガサップにみんなで一緒に乗って水遊びに慣れる

まずはメガサップにみんなで一緒に乗って水遊びに慣れる

体験者の多くは、最初は恐る恐るスタッフと一緒に乗る様子だったが、時間が経つにつれて積極的に一人で乗りたいと手を挙げる方が続出。障がい者施設職員も、普段の施設内では見せない行動力や積極性に驚きを隠せない様子だった。「想像以上にいろいろなことができるんですね、一人ひとりにこのような能力があることは知らなかった」と口にした。

一番近くで本イベントに携わった上岡氏も「障がい者施設職員にも障がい者一人ひとりの可能性を知ってもらうことで、普段の施設内の支援も変わってきます。『もしかしたらできないかも』と思って接していたものが『もしかしたらできるかも』、という感覚に変わり、そして、できるように支援する形に変わっていく。それこそが本来の自立支援の形だと思っています。新しいチャレンジをすることで、お互いに新しい世界を見ることができるのです」と話す。

一人でクリアカヤックに挑戦する体験者

一人でクリアカヤックに挑戦する体験者

障がい者も心も体も解放される自然の中で遊ぶことによって、自分でも気が付かない能力に気づくことができる。そして、それをきっかけに「やってみよう!」という気持ちが大きくなり、挑戦の可能性を広げることができるのだ。そこには、障害の有無は関係ないのだ。

今後の取り組み

無事成功し、参加者の笑顔で幕を閉じたマリンレジャー体験イベントを振り返って上岡氏はこう語る。「マリンレジャー体験イベント1回の単発的な実施だけではなく、この地域でどのようにユニバーサル化を根付かせていくかが今後の課題であり、そのためには地域性を考慮して行政機関と共に取り組んでいく必要があります。ユニバーサル化は、観光業における課題でもあり、地域住民の住みやすさの課題としても捉えられるものとなります」。

行政機関へ本プロジェクトやユニバーサル化の本質を理解していただけるようアプローチすることが重要であり、さらにそこから地域の住民や団体が主体的・積極的に発信されるようになることが、地域のユニバーサル化推進への近道になるのだ。

「今後もユニバーサルコーディネーターとして、安心して安全にアクティビティが提供できるようスタッフ指導や環境整備などにアドバイスすることで、参加者と事業者の双方に人生の価値をさらに高めていただけるようお手伝いさせていただきます」と上岡氏は意気込みを語ってくれた。

上岡央子氏プロフィール
上岡氏は、2010年からユニバーサルコーディネーターとして活動。店舗のユニバーサル設計や福祉住環境デザインなど、バリアフリーの観点から発展したユニバーサル化を提唱。ハード面だけでなくソフト面のバリアフリー化も重要と考え、人材育成として研修会なども実施している。ハード面の整備ではなくソフト面がポイントとなってくる自然相手の本プロジェクトの主旨に共感しプロジェクトに参加している。
本プロジェクトは日本財団の補助事業により実現
本プログラムは、日本財団の補助事業により実現。「バリアフリーマリンレジャー事業」は、 日本財団が推進する「海と日本PROJECT」の取組の一環として行っており、ユニバーサルデザインの導入のための補助として、一施設の工事の実施および機材などが寄贈された。
ゼログラヴィティ

障がい者と健常者が共に安心・安全に楽しめるマリンスポーツ総合施設として、2016年、奄美大島瀬戸内町清水に 「ゼログラヴィティ清水ヴィラ」が設立。宿泊施設をはじめ、自社船、プールなど全てがバリアフリー設計となっており、スノーケリング、スキューバダイビング、カヤック、クルージング、ホエールウォッチングなど、奄美の海で の豊富なマリンアクティビティを誰もが安心して楽しめる設備とサービスが整っている。「旅と海遊びで夢と希望を作り出す」をコンセプトに、日本のダイビング業界におけるユニバーサルデザインの普及を推進しています。
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関戸紀倫賞 朝比奈燦氏「表現したい想いを表現できることが大切」

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2023年にスタートした「日本水中写真コンテスト」。昨年の上位入賞者の皆さんにフォトコンへの思いや写真上達のコツなどをインタビューさせていただいている本連載。この記事を参考に、ぜひ多くの方にフォトコンに興味を持っていただきたいと思う。受賞者インタビュー第四弾は、関戸紀倫賞に輝いた朝比奈燦氏が登場!

関戸紀倫賞「なんと表現するんだっけ。あどけない、この喜びを。」 撮影/朝比奈燦

「撮影した当時の状況や表現の意図を、審査員の先生方に汲み取っていただけた」

オーシャナ編集部(以下――)

2023年に行われた第1回「日本水中フォトコンテスト(以下、JUPC)」で見事、関戸紀倫賞を受賞されました。受賞の一報を受けたとき、どのように感じられましたか?

朝比奈燦氏(以下、朝比奈氏)

素直に嬉しかったです。審査員の先生たちに自分の想いが伝わっただけで満足でした。

――受賞作品は、黒く引き締まった画面の中に、マンタとロウニンアジが浮き上がるように写されたインパクトのある作品ですよね。

朝比奈氏

このマンタは急にUターンしてきて、私の目の前で宙返りをしたんです。この瞬間を収めないと、一生後悔するかもしれない…。そのとき、ロウニンアジも完璧なポジションで重なって回ってきました。マンタのきれいなお腹の部分も、黒ずんだロウニンアジもばっちり撮れて嬉しかったです。

――この作品への審査員からの講評を聞かれて、いかがでしたか?

朝比奈氏

何も言わずとも、その写真を撮った当時の状況や表現の意図などを汲み取ってくださり、やはり流石だなと思いました。

――ところで朝比奈さんは、普段からフォトコンテストにはよく作品を出されているのですか? また第1回のJUPCに応募しようと思ったきっかけはどんなことですか?

朝比奈氏

写真歴が浅いので、答えるのも難しいのですが…、しいて言えば比較的大きなフォトコンテストのみに作品を出しています。以前、キヤノンのフォトコンテストに応募しましたが、残念ながら落選してしまいました。私が撮った写真では想いや物語が伝わらなかったのかなと、かなり落ち込んでしまいました。その中で、JUPCという大規模な水中フォトコンテストが開催されることを知り、もう一度チャレンジしようと思ったんです。

――JUPCでは見事入賞されましたが、「フォトコン入賞の秘訣」と思われることは何かありますか?

朝比奈氏

私が偉そうに言えることでもないのですが…、今回受賞して感じたことは、自分自身の個性、つまり味が出ていることが何より大事かと思いました。他の作品とのギャップですかね。それは良い写真、だれが見てもきれいな写真といった意味ではなく、そのままのギャップです。

特に私はそもそも水中写真歴が浅すぎて勝手にいろいろと撮っていたので、良くも悪くも味が出ていたかも知れません。ただ、その自己流もしっかりとした基礎の上で成り立つものだと思っています。

清水淳氏の写真展に行き、フルサイズのカメラを使わなくてもいいんだと確信した

――朝比奈さんが水中写真を始められたきっかけを教えていただけますか?

朝比奈氏

そもそもダイビング歴も1年半くらいと浅いので、ダイバーになったところからお話ししますね。当時は釣り人だった私が長年付き合った彼女と別れ、何もかもリセットしたいなあと傷心旅行で小笠原を訪ねました。そこで、ダイバーの女性と出会いました。そして、彼女が私にGoProで撮った動画を見せてくれました。生まれて初めて目にした、その美しい海のリアルな光景に深く感動して、小笠原から戻るや否やダイビングのライセンスを取得したのです。ちなみにそのダイバーになるきっかけを与えてくれた方は、JUPCの授賞式に一緒に来てくださいました。

――それは運命的な出会いでしたね。その後、水中写真はすぐに始められたんですか?

朝比奈氏

大きくて重たそうなカメラを持ってダイビングされている方々を見ながら、最初はGoProで充分だと思っていました。しかし、写真に興味があったので、GoProではなかなか思ったような色味が出ないことに気づき、撮影機材を探すことにしました。しかし、一眼レフカメラとハウジングのセットなどは、どれも高額…。素人の私には、とても手の届かないものばかりでした。

ちょうどその時、同じポイントを潜っていたダイバーさんから、フルサイズのカメラに負けない威力を発揮してくれる、コスパ最強のオリンパスの「OM-D E-M1 Mark II」を紹介していただいたのが水中写真の始まりです。

――そこから本格的に水中写真に取り組まれていったんですね。

朝比奈氏

清水淳さんの写真展で、マイクロフォーサーズの「OM-D E-M1 Mark II」で撮影された作品を見て「フルサイズのカメラを使わなくていいんだ!」と思いました。そして、清水さんのフォトセミナーを受けて、水中写真の基礎を学びました。カメラの設定などいろいろなことを教えていただきました。

これからは、人が主人公の写真をたくさん撮ってみたいそうだ(写真/朝比奈燦氏)

ストーリーやいろんな感情を共有できる、人を被写体にした写真も撮っていきたい

――朝比奈さんがよく撮影に行かれる海はありますか?

朝比奈氏

ワイド機材しか持っていないので、近場では伊豆半島の伊東が多いですね。沖縄も結構行っていますが、そもそもダイビング歴が浅いので……。昨年ベトナムで潜ったのですが、日本と違う海の風景にとても惹かれましたし、海外のダイバーさんとの出会いもすごく楽しかったです。これからはいろいろな海外の海にも潜りたいですね。あまりメジャーではないポイントも狙ってみたいと思っています。

――好きな被写体や、こだわって撮影されている生物や水中景観などはあるのでしょうか?

朝比奈氏

ワイド撮影なので大物や群れ、そして地形など、俯瞰して眺められるシーンが好きです。また最近は、人を撮りたいなと思っています。魚や風景などを撮ると、主に自分だけの思い出になりがちですが、人を撮ると、その場のストーリー、喜び、いろんな感情を共有できて、これもまた素敵だなあと思います。想いが数倍になる感じがします。

――ストーリーが感じられる人物の写真、素敵ですね。ところで「自分らしい写真」に仕上げるレシピがあれば教えていただけますか?

朝比奈氏

コントラストが効いていて、必要な情報だけを引き立てる暗めの写真が好きです。カメラを水中モードにしておくのも、カメラを通した現像だと思っていて、なるべくフラットな状態で現像したいので、基本モードはナチュラルかフラットにしています。人の目って慣れてしまうと騙されやすいので…。ただストロボ調整、特に発光量などには結構気をつけています。

RAW現像ではコントラストを調整したいものの、ディテールのメリハリを上手く表現しようと心がけています。何か現像の公式が特にあるのではなく、撮った時の環境などに応じて、写真によっては逆にコントラストを下げたり、明るめにしたりする場合もあります。もちろん、天気やその海の状況によって明度、彩度の調整をすることも大事ですね。

波照間島で撮影。「初心者でも海を楽しむ、自然な姿を収めていきたいと思います」と語る朝比奈さん(写真/朝比奈燦氏)

――最後にスバリ、「水中写真がうまくなるコツ」があれば教えてください。

朝比奈氏

簡単に上手い、下手なんて私が判断できるものでもありませんが…。あえて言わせていただきますと「表現したい想いを表現できたかどうか」ですかね。実は私は絵を描いていまして、写真撮影も自分自身を表現する一つのツールであると思っています。ただただ海に恋をして、見たいもの、撮りたいものに向かってシャッターを切れば良いと思います。強いて言えば、迷わず勇気を出してたくさんシャッターを切ることですかね。

写真も絵も、作者の想いやストーリーが感じられるものがいい作品だと思うんです。最近ではAIがきれいな写真を作り出すことをよく見ますが、そこには想いやストーリーはきっとあまりありませんよね。

今はTGシリーズなど、気軽に始められるコンデジを使い、たくさんの人に水中写真の楽しさと想いを伝えていきたいなあと思うようになりました。

関戸紀倫賞受賞
朝比奈 燦氏 Akira Asahina
2021年の夏、訪ねていた小笠原で、ある女性に声をかけていたらなんとダイバーさん。見せてもらった小笠原の美しい海に魅了され、ダイビングを始める。デカいカメラはいらないと公言していたが、結局誰よりもデカいカメラで潜るようになる。ダイビング歴1年半、約250本、水中写真歴約半年。(インタビュー時)

第1回JUPCで関戸紀倫賞を受賞した朝比奈氏のインタビュー、いかがだったろうか? 「表現したい想いを表現できたかどうか」という言葉には、写真はもちろん絵も描いてきた表現者としての朝比奈氏の目線を感じる。自分が表現したいものにどん欲になることで、人の心を動かす水中写真が撮れるのかもしれない。

第2回日本水中写真コンテストの入賞作品は、
2024年4月6日に発表!

日本を代表する水中写真コンテストを目指し、昨年始まった「日本水中フォトコンテスト」。第2回目はすでに作品応募が終わり、これから審査が進められる。第2回の入賞作品は、4月6日(土)に「マリンダイビングフェア2024会場内特設ステージ」にて発表予定。今回はどんな作品が選ばれるのか、とても楽しみだ。

詳細はこちら

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奄美大島の冬の代名詞!ホエールスイム&ウォッチングシーズン到来

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奄美大島といえば、サンゴ礁とそこに群がるカラフルな魚たちに出会える、生態系豊かなダイビングスポットとして国内外のダイバーに人気なリゾート地。しかし、奄美の海の豊かさはそれだけではない。冬にはザトウクジラが子育てや繁殖の目的で訪れる数少ない海域なのだ。そして今年も、クジラに出会えるツアーが奄美大島ではスタートし始めている。

奄美大島で見られるクジラの種類と習性

奄美大島近海にやってくるザトウクジラは、6~10月の夏の間に北のアリューシャン列島やベーリング海でニシンやオキアミなどを採餌し栄養をたっぷり蓄えます。そして、12月~4月の冬の間は交尾・出産・子育てのために暖かい奄美大島・沖縄周辺で過ごす習性がある。

ザトウクジラは平均体長が13m、平均体重は30t、全長の3分の1(約4〜5m)にもなる大きな胸鰭(むなびれ)と頭部にある(こぶ)が特徴。尾鰭(おびれ)の白と黒の模様は、人間の指紋のようなものでクジラごとに違い、個体識別の手がかりとなっている。ザトウクジラは、数あるクジラの中でも特に様々なパフォーマンスを見せてくれるため、船の上から見学するホエールウォッチングに最も適したクジラでもあるのだ。そこで、ホエールウォッチングで見ることができるパフォーマンスの紹介と、レア度を一部紹介していこう。

ブロー【レア度:★☆☆☆☆】

呼吸のために噴気孔を海面上に出し、息を噴出したときにできる霧状の潮。この潮は噴気孔の周りの海水や肺内の湿った空気。ホエールウォッチング&スイムではまずこのブローを探す事から始まります。

ホエールウォッチング ブロー

約15~30分に1回のクジラの息継ぎのタイミングで行われるブロー。波による水飛沫と見分けをつけるのが難しく、ブローを確認するのもプロの技。

フルークアップ【レア度:★★☆☆☆】

水面から深く潜る際に尾鰭を海面上に高くあげる動作。ザトウクジラの尾鰭の腹側の模様は1頭ずつ異なるため、個体識別ができる。尾鰭の撮影は、ホエールウォッチングの醍醐味のひとつ。潜った後にはホエールリングという痕跡が水面に現れる。

ホエールウォッチング フレークアップ

とあるホエールウォッチングの船長によると、尾鰭が特徴的なクジラは覚えていることもあり、「昨年も見たクジラだ」とその場でわかるそう。

ペックスラップ【レア度:★★★☆☆】

横向きになり胸鰭で水面を叩いたり、仰向けになり両鰭を水面に叩きつけたりする動作。リラックスしている時や威嚇の際に行うと言われていますが、実際のところ詳細は不明。

ホエールウォッチング ペックスラップ

胸鰭が見えただけでも、想像を遥かに超える大きさで大迫力。

テールスラップ【レア度:★★★☆☆】

尾鰭を上下に動かし水面に叩きつける動作。こちらもリラックスしている時や威嚇の際に行うと言われているが、こちらも実際のところは詳細不明。

ホエールウォッチング テールスラップ

下記に親子でテールスラップをしている動画を掲載。子クジラが親のマネをして尻尾を動かしている様子がかわいい。

スパイホップ【レア度:★★★★☆】

海面から顔を突き出し、あたりを眺める行動。岸近くを泳いでいる時や海藻の茂みに入り込んだ時、船やボートがクジラに接近したときにこの行動を見せる。

ホエールウォッチング スパイホップ

レア度が高いだけに見られた時の感動が大きい動作。ホエールウォッチングでは、いつ何が起こるか分からないため、常に広い視野で海を観察すると良いという。

ブリーチ【レア度:★★★★☆】

体を水面から出す大きなジャンプ。体に付いた寄生虫などを落とすためなのではないかといわれている。場合によっては全身が水面から出ることもあり、最も大きな歓声があがるパフォーマンス。

ホエールウォッチング ブリーチ

こちらもレア度が高い動作。下記に動画を掲載。動画内では2回連続でブリーチをしている。

ホエールウォッチングとホエールスイムの違い

ホエールウォッチング

船の上からクジラのパフォーマンスを見たり、クジラの歌声を聞いたりするツアー。特に資格などは必要なく、老若男女誰でも参加できる。長時間船に乗っているため、酔いやすい方は酔い止めを飲んでおくことをおすすめする。

ホエールスイム

海の水面に浮かびながら、水中にいるクジラを直接見ることができるツアー。ホエールスイムは、スノーケリング経験やCカード保持などの参加条件があるため、ツアーを開催しているお店へ予約時にチェック。海から上がった後は体が冷えるため、暖かいアウターを持参していくことをおすすめする。

ザトウクジラの出現頭数と出現位置

奄美大島では、2012年からホエールスイムを実施しており、ホエールスイムを案内するショップは、奄美クジラ・イルカ協会が定める自主ルールに則って運営している。奄美クジラ・イルカ協会は、奄美大島周辺海域に冬期来遊するザトウクジラや、周辺海域に生息するミナミバンドウイルカの地域個体群の出現および個体識別調査を行なっている。下記グラフによると、奄美大島近海に出現するザトウクジラの個体数は年々増加傾向にある。

参照元「奄美クジラ・イルカ協会」

参照元「奄美クジラ・イルカ協会」

もちろん、野生の生物相手なので100%出会えるかわからない。だからこそレアなパフォーマンスに出会えた時の感動が大きい。メスクジラを追いかけるオスクジラ、子クジラの子育てをする母クジラなど、クジラたちの人生の一部を覗き見しているような感覚で楽しむことができるホエールウォッチング&スイム、日本の南まで体験しにいってみてはいかがだろう。

情報提供:ネイティブシー奄美

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セノーテダイビングを100倍楽しむ!! 現地ガイドが語るリアルなセノーテの魅力

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「セノーテダイビング」という言葉を聞いたことはあるだろうか? 地球が長い年月をかけて生み出した地中の泉を潜るこのダイビングは、メキシコ・ユカタン半島で楽しむことができる。
本特集では、セノーテダイビングの拠点の一つ・プラヤデルカルメンで日本人向けダイビングショップ「ダイブクラブまーるまーる(Dive Club MaruMar)」を営む、むねおきさんとしずこさんに、セノーテダイビングの魅力を徹底取材。これを読めば、セノーテダイビングが100倍楽しくなること間違いなし!

セノーテダイビングを100倍楽しむ!! 現地ガイドが語るリアルなセノーテの魅力
目次

ダイバーを魅了するメキシコの「セノーテ」とは

「セノーテダイビング」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、透明度抜群の地形ポイントに、光のシャワーが降り注ぐこんな風景だろう。

また、少しスキルが必要にはなるけれど「地形を探検する」ことも、セノーテダイビングの大きな楽しみの一つ。

セノーテってどんな場所?

ところで「セノーテ」とは、どんな場所のことを言うのだろう? 

「セノーテ」は、よく一つのダイビングスポット的に解釈されてしまうこともあるのですが、メキシコ・ユカタン半島に点在する淡水の泉のことを言います。その数はまだ見つかっていないものも含めると、約3000〜6000ケ所と言われています。実はその正体は単なる泉ではなく、地下には洞窟が生成されていて、セノーテ同士が繋がっている巨大な地下水脈なのです。現在見つかっている地下水脈で最長のものは約430kmあり、“世界最長の地下水脈”と言われています(2023年1月現在)。

水中では淡水と海水の両方を有しています。降った雨水が濾過された水のため、透明度は100m以上あります。しかも閉鎖的な環境なので、ここでしか見られない風景が多数存在するのもセノーテの魅力です。

セノーテ

セノーテを陸上から見たところ。こんなふうにポッカリと穴が開いたようになっている。階段を下りて、潜りに行くことになる

長い年月をかけて出来上がった奇跡の産物・セノーテの成り立ち

セノーテは、そんなにたくさんあると聞いてビックリ! では、セノーテはどのようにできたのだろうか?

セノーテの起源には諸説ありますが、一説は280万年前に遡ります。

●280万年前
セノーテ280万年前

サンゴ礁などからなる多孔質の石灰岩の半島は、酸性が含まれる雨によって地下がゆっくりと溶けていっていました。地下のケーブは海とも繋がり、雨水と海水の両方で満たされていました。

●8万年前
セノーテ8万年前

地球全体が寒冷化し、氷河拡大に伴い水面が急激に低下。それにより空洞となった洞窟にはミネラルが蓄積され、鍾乳石や石筍を生成していきました。

●5万5千年前
セノーテ5万5千年前

地球が温暖になり氷河が溶け水面が上昇。再び洞窟は水中になり、また長い年月をかけ雨により地中は溶かされて空洞はさらに大きくなっていきます。

●1万5千年前
セノーテ1万5千年前

再び地球全体が寒冷化し、水面は急激に低下。それにより水の支えを失い、薄い天井は崩落。地表に穴が開きました。これが「セノーテ」と呼ばれるようになりました。

●現在
セノーテ現在

そして現在の水位に戻ったと言われています。

マヤ文明と深いかかわりがあるセノーテ

気が遠くなるほどの長い年月をかけて出来上がってきたセノーテだが、実は古代文明の一つ・マヤ文明と深い関わりがあるという。

マヤ文明はメソアメリカ文明の中で、ユカタン半島で4~9世紀に独自の発展をした文明。現在のメキシコの南東部、グアテマラ、ベリーズなどのマヤ地域を中心として栄えた。マヤ人は高度な都市文明を形成し、神殿やビラミッドを建築、また20進法やマヤ暦と言われる精密な暦法、絵文字などを持ち、天体観測も行っていた。
マヤ文明の遺跡はいくつかあるが、古代マヤ文明を代表する遺跡の一つが「チチェン・イッツア」だ。

カスティージョ(城塞)

チチェン・イッツアの中でも一番有名な「カスティージョ(城塞)」。春分の日と秋分の日の太陽が沈むときに、階段の西側に光の影でマヤの最高神ククルカンが現れるピラミットとして知られる

「セノーテ」の名前の由来には、マヤ文明が深く関わっています。現地の言葉では元々「井戸や泉」を意味する「tz´onot(ツォノット)」と言われていました。これがスペイン語のなまりで「セノーテ」と発音されるようになりました。

ユカタン半島は全域に山も川も存在せず、セノーテは水源としてマヤ文明時代の人々には欠かせないものでした。
古代より文明が栄えた場所は、川や海の近くでした。それに変わるものとしてセノーテがあったおかげで、マヤ文明は繁栄しました。そして当時の人たちはその水源を神聖なものとして、崇拝の対象にもしていました。そのため、その泉にお供物や陶器などが投げ込まれていました。現在でも陶器や、入り込んだ生物の骨なども見ることができます。

巻き貝、二枚貝やサンゴの化石

ユカタン半島はサンゴ礁などから成る石灰岩なので、写真の巻き貝のほか、二枚貝やサンゴの化石なども見られる。ダイビング中はもちろん、陸上でも化石が見られる

昔投げ込まれた陶器

ダイビング中に、昔投げ込まれた陶器を見かけることもある。「カーウォッシュ」にて撮影

透明度のよさや鍾乳石だけではない!?セノーテの見どころ

ここからはセノーテダイビングの魅力について、話を伺っていこう。むねおきさんとしずこさんによれば、セノーテの魅力は透明度や光のカーテンのほか、鍾乳石が作り出す造形美、ハロックラインや硫化水素といった自然現象などいろいろあるという。

セノーテは閉鎖的な環境のため、独自の環境が生成されていて、ここでしか見られない絶景が多くあります。

透明度

セノーテの透明度が高い水

セノーテでは、水の存在を忘れてしまうほど透明度が高い

セノーテは降った雨水がろ過されて水中に充満しているため、水はとてもきれいです。さらに水中はほぼ流れがないため、砂や不純物が沈澱していて、視界を遮ることありません。100m以上先が見られる、海でのダイビングでは味わうことのできない透明度を楽しめます。

水中の不純物が少ないため、セノーテの入り口に差し込む太陽光は水中で拡散することなく水底まで真っすぐ差し込むが故に「光のカーテン」として、しっかりと肉眼で光を見ることができるのです。

鍾乳石

セノーテの鍾乳石

長い年月をかけて生成された鍾乳石の造形のおもしろさも見逃せない

鍾乳石は陸上でも見られますが、水中ではありとあらゆる角度から見ることができます。セノーテで見られる鍾乳石の種類と大きさは圧巻です。天井にはつらら状に生成される鍾乳石が、そしてそこから垂れて地面から生えてきたようにできる石筍も。それが繋がり大きな石柱になります。現在水中に水没しているそれらの造形物は成長はしていませんが、水中にあるため重みなどで崩壊することなく大昔からの形を保っています。
鍾乳石は1cm成長するのに100年もの年月を要すると言われています。そんな長い年月をかけてできた巨大な造形物を至る所で観察できます。

ハロックライン

前に述べたように、セノーテは海に繋がっています。海水が流入している場所もあり、流れがほとんどない場所では比重の関係で「水深の浅い場所は淡水、ある水深より下は海水」と、上下ではっきりと分かれています。

ハロックライン

その境目、または層をハロックライン(halocline)と呼びます。これは流れのほとんどないセノーテならではの光景です。海でもサーモクラインが発生しますが、セノーテほどはっきりと視認することはほとんどできません。そのためハロックラインを通過すると上下の水がかき混ぜられて、水温の違いでモヤモヤと一気にモザイクがかかったように水中が変わります。また、海水と淡水で光の屈折度が違うため、境目でライトを上下すると影がしっかりできて、その存在がハッキリわかります。

硫化水素

セノーテによっては、地上からの落ち葉や折れた大木などが水中に蓄積していることがあります。これらが腐敗して発生した硫化水素のガスが煙のような形状で、水深約30mに滞留しています。植物の腐敗、水深、流れのない閉鎖されたセノーテなどの数々の条件が揃って初めて出会える光景です。
硫化水素の煙がより濃く発生しているセノーテは、まるで雲海のよう。堆積した土と相まって、雲の上に浮かぶ島にも見えてきます。泳いでいるダイバーを入れて写真を撮ると人が空を飛んでいるようで、おとぎ話の世界に来たかのような光景が目の前に広がります。

プラヤデルカルメンを拠点に楽しむ おすすめのセノーテポイント

さまざまな見どころがあるセノーテダイビング。ここで、むねおきさん&しずこさんにおすすめのダイビングポイントを伺ってみた。

※所要時間はプラヤデルカルメンにある「ダイブクラブまーるまーる」からの時間です。

セノーテダイビングポイントマップ

チャックモール(MAP①)

セノーテ チャックモール

「セノーテ」の写真を検索すると、まずこのポイントの写真が多く出てくるセノーテを代表するポイントです。見どころは光のカーテン。「写真で見た以上に美しい!」との声もお客様からいただきます。そしてここには専属のプロカメラマンがいるので、光のカーテンの中にいるご自身が写った、最高の思い出の写真を購入することができます。車で約20分。

ドスオホス(MAP②)

セノーテ ドスオホス

日本人に馴染みのある「グランセノーテ」と肩を並べるほど有名なセノーテです。グランセノーテは現在、スキューバでは潜れませんが、「ドスオホス」はエリアもとても広く、スキューバでもシュノーケリングでも楽しめます。冬にはエントリー口に光のカーテンが現れ、夏はルートの途中のドライケーブに光が差し込むなど、シーズンによっての見どころが楽しめます。透明度抜群な上に、巨大な鍾乳石や石柱などが無数に生成されているので、洞窟が好きな方にもぴったりです。車で約45分。

ドリームゲート(MAP③)

セノーテ ドリームゲート

ジャングルの奥に進むと現れるセノーテです。その名のとおり、セノーテ内部には無数の鍾乳石や石柱が眼下に広がっていてゲートのようになっています。小さな鍾乳石がたくさんあり、空気だまりに反射してみると鍾乳石が浮いているように見えて、とても綺麗です。「これぞ洞窟!」という冒険気分が味わえるワクワクするセノーテです。車で約45分。

ピット(MAP④)

セノーテ ピット

縦穴のセノーテで、世界各地の海に点在する「ブルーホール」がセノーテになったようなイメージです。ただここはセノーテなので、透明度抜群! そして天井がある箇所も広くあるので、縦穴セノーテの全貌を少し離れて真横から見られます。夏には真上から差し込む太陽光が、一筋のビームのように水底30mまでまっすぐ降り注ぎ、最高の景観になります。車で45分。

ニクテハ(MAP⑤)

セノーテ ニクハテ

開放的なエリアがあり、蓮の葉っぱがとてもたくさん自生しているポイントです。緑が生い茂っていて、まるでジブリの世界! そのオープンエリアを洞窟中から眺めると、映画のような美しい光景を見ることができます。車で約40分。

マラビジャ(MAP⑥)

セノーテ マラビジャ

ドームのような形状で、天井に直径5mほどの穴のみがあるセノーテです。水深は深く、水深30m地点には硫化水素の煙が停滞しています。夏には天井の穴から太陽光が差し込み、硫化水素の煙がステージのようになるため、ダイバーを入れて撮影をするとまるでステージ上に巨大なスポットライトが当たっているような、神々しい壮大な光景になります。車で約45分。

セノーテで見られる生き物たち

セノーテで見られる生物は、今まであまり紹介されてこなかったように思う。そこで淡水と海水が交じり合うその独特な環境には、何かおもしろい生物がいるのでは?ということで、しずこさんに伺ってみた。

セノーテに来られる方は、やはり光や地形を楽しみに来られることが多いと思います。しかし、海では見られない生き物に出会えることも魅力の一つ。ここで、セノーテで見られる何種類かの生物を紹介しましょう。

メキシカン・ブラインド・ブロトゥラ(通称ブラインド・フィッシュ)

メキシカン・ブラインド・ブロトゥラ

セノーテを代表する魚の一つが、メキシカン・ブラインド・ブロトゥラ(通称ブラインドフィッシュ)です。光の届かないケーブの中に生息しているため、目は退化しており光に対する反応は鈍いですが、水の振動を敏感に感知していると言われています。

ペールキャットフィッシュ

ペールキャットフィッシュ

こちらはセノーテの入り口付近でよく見られるナマズの仲間です。淡水域、気水域のどちらにも適応しているため、さまざまなセノーテで見かけられます。

ほかにも、カサセノーテのような水草が生えている場所では、ユカタンモーリーやマングローブモーリーといったグッピーの仲間が生息しており、オスとメスで色や背びれの形に違いがあり、じっくりと観察するとおもしろいです。

古代魚 ターポン

古代魚 ターポン

悠々と泳ぐターポン

カサセノーテのような汽水域では、1800万年前からほとんど形状を変えていないと言われている古代魚のターポンが生息しています。

ユカタンテトラ

ユカタンテトラ

小さくて可愛らしいユカタンテトラ

またこちらのユカタンテトラは、さまざまなセノーテの入り口付近で見られ、ユカタン固有の魚と言われています。

なおセノーテの入り口付近ではウミガメではなく、川や池で見るカメの仲間のメソアメリカミミガメが水面で泳いだり、岩の上で日向ぼっこしているのを見ることもできます。この種類のカメを下から見る機会がなかったので、初めて彼らが泳いでいる姿を下から見た時は、大変感動しました。

水中だけではなく、セノーテの周りやケーブの中でもいろいろな生物を探すことができます。「ドスオホス」のバットケーブでは、フルーツバットというコウモリが群れを作って休んでいる姿が見られます。彼らはその名の通り果物を主食とし、彼らが落とした果物がまた水中の魚たちの食料となる。このような連鎖がうまくできているというのもとてもおもしろいですよね。

ここでは紹介し切れませんが、生き物が少ないと言われるセノーテにも、実はさまざまな生き物が暮らしているのです。

初めてのセノーテダイビング ここが知りたい! 何でもQ&A

さまざまな魅力があるセノーテダイビング。今すぐにでも潜りに行きたい!という方もいるだろう。しかし、季節はいつがいいの? ダイビングスキルはある程度ないとダメ?など、いろんな疑問が湧いている方も多いはず。ここでは一問一答で、セノーテダイビングにまつわる疑問に、むねおきさんとしずこさんにお答えいただこう。

Q1 セノーテにはシーズナリティがあるって本当?

A はい。時期によって見られる風景が変わります。たとえば夏であれば、「ピット」や「マラビジャ」で差し込む太陽光を見られます。冬のシーズンは、光のカーテンを「ドスオホス」や「タージマハ」で見ることができます。なので、シーズナリティはあるものの、年間を通して見どころがあるので、その時期ならではのセノーテの表情をご案内いたします。

Q2 オープンウォーターランクでも潜れますか?

A もちろんです! オープンウォーターやブランクダイバーの方でも安心して潜れる初心者向けのセノーテがあります。「セノーテエデン」は開けた場所があるので、そこで練習してからセノーテへ進めます。その他「カサセノーテ」は汽水域のマングローブのセノーテなので、着底が可能です。体験ダイビングの方も潜れます。スキルに不安がある方は、何でもご相談くださいね。

Q3 ダイビングスーツは何ミリがおすすめ? 器材はレンタルできる?

A 寒さに強い方には3mm、弱い方には5mmがおすすめです。セノーテの水温は通年で25〜26℃ですが、洞窟の中が暗いことや、流れがなく泳ぐのもゆっくりのため、海での体感よりも寒く感じることもございます。特に女性は、フードベストなどの対策もおすすめです。なお、重・軽器材のレンタルを行っていて、スーツは5mmのウエットスーツをお貸ししております。レンタル器材はツアー料金に含まれているので、少しでも旅行のお荷物を減らしていただき、たくさんメキシコのお土産をお持ち帰りください!

Q4 日本から何日くらいのツアーで行けるの?

A 乗り換えなどの時間も含めると片道の総移動時間が24時間ほどかかります。そのため往復で2日間と見て、中3日間は観光やダイビングで遊ぶことを考えると、5日間は最低確保していただきたいです。

Q5 セノーテダイビングで気をつけたいマナーは?

A セノーテは長い時間をかけて自然が作り上げたポイントなので、保全するためにいろいろなルールがあります。代表的なものを紹介しましょう。

ダイビング前の日焼け止め、お化粧、虫除けなどの使用は不可→水質保全のため
ガイドの後ろについて行って泳ぐ→洞窟で迷子にならないようにルートが決まっている
鍾乳石や水底など決して触れない→鍾乳石はとてももろく壊れやすい。また自然保護のため。
沈殿物の巻き上げをしない→水中は流れがなく、一度濁ってしまうとなかなか元の水質に戻らないため

Q6 プラヤデルカルメンでは、英語は通じますか?

A スペイン語が基本です。お土産屋やレストランでは英語が通じる場合もあります。フレンドリーな店員さんが多いので、恐れずジェスチャーなどで伝えればこちらの言いたいことを汲み取ってくれますので、どんどん挑戦してください!

Q7 メキシコではチップが必要ですか? スムーズな渡し方を教えてください。

A メキシコにはチップ文化が根づいています。基本的にすべての料金にサービス料は含まれません。タクシーや送迎車などでは、目的地到着後の下車の際にチップを渡すのがスムーズです。レストランなどは会計のときに一緒に支払います。ツアーガイドなどにもサービス料を渡します。相場はおよそ合計料金の10~15%です。

アフターダイブも楽しい! プラヤデルカルメンとはこんなところ

プラヤデルカルメン

海に面したプラヤデルカルメンの町

セノーテダイビングの拠点となるのが、プラヤデルカルメン。「ダイブクラブまーるまーる」の店舗もこちらの街中にある。アフターダイビングが楽しめるスポットが充実しているこの街の楽しみ方をむねおきさんとしずこさんに伺ってみた。

散歩するだけでも楽しい通り「キンタアベニーダ(5番街)」

キンタアベニーダ

土産物店やレストランが立ち並ぶキンタアベニーダ

プラヤデルカルメンには、海岸のすぐ近くにキンタアベニーダ(5番街)という観光客向けの通りがあります。原宿の竹下通りや沖縄の国際通りなどのような雰囲気と言えばイメージしやすいでしょうか。土産物店やレストラン、ショッピングモールが立ち並び、とても賑わっている通りです。

お土産探しやレストランに困ったら、まずこの通りを散策してみましょう。日中は暑さのため人はあまり多くありませんが、陽が落ちてくると活気あふれる通りに大変身。ただお散歩しているだけでも楽しい通りです。

メキシコローカルタコス(スーパーMEGA横)

メキシコローカルタコス

スーパーの近くに立ち並ぶ屋台

食品や日用品はもちろん、お土産を買うのにもおすすめの「スーパーMEGA」の横にタコスが食べられる屋台が立ち並びます。とうもろこしを練って伸ばして焼くトルティージャにお肉を乗せたタコスや、パンにお肉を挟んだトルタなどなど色々なローカルフードが味わえます。オーダーするのに初めは緊張するかもしれませんが、材料が見えるとこに出ているので、指差しやジャスチャーでも十分注文ができるはず! お会計は食事後に自己申告で食べた数を伝えればOKです。

タコス

手前・右側は牛肉を鉄板で焼いたもの。左側は煮た豚肉を乗せたタコス

マヤ文明に触れられるトゥルム遺跡

トゥルム遺跡

海に面して作られたトゥルム遺跡

トゥルム遺跡とはプラヤデルカルメンから車で1時間ほど南下した、トゥルムという街のすぐ近くにあるマヤ文明の遺跡です。遺跡は海岸線沿いに建造されていて、東海岸で最も重要な商業港の一つであり、マヤ地域で高い影響力を持っていました。神殿として重要な宗教儀式などで利用されていたカスティージョ(城塞)は海の岸壁に建造されており、また交易の小屋なども見ることができます。

降臨する神の彫刻

降臨する神の彫刻(写真左)

カスティージョ

カスティージョ(写真右)

地球が生み出したセノーテを潜り、アフターダイブはメキシコのグルメやショッピングを楽しめるプラヤデルカルメンを拠点にしたダイビングの旅。いかがだったろうか?言葉の心配もなく、日本人向けのサービスを提供してくれる「ダイブクラブまーるまーる」を利用して潜れば、セノーテダイビングは何倍も楽しく快適になることだろう。次の海外ダイビングの旅先は、メキシコ・プラヤデルカルメンへ!

ダイビングをこよなく愛する日本人夫妻が経営する
ダイブクラブまーるまーる
Dive Club MaruMar

「ダイブクラブまーるまーる」は、日本から飛行機で約17時間、メキシコのプラヤデルカルメンという街で、むねおきさんとしずこさんの日本人夫婦二人で経営しているダイビングショップ。日本人経営なので「初めてのメキシコだし、英語もスペイン語もわからない…」という方も言葉の心配がないのが嬉しい。「安心してダイビングをお楽しみいただき一生忘れない最高の思い出を作っていただくために、皆様をご案内させていただきます」とむねおきさん。

ダイブクラブまーるまーるの特徴
日本と海外の両方のガイド経験あるむねおきさんとしずこさん

水中でのアクティビティは安全が第一なので、日本人らしい些細なことでも見逃さない繊細なサービスを提供。さらに、ラテン文化圏のメキシコらしい明るく陽気なガイドで、来店された方々が「安心」で「幸せな気持ちになるサービス」を提供している。今まで数多くダイビングをされているお客様も「こんなダイビング今までしたことない!」と言っていただけるような、ここでしか見ることのできない水中の世界を、誰よりも大自然・セノーテを愛するスタッフが案内してくれる。

ダイブクラブまーるまーるのむねおきさん(右)としずこさん(左)

むねおきさん(右)としずこさん(左)

安心安全に潜れる少人数ツアーを催行

少人数制のツアーを催行し、初心者やブランクのある方も安心安全にダイビングを楽しんでいただけるようにしている。また少人数制なので「耳抜きが苦手だからゆっくり潜降したい」「じっくり時間をかけて写真を撮りたい」などのリクエストにも、フレキシブルに対応が可能。

オーシャナ読者の皆さんへメッセージ

Hola! むねおきです。ダイバー憧れの一つ「セノーテ」。そんな素敵なダイビングを一人でも多くの方々に体験をしていただきたいです!ここでしか見ることのできない大自然の壮大さ、凄さを全身全霊で皆様にお伝えしていきたいと思います。ご来店を心よりお待ちしております。

来ていただく皆様に旅の全体を通して「楽しい!また来たい!」そう思っていただけるよう、真心を込めて丁寧にご案内させていただきます。

ダイブクラブまーるまーる Dive Club MaruMar
Dive Club MaruMar
Tel:+52 984 593 3257
e-Mail:info@diveclub-marumar.com

住所:Gatika 2 MZ3 LT5 EDIF C# 110 AD1 monte besaide Pcn Real Bilbao, C.P. 77714 Solidaridad , Q.R. ,Mexico
公式ホームページ

Sponsored by ダイブクラブまーるまーる Dive Club MaruMar

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メキシコセノーテに行く前に知っておきたい一日の流れや持ち物

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メキシコのセノーテでのダイビングは、ダイバーであれば一生に一度は行ってみたいと思ったことがあるはず。でも、日本からほぼ地球の裏側でのダイビングって一体どんなものなんだろう、と不安も多くあるでしょう。この記事では、初めてセノーテダイビングに行く方に向け、大体の一日の流れと、準備しておくべきアイテムを詳しくご紹介します。

セノーテダイビングとは

セノーテの基本知識

セノーテは、メキシコのユカタン半島に見られる天然の泉で、石灰岩の地層が長い時間をかけて侵食され、崩壊することで形成されました。この泉は繋がっており、雨水が濾過された水が溜まり、地下水脈を成しています。一部は海水となっているため、どこかで海に繋がっているといわれていますが、その全貌はまだ解明されていません。セノーテは、その透明度の高い水と鍾乳石が織りなす神秘的な景観で知られ、ダイビングやシュノーケリングの人気スポットとなっています。また、古代マヤ文明にとっては神聖な場所とされ、水の供給源や儀式の場として利用されていました。

セノーテダイビングの魅力と特徴

セノーテダイビングの魅力はそのユニークな環境にあります。普通のオープンウォーターダイビングとは異なり、地下の洞窟や水路を探検することができます。透明度が高い水は、鮮やかな光のショーを演出し、鍾乳石や水草が幻想的な景色を作り出します。

セノーテダイビングの1日の流れ

ダイビングショップor待ち合わせ場所へ集合

セノーテダイビングの日は、プラヤデルカルメンやカンクンに滞在するのが一般的です。プラヤデルカルメンはセノーテへのアクセスが容易で、多くのダイビングショップがあります。日本人ショップが多いのもこのエリアです。ホテルへの送迎サービスを行っているダイビングショップであれば、ホテルまで迎えにきてくれます。カンクンへの送迎は距離があるため追加料金がかかることもあります。お迎え後はそのまま目的地のセノーテに向かうショップもあれば、一度ダイビングショップに行ってからセノーテに行くショップもあるので、各ショップのスケジュールを確認しましょう。

車でセノーテへ出発

器材を積み込み、ダイビングショップの車でセノーテへ向かいます。人気のセノーテが点在するエリアには、主要エリアから大体30分から1時間程度で到着します。セノーテに向かう道中は、まるでジャングルかのような景色が続きます。

セノーテに到着・ブリーフィング

セノーテに到着すると、まず入場料の支払いが必要ですが、この料金は大抵の場合、ダイビングツアーの料金に含まれています。ガイドやインストラクターが現地での受付や支払いを済ませてくれます。器材をセットし準備が整ったらブリーフィング。ダイビングプランや安全に関する注意事項、セノーテ固有の特徴や見どころについて、ガイドやインストラクターが説明してくれます。海や他のダイビングポイントとは異なるルールがあるので、ブリーフィングできちんと確認しましょう。

セノーテでダイビング

エントリーポイントまでは、自分で器材を背負って歩いて移動します。器材を運ぶのが難しい場合は、現地スタッフに運搬をお願いすることもできます。その際にはチップが必要なので用意していきましょう (サービス料に含まれていることもあります)。エントリー口へ到着したら、インストラクターの指示に従い、エントリー。入り口に階段があるポイントも多く、エントリーしやすくなっています。

セノーテダイビングの注意点

初めてのセノーテダイビングでは、透明度の高い淡水の中での浮力のコントロールや、洞窟内での移動に特に注意が必要です。セノーテの魅力を存分に味わいながら、安全に楽しむことが大切です。

セノーテダイビングのルール
  • ダイビングガイドはタンクを2本携行してガイド:安全マージンを高め、緊急時に対応しやすくするため。
  • 1名のガイドにつきダイバーは最大4名まで:ガイドが各ダイバーに十分な注意を払えるよう制限。
  • ガイドはテクニカル(ケーブ)ダイビングの資格保持:洞窟のような閉鎖された環境でのダイビングに特別なスキルと知識が必要。
  • 全員が水中ライトを携帯:暗いセノーテ内部での視界確保のため。
  • 浮力コントロールとフィンワークを身につける:セノーテ内の鍾乳石や石筍に損傷を与えないようにするため。
  • 化学物質の使用を避ける:日焼け止めや虫除けなどの化学物質は、セノーテの水質に悪影響を与える可能性があります。必要な場合は環境に優しい製品を使用しましょう。セノーテによっては使用を禁じられているところもあります。

水面休息、2ダイブ目のポイントへ移動

1ダイブ目が終わったら、スーツを着たまま車に乗り、次のポイントへ移動します。セノーテは無数にありますが、2ダイブ目は1ダイブ目からそれほど離れていないポイントに行くことが多いです。水分補給をして軽食を取り、十分に水面休息をしてから次のダイビングに移ります。

次のセノーテへ到着
2本目のダイビング

次のセノーテに到着したら、2本目のダイビングが始まります。セノーテはポイントによってさまざまな特徴があり、1本目と違った景観を楽しむことができるでしょう。

昼食・着替え

大抵の場合、午前中に2本のダイビングを終え、昼食の時間となります。ダイビングツアーの料金に昼食が含まれていることが多く、ダイビングポイント近くの休憩エリアで提供されます。場所によってはローカル食堂に行くことも。この時に着替えを済ませて帰る準備もします。

ダイビングショップもしくはホテルへ

昼食と着替えが終わったら、ダイビングショップもしくはホテルへ戻る準備をします。ホテルへそのまま送迎してくれるケースもあれば、一度ダイビングショップに戻ってそこで解散するケースもあります。

1日に3ダイブのプランの場合は、昼食を終えてから3番目のポイントに向かってダイビングをし、その後着替えて帰路につきます。

セノーテダイビングの持ち物

日本人ショップを利用してダイビングをする場合、レンタル器材も料金に含まれていることがほとんどです。普段使用しているダイビング器材を持っていく場合は忘れないように準備をしましょう。

持ち物チェックリスト

必携

  • Cカード・ログブック
  • 水着・着替え

オプション

  • チップ:ツアー1日の合計金額の10~15%をドライバーやガイドにチップとして支払うのが一般的なマナーです。
  • カメラ持込料:潜るセノーテによっては必要な場合があります。

ダイビング器材(持参する場合)

  • スーツ:セノーテの水温は通年25-26℃。 自分が快適に潜れる適切な厚さのウエットスーツが必要です。寒さに強い人は3ミリ、通常は5ミリを着用することが多いです。
  • マスク
  • フィン
  • BCD
  • レギュレータ
  • ダイブコンピュータ
  • 水中ライト
  • フードやベストなど防寒具
  • 水中カメラ機材

ツアー料金にレンタル器材代が含まれていても、フードベストなどの防寒具や水中カメラ機材はレンタルに含まれていないケースもあります。事前に確認して必要な装備を用意していきましょう。

ダイブクラブ まーるまーる 提供

日本からだと遥か遠い世界に感じるメキシコ・セノーテですが、ダイビングのイメージが少し具体的になってきたのではないでしょうか。準備を整え、忘れられないダイビングを楽しんできてください。

協力:ダイブクラブ まーるまーる、水中写真家・清水淳

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水中撮影チームCONTRAST初の写真展が横浜で4月まで開催中

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プロダイバーの水中撮影チーム「CONTRAST(コントラスト)」による初の写真展が1月10日(水)〜4月10日(水)にかけて横浜・新杉田の居酒屋「すっとこどっこい」にて開催中。会期中には日本各地から集まるメンバーが撮影秘話を披露するトークショー、最終日にはクロージングパーティーの開催も。

世界を目指す!各地のプロダイバーが集まった水中撮影チーム「CONTRAST(コントラスト)」の活動、想いに迫る

本写真展では、2021年のチーム結成以来、沖縄本島で撮影してきた3回分の作品を中心に昨年11月に宮古島で撮影した未公開作品も含む全19点を展示する。

「海外のフォトコンテストでグランプリを目指す」という目標に向かい、試行錯誤を繰り返し、撮影スタイルを確立してきた彼らの軌跡を写真をとおして体感できる。

写真展:The CONTRAST

写真展:The CONTRAST

日時:1月10日(水)〜4月10日(水)
会場:すっとこどっこいJR新杉田店
神奈川県横浜市磯子区新杉田町3-2

イベント

・トークショー
 日時: 1月29日(月)、3月5日(火)
 
・クロージングパーティー
 日時: 4月10日(水)

※予約方法
イベントへの参加を希望する方は、以下のGoogleフォームから予約してください。
予約フォーム

問い合わせ先

イベント当日の疑問や問い合わせは、以下のメールアドレスまで。
contrast.far.east@gmail.com

CONTRAST
CONTRAST
2021年に結成された水中撮影チーム。それぞれ個性の異なるプロダイバーが集まり作品を作る。メンバーは松井一真(SO BLUE DIVERS 須磨)、石野昇太(ゴリラハウス)、木村幸成(SUPER FISH DIVING)、矢北拓也(城ヶ崎インディーズ)、吉田健太郎(DIVE ESTIVANT)、茂野優太(Underwater Creator)、加藤仁(シーヒート)。新たな表現方法を模索し、日本から世界への発信を図る。

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【フリーダイビングを見に行こう!】2/10にフリーダイビングプール種目公式記録会を開催!

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2024年2月10日、東京・千葉・沖縄でダイビングショップを展開しているダイビングショップトゥルーノース主催のフリーダイビング公式記録会が開催される。本記録会は、東京都江東区にある競泳の世界大会なども行われる東京アクアティクスセンターにて、最大48名の選手が参加。出場選手でなくともプールサイドでの観戦ができ、さらにフリーダイビング未経験者に向けた体験会や、人魚の衣装を身につけて水中を優雅に泳ぐマーメイドスイム体験会などのイベントも行われるとか!?

フリーダイビング公式記録会とは

フリーダイビングで記録を残す舞台を大きくわけると、選手順位はつかず自分の記録に挑戦する「記録会」と、記録をポイント制にして競い合う「大会」との、2種類がある。今回は前者にあたる記録会なので、フリーダイビングを始めたばかりの初心者からでも出場できるというもの。
▶フリーダイビングの大会|記録会とは?

フリーダイビング競技を見に行ってみよう!

本記録会は、プールサイドでの観戦が無料で可能!また、競技終了後には、これからフリーダイビングを始めてみたい方へ向けたフリーダイビング体験会やマーメイドスイム体験会、フリーダイビング器材モニター会などのイベントも行われるという。選手はもちろんのこと、フリーダイビング未経験者も楽しめる大会となっているのだ。

※観戦や体験会への参加は申し込みが必要になります。

▶観戦の申し込み・詳細はこちらから「観戦希望」とお問合せください
▶フリーダイビング体験会の申し込みはこちら
※参加費通常33,000円のところ、特別価格の26,400!申し込みフォームの希望参加日で2024年2月10日を選択ください。
▶マーメイド体験会の申し込みはこちらから

過去の大会でもフリーダイビング体験会やマーメイドスイム体験コースなどのイベントが行われ、大盛り上がり!
▶【日本最大規模!第2回PADIフリーダイビングカップ】編集部・セリーナの挑戦レポvol.5

運営スタッフ募集中!

本大会ではボランティアスタッフも募集中。フリーダイビングの大会は選手以上に多くの運営スタッフが欠かせない。資格や経験が必要ない役割もあるので大会見学も兼ねて参加してみては。
【スタッフ募集人数】
・AIDAジャッジ 6名 (アシスタント参加も可)
・医師または看護師 2名
・セイフティ 14名
・レコーダー 6名
・アナウンサー 2名
参加されたスタッフの方には交通費として3,000円~の謝礼のお渡しと当日の昼食+飲み物の支給。
▶運営スタッフ募集について詳しくはこちら

フリーダイビングって何?フリーダイビングに興味がある!という方はぜひ、この機会に訪れてみてはいかがだろうか。フリーダイビング世界選手権に出場経験のあるocean+α編集部のセリーナも出場予定!会場でこの顔を見かけたらぜひお声がけください!

記録会概要
●記録会名:第29回トゥルーノース・フリーダイビングプール種目公式記録会
●開催場所:東京アクアティクスセンター サブプール会場
〒135-0053 東京都江東区辰巳2-2-1
●記録会開催日:2024年2月10日(土)
●記録会主催:ダイビングショップトゥルーノース
●記録認定団体:AIDAインターナショナル公認予定
関東では千葉の浦安と船橋に2店舗、沖縄に1店舗を展開。スキューバダイビング、スキンダイビング&ドルフィンスイム、フリーダイビングなどダイビングをあらゆる形で始められ、そして長く続けていける全国でも唯一の総合ダイビングショップ。フリーダイビングに関しては、フリーダイバー認定カード発行数No1!年間で100名以上の認定数を誇る。

【連載】編集部・セリーナのフリーダイビング挑戦記「経験0から日本代表を目指す!」

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“屋久島の海”をテーマにしたフォトイベントを開催!応募写真募集!

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屋久島の魅力あふれる海を、世界に発信しませんか?山だけではない屋久島の“海”の魅力を、SNSを通じて世界に発信するocean+α主催のフォトイベントが2月1日(木)から開始します!屋久島の海の写真なら水中でもビーチでもOK!たくさん応募して、抽選で当たる3000円相当の屋久島ギフトもゲットしよう!

屋久島の海の写真をSNSに投稿するだけで応募完了!

本フォトイベントは、屋久島では前例のない“屋久島の海”をテーマとしたもの。屋久島の海を多くの人に知ってもらいたいという想いを込めて、これまでに撮影した屋久島の海の写真をSNS(X、Facebook、Instagramのいずれか)にて、指定のハッシュタグと写真にまつわるエピソードや屋久島の海への想いを投稿文章に添えて投稿し、応募が完了。応募写真は、ダイビングやシュノーケリング、スキンダイビングなどで撮影した水中写真、浜辺から撮影したビーチの写真など、屋久島の海が写っているものであればOK。付けるハッシュタグは、「#屋久島の海」、「#屋久島の海2024」、「#Yakushima」の3つすべて

皆さまの応募写真は最終的に、3月中旬にocean+α記事にてご紹介予定!ぜひこれまでに撮影した写真を見返してみて、屋久島の海を世界に発信して、多くの方に屋久島の山だけではない魅力を発信していこう!

応募要項

【期間】
・応募期間:2024年2月1日(木)から2月29日(木)まで
・応募写真発表:2024年3月中旬
【応募資格】

屋久島の海を多くの人に知ってほしいと思っている方

【応募写真テーマ】

ご自身で撮影した屋久島の海の写真
※ダイビングやシュノーケリング、スキンダイビングなどでの水中写真、浜辺から撮影したビーチの写真など、屋久島の海が写っているものであれば制限はありません。

【応募方法】

①事務局である株式会社オーシャナが運営する海とダイビングの総合サイト「ocean+α(オーシャナ)」の公式SNSアカウントのいずれかをフォロー(Facebookは「いいね!」)。各SNSアカウントは以下の通りです。
・X:@ocean__a
・Facebook:@ocean.a.diving
・Instagram:@insta_oceana

②投稿にハッシュタグ「#屋久島の海」、「#屋久島の海2024」、「#Yakushima」の3つすべてを付け、写真にまつわるエピソードや屋久島の海への想いも一言添えてSNS(X、Facebook、Instagramのいずれか)に投稿
※応募期間中に何度でも投稿いただけます。1回の投稿で複数枚の写真を投稿いただいても構いません。
※抽選対象は、お1人様1作品のみとなります。
※写真の撮影時期に制限はありません。

【景品】

3000円相当の屋久島ギフトを5名様に抽選でプレゼント

【応募写真の発表について】

・応募作品は、2024年3月中旬ocean+αサイト内にて、アカウント名と応募写真を掲載。
・当選者にのみ、ocean+αの各SNSアカウントのダイレクトメッセージ機能(X:メッセージ、Facebook:Messenger、Instagram:メッセージ)でご連絡します。
・景品は、当選者発表後に随時発送予定です。

【フォトイベントに関する問い合わせ先】

ocean+αの各SNSアカウントのダイレクトメッセージ機能(X:メッセージ、Facebook:Messenger、Instagram:メッセージ)にて受付。

【主催】

屋久島町、株式会社オーシャナ

【注意事項】
  • ⚫本フォトイベントの事務局は株式会社オーシャナです。
  • ⚫応募作品は応募者ご本人のみにすべての権利(著作権を含みます)があるオリジナル作品に限ります。
  • ⚫応募作品に人物が写っている場合は、必ずその方の使用許諾を得てから応募してください。
  • ⚫審査期間中は投稿した写真を削除しないようお願いします。削除した場合は抽選対象外とさせていただきます。
  • ⚫非公開設定アカウントでの投稿およびストーリー投稿は選考の対象外となります。
  • ⚫各SNSの利用規約や公序良俗に反している写真、本フォトコンテストの趣旨にそぐわないと事務局が判断した写真は抽選の対象外とさせていただきます。
  • ⚫思想的なメッセージや企業などの広告・看板、個人名などの個人情報が写りこんでいる写真は無効となる場合がございます。
  • ⚫応募作品に関して第三者から権利侵害や損害賠償の異議申し立てなどがあった場合、応募者がすべて対処するものとします。事務局は一切の責任を負いません。
  • ⚫応募作品については、株式会社オーシャナ、屋久島町が応募者の許可を要することなく無償で、入賞作品を展示、雑誌広告、チラシ、パンフレット、その他ウェブ媒体やSNS等に利用できるものとします。
  • ⚫本フォトイベントの抽選結果に関するお問い合わせは受け付けておりませんので、あらかじめご了承ください。
【個人情報に関して】
  • ⚫当選者には本フォトイベントの事務局である株式会社オーシャナが管理するocean+αの各SNSアカウントからダイレクトメッセージでご連絡します。その際、景品発送に必要な氏名や住所といった個人情報をお伺いします。
  • ⚫入賞者からご提供いただいた個人情報は、株式会社オーシャナが取得・保有・管理し、本フォトイベントに関するお問合せ・賞品の発送の目的でのみ利用します。
  • ⚫応募作品は2024年3月中旬からocean+αのサイト内に掲載を予定しています。その際、応募者情報(アカウント名)を掲載します。

Sponsored by 屋久島町
悠久の流れの中で、自然と共に生きる知恵と多様な集落の文化がとけあい、人々の営みが循環・持続させていくことを「まちづくり基本理念」とする屋久島町。住民・集落と行政がこの基本理念を共有しながら、「対話」と「協働」により、それぞれの役割・責任を分担しあう『屋久島スタイル』のまちづくり形態を創りあげ、新しいまちの姿(将来ビジョン)の実現を目指している。
屋久島町にふるさと納税をしよう!

屋久島町ではふるさと納税の資金を使い、海を含めた水辺の保全活動も行っている。返礼品としては本格芋焼酎「三岳みたけ」やおつまみにぴったりのサバ節、屋久杉を使用した工芸品やヤクシカの革小物、地ビールやたんかんなどが用意されているそうだ。潜って楽しい豊かな海を守りながら、屋久島の名産品がもらえる、ふるさと納税「だいすき基金」の詳細は「屋久島町ふるさと納税ウェブサイト」をチェック!

屋久島町ふるさと納税を見る

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【ウミウシ特集 Vol.2】ウミウシの不思議15~謎多き生態、食性、色かたち、ソックリさんまで~

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(写真/堀口和重  4点とも)

「海の宝石」と称されるウミウシには、国内外の様々なダイビングエリアで出会うことができます。Vol.1ではダイバーが会えるウミウシ50種を紹介しましたが、今回の特集では不思議な生態やなぜ派手な色をしているのか、さらにソックリさんまで、ウミウシにまつわれあれこれを紹介します。

ウミウシの不思議な生態

その種数、4000とも5000を超えるとも言われるウミウシの仲間たち。その中には不思議で興味深い習性、行動を見せる種類がたくさんいます。その一部を紹介してみましょう。

①泳ぐんです

「海底を這いずる生き物」という印象が強いウミウシの仲間。確かに砂地や岩場、サンゴ礁、あるいはカイメンや刺胞動物のヤギ類など底生動物の上など、種類によって様々な環境で見られますが、いずれも「地に足がついて」います。でも、中には遊泳するウミウシがいるのです。
前回紹介したミカドウミウシは、スキューバダイバーに最もよく知られたスイマーですが、アメフラシの仲間やメリベウミウシの仲間など泳ぐウミウシは多種います。

泳ぐムラサキウミコチョウ

ウミコチョウの仲間は、翼のような側足を広げてパタパタと泳ぐ。長くは泳げないが、忍び寄る敵から瞬発的に逃れるときや短距離の移動には十分だ。写真はムラサキウミコチョウ(写真/堀口和重)

泳ぐササノハウミウシ

ササノハウミウシ(写真)やコノハウミウシは浮遊性で、一生プランクトン生活を送る。ライトトラップを利用したダイビングでしばしば撮影される。クラゲを食し、大きさは1~2cm(写真/堀口和重)

泳ぐクリオネ

「流氷の天使」と称されるクリオネ(ハダカカメガイの仲間)は裸殻翼足類らかくよくそくるいに属し、北太平洋や北大西洋など寒冷の海で浮遊生活をしている。姿は愛らしいが獰猛どうもうなハンターで、ミジンウキマイマイという浮遊性の巻貝を襲って食べる。大きさ1~2cm

泳ぐ_ヒオドシユビ

ユビウミウシの仲間は遊泳者が多い。特にヒオドシユビウミウシは体をくねらせて活発に泳ぐため、しばしば小魚と見間違えられることもあるほどだ。学名の種小名はanguillaアンギラ(ウナギという意味)で、泳ぎ方が似ていることから名付けられたという

②エビが同居?

ウミウシの体の上に、しばしばエビが乗っていることがあります。その名もウミウシカクレエビ。艶やかな色と模様は美しく、その顔が特撮ヒーローを彷彿させることから、“ウルトラマンエビ”と呼ぶ人もいます。インド-太平洋の熱帯・亜熱帯に分布しますが、伊豆などでも晩夏から冬にかけて姿を見せます。

ニシキウミウシの上にウミウシカクレエビがいる

ニシキウミウシの上にウミウシカクレエビがいるが、3匹も乗っているのは珍しい。伊豆大島にて撮影(写真/堀口和重)

シンデレラウミウシとのツーショット

シンデレラウミウシとのツーショット

エビがウミウシの体表にいる理由は保身でしょう。ウミウシは食感が悪かったり不味かったりで、「積極的に襲われることは少ない」とされていますから、その上にいれば安全というわけです。
一方、ウミウシにとってはエビがいることで特にメリットはないようで、この関係は片利共生とされています(双方に利益があれば相利共生、片方に害があれば寄生)。
また、ウミウシカクレエビはバイカナマコやジャノメナマコなど大型ナマコ類とも共生しています。

③ソーラーパネルあります

植物や藻類は光合成によって、「水と二酸化炭素」から「有機物と酸素」を生み出すことができます。動物にはできない芸当ですが、渦鞭毛藻類(うずべんもうそうるい)を体内に共生させることで、栄養を確保する海洋生物は少なくありません。渦鞭毛藻にとっても安全な隠れ家が得られるなどのメリットがあり、両者は共生関係にあります。
共生藻を体内にもつ海洋動物で最も有名なのはサンゴですが、イソギンチャクやヒドロ虫類、ソフトコーラル類など他にもたくさんいます。ウミウシの中には、それらを餌とすることで自らの体内に共生藻を取り込むものがいます。

また、海藻を餌とする嚢舌類(のうぜつるい)の中には、海藻の細胞内にある葉緑体(光合成を行う器官)を取り込み、利用する種類がいます。ただ葉緑体を保持できる期間は様々で、1週間以上キープするものの多くはゴクラクミドリガイの仲間です。なお、葉緑体は細胞小器官であって生物ではないため、この現象は共生ではなく「盗葉緑体」と呼ばれます。

オオコノハミノウミウシ

オオコノハミノウミウシは、餌とするソフトコーラルから共生藻を自分の体に取り込み、光合成で得られた有機物や酸素を利用する。西部太平洋の熱帯域に生息し、大きな個体は10cm前後となる

チドリミドリガイ

ゴクラクミドリガイの仲間、チドリミドリガイ。餌とする藻類から葉緑体を取り込み(盗葉緑体)、数カ月以上もキープできる。インド-西太平洋の熱帯域に生息し、大きな個体は5cmほどになる

④自切します

自分の体の一部を切り離す行動や習性を「自切(じせつ)」といいます。ミノウミウシの仲間には、触れられただけで背側突起(背中のミノ状のもの)を落とすものがおり、自切後もしばらく動き続けます。トカゲの尻尾切り同様、外敵に対して防御効果があるのでしょう。
また、防御効果とは考えにくい大胆な自切もあります。2021年、奈良女子大学の研究グループが、2種の嚢舌類(コノハミドリガイとクロミドリガイ)は自切したうえで、心臓をもたない頭部側から完全再生できることを報告しました。コノハミドリガイの場合、首元の溝(おそらく自切面)に軽い刺激を与えることで1日以内に自切が生じ、1週間程度で再生が始まるとのこと。ただ、自切が瞬間的ではないため、外敵の目を欺く効果は期待できないでしょう。クロミドリガイでは、体内に寄生生物がいる場合に自切が生じたそうです。

チギレフシエラガイ

チギレフシエラガイは大きな刺激を受けると、背中の模様に沿ってパートごとに自切する。切り離された断片は水中で動き続け、デコイとしての役割を果たす

コノハミドリガイ

コノハミドリガイは首元から自切し、数週間で頭部側が完全再生できることがわかった。その理由はまだ不明だが、これは再生医療に繋がるかもしれない画期的な発見だろう

⑤餌から武器をゲット

クラゲやイソギンチャク、ヒドロ虫類などの刺胞動物の仲間は、その名の通りすべて刺胞をもっています。刺胞はカプセルのような形状の細胞内器官で内部に針と毒液が入っており、刺激を受けると発射します。身を守るための重要な武器なのです。
ところがミノウミウシの仲間の多くは刺胞動物を好んで食べており、驚くべきことに未発射の刺胞を体内に取り込みます。それを背側突起先端にある刺胞嚢(しほうのう)に貯め込み、今後は自分の武器としてチャッカリと再利用。これを「盗刺胞」といいます。

タオヤメミノウミウシ

八放サンゴ類の上に生息するタオヤメミノウミウシ。西部太平洋の熱帯域に分布。1~2cm

カツオノエボシに群がって食べているアオミノウミウシたち

「海の危険生物」として知られるカツオノエボシに群がって食べているアオミノウミウシたち

ウミウシの不思議な食性

多くのグループがあり多種多様なウミウシの仲間ですが、ベジタリアンは少数派。その代表がアメフラシ類で、主にアオサやアオノリなどの緑藻、テングサやユカリなどの紅藻類を食べています。嚢舌類の多くも藻類食で、ブドウガイなど一部の頭楯類(とうじゅんるい)も海藻を食べます。しかし、それ以外のウミウシは動物を食べる肉食派。その一部を紹介しましょう。

⑥狩りをするウミウシ

積極的に獲物を襲うウミウシとして、最も有名なのは「泳ぐんです」で紹介したクリオネでしょう。頭部がパッカリと開き、腕のような触手でミジンウキマイマイを捕食するシーンは衝撃的。ただ、流氷ダイビングでもまず見られないほどレアな瞬間なので、ここでは比較的チャンスがある、伊豆やサンゴ礁に生息するハンターを紹介します。

アオウミウシを捕食するキイボキヌハダウミウシ

キヌハダウミウシの仲間は他のウミウシを襲う。体液を吸うもの、丸呑みするものなど種類によって食べ方は異なる。写真はアオウミウシを捕食するキイボキヌハダウミウシ。インド-西太平洋に分布し、大きさ3~5cm(写真/堀口和重)

袋状の口を大きく広げ、獲物を捕獲しようとしているメリベウミウシの仲間

袋状の口を大きく広げ、獲物を捕獲しようとしているメリベウミウシの仲間。投網のような部分をよく見ると小さなエビが数匹いることがわかる

魚の背に付く黒いものはスミゾメキヌハダウミウシ

魚の背に付く黒いものはスミゾメキヌハダウミウシ。テッポウエビと共生するハゼのヒレを食べるという珍しい食性。西部太平洋に分布、大きさ1cm

⑦エッグイーター

完全栄養食品といえば卵。栄養たっぷりのうえ、逃げることもありません。卵食のウミウシとしてよく知られているものは、チゴミノウミウシの仲間たち。しかも、他のウミウシの卵を食べています。

他のウミウシが産卵した卵塊の上にいるツルガチゴミノウミウシ

他のウミウシが産卵した卵塊の上にいるツルガチゴミノウミウシ。他のチゴミノウミウシ類では、背側突起は餌となる卵の色に由来するが、本種は常に暖色系で先端が暗色となる。西部太平洋に分布し、大きさ1cm前後。

⑧何それ美味しいの?

多くのウミウシが食べる「動物」は、刺胞動物(ヒドロ虫類や八放サンゴ、イソギンチャクなど)やコケムシ類、カイメンやホヤなどの底生動物と呼ばれる、一見植物のように見えるものたちです。あまり美味しそうではありませんが、海底にたくさんあるうえ逃げられることはありません。
ただ、何でもOKというわけではなく、カイメンを食べるウミウシならカイメンだけ、ヒドロ虫類ならヒドロ虫類だけと、種ごとに特定の餌を専門に食べています。体の構造がまったく異なる「餌たち」ですから、ウミウシ側もそれなりの摂餌器官が必要となるのでしょう。

ドーナツマツカサウミウシ

刺胞動物のカヤ類の上で見られるドーナツマツカサウミウシは、「住み家」のポリプを食べる

フサコケムシの仲間の上でよく見つかるツノザヤウミウシ

フサコケムシの仲間の上でよく見つかるツノザヤウミウシ。ただいま食事中のようだ

ウミウシの不思議な色・形

ウミウシには派手な種類が多い、という印象があります。
生物学には、独特の色や模様で「自分には毒がある」「食べてもまずい」とアピールする警告色という概念があり、昆虫などでは実験的に証明されたケースがあります。ただ、ウミウシ単体を取り上げれば派手でも、実際の生息場所では目立たないということは多々あります。例えばレモンウミウシは全身イエローで大変派手ですが、餌とする黄色のカイメンの近くにいるときは目立ちません。警告色ではなく、生息環境に溶け込むためのカムフラージュかもしれません。
多種多様で暮らしぶりも様々なウミウシ、奇抜なデザインの理由は種類ごとに検証する必要があり、一概にはいえないようです。

⑨横並びの69~交接

海に潜ると、しばしば不思議なウミウシの行動を目にします。お互いに横並びなのですが、頭の向きは逆。そして両者の間には何やら腕のようなものが見えて、先端が結合しています。これはウミウシの交接(交尾)と呼ばれる行動です。

クロスジリュウグウウミウシの交接

クロスジリュウグウウミウシの交接。体の右側にある生殖門からペニスを伸ばしている

オオエラキヌハダウミウシの交接

オオエラキヌハダウミウシの交接。横に並んではいるが、頭部の位置は逆にある

ウミウシは巻貝の親戚のため、内臓が微妙に捻れています。そのため、生殖門は体の右側に開口しており、このようなスタイルでの交接となります。また、ウミウシは雌雄胴体。精子を交換し合うことで両者とも産卵が可能です。
なお、アメフラシ類の場合は体の構造が少々異なり、横並びではなく縦に繋がる交接スタイルです。後ろの個体が前の個体に精子を渡し、3匹以上が繋がることも少なくありません。

⑩海底に咲く花~卵塊

ウミウシは卵塊もきれいです。しばしば「海底に咲く花」と称されますが、生息場所で産卵する種が多いため、その種のホスト(宿主(しゅくしゅ))である八放サンゴ類やヒドロ虫類の枝上などでも見ることもあります。

産卵中のアオウミウシ

産卵中のアオウミウシ

ミカドウミウシの卵塊

ミカドウミウシの卵塊

卵から孵化したウミウシの子どもはヴェリジャー幼生と呼ばれ、しばらく浮遊生活を送ります。親とは似ても似つかぬ姿のうえ、貝殻までもっています。ウミウシが巻貝と親戚であることの証拠ですが、ほとんどのウミウシは成長過程で捨ててしまいます。しかし、ミスガイのように成体となっても立派な貝殻を保持するもの、アメフラシ類のように薄い貝殻として体内に残すものなどもいます。

⑪「色々」なニシキウミウシ

ニシキウミウシは成長すると10cm以上になり、インド-西太平洋に広く分布。伊豆半島などでも普通に見られます。体の体側に1対、エラの後ろに1つ、合計3つの突起物があることが特徴で、他種との区別は簡単です。
しかし、その模様は非常に多彩でバリエーションに富んでいるのです。1989年、馬場菊太郎博士による「日本産ニシキウミウシ属の再検討」では、「ニシキウミウシには3タイプの色彩変異がある」とされていますが、実際はもっとあるようです。

※馬場菊太郎博士(1905~2001):日本における後鰓類研究の第一人者。『うみうし通信』107号(2020)によるとウミウシの新種記載は約200種。大きな業績のひとつに、昭和天皇の御蒐集(ごしゅうしゅう)物を解説編纂した『相模湾産後鰓類図譜』(1949年)、同『補遺』(1955年)がある。

ニシキウミウシ

伊豆半島などでよく見るタイプの模様

ニシキウミウシ

「フタイロニシキウミウシ」に似た模様

インドネシアなどで見られる模様

沖縄やフィリピンなどで見られる模様

このように多様な模様のため、かつては本種の幼体を「フルーツポンチウミウシ」、小笠原でしか見られない真っ赤なタイプを「ハナエニシキウミウシ」、赤と紫がきっぱり別れたタイプを「フタイロニシキウミウシ」と呼んで別種としたこともあります(今でも「フタイロ~」「ハナエ~」を別の種とする研究者もいるようです)。
ウミウシの分類は歯舌などの内部形態が重視されるため、見た目の色・模様だけで同定できるとは限りません。

⑫ソックリなワケ~ミューラー型擬態

「毒がある」または「食感が悪い」「不味い」などの理由で捕食されづらい生物同士が互いに似ることを、ミューラー型擬態といいます。捕食者の学習効果が強化されるというメリットがあり、南アメリカでは毒をもつ複数種のチョウが、類縁関係は遠いにも関わらず似通っているという例があるそうです。
そこで、下記のウミウシを見てください。

イロウミウシ科のキカモヨウウミウシ

イロウミウシ科のキカモヨウウミウシ

イボウミウシ科のコイボウミウシ

イボウミウシ科のコイボウミウシ

科レベルで異なる種類ですが、よく似ていませんか? いずれも沖縄などインド-西太平洋に分布しています。背中のエラの有無で識別できますが、パッと見ただけでは難しい。イロウミウシ類もイボウミウシ類も、その体には様々な防御物質があります。互いに似ることで、捕食者が「こいつは食えない」と学習する機会が増え、捕食される率が減ることが期待できるのです。

ウミウシのソックリさん

最後に、ウミウシとよく間違えられる生き物たちを紹介しましょう。

⑬ヒラムシの仲間

ヒラムシは扁形動物という動物グループの一員。体の構造はシンプルで、複雑に進化したウミウシ(軟体動物)とは分類学的にはかけ離れています。
でも、平べったい体で海底を這い回り、しばしば低層にも泳ぎ出すという、その姿や行動からウミウシと間違われる生物ナンバーワン。また、ウミウシとヒラムシとで似通った種類がいるというケースがしばしば見られます。ヒラムシも「不味い生き物」であるため、もしかするとミューラー型擬態なのかもしれません。

ニセツノヒラムシの仲間

ニセツノヒラムシの仲間。派手な模様はまさにウミウシだが、触角やエラなど複雑な器官が見当たらない

体前端のたわんだ部分(触葉)がウミウシの触角を連想させるが、眼点がある程度のシンプルなもの

⑭タカラガイの仲間

巻貝の仲間であるタカラガイは、丸く美しい貝殻をもつことで知られています。通貨として流通した歴史があり、装身具や工芸品に利用されるなど、現在もコレクターが大変多い。
でも、生時は外套膜でクルリと覆ってしまい、貝殻を見せることはありません。この外套膜の形状や模様がウミウシに見えるケースが多々あります。

トラフケボリダカラガイ

ヤギなどの八放サンゴ類の枝上に暮らす1cmほどのトラフケボリダカラガイ。奇抜な模様がウミウシっぽい

ウミウサギガイの幼体

ウミウサギガイの幼体。外套膜にイボウミウシのような突起があり、しばしばウミウシと間違われる

⑮ナマコの仲間

意外なソックリさんがナマコです。といっても、さすがにジャノメナマコやバイカナマコといった大型種が間違われることはありませんが、小さなナマコはしばしばウミウシと勘違いされています。

イカリナマコの仲間

イカリナマコの仲間。サンゴ礁などでは、よくカイメンや岸壁にへばりついているところを見かける

イエローキューカンバーと呼ばれるキンコ科のナマコ

イエローキューカンバーと呼ばれるキンコ科のナマコ。ウミウシのエラのように見えるのは口の周囲にある触手

今回はウミウシの生態や食性、色や形にまつわる秘密、ソックリさんなどを紹介してきましたが、いかがでしたか? 知れば知るほど、その魔訶不思議な魅力にハマるウミウシの沼。ぜひ皆さんも、いろいろなウミウシを海で見つけて観察してみてください。次回は、ウミウシの撮影術、観察のコツなどをお届けします。お楽しみに。

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台湾発フリーダイビングギア「LAZYFISH」を日本代表HANAKO氏が語る

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2018年に誕生した台湾発のフリーダイビングギアブランド「LAZYFISH(レイジーフィッシュ)」をご存知だろうか。メカジキをブランドシンボルとし、独特の世界観やクールなデザインが目を引く新進気鋭なブランドだ。今回、このLAZYFISHのアンバサダー兼日本への販売代理店としても活動するフリーダイビング日本代表選手のHANAKO氏に話を伺いながら、まだ日本では広く知られていないLAZYFISHの魅力を紐解いていこうと思う。

ABOUT HANAKO
フリーダイビング日本代表選手。水中モデル。
幼少期から御蔵島のイルカと共に遊び、素潜りの素養を身につけ、深海への憧れに目覚めフリーダイビング競技を始める。国内外の大会で日本記録を樹立していき、2010年沖縄県で開催されたAIDA世界選手権団体戦では、日本史上初となる世界大会優勝を収める。その後も日本代表「人魚ジャパン」のメンバーとして出場し、チームは同大会で3度世界一の座に輝く。2023年世界最高峰のフリーダイビング大会(海洋競技)「Vertical Blue2023」では、LAZYFISHのフィンで水深90mへ潜り、日本新記録を更新。

LAZYFISH、ブランドの魅力と独自性

LAZYFISHは、2018年に台湾で誕生したフリーダイビング用ギアブランド。ブランドシンボルは、リラックスして自由に泳ぐ優雅さと瞬時に高速で泳ぎだす俊敏性を兼ね備えるメカジキだ。水中を優雅に舞うダンサーを彷彿とさせるこのメカジキの動きを、フリーダイビングの美と力の理想像として、LAZYFISHは今までにない独創の世界観やクールなデザイン、性能にこだわっている

LAZYFISHのアパレル商品のひとつ。背面にブランドシンボルであるメカジキがプリントされた長袖Tシャツ

LAZYFISHのアパレル商品のひとつ。背面にブランドシンボルであるメカジキがプリントされた長袖Tシャツ

ブランド名には、「LAZYFISHのフィンを使うことで、水中での抵抗をほとんど感じず、好きなだけ怠惰になれる。海での冒険を待ち望む、“決して怠け者にならない優美な強さ”」という精神が込められている。

水中で脱力し、怠惰になれる(Photo by Ian.graphy)

水中で脱力し、怠惰になれる(Photo by Ian.graphy)

また、ダイビングは“単なるスポーツではなく、生き方でもある”という信念も持つ同ブランドは、まだダイビングを知らない人もLAZYFISHというブランドと製品を通じてダイビングと出会い、海や自然に近づく体験となり、それが自己探求の旅となることも願っているという。台湾では、フィンや映像投影を用いてまるで水中にいるような空間を表現するインスタレーションで、多くの人のライフスタイルにダイビングを取り入れるきっかけづくりも行なっている。

▶詳細はこちら

HANAKO氏とLAZYFISHとの出会い

編集部(以下、―――)はじめてLAZYFISHと出会ったのはいつでしょうか?

HANAKO氏

2018年5月、なんの前触れもなく「LAZYFISH」からアンバサダーについての連絡をいただきました。そのときに初めてLAZYFISHを知り、ブランドに対して抱いた正直な第一印象は「“LAZY”だなんて、私にピッタリかも」でした(笑)。連絡をいただいた後、たまたま台湾のフリーダイビングウェブメディア「女子的海(ミスオーシャン)」から日本人フリーダイビング選手として台湾でのイベントに招待していただいた時に、台湾でフリーダイビングが盛り上がってきていることを知る機会がありました。これをきっかけにLazyfishのフィンにも興味が湧いてきたので、まずはフィンを試したい旨を返信することにしたんです。

―――アンバサダーになることを即決したわけではなかったのですね。フィンを初めて試したときの感想を教えてください。

HANAKO氏

とにかく蹴り心地が軽いと感じました。今まで私は、足の力がしっかりフィンに伝わるような重めの蹴り心地で、ある程度の脚力を必要とするフィンを愛用していました。その蹴り心地に慣れていた分、そのギャップでLAZYFISHのフィンでの蹴り心地はすごく軽くて、非常に楽に蹴れている感覚で。
LAZYFISHのフィンを使って泳いだタイムをチェックすると、以前使っていたものとタイムは変わらず。疲労感が少なく、楽に速く泳ぐことができたので、試しに変えてみようと思いました。

国際舞台でも戦えるその性能

―――2018年から今もLAZYFISHを愛用されているのですね。使い始めて5年ほど経ったと思うのですが、性能をどのように評価されていますか?

HANAKO氏

性能は抜群だと感じています。

―――昨夏、世界最高峰のフリーダイビング大会(海洋競技)「Vertical Blue2023(以下、VB)」では、LAZYFISHのフィンで日本新記録も更新されていましたね!

HANAKO氏

バイフィン(2枚のフィンを片足ずつ着用するタイプ)での競技種目は2019年から新設されたので、ちょうどLAZYFISHのフィンを使い始めたころからバイフィンでの練習にも専念するようになったんです。VBでは、目標の一つであったバイフィンでの日本新記録更新(水深90m)を達成できて、フィンの性能が確かであることを証明できたと思います。しかし、まだ多くの世界トップクラスの選手たちが、名の知れたヨーロッパ製のブランドを愛用しているので、そことも勝負して世界と戦えるフィンであることを証明したいですね。次は、アジア記録(水深100m)を目指します。

VBでLAZYFISHのフィンとともに日本新記録を更新!(右がHANAKO氏、左はコーチの岡本美鈴氏)

VBでLAZYFISHのフィンとともに日本新記録を更新!(右がHANAKO氏、左はコーチの岡本美鈴氏)

LAZYFISHの3つの特徴

1、弾力性
ブレードには最高品質であるフランス製ピュアカーボンファイバー素材を使用し、独自のカーボンファイバー構造を採用。非常によくしなる弾力性が軽い蹴り心地を実現している。

2、Vカット
サーフボードに見られる「フレックスストリンガー(※)」のコンセプトを採用し、センターにカーボンファイバーが集中するような3D V-Cut構造となっている。フィンの重心を安定させることで、捉えた水を逃がさず、効率的にしっかりと水を捉えることを可能としている。
※ストリンガーとは、サーフボードのボードの中心にある芯のこと。ボードの強度を増すと同時に、しなりやすさをコントロールする役割を持っている。フレックスストリンガーはストリンガーの素材の一種で、サーフボードの場合は木製や繊維強化プラスチックなどで作られている。

3、26°
蹴り心地や推進力に影響する裏面の角度(フットポケットとブレード間)は、フリーダイビングトップ選手の意見を踏まえた改良・開発により「26°(MODEL AIR)」に設定され、究極のパフォーマンスと快適性を実現。

これらの特徴が備わっている背景には、フリーダイビングトップ選手の意見がかなり取り入れられていることが挙げられる。選手からのフィードバックにすぐに対応し、開発・改良を行っているのだ。アスリートの記録を伸ばすために、アスリートに寄り添って、一緒につくっていきたいという強い想いが感じられる。

HANAKO氏に聞いたLAZYFISHのフィン選びのすすめ

フィンにはさまざまな種類があり、選び方がわからないという方もいるだろう。そこで、実際にユーザーでもあるHANAKO氏にLAZYFISHのフィンを選ぶ際に抑えたいポイントを伺ってみた。

1、ブレードの長さ

HANAKO氏

LAZYFISHのフィンにはブレードの長さが76cmの「Pro」63cmの「Air」があります。どちらがいいか一概には言えませんが、大会に出場する選手は一蹴りで大きな推進力を生むProを使い、講習をするインストラクターやトレーニングをする選手は小回りがきくAirを使っている印象があります。ただ、Airで大会に出場し、記録を出している選手ももちろんいますので、自分のキックに合わせて選ぶのが良いかと思います。ちなみにAirだとスーツケースにも入るので、持ち運びも便利です。

左からLAZYFISH Pro 2.0 - Pure Black Carbon Fin、LAZYFISH Air 2.0 - Pure Black Carbon Fin

左からLAZYFISH Pro 2.0 – Pure Black Carbon Fin、LAZYFISH Air 2.0 – Pure Black Carbon Fin

2、ブレードの硬さ

HANAKO氏

ブレードの硬さはソフト、ミディアム、ハードの3種類から選ぶことができます。どの硬さを選ぶかは泳ぐ距離・時間や目指す水深、脚力、好みによっても変わってきます。強いて言えばソフトは、足の力を可能な限りセーブしながら推進力を得たいという方、脚力の弱い方や女性などは特に合っているフィンではないでしょうか。ミディアムやハードなどを選べば、しっかりと蹴っている感じを得たい方や脚力のある男性でも、自分に見合うものを選ぶことができます。
私は、プールと海の両方でソフトを使用して、海で深い水深から上がってくるときも、太ももに疲れを感じずに軽いキックで帰って来られるので自分には合っていると思います。また、LAZYFISHには私以外に3名の男性のアンバサダーがいるのですが、全員がソフトを使っています。
また、体重を参考に選ぶこともできますが、自分の力をフルに活かせるように実際に水中で試してみて感覚を確かめることをお勧めします。

3、フットポケットの種類

HANAKO氏

ブレードがどんなに良くても、自分の足に合わないフットポケットだと、100%の力を発揮できません。原動力となる足と、推進力を生み出すブレードを繋ぐフットポケットがもし大きくてブカブカしていたり、自分のキックに合わない重さだったりすると、足からブレードへと100%の力を伝えることができず、もったいないことになりかねません。だから、フットポケット選びはぜひ自分に最適なものを慎重に選んで欲しいですね。LAZYFISHではフットポケットを「PROBLUE(プロブルー)」と「PATHOS(パソス)」という2種類を用意していて、それぞれ幅や高さなどが微妙に異なります。

PROBLUE Asia Fit

PROBLUE Asia Fit

PATHOS European Fit

PATHOS European Fit

HANAKO氏が愛用するのはLAZYFISH Pro 2.0 - Pure Black Carbon。ブレードの硬さはソフト。フットポケットはPROBLUE。「最高」というステッカーは特別仕様

HANAKO氏が愛用するのはLAZYFISH Pro 2.0 – Pure Black Carbon。ブレードの硬さはソフト。フットポケットはPROBLUE。「最高」というステッカーは特別仕様

LAZYFISHの未来展望

―――最後にLAZYFISHは台湾発のダイビングギアブランドとして、これから日本でどのような存在になって欲しいと思いますか?

HANAKO氏

まだフリーダイビングを知らない人には、LAZYFISHのブランドコンセプトから入って海やフリーダイビングを知ってもらえたら嬉しいです。そして、フリーダイビングを通して純粋に海を楽しみたい方にとっては、LAZYFISHを通じてライフスタイルをより充実させることができると思いますし、特に記録を狙う選手にとっては自己記録を上回れるだけの性能があると自信を持って言えます。記録を狙う多くの選手に使ってもらいたいです。

―――HANAKOさん、ありがとうございました。LAZYFISHでの今後のご活躍も楽しみにしています!

フリーダイビング競技において、フィンは競技の成績にも影響する大事なパートナー。LAZYFISHには国際舞台でも戦えるほどの性能があるが、自分の足に合うかどうかは実際に試してみないとわからないところもある。最高のフィンと出会えるよう、フィンの体験会などで試着してみてから購入を検討してみてもいいかもしれない。

体験会について

LAZYFISHのフィンの体験会では、すべてのフィンを試すことができる。自分に合うものが見つかるよう、HANAKO氏にアドバイスをもらいながら、試せる絶好のチャンスだ。体験会の日時については、決定次第HANAKO氏のSNSにてお知らせ。
▶HANAKO氏Instagram

奄美大島での体験会の様子

奄美大島での体験会の様子

購入はこちらから

▶製品ページ
今なら限定で製品購入時に「hanako-2324 」というクーポンコードを入力すれば5%オフで購入可能。また、購入に際して質問などがあれば、HANAKO氏のSNSなどで対応中。
※パッケージには再利用可能素材を使用。売上の1%は環境保全プロジェクトに寄付されます。

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佐渡の海藻の森が育む生きものたちのドラマ! 2/5、2/12放映「NHK ワイルドライフ」に注目

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コブダイのオス

コブダイのオスは、メスを巡って激しい闘いをする

「ワイルドライフ」は、世界中の自然や動物たちの生態を紹介するNHKの自然番組。2月5日(月)、12日(月)には「日本海 佐渡 巨大魚激突! 命輝く海藻の森」が放映される。撮影・制作協力を担当したのは、奥村康・坂田昌彦・佐藤紗綾香などの水中カメラマンが所属する日本水中映像。同社は数多くのテレビ番組や映画などの水中撮影を手掛けてきている。

番組内容

  • 海藻の森の宝庫・佐渡の海で、生きものたちが圧巻のドラマを繰り広げる。
  • 夏、海藻の森の王者とも呼ばれるコブダイが、白熱のバトル!
  • 1千匹のオキタナゴが、わずか2週間だけ大集結して海藻の森で子どもを出産する。
  • さらに謎だらけの新種の魚を探索。子どもの誕生を世界初撮影した。
  • 凍てつく冬、宝石のように輝く卵を命がけで守る黄金色のアイナメに密着。
  • 四季折々、海藻に育まれる個性豊かな生きものたちが命を輝かせる姿を追う。
オキタナゴの出産シーン

オキタナゴの出産シーン。こんな決定的瞬間も!

豊かな海藻の森が、たくさんの生きものたちを育んでいる

口いっぱいに卵を入れたジョーフィッシュ

口いっぱいに卵を入れたジョーフィッシュの口内保育も見られる

佐渡はダイビングポイントとしても人気があるが、改めてたくさんの生きものがすむ豊かな海であることがわかる内容となっている。また佐渡ならではのたらい舟漁など、海とともに生きる人々の生活も紹介される。ぜひお見逃しなく!

番組概要

番組名:NHKワイルドライフ「日本海 佐渡 巨大魚激突! 命輝く海藻の森」 
放送日:NHK BSP4K:2024年2月5日(月)19時30分から21時
    NHK BS:2月12日(月) 19時30分から21時
番組ホームページ 日本海 佐渡 巨大魚激突!命輝く海藻の森 – ワイルドライフ – NHK

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「ジャパントラベルアワード2024」グランプリは、オーシャナCEOが理事を務めるマリンスポーツ施設「ゼログラヴィティ」!

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観光からより良い社会をつくることを目的に、観光における DEI(Diversity, Equity, Inclusion = 多様性、公平性、包括性)、サステナビリティ、インバウンドへの取組みを審査し、ただの観光地ではない「感動地」に相応しい地域や企業を表彰する「ジャパントラベルアワード」。
なんとこのアワードのグランプリに株式会社オーシャナのCEO・河本雄太が理事を務める、障がい者と健常者が共に安心・安全に楽しめるマリンスポーツ総合施設「ゼログラヴィティ(一般社団法人ゼログラヴィティ / 鹿児島県瀬戸内町)が選ばれた!

グランプリに輝いたゼログラヴィティ

アワード発足3年目の今年のエントリー数は過去最多163件。その中から18の地域や企業がファイナリストに選ばれ、審査員による現地審査を経て、見事グランプリに輝いた「ゼログラヴィティ」。選定理由は、「『ゼログラヴィティ(無重力)』という名前の通り、障害の有無にかかわらず、誰もが大切な人と一緒にマリンスポーツを楽しめる。宿泊施設、ボート、プールも全てバリアフリー。誰もが体験を楽しめる工夫や努力が当アワードの価値観と共鳴し、審査員の心に最も深く響いた。」とある。

審査員コメント

障害を抱える人とそうでない人が一緒に海を楽しむことが可能だと証明したことは、高く評価されるべき。(Travel Massive 創設者 / イアン・カミング)」、

「まさに、ゼログラヴィティな体験。こんなにも誰かを想ったサービスがあることに驚いた。このようなアイデアや活動が、世界を平和へと動かしてくれるのだろうと思えた。(東京都旅行業協会理事・株式会社JOINT ONE 代表取締役 / 伊藤真理香)

最も評価されたポイントは、その特殊性や専門性ではなく、誰もが楽しみを共有できるようにしていること。私たちの生活に喜びを加えてくれるそんな努力こそ、賞賛されるべきです。(ジャパントラベルアワード審査員長 / 本郷アリー)

受賞者 [2024] | JAPAN TRAVEL AWARDS | ジャパントラベルアワード

ゼログラヴィティのコメント

更なる飛躍に繋がるきっかけをもらえたという嬉しい気持ちはもちろんありますが、それよりもこの施設の存在を今まで届けられなかった方々へ、届けるきっかけにしないといけないという、いい意味のプレッシャーが増したように思います。これから更に多くの方にゼログラヴィティを知っていただく努力、感動を得てもらえる努力を続けていきます。ぜひゼログラヴィティを必要とするすべての方に、この施設の存在が届くように、ご協力よろしくお願いいたします。今までゼログラヴィティを利用してくださった方々、応援していただいている方々の支えがあって、受賞ができました。皆さまにこの場を借りてお礼を申し上げます。

「サステナブル部門」には沖縄ダイビングサービス Lagoon


本アワードには、グランプリ以外にもアクセシブル部門、LGBTQ+部門、インバウンド部門、文化部門、ファミリー部門、観光開発部門などいくつかの部門が設けられている。その中のひとつであるサステナブル部門に選ばれたのは、サンゴの植え付けに積極的な沖縄ダイビングサービス Lagoonだ。サンゴ保全を目的としたダイビングの国際的な環境基準「Green Fins」にも積極的に取り組む沖縄ダイビングサービス Lagoonは過去にocean+αでも取り上げてきたダイビングショップだ。

日本初!ダイビングの国際的な環境基準「Green Fins」のアセサー、認定店が沖縄・恩納村で誕生

選定理由として、「珊瑚について学んだ後は、自分で作ったサンゴ苗を海に植え付け。サステナブルな活動に興味があってもなくても楽しめて環境保護に貢献できる。レスポンシブル・ツーリズムの教科書のような魅力的な体験が評価された。」とある。

沖縄ダイビングサービス Lagoonのコメント

受賞にあたり、改めてこの地(恩納村)への感謝と責任を痛感しました。私たちの心が感じるままに、サンゴプログラムの体験を通じて恩納村の人々の想いや背景にある物語、そして「今ある自然を守ること」の大切さを更に伝えていけたらなと思っています。“責任のある観光のプロフェッショナル”の私たちが、海や自然、人を大切に想い行動することで、観光で訪れる人や地元の人の心にも小さな種をまくことができると信じています。今後も「感動地」恩納村と共に活動を続けていきたいです。

多種多様な観光体験がある中で、ダイビング業界から2社が選ばれるという快挙。このことによってダイビングや海に関する観光体験が、より良い社会をつくるために必要不可欠であると、国内外で高く評価されたといっても良いのかもしれない。
1ヶ月後に迫る表彰式には、ゼログラヴィティの理事でもある株式会社オーシャナのCEO・河本雄太も出席予定。現地レポートもする予定なのでお楽しみに!

「東京アメリカンクラブ」にて表彰式を開催

2024年度の受賞者、過去の受賞者、審査員に加え、観光に携わる自治体関係者などが参加予定の表彰式を2024年3月7日に「東京アメリカンクラブ」で開催。受賞者や審査員によるパネルディスカッションも開催されるという。

【開催概要】
・日時:2024年3月7日 (木) 14:00 – 18:00 (開場: 13:45)
・場所:東京アメリカンクラブ New York Ballroom
・対象:ジャパントラベルアワード受賞者、参加者、自治体や企業で観光に携わる方
・申込:事前申込必須 ▶お申し込みはこちらから
・スケジュール
14:00 – 15:00 表彰式
15:15 – 16:15 パネルディスカッション:「観光地から感動地へ」
16:15 – 18:00 交流会
▶ジャパントラベルアワード2024公式ホームページ

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ミラーレス一眼被写体別撮影テクニック「ウミウシ」の撮り方 前編

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AOIの新製品「AOI FLP-09」とOM SYSTEM 社のM.ZUIKO DIGITAL90mmF3.5 Macro IS PROを使ったウミウシ撮影を解説します。使用するカメラはOM SYTEM OM-1。

1月30日にOM-1MarkⅡが発表になりました。皆さんも新しいカメラボディー、気になりますよね?OM-1もOM-1 MarkⅡも同じハウジングAOI UH-OM1に収納可能なので、実は発売前にOMさんからOM-1MarkⅡをお借りしてメキシコで試写してきました。近いうちにその作品もお見せしますね。

今回はウミウシ撮影ということですが、2回に分けてじっくり解説していきます。
前編ではウミウシ撮影向きにカメラを設定していきます。補助光にはLEDライトとストロボ撮影の二つからチョイスが可能です。撮りたい雰囲気、仕上げたい作風に合わせて補助光が選べる可変的なセットアップを紹介します。カメラに装着するマクロ専用レンズの種類と、撮影倍率を上げる秘密兵器「クローズアップレンズ」の色々、ウミウシ撮影に必要なアクセサリーなども紹介していきます。
後編では、カメラの構え方、ストロボ撮影、LEDライト撮影など、海での実際の撮影について解説します。

それでは前編、スタートします。

ウミウシ撮影のためのカメラ設定

「マクロ撮影は絞り値を開いてボケ味を出す」と、どこかで教わった方は少なくないと思います。しかし、水中撮影でマクロ用のレンズを使用した環境&被写体に超接近した撮影手法では、絞りを絞って(Fの数値を大きく)被写界深度を稼がないと、ピントの合う幅が薄すぎて何が写っているのか判らない写真になってしまいます。

がっちり絞って被写体をビシっとシャープに捉えて、背景を優しい雰囲気にフワッと仕上げる。これが清水流マクロ撮影です。

撮影モード

M(マニュアル)

絞り

F11

シャッター速度

1/250

ISO

AUTO/3200

露出補正

±0.0EV

フラッシュ

OFF /LEDライト撮影

ホワイトバランス

水中

フォーカス

マニュアル

カメラ

OM SYSTEM OM-1

レンズ

M.ZUIKO DIGITAL90mmMacro F3.5 IS PRO

ハウジング

AOI UH-OM1

レンズポート

AOI FLP-09

クローズアップレンズ

AOI UCL-09PRO

補助光

AOI USC Q1RC×2 (LED)

グリップ&ブラケット

MPBK-02

アーム&クランプ

AOI AMC-1&AOI CP-02-SLR

では、補助光をストロボ光にするか? LEDライトにするか? どちらにも対応ができるようにカメラをセットアップしています。

AFモード

今回は動きの速くないウミウシ撮影なので、オートフォーカスはS-AFにセットします。

AF+MF設定

AF+MFは、オートフォーカスを動かしながら、このあたりで微調整をしたいと思った時に、フォーカスギアを動かすと自動的にマニュアルフォーカスに変更してくれる便利な機能。再びオートフォーカスを作動させたい場合はシャッターレバーを半押しすると、オートフォーカスが動き出します。

ゴムリング

フォーカスクラッチが動かないように、ポートに付属しているゴムリングをレンズにはめます。フォーカスリングがMFの位置に来ないように、ゴムリングをセットします。このゴムリングを紛失してしまった場合には、太めの輪ゴムなら代用が可能です。

ダイヤルの設定

今回の撮影モードはM(マニュアル)を使用します。マニュアルモード使用時にダイヤルでコントロールしたい項目を選びます。
まず、Fnレバー1の状態で親指側のダイヤルに絞り値、人差し指側のダイヤルにシャッター速度を設定します。

そして、Fnレバー2の状態で親指側のダイヤルに露出補正、人差し指側のダイヤルにフラッシュ補正を割り振ります。

ダイヤルの設定を活かすにはmode1にセットします。

ボタン設定

ウミウシ撮影に便利な機能をボタンに割り振りします。

NightLV

暗い環境でモニターが見づらい場合には、このボタンを押すとブーストが掛かり見やすくなります。

ISO

被写体認識

MF

このボタンを押すとAFが止まり、カメラを前後させて詳細なピント合わせが可能になります。

十字キー

上下左右の十字キーはAFのポジションの移動に割り当ています。

ピーキング設定

ピーキングとはピントが合っている場所をカメラが検出して、「この辺りにピントが合っています」という情報を表示する機能です。オートフォーカス時には表示しないので、今まで見たことがない表示かもしれません。マニュアルフォーカス時にフォーカスダイヤルを動かしている状態で表示になります。赤く染まったような表示です。

ピントの山が触覚周辺にある。

二次鰓にじえら周辺にピントの山がある状態

設定方法は以下の通りです。

撮影時の設定

シャッター速度

1/250

絞り値

f11

ISO感度

AUTO

ホワイトバランス

水中

フォーカスエリア

シングル

焦点距離の長いレンズを使うことになる水中マクロ撮影では、シャッター速度を上げて撮影します。その理由は、手ブレを防ぐためです。レンズが長くなるとカメラが少しでも動いた場合にブレが写ってしまうのを防ぎます。

シャッター速度の基本的な決め方は、1/2fの速度が目安と言われています。M.ZUIKO DIGITAL60mmMacroを例に取ってみると、マイクロフォーサーズ規格60mmは35mm、フルサイズに面積比換算すると120mmになります。

1/2fのfは焦点距離なので1/2×120→1/240になります。ということでシャッター速度は1/250をセットすることになります。M.ZUIKO DIGITAL90mmの場合には1/360になりますが、OM-1のフラッシュON時の最高速度が1/250なので、この場合にも1/250をセットすることになります。

基本設定の確認

OKボタンを押してスーパーコンパネを表示させます。セットアップされた基本設定が表示されます。チェックして見てください。
これと同じになっていますか?

フラッシュのコントロールを選択してONにしてストロボ光撮影モード、OFFにしてLEDライトの撮影モードを選びます。ISOの設定はAUTOを選びます。この設定でフラッシュをONにするとISOは自動でISO200になり、フラッシュをOFFにしてLEDで撮影する場合には撮影環境とLEDの明るさを考慮して自動感度アップする設定です。

今お見せした基本設定では、レンズキャップをはめ込んでいる状態なのでISO感度が上限の6400まで上がっています。

ストロボ使用時にTTL自動調光がうまく作動するようにカメラのフラッシュ設定を確認しておきます。ストロボ光が強い場合には、フラッシュ補正をマイナス側に振っていきます。現在は-0.3EVになっています。

補助光の設定

補助光のQ1RCは左右のボタンを長押ししてパワーONにします。通常の撮影ではダイヤルをRCの位置にセットしますが、今回は極近接撮影になるのでダイヤルはimにセットします。被写体とQ1RCが近い位置にあっても、TTL自動調光が効く素晴らしい機能です。Q1RCとハウジングを接続するケーブルは613芯マルチコアケーブル系をお使いください。複雑なRC信号を伝えるのに必要な条件になります。

LEDを補助光にする場合には、左ボタンを押してLEDの明るさを調整します。3段階の明るさを選ぶことが可能です。Q1RCのLEDはとても明るいので、全力にしなくても撮影は可能です。

ウミウシは光を嫌うので強すぎると逃げ足が速くなります。LED光が拡散しながら優しい色温度に調整されるドーム型ディフューザー「SD-02」は必ず使用してください。

LEDを照射させた状態でストロボを使用した場合に、ストロボ光が光る瞬間にLEDが自動消灯する機能が働きます。暗い環境ではカメラに備わっているNightLVとQ1RCのLEDで被写体を明るく確認できるので、追加でターゲットライトなどの装備は不要です。ターゲットライトをつけると、重くなり取り回しが悪くなってしまいます。

カメラレンズを選ぶ
60mmMCと90mmMCの比較

イメージが把握しやすいイメージカットを見つけました。(OMさんのHPから拝借しています)

(出典:OM SYSTEM

どちらのレンズも目一杯寄った時、写る被写体の大きさは同じです。90mmMCはより遠くから被写体を大きく写すことが可能です。近づいて大きく写せる60mmMCは浮遊物が多い環境でクリアーに写すことが可能になります。

被写体から同じ距離で撮影した場合には、90mmMCは被写体のドアップを狙うのに向いていて、60mmMCは画面の中に被写体を配置しながらスペースを調整する撮影手法に向いています。

撮りたい雰囲気やイメージに合わせてレンズを選ぶのですが、私は生物をやや離れたとこから脅かさずに撮影ができる90mmMCを好んで使っています。実際のマクロ撮影では、30mmMC、60mmMC、90mmMCの3つのレンズから選択します。

撮影倍率/拡大させる力について

レンズの比較

60mmMCと90mmMCでの最短撮影距離の撮影倍率は同じ2倍(35mm換算)、90mmMCのS Macroはピントの合う範囲が限定されますが4倍の大きさに。

60mmMC最短撮影距離

90mmMC最短撮影距離

90mmMC SMacro最短撮影距離

90mmMCのもう一つの魅力はS Macro撮影レンジが搭載され、撮影倍率をレンズ単体で大きく撮影が可能になったことが挙げられます。撮影距離レンジ選択でS Macroにセットすると、遠くにはピントが合わなくなります。しかし、通常の最短撮影距離を割り込んでさらに被写体に接近撮影することを可能にして、その結果被写体を大きく写す機能になります。90mmMCを収納するAOI FLP-09の魅力は水中でもその機能を使用することが可能になり、さらにマニュアルフォーカスコントロール ノブがフォーカスギア無しでダイレクトに操作することができるようになりました。レンズに装備されたFnボタンも操作できるので、90mmMが持つを多機能を水中でもフルに使えることになります。

クローズアップレンズ

クローズアップレンズは、レンズの外側に付ける拡大倍率を上げる秘密兵器です。このレンズをレンズポート先端に装着することで、90mmMCのS Macro的な効果を得られます。クローズアップレンズを付けると倍率が大きくなるのではなく、レンズの持つ最短撮影距離を縮めることで大きく写す効果が得られると理解してください。

このレンズを付けると、遠くの被写体にピントが合わなくなります。つまり、近づける被写体の撮影にのみ効果があるのです。臆病なハゼやハナダイ系の撮影には向かないということになります。

クローズアップレンズの拡大する能力を表記するのには、ディオプターの単位を使います。私たちが普段使っているメガネの度数もディオプターです。この数値がプラス側に大きくなると拡大する力も大きくなりますが、その分被写体に近づかなければならないということになります。

よく質問で聞かれることに「このクローズアップレンズは何倍ですか?」がありますが、カメラについているレンズによって撮影倍率が変わります。14-42mmにつけた場合と60mmMCにつけた場合とでは拡大倍率が変わります。といったわけで何倍か? の問いに回答することは難しいわけです。

多くの方がお使いの60mmMCにAOIの新型クローズアップレンズを装着して、その拡大率の違いを見てみましょう。通常のクローズアップレンズは画面中央部に解像が高く画面の隅に歪みが出るクローズアップレンズ特有の現象が現れます。しかし、AOIの新型クローズアップレンズは、特殊レンズの使用で解像が画面中で均一になるように設計されています。また通過光量減少が少ないレンズ硝材を使用しているので、今までのレンズより軽量で約1〜1/2絞り明るいのも特徴です。

AOI新型クローズアップレンズ

左からAOI UCL-900PRO,UCL-90PRO,UCL-09PRO

60mmMC最短撮影距離

60mmMC最短撮影距離+UCL09PRO.

60mmMC最短撮影距離+UCL90PRO.

60mmMC 最短撮影距離+UCL900PRO.

ウミウシ模型の大きさ

クローズアップレンズが拡大倍率アップに効果的なことが一目で掴めたかと思いますが、いかがでしょうか?

ウミウシ撮影に必要なアクセサリー

正確なピント合わせにフード付き拡大鏡「UMG-01」

UMG-01には視力に合わせて視度調整が可能です。シニアの方はレンズを引き出してご使用ください。私も多分に漏れず老眼が進んでいまして、このUMG-01が手放せないです。どのくらい効果があるか、同じ距離からモニター画面を撮影したものを見てみましょう。

UMG-01無し

UMG-01有り(色滲みは出ますが触覚のギザギザが掴めるほどみやすいです)

といったわけで、今回はかなり盛りだくさんな内容になってしまいました。書き始める前はサクッとシンプルに説明しようと心に誓っていたのですが、少し複雑になってしまいました。すべて理解しなくてもウミウシ撮影は楽しめるので、カメラの設定方法がわからなくなった時にこのページに戻ってきていただけるように、お気に入りに入れておいてくださいね。

次回は実際に海に出て、カメラの持ち方、構え方、浮力調整など撮影に際し、何を気をつければ良いのか? LEDライトとストロボ撮影の違いなどを紹介します。

今月のインスタライブでカメラ設定について詳しく解説していきますので、ぜひご参加くださいね。

インスタライブ

2月7日(水)20:00〜
インスタライブは終了しました。
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「天草うみの学校」森さん×水中写真家鍵井さん×オーシャナ河本が思う、天草の海の魅力とは

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「天草海鮮蔵」で話に花を咲かせる河本(左)、鍵井さん(中央)、森さん

「ニッポンの海と文化」第3話で、水中写真家・鍵井靖章さん、オーシャナの河本雄太と坪根雄大が潜ったのは、熊本県天草の海。そして取材チームをアテンドしてくれたのは、下天草の海を知り尽くしたダイビングショップ「天草うみの学校」の森俊徳としのりさん。

「ニッポンの海と文化」第3話 熊本・天草 本編では鍵井さんの撮りおろし水中写真で天草の海の魅力を紹介した。そしてダイビング取材の後、天草海鮮蔵にて海の幸を堪能しながら、「天草うみの学校」のオーナー森さんと鍵井さん、河本で今回の取材を振り返りながら、天草の海のこと、今回の旅で感じたことについて語っていただいた。

まずは地元の方に天草の海の魅力を知ってほしい

河本雄太(以下、河本)

森さんがご自分の出身地でない天草で「天草うみの学校」をスタートしようと思ったきっかけは何だったのですか?

森俊徳さん(以下、森さん)

結論から言うと、地元の方とのつながりがきっかけです。ずっとお世話になっている天草で何かできることをしたいなって思っていて、独立すると決めた時、天草一択しかなかった。そこで、今まで都市型ショップでやっていたことをやるのではなく、天草の海の中の素晴らしさをまずは地元の人に伝えたいと思いました。地元の人たちに魅力を伝えるためには、いろんな海を知っている人に天草に来てほしいと思うようになりました。あとは、天草の海で活躍できる若い子を育てたいという思いからショップ名に「学校」を入れたんです。

鍵井靖章さん(以下、鍵井さん)

地元の方をターゲットにしようとするのがすごいですね。

森さん

自分のところは、天草市、上天草、下天草の方の割合が半分ぐらいです。意外と盲点だったのですが、地元の方って地元の海がいいって言うのは知っているけど、実際に行動に移して潜る人は少ない。そこで、まずは地元の方に知ってほしいなと思ったのです。

自分が地元の人にダイビングの面白さを伝えたら、その人たちが知り合いや県外の人へ具体的に天草の海の魅力を自分の言葉で伝えてくれる。それが、天草の海の魅力の具体的な発信に、より繋がると思うんです。

対談に少し遅刻してきた森さん。その理由は鍵井さんの写真集を撮影場所であった海鮮蔵の女将さんに見せたかったから。

鍵井さん

ツアーで天草に一緒に来ていたお客さんも、天草の海のフォトコンがあったらいいなって言っていましたよ。

森さん

天草の夕陽のフォトコンはあるけど、海のフォトコンはまだないのでやってみたいですね。

ダイビングだけじゃない、下天草の観光の仕方のすゝめ

――コロナが明け、天草のダイビング事情はどのような状況なのですか?

森さん

主に熊本市内のお客さんを送迎込みで案内するダイビングが20年ほど当たり前だったんですが、コロナの影響で当たり前じゃなくなり、お客さんに直接足を運んでもらわないといけなくなり、徐々にそれが当たり前になってきていました。そこで、今度は、ただ天草に来てダイビングして帰るだけじゃなく、おいしいものを食べたり、素敵な温泉に入って帰ってもらう「ダイビング+小旅行」のスタイルが当たり前になった。そうやって自身の足で下天草までくるお客さんが増えたこともあり、20年前と比べて現地でダイビングの活動をしている事業者が増えていると思います。下天草だけでもアクティブに動いている業者が私以外で4社いますね。

河本

観光で考えると上天草の方が熊本の中心部からも 行きやすく、みんなが行くイメージがあると思う。観光で考えると、行きやすい場所に行きたい環境がある、ということじゃないことが多い。たとえば、自然環境を求めて行こうとするならば、その場所へのアクセスは悪くなってしまうことが多い。でも、だからこそそこにしか無い深みみたいな良さがあるのだと思うから、それをしっかりと来てもらいたい人に発信できるのが理想だと思います。

森さん

アクセスは上天草のほうがいいですが、「海が面白いのは上天草と下天草どっち?」って聞いたら、みんな絶対下天草と答える。そういう意味で、下天草の強みは「日帰りは厳しいけど泊まりだと行きやすい」ところで、泊まる場所ではディープな体験ができるのが良さでもあります。

一度は見たい、牛深の海で見られる「海のお花畑」

河本

天草で一番印象に残った海はどこだったか、鍵井さんと話していたんですけど、森さんどこだかわかりますか?

森さん

サンゴですか?

鍵井さん

ちょっとどこ見ていたんですか!僕がストロボをたいていた回数でわかるじゃないですか〜(笑)。

森さん

ウミエラの群生ですよね。鍵井さんが『にほんの海』という写真集の撮影できた時は、いいウミエラの群生が見せられなかったけど、今回は大当たりでたくさん群生している様子を見せることができました。

天草・牛深の海で見られるウミエラの群生

対談中、鍵井さんの写真集『にほんの海』に掲載されているウミエラを見ながら、女将さんも「海のお花畑みたい」とびっくり。

国内26地域、50ヶ所近くで撮影された水中写真家・鍵井靖章氏の写真集『にほんの海 日本列島海中写真紀行』

森さん

綺麗ですよね。実は、自分は長年天草の海を泳いでいる中でウミエラに全然興味がなかったんですが、鍵井さんの写真を見てこんなに綺麗な生き物だったんだと改めてその魅力を知ることになりました。

熊本地震で助け合った仲間で初ダイビング

――森さんにとってそれぞれつながりがあった鍵井さんと河本さんと今回撮影を通して一緒に潜ってみて、いかがでしたか?

大ヶ瀬でダイビングをしている森さん、鍵井さん、河本の3ショット

天草西海岸で沈船の周りを泳きながら撮影をする森さん(左)、河本さん(中央)、鍵井さん(右)

森さん

大ヶ瀬を潜った時、すごく楽しかったんです。なぜかを考えてみたら、鍵井さんも河本さんもどんな潜り方が好きか知っていて、気心が知れている人とダイビングしていたからなんだと気づきました。だからか、自分もお客目線で海を楽しみながらでダイビングをしていました。

鍵井さん

僕はそうでもなかったけど、森さんずっと楽しかったって言ってましたよね。

一同

爆笑

河本

森さんが言っていることも分からなくないです。一人ひとりあんなに距離をとって泳ぐなんてあまりないですよね。

終始、鍵井さんにいじられながら会話が進む森さん。二人の息はぴったりだ

森さん

距離は空けていたけど、みんなのことが見えていたから、次はこっち移動しようとか先読みして移動できたのも楽しかったのかも。

河本

森さんって都市型のダイビングショップ出身の人だから、一人で複数のダイバーを楽しませないといけないという感覚が強いと思います。都市型のショップの時は、水中写真家の方との接点は、なかったんですよね?

森さん

なかったですね。

鍵井さん

最近僕は都市型ショップの方とお付き合いが多くなりましたが、やはり 現地サービスを利用することが多いですからね。

河本

僕も10年間インストラクターをしていた時は、水中写真家の方のことを知らなくて。オーシャナに関わり始めてから認識したので、もう少し早く写真家さんと一緒に潜る感覚を知っていたらよかったと思うことがありました。

森さん

わかります。鍵井さんとの出会いは熊本地震の時でしたね。震災の時にいろいろしてもらったことが繋がって、今この出会いがあるんだなと感じますね。

河本

元々この企画を始めるとき、天草に行きたいなと目星をつけていたのですが、鍵井さんと森さんが繋がっていることは知らなかったんです。そんな時、鍵井さんのSNSで森さんのところに行っている投稿を見て、「あれ!鍵井さんも繋がっている。これは絶対に天草に行くぞ!」と思ったんですよ。

正直あまり教えたくないダイビングスポット

河本がほぼ見えないぐらいの魚群をなすネンブツダイ。地形と生物ともにハズレがない天草の海

鍵井

ここ数年、天草にダイバー仲間と来ているんですが、 天草の海はあまり情報が発信されていないので「鍵井が行くからついてきた」と言う人が多かったんです。でも、実際潜ってみたら、「沈船」をはじめ、「大ヶ瀬」、「牛深」と本当に外れがないポイントが多くて、みんなむちゃくちゃ満足して帰って行くんですよ。その時、嬉しい反面、逆に言うと別に全員に知られなくてもいいんじゃないかなとも思ったんです。全国区になってたくさんの人が来て海が荒れていくのであれば、天草が好きな人だけに来てもらったほうがいい。そして、その人たちへ最大限のパフォーマンスをして満足して帰ってもらうのがいいのかなとも思います。

森さん

本当そうですね。たくさんのお客さんというよりかは、興味を持ってくれるお客さんに来てほしいと思っています。

―― ありがとうございました。

広島、山形に続き、今回は天草の海を取材したが、同じ日本でも場所によって見どころや海の様子は全く違うからおもしろい。震災がきっかけではあったが、辛い時に助け合った仲間がこの企画を通してタッグを組むこととなったのは感慨深い。天草うみの学校の森さん、ありがとうございました!

熊本・天草で潜るならこのダイビングショップ

天草うみの学校

海に沈む夕陽が美しい温泉街にあるダイビングサービス。地元観光業者や熊本県民のダイバー育成にも力をいれている。エンリッチドエア・ナイトロックスを自社で製造可能で、通常のファンダイビングで常時ナイトロックスを使用できる。代表の森俊徳さんは熊本市出身で、天草の海を潜り続けること25年。「海から生まれたいのちの素晴らしさを天草の海から発信すること」が、自身の役割と使命と考えているそう。ダイビングはもちろん、キャンプやトレッキングといった山に関する活動も行っている。

住所:熊本県天草市天草町下田北563-1

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「喜界島リーフチェック2023」を徹底解剖!サンゴ礁の健康診断とは

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鹿児島県の奄美群島の一つ、喜界島にあるサンゴ礁に関する研究に取り組む「喜界島サンゴ礁科学研究所」が主催、(株)第一リフォームが協賛する「喜界島リーフチェック2023」が10月7日に無事に終了した。

そこでサンゴ礁の保全活動について注目しているオーシャナ編集部は、一般ダイバーが参加できるこのイベントについて詳しく知るべく、喜界島サンゴ礁科学研究所の研究員、鈴木倫太郎(すずきりんたろう)博士(地理学)(以下、鈴木)にお話を伺った。すると、リーフチェック前に研究所で行うサンゴ礁の環境に関する講義、調査後のリーフチェックの調査結果の発表などを通じて、サンゴ礁の環境について深く理解することができる内容となっていることが分かった。そして、記事の最後には「喜界島リーフチェック2024」の開催情報も発表。この記事を読むと、今年のダイビング計画に喜界島を入れたくなるかも。

一般ダイバーをリーフチェックの参加対象としている理由

喜界島では一般ダイバーの参加が可能なリーフチェックが開催されている。それは、サンゴの保全や調査活動に一般のダイバー自体が参画できる機会が少ない中、サンゴ礁環境や保全を目的とした活動を体験してもらうことを通じ、一般の方にサンゴ礁の大切さ、重要さを知ってもらう機会のひとつになってほしいという想いから生まれた。

「サンゴ礁のダイビングにおいて、リーフチェックは科学的な視点と高付加価値な体験を、一般のダイバーの方々に提供ができるプログラムであると感じています。リーフチェックを通じ、より多くの方にサンゴ礁の環境の大切さを理解してもらい、サンゴ礁環境の保全に参画する機会にしていただきたいと考えています」と、鈴木氏は語る。

講義で「サンゴ礁」の基礎知識を学ぶ

「喜界島リーフチェック」では、リーフチェックの意義をより深く理解できるよう、リーフチェック前にサンゴ礁について学べる講義を行っている。そこで、まず本題へと入る前に講義で学べることの一部分を紹介していく。

講義の様子

サンゴの弱点とサンゴ礁が減少する原因

はじめにサンゴ礁について軽く触れておこう。サンゴ礁が発達する温かい海は、「貧栄養」の世界で、生き物たちが生きていくには過酷な環境だ。そんななかで、サンゴなどの光を利用して生きる動物や、海藻(ウミモ)海草(ウミクサ)などの植物が、サンゴ礁という浅い海で太陽の光を効率よく栄養に変換に変換することで、多くの生き物が、その栄養を利用して生きている。

そんな生き物たちの栄養源ともなるサンゴは、他の動物と違って決定的な弱点がある。それは「動けない」ということ。そのため、地球温暖化による高水温、陸域からの農薬や肥料、生活排水による富栄養化などの環境の変化や、ダイバーのフィンキックでサンゴを折ってしまうなどの事象から逃げることができず、死んでいってしまうケースが多いという。

サンゴと人間の関係

そんなサンゴに、私たち人間は知らないところで恩恵を受けているのをご存知だろうか。例えば、サンゴ礁という地形は、天然の防波堤として、強い波から人が暮らす地域を守る役割を果たす。また、私たちはサンゴ礁に暮らす魚や貝や海藻などの多くの食料を得ている。そのほかにも、ダイビングやスノーケルなどのリクリエーションの場としてサンゴ礁を利用しているなど、人間は多くの恩恵をサンゴ礁から受けている。このような恩恵を「生態系サービス」と呼び、私たちはサンゴ礁をはじめとする様々な生態系の恩恵を受けて生活を営んでいるのだ。サンゴ礁をはじめとする自然を守るという事は、私達の生活を守る事にも繋がる。

サンゴを守るためにできること

サンゴを守るためにできることはたくさんあると鈴木氏は助言する。
現在、サンゴ礁環境を脅かす主な要因は二つ。一つは地球規模の温暖化。もう一つはサンゴ礁に接する地域からのストレスだ。多くの要因がサンゴ礁環境を劣化させているが、私たちができることは多くある。一つは普段の生活で二酸化炭素の排出を減らすこと。サンゴ礁から離れた場所でも、生活の中で脱炭素に取組むことは、サンゴを脅かす海水の高水温を抑えることに繋がる。一方で、サンゴ礁を保全するためには、サンゴ礁の状態がどうなっているかをモニタリングすることが重要。サンゴ礁の状態を知るリーフチェックは、サンゴ礁を保全するためには、非常に重要な活動と言える。

いざ!リーフチェックを実施

講義でサンゴ礁環境がどのようなものかを理解することができただろうか。このように、サンゴ礁環境を学び、リーフチェックを行う意義を理解してから実際の調査に臨む。

リーフチェックの調査内容

リーフチェックで調べる項目は3つある。参加者は、調査方法ごとに3つのグループに分かれ、水中で記入ができる調査シートを持って、結果を記録していく。

①魚類調査

水深5mと10mのところに、メジャーで100mずつのラインを引く。そのライン上の空間にいる対象の魚を目で数える。1分間魚を数えたら5m進み数えることを繰り返し行い調査していく。この調査を毎年行うことで、サンゴの周りで群れて生活する対象魚類の増減を知ることができる。

リーフチェックの様子1

②海底に住んでいる生物の調査

海底に設置した100mのラインを中心として、2m50cm幅の間に生息する底生生物をカウントする。対象となる生き物は、オトヒメえび、伊勢海老、シャコガイなど、人間の採取の対象になりやすい生物だ。調査者は、岩の隙間を細かく探しながら対象の生物を調査していく。そうすることで、対象生物の増減を確認しすることができる。

リーフチェックの様子2

③底質(海底が何で覆われているかを調べる)の調査

海底に100mのラインをメジャーでひき、海底がサンゴや海藻、砂や岩など、何によって覆われているかを「砂→岩→サンゴ→サンゴ」というように、ラインに沿って50㎝ごとに判定して記録していくライン上の海底は何が形成されているかを記録していく。最終的に調査対象の海には、おおよそサンゴが何%存在しているかを把握することができる。

リーフチェックの様子3

2023年のリーフチェックの調査結果は?

「喜界島リーフチェック」では、調査が終わった当日の夕方に、参加者へ調査結果を発表し、調査結果を専門家と共に検証する。今回の調査結果からは、サンゴの被度も例年と比べて大きな変化もなく、サンゴを食べるオニヒトデや貝、また白化したサンゴや病気にかかったサンゴも確認されなかった。また、急激に増えたり減ったりした底生生物や、魚類も認められなかったことから、調査範囲のサンゴ礁の状況は大きな変化も無く健全な状態であったそうだ。

リーフチェックを実施している喜界島の荒木海域では、445年以上生きる大きな塊状ハマサンゴが見られる。また、島の北側に位置する小野津海域では、世界最北とされるアオサンゴの群生が広がる。喜界島は希少なサンゴを中心に多様なサンゴ礁生態系が広がる喜界島では、今後もサンゴ礁のモニタリングを継続することが重要だ。

リーフチェックを行い続けることの大切さ

リーフチェックとは、サンゴ礁の状況を調べる健康診断(モニタリング)である。サンゴ礁を保全するためにはサンゴ礁環境の変化を把握し、その変化がどのような原因によって起こるかを把握することが重要だ。そのために、毎年同じ場所でサンゴ礁の状態を調べることにより、サンゴ礁環境の変化を把握し、その変化の原因を知ることが、サンゴ礁保全の具体的な対策を講じる重要なヒントとなるからだ。

鈴木氏から読者へのメッセージ

「まずは、調査でなくてもダイビングでも良いので、喜界島にぜひ訪問してほしいです。キカイブルーと言われている海は透明度が抜群です!また、サンゴ礁環境を守ることにお力添えいただけると嬉しいです。できるところからご協力をどうぞよろしくお願いいたします」。

サンゴ礁を見るだけなく実際に調査することで、サンゴ礁の大切さだけではなく、海の大切さや自然の尊さも体感することができる。リーフチェックに参加して、サンゴ礁や喜界島の魅力に触れてみてはいかがだろうか。

2024年は5月17日〜18日に開催が決定。開催内容や応募方法などの詳細は、喜界島サンゴ礁科学研究所までお問い合わせください。
mail@kikaireefs.org

喜界島リーフチェック2023参加企業・事業者
協賛:(株)第一リフォーム
協力:BLUE OECEAN、NAPS、OASIS、ヨネモリダイビングサービス、BSAC Japan、(株)キヌガワ

【プロフィール】NPO法人喜界島サンゴ礁科学研究所
世界でも稀少な隆起サンゴ礁で形成された喜界島にあるサンゴ礁研究に特化した研究所である。「100年後に残す」を理念とし、国際的なサンゴ礁研究拠点として、地球規模での気候変動解析と未来予測のために必須である一次記録を次世代に残すための事業を展開している。
2018年から、喜界島におけるリーフチェックを主催しており、喜界島のサンゴ礁保全に積極的に貢献している。

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ガイコツパンダホヤが新種だと判明! 学名も“骨のパンダ”に!?

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パンダと骸骨にそっくりな不思議な生き物「ガイコツパンダホヤ」が、新種であることが北海道大学大学院より発表された。新種だと発見したのは理学院博士後期課程3年の長谷川尚弘氏で、なんとSNSの情報が発見の契機となったという。

ガイコツパンダホヤとは?

ガイコツパンダホヤは沖縄県久米島の海域で多くみられるホヤ。2017年頃、久米島のダイビングショップのウェブサイトで紹介されたのをきっかけに、その見た目からガイコツパンダホヤの名前で親しまれてきた。主にTwitter(現X)で話題となり、テレビ番組でも取り上げられるほどの人気を博している。

北海道大学の研究により
その正体があきらかに

ホヤの仲間は全世界で約3,000種、日本国内では約300種が知られているが、ガイコツパンダホヤの正体はこれまで謎に包まれていた。長谷川氏と指導員である柁原宏教授は、2021年3月に久米島海域でスキューバダイビングでの調査を行い、ガイコツパンダホヤの採取に成功。そこから解剖や系統解析を実施した結果、ガイコツパンダホヤはツツボヤ科(Clavelinidae)、ツツボヤ属(Clavelina)に属する新種であることが明らかになった。

新種の名前は、ラテン語で「骨の」を意味するossisと、「パンダの」を意味するpandaeを組み合わせたClavelinaクラベリナ ossipandaeオシパンダエと名付けられた。

新種発見はSNSがきっかけに?

長谷川氏によると、SNSやメディアによる情報が研究者に届けられた結果、新種の発見に繋がったことは特筆すべき点だという。つまり、誰もが新種の発見者になれる可能性があるということだ。一方でSNS上での生物情報は、乱獲や生息地の破壊につながる恐れもあると警鐘を鳴らしている。生物多様性の保全に努めながら、地道にそこに棲む生き物たちの生物多様性を解き明かしていく必要性があるのだ。

さらに、この研究は、学術系クラウドファンディングやJST次世代研究者挑戦的研究プログラムの支援を受けて行われた。ガイコツパンダホヤの新種認定は、研究者とダイバーをはじめとする一般市民が協力することの大切さを示す一つの例であり、今後の研究に大きな期待が寄せられている。

▶詳細は北海道大学HPより

\変なホヤ、珍しいホヤを見つけたら長谷川氏までご連絡を→長谷川氏Xアカウント:@hoyahoy11532152/

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【出展社募集中】日本初のアジア最大級ダイビング展示会が10月に東京開催決定

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アジア最大級のダイビング展示会「ASIA DIVE EXPO」の日本版「ASIA DIVE EXPO JAPAN 2024(ADEJ)」が2024年10月25日(金)から27日(日)まで、東京ビッグサイト南ホールにて、開催されることが決定した。

ADEJとは?

「ASIA DIVE EXPO」は、アジアでもっとも規模が大きく、長い歴史を持つダイビング展示会であり、2024年には30周年を迎える。これまでシンガポール、中国、インド、マレーシア、モルディブで成功を収めてきたこのイベントが、朝日新聞社とUnderwater360の共同主催により、日本のダイバーに向けて初めて開催されるのが、「ADEJ」だ。

「海とダイビングの祭典」がコンセプト

本イベントのコンセプトは「海とダイビングの祭典」。会場には、ダイビングに関する商品やサービスを紹介するブースのほか、海に親しみ、学び、考える、参加型コンテンツが多数用意される。ステージでは、海洋プラスチック問題や気候変動、生物多様性などをテーマに、著名ダイバーやタレント、学識者らが出演する講演も。そのほか、海を身近に感じられるワークショップも複数開催される。

出展者募集中!

「ADEJ」では、ダイビング関連の商品やサービスを展示する出展者を現在募集中。日本国内のダイバーはもちろん、海外からの来場者や、同時開催されるGOOD LIFE フェア、BIOFACH JAPANを訪れる方も来場者として見込まれる。実際に、2023年のシンガポール開催時には、22,508人が来場し、40%が国外からの来場者だったという。新しいダイビングの情報を求めている日本人や、海外の方へダイビングの情報を伝えたいという企業やダイビングショップにはうってつけの場ではないだろうか。

ASIA DIVE EXPO JAPAN 2024開催概要

会期:2024年10月25日(金)~27日(日)
会場:東京ビッグサイト 南ホール
主催: 朝日新聞社、Underwater360
協力:レジャーダイビング認定カード普及協議会、日本スクーバダイビング協会、スクーバダイビング事業協同組合
同時開催:GOOD LIFE フェア、BIOFACH JAPAN
出展規模:70社/120ブース(予定)
出展料:418,000円(税込み)~
出展申し込み締め切り:2024年5月31日(金)
来場予定:30,000名(同時開催展含む)
公式サイト:https://adex.asahi-expo.jp/

\オーシャナではADEJのオフィシャルサポートをしています/
出展に関するお問い合わせや、出展と合わせた販促物制作やocean+αでのPRを承っています。お気軽にフォームよりお問合せください。
問い合わせフォーム

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【現地レポート】公募で集まった一般ダイバー4名がリブリーザーに挑戦してみた!果たして結果は!?

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Mares(マレス)のセミクローズドリブリーザー「HORIZON(ホライゾン))」。ocean+αでも度々取り上げてきたが、その良さをさらにもっと伝えるため、まだHORIZONの凄さを知らない人に実際に体感してもらおう!ということで、昨年秋、ocean+αと、東京のダイビングショップ・アクアクエストの澤田淳さん、愛知のダイビングショップ・ダイブコンシェルジュサガワの佐川純さんとの共催で、限定4名のリブリーザー体験会「TRY SCRコース@西伊豆」を開催した。参加者を募ったところ、すぐに満席…!

そして、昨年11月、満を持して開催!現地に同行したocean+α編集部のセリーナが、リブリーザー未経験者の4名がどのような感想を抱くのか、その様子をレポートしたいと思います!

ちなみに、今回共催した澤田さんと佐川さんはHORIZONダイバーを多く生み出しているHORIZONインストラクターで、澤田さんはHORIZONインストラクターを認定できるインストラクタートレーナー。

リブリーザとは?

「Re Breath(リブリーズ)=再呼吸」の名のとおり、自分の吐いた息を無駄にせず、もう一度自分が吸う空気として再利用できる機能を持つダイビング器材(※)。その中のひとつであるHORIZONは、ダイビング中、常に付きまとうあの「ボコボコッ」とした自分の排気音が聞こえなくなり生き物に普段(自分の呼吸が排気されるオープンサーキット)より近づけたり、長時間潜れたりと、実はダイビングを楽しむうえでのメリットがたくさん。

※酸素濃度の高いガス(下図参照)を定量で流して酸素を補充する仕組み。リブリーザーには、大きく分けて「CCR(クローズドサーキットリブリーザー)」、「SCR(セミクローズドリブリーザー)」の2種類あるが、HORIZONはSCR。
今回は酸素濃度が32%のエンリッチド・エア・ナイトロックスを使用する

今回は酸素濃度が32%のエンリッチド・エア・ナイトロックスを使用する

今回の参加者は、東京と埼玉から集まったリブリーザー未経験者の4名。TRY SCRコースで行う内容としては、学科講習とプール/限定水域での実習の2つに大きく分けられる。通常、TRY SCRコースでは、一定の条件を満たしていれば、学科講習とプール/限定水域実習・海洋実習を最短1日で体験できてしまうのだが、今回は場所と時間の関係で、学科講習とプール/限定水域実習・海洋実習を別日で開催した。

HORIZONの講習

SCRダイビング・コース SCR EXTENDED RANGE アップグレード・コース SCR EXTENDED RANGE ダイビング・コース TRY SCR(Mares Horizon)
最大潜水可能深度 30m 30 → 40m 40m 12m(プール/限定水域の経験後 海洋にて実施可)
最低必要日数 4日間(学科・プール・海洋実習4本) 3日間(学科・プール・海洋実習2本) 6日間(学科・プール・海洋実習6本) 1日
前条件  18歳以上
アドバンスランク以上のCカード
24本以上のダイビング経験
エンリッチド・エア・ナイトロックス40 ダイバーSP
ディープ ダイビングSP
18歳以上
SCR ダイビング(Mares HORIZON)
18歳以上
アドバンスランク以上のCカード
24本以上のダイビング経験
エンリッチド・エア・ナイトロックス40 ダイバーSP
ディープ ダイビングSP
16歳以上
アドバンスランク以上のCカード
経験本数12本以上

学科講習でHORIZONの基礎知識を学ぶ!

参加者は、学科講習の数週間前、本コースを提供するダイビング指導団体「SSI」でのアカウントの作成と、そのSSIアカウントに付与される自主学習用トレーニング教材で、事前にHORIZONの基礎知識を学んでおく。その自主学習した内容の理解をさらに深めるため、この学科講習で、インストラクターがHORIZONの特徴や構造、器材操作の注意点、専用のダイブコンピュータ(コントローラー)、使用するガスとHORIZONに搭載する二酸化炭素吸収作用のあるスクラバー剤などについて、約1時間かけて説明をしていく。

上段左から、アクアクエスト・澤田さん、ocean+α・セリーナ、ocean+α・スイカ 中段左から、参加者・水鳥さん、参加者・小山さん、参加者・石川さん 下段左から、ダイブコンシェルジュサガワ・佐川さん、参加者・山下さん

上段左から、アクアクエスト・澤田さん、ocean+α・セリーナ、ocean+α・スイカ
中段左から、参加者・水鳥さん、参加者・小山さん、参加者・石川さん
下段左から、ダイブコンシェルジュサガワ・佐川さん、参加者・山下さん

学科講習で学ぶHORIZONの構造について、澤田さんに解説してもらいながら理解を深める(教材一部抜粋)

学科講習で学ぶHORIZONの構造について、澤田さんに解説してもらいながら理解を深める(教材一部抜粋)

Cカードを取得する「SCRダイビングコース」の場合は、学科講習でHORIZONトレーニングマニュアルの8章まで行うが、TRY SCRコースではHORIZONの基本の基を学ぶ2章までを学習する。
この学科講習を終えて参加者は、「自主学習で読んだトレーニングマニュアルの内容は、簡略化されている部分も若干あったのですが、その部分を澤田さんから解説していただけたので疑問点を解消できました。とてもわかりやすかったです」と、理解も深まった様子。

ここで参加者4名に、リブリーザー体験会に参加しようと思った理由を伺ってみたので、ご紹介したい。

水鳥さん

ダイビングを始めたのは20代だったのですが、途中ブランクもあり、65歳のときに復帰しました。ダイビング復帰の際、ocean+αのスイカさんのHORIZONの記事も読んでいたのですが、今の私には高嶺の花と感じていました。しかし、今回のTRY SCRコースは、私でも手が届く範囲なのだと感じ、申し込みました。今からワクワク・ドキドキしています。
小山さん

ダイビングは、今回一緒に参加する山下さんと大学のダイビングサークルで潜ってきました。今まで伊豆半島や伊豆諸島、沖縄などでダイビングしてきました。魚に近づけるリブリーザーに魅力を感じて、ずっと気になっていました。リブリーザーを使うことで、初めて水中で呼吸したときの感動をまた得られるのではないかと期待しています。
山下さん

過去に伊豆半島・大瀬崎で潜ったときに知人のガイドからリブリーザーの話を伺って以来、ずっと興味がありました。友人の小山さんから、今回のリブリーザー体験会があるというのを聞いて、参加してみようと思いました。リブリーザーに対する知識がほぼないので、いろいろ質問させてください。楽しみにしています!
石川さん

他メーカーのリブリーザーをダイビングイベントで見たことがあり、ずっと気になっていたので、今回体験したいと思いました。

参加者それぞれ、ダイビングに新たな刺激を求めて、今回のリブリーザー体験会に参加していただいたよう!

待ちに待ったリブリーザー体験、当日!

会場は西伊豆・獅子浜。天気はあいにくの曇りだが、風は無く、海も穏やかだ。朝9時、4名の参加者たちも現地に到着し、澤田さんと佐川さんとオフラインで初めてご対面!参加者たちが、この日を心待ちにしていたことが、その表情からも感じられる!

獅子浜の海の目の前に位置する「獅子浜ダイビングサービス」

獅子浜の海の目の前に位置する「獅子浜ダイビングサービス」

海況は非常に穏やかで、安全にHORIZONを楽しめそうだ

海況は非常に穏やかで、安全にHORIZONを楽しめそうだ

参加者もこの日を楽しみにしていたようだ

参加者もこの日を楽しみにしていたようだ

参加者たちが持参した器材を器材セッティングエリアに置きにいくと、そこには、すでにセッティングされたHORIZONがズラッと6台も!思わず「お〜〜!」という歓声があがる。

※Cカードを取得する「SCRダイビングコース」の場合は、器材のセッティングなども受講生自ら行うが、TRY SCRコースではインストラクターが行う。

HORIZONが6台も並ぶと、かなりの存在感がある!

HORIZONが6台も並ぶと、かなりの存在感がある!

HORIZONを装備し、水中に行く前に、学科講習で学んだ内容を少しおさらい。いよいよHORIZONを体験できるワクワクとドキドキ感が高まってきている様子。

澤田さんからの説明を真剣に聞く

澤田さんからの説明を真剣に聞く

ここから、実際にHORIZONで潜るための器材セッティングを行なっていく。TRY SCRコースでは、器材セッティングの項目のひとつであるプレジャンプチェックを体験できる。HORIZONが正常に動作するか陸上で確認する作業のことを指し、HORIZONに使用するエンリッチドエアを流し込み、コンピュータの設定と酸素濃度が合っているか、センサーが正常に作動するかなどをチェックするのだ。実はこの初めの手順が慣れないうちは苦労することも多い。というのも、初めにカメラの水没チェックでハウジング内部の空気を抜いて陰圧にするように、HORIZON内部の空気を抜いて密閉状態を確認するのだが、これを口で行うのだ。マウスピースをくわえ、口から吸って、鼻から空気を出す動作を素早く行う。失敗するとやり直し。今回の参加者はスムーズにできたのだろうか…?

まずはインストラクターがプレジャンプチェックのお手本を見せる

まずはインストラクターがプレジャンプチェックのお手本を見せる

参加者たちも興味津々

参加者たちも興味津々

HORIZON専用のダイブコンピュータのモニターを見ながら、HORIZONが問題なく動作するか確認

HORIZON専用のダイブコンピュータのモニターを見ながら、HORIZONが問題なく動作するか確認

参加者もプレジャンプチェックに挑戦。まずはHORIZONが密閉状態になっているか、マウスピースから空気を吸って確認する

参加者もプレジャンプチェックに挑戦。まずはHORIZONが密閉状態になっているか、マウスピースから空気を吸って確認する

HORIZONが問題なく動作するかダイブコンピュータのモニターを見て確認

HORIZONが問題なく動作するかダイブコンピュータのモニターを見て確認

見事一発で確認成功!よかった〜!

見事一発で確認成功!よかった〜!

プレジャンプチェックは慣れていないと、焦ってしまったりしてうまく行かないこともあるが、今回の参加者はみんな一発で成功するという優秀っぷり!オープンサーキットのダイビングではやらない工程を初体験し、慣れないながらも楽しめている様子!

プレジャンプチェックを含む器材のセッティングが完了したら、いよいよ装着していく。

専用のダイブコンピュータに繋がるホースやマウスピースに繋がるホース、シリンダーに繋がるホースなど、オープンサーキットでのダイビングよりもホースの数が多いので絡まらないように注意しながら背負っていく

専用のダイブコンピュータに繋がるホースやマウスピースに繋がるホース、シリンダーに繋がるホースなど、オープンサーキットでのダイビングよりもホースの数が多いので絡まらないように注意しながら背負っていく

背負い上げて、オープンサーキットで使うBCのようにバックルをはめていく

背負い上げて、オープンサーキットで使うBCのようにバックルをはめていく

複雑なホースに少々戸惑う様子もあったが、難なく装着完了!HORIZON自体は思ったよりも軽かったとのこと。全身ブラックでかっこいい!

複雑なホースに少々戸惑う様子もあったが、難なく装着完了!HORIZON自体は思ったよりも軽かったとのこと。全身ブラックでかっこいい!

早速、プールでHORIZONの感覚を体験してみよう!

潜る直前(※)に酸素を補充するためのガスが入ったシリンダーを左脇に取り付ける ※酸素を補充するためのガスが入ったシリンダーをつけて、長距離移動するのは大変なので

潜る直前(※)に酸素を補充するためのガスが入ったシリンダーを左脇に取り付ける
※酸素を補充するためのガスが入ったシリンダーをつけて、長距離移動するのは大変なので

いざ、エントリー!

いざ、エントリー!

初めてのリブリーザー体験はいかがだろう…?と編集部も見守る。水深2.5mのプールで自由に泳ぎながらリブリーザーでの中性浮力の感覚に少しずつ慣れていく。ちなみにこのプールの水には海水を利用し、実際の浮力とほぼ同じ感覚を実現している。

リブリーザーならではの浮力の感覚に参加者は中性浮力を取るのに苦戦しているよう

リブリーザーならではの浮力の感覚に参加者は中性浮力を取るのに苦戦しているよう

普段のオープンサーキットと違い、リブリーザーは肺での浮力調整ができない。そのため、主にBCで浮力調整をするのだが、予想よりも浮いてしまったり、沈んでしまったりとコツを掴むのが難しい。何百本と潜っている経験豊富な参加者でさえ、着底してしまったり、浮上してしまったりと、最初はてんやわんやしている様子も伺えた。また、HORIZONは体を立てると呼吸抵抗を感じやすくなるため、水平姿勢を意識するのだが、中性浮力を取りながらピタッと動かずその姿勢を取るのも至難の業。

15分ほど練習していると、参加者の中には中性浮力を掴む感覚に慣れてきた方も…!

想像以上に参加者の上達が早く、水平姿勢で綺麗に中性浮力を取れている!

想像以上に参加者の上達が早く、水平姿勢で綺麗に中性浮力を取れている!

HORIZONでの初めてのダイビング。呼吸によって浮力が調整できないので不慣れさもありながら、新しい感覚を楽しめている様子。笑顔もあり、編集部も一安心!

HORIZONでの初めてのダイビング。呼吸によって浮力が調整できないので不慣れさもありながら、新しい感覚を楽しめている様子。笑顔もあり、編集部も一安心!

30分ほど、プールで動きのイメージを掴んだ後は、いよいよ待ちに待った海での体験へ!

海をバックに、かっこよくキメる

海をバックに、かっこよくキメる

リブリーザーの醍醐味でもある、静寂な水中体験ができること、魚に近づけることを体験しにいこうではないか!早速ゆっくりとエントリーしていく。

ロープを使ってゆっくりと潜降していく

ロープを使ってゆっくりと潜降していく

デザイン性にもこだわって作られているHORIZONは後ろ姿もかっこいい

デザイン性にもこだわって作られているHORIZONは後ろ姿もかっこいい

プールでの練習のかいもあり、落ち着いて水中遊泳できている様子

プールでの練習のかいもあり、落ち着いて水中遊泳できている様子

プールよりも水深の深い10mほどの場所でも、中性浮力を取ってみる

プールよりも水深の深い10mほどの場所でも、中性浮力を取ってみる

こちらは、水底にひそむハゼへの接近を試みている様子。オープンサーキットよりも近づけたかな…?

こちらは、水底にひそむハゼへの接近を試みている様子。オープンサーキットよりも近づけたかな…?

TRY SCRコースでは、海洋実習での最大水深は12m。40分ほどの水中遊泳の中で、水中生物への接近を試みてみたり、中性浮力でピタッと止まれるか試してみたり、各々楽しめたのではないだろうか。

チームHORIZONで記念撮影。写真撮影では、中性浮力を取ってピタッと止まる能力が求められるが、1回目ではなかなか難しかった様子(笑)

チームHORIZONで記念撮影。写真撮影では、中性浮力を取ってピタッと止まる能力が求められるが、1回目ではなかなか難しかった様子(笑)

陸に上がって、初めてのHORIZONの感想を一人ひとりに聞いてみた!

水鳥さん

最初、立ち姿勢気味で呼吸をしてしまっていたのですが、水平姿勢を取ると、呼吸がすごく楽で、陸で呼吸しているのと同じ感覚でした。途中でマウスピースにあるレバーを操作してオープンサーキットに切り替えると、「自分の呼吸音ってこんなにうるさいんだ」と驚きました。HORIZONは呼吸音がしない分、魚が全然逃げませんでしたね。オープンサーキットでは寄ってこない感じがありますが、魚もこちらに興味を持ってくれている様子で、魚と親身になれる感覚がありました。一方で、水中の音に関しては、もっと音の無い世界かと想像していましたが、他ダイバーが多かったこともあり、けっこう泡の音がしましたね。
それから、私はオープンサーキットのとき、喉が渇かないようにバイオフィルターを使っていますが、HORIZONはそれに匹敵する保湿された暖かい空気を吸うことができました。
遊びの幅を広げるためにもまた使ってみたいと思いました。たとえば、熱海の沈船は、全長80m、水深は20mなので、オープンサーキットだと、減圧不要限界がすぐにきてしまうのでじっくり見られませんが、HORIZONだとゆっくりと見られそうですね。
山下さん

静かなのが一番よかったです。レバーを操作してオープンサーキットに切り替えたときの自分の呼吸音がうるさく感じました。このHORIZONで魚の群れとかに近づいてみたいですね!
中性浮力に関しては、なかなかコツを掴むのが大変でした。オープンサーキットでのダイビングでは、自分の呼吸(肺)で浮力を調整することが多いので、HORIZONでも、つい癖で、呼吸で浮力を調整しようとしてしまいました。シビアな浮力調整が必要だなと思いました。
小山さん

普段のオープンサーキットでは、呼吸をすると浮力が変わるので、呼吸している感覚があったのですが、HORIZONでは、呼吸をしても浮力は変わらないですし、しかも呼吸抵抗が限りなく少なくて、陸と同じようにスムーズに呼吸ができすぎたので、いい意味で呼吸のしがいがありませんでした(笑)。中性浮力ももっと慣れたら、その場でピタッと止まることができたら気持ちいいんだろうなと思いました。
TRY SCRコースでは最大水深12mまででしたが、SCRダイビングコースのCカードを取得して、水深30mまでいくと水中の音はどれだけ静かになるのだろう、と気になりました。魚がたくさんいるポイントでどれだけ魚に近づけるかも、もっと挑戦してみたいですね。
それから、気づいたのは、水中で泳ぐときの抵抗が少ないことです。HORIZONにはホースがたくさんあるので、水中で泳ぐときには抵抗がありそうだなと思って、キックをたくさんして泳いでみたのですが、意外にも抵抗が少なくてかなり進めました。HORIZONの背面部が流線型になっているので、それが理由なのかな?今回はドライスーツでの体験だったので、次回は動きやすくてキックしやすい、ウエットスーツでも試してみたいと思います。
石川さん

普段はBCをほとんど使わずに、呼吸で浮力を調整していたので、HORIZONへの空気の出し入れの微調整が大変で、なかなかうまく中性浮力が取れませんでした。もう少し練習すれば、快適に潜れるようになりそうです。空気が暖かく湿っているので、普通に潜るより寒くないし、喉が渇かないのは嬉しいですね。
ただ、エントリー前の器材セッティングに時間がかかる印象はありました。オープンサーキットのダイバーと一緒だと待たせちゃうのかなとも思いましたが、HORIZONでは1ダイブを長くできるので、オープンサーキットのダイバーが2ダイブ行く間に、長い1ダイブをすれば効率的なのかなと思いました。

楽しく充実した1日はあっという間。イメージよりも驚いたこと、難しかったことなどさまざまあったと思うが、ダイビングの新しい刺激になったことはきっと間違いないはず!今回、澤田さんと佐川さんからも初体験にしては、かなり上手だったとお褒めの言葉をいただいた。「いろいろと戸惑いはあったと思いますが、練習すればどんどん慣れていき、上達するはずです。今回の新しい体験が、ダイビングをより楽しくしてくれるといいですね」と話した。

本記事を読んで、今回のようにまずは手軽にHORIZONを試してみたい!という方は「TRY SCRコース」に挑戦してみよう!もちろん、最初からCカードを取得する「SCR Divingコース」でもOK!アクアクエストでは、アクアクエストでのCカード取得者を対象にHORIZON器材を手軽にお得にレンタルできるサブスクプランも実施中。この機会にぜひ詳細を、アクアクエストとダイブコンシェルジュサガワのホームページでそれぞれチェックしてみよう!
▶アクアクエストのHORIZONコースについて詳しく知りたい方はこちら
▶ダイブコンシェルジュサガワのHORIZONコースについて詳しく知りたい方はこちら

Diving Lounge aqua QUEST
アクアクエスト
巣鴨駅から徒歩3分!レンタル器材無料や器材預かり、プライベートスケジュールなど、初心者もベテランも続けやすいサービスでダイビングライフをサポートする。HORIZONをいち早く取り入れ、サブスクプランやトレーニングを開催している。
東京都豊島区巣鴨1-31-6
TEL:03-6906-8177
FAX:03-6906-8182
営業時間:月〜土曜日 12:00〜20:00、日曜・祝日 12:00〜19:00
定休日:11月〜4月:毎週火曜日
DiveConciergeSAGAWA
愛知県知多市から若狭、三重、和歌山、伊豆方面をメインにさまざまな場所でのツアーを実施。海上自衛隊出身のオーナーガイド佐川氏によるスキューバダイビング講習のほか、フリーダイビングやマーメイドコースなど、水中での楽しみ方を多方面から提供してくれる。
愛知県知多市大草字大瀬8-209 ザ・ロイアル1F
TEL/FAX:0569-44-0626
携帯:090-5454-0317
Mail:sagawa@diveconcierge.net
営業時間:14:00~19:00
定休日:不定休

Sponsored by Diving Lounge aqua QUEST
取材協力:獅子浜ダイビングサービス

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【ランキング】2024年1月に人気だった海やダイビングのニュース・コラム・おもしろ記事

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こんにちは、オーシャナ編集部です。

寒くて海に足が向きづらい今日この頃ですが、沖縄・奄美周辺から日々ザトウクジラの写真や動画がアップされるのを見て癒されています。

さて、今日は2024年1月公開の人気記事ランキングをご紹介。
拡散&いいね、よろしくお願いします!!

海のニュース・記事・コンテンツ 人気ベスト10

第10位:関戸紀倫賞 朝比奈燦氏「表現したい想いを表現できることが大切」

第1回日本水中フォトコンテスト受賞者へのインタビューから、朝比奈氏へのインタビューがランクイン。水中写真を始めたきっかけや想いに迫る。

第9位:ノンダイバーを紹介して特典GET!ダイビングライセンス取得応援キャンペーン3月末まで実施中

すでにライセンスを持っている方にも嬉しいダイビングライセンス取得応援キャンペーン&紹介キャンペーンが9位に。まだまだキャンペーンは実施中なので要チェック!

第8位:テクニカルダイビング体験会に行ってみた!水中探検家が紹介する新しいダイビングの世界

テクニカルダイビングの体験会レポートに注目が集まった。名前は聞いたことあるけど実際何するの? テクニカルダイビングの入り口を見てみよう!

第7位:水中撮影チームCONTRAST初の写真展が横浜で4月まで開催中

水中撮影チーム「CONTRAST」初の写真展ニュースが話題に。写真展は4月末まで新杉田にて開催中!

写真展:The CONTRAST

第6位:AOIの新製品情報 メタル製GoProケース他2点を水中写真家・清水淳が解説

6位にランクインしたのは清水氏の連載。1月はAOIが出す新製品について解説。

AOI UH-GPx(試作機)

第5位:発起人に詳細を取材「日本水中フォトコンテスト」 第2回開催の舞台裏

4月に結果発表される第2回日本水中フォトコンテストの舞台裏に迫った記事がランクイン。第1回と変わったこととは?

第4位:高砂淳二氏(日本水中フォトコンテスト審査委員長)に聞くフォトコン開催とダイビング雑誌復刊への想い

4位には引き続き日本水中フォトコンテスト特集がランクインした。フォトコン開催と合わせて復刊する雑誌「ダイビングワールド」への想いとは。

第3位:【ウミウシ特集 Vol.2】ウミウシの不思議15~謎多き生態、食性、色かたち、ソックリさんまで~

先月に続きウミウシ特集第2弾が上位に。ソーラーパネルがある? 自切する? ウミウシの不思議にどっぷりハマってしまいそう。

第2位:【動画あり】「70歳の誕生日に水深70mへ!」レジェンドと若手チームが大瀬崎で潜った熱い一日

テクニカルダイビングのレジェンド・久保(くぼ)彰良(あきよし)氏と若手が水深70mへ。その1日の様子と久保氏の想いとは。

第1位:セノーテダイビングを100倍楽しむ!! 現地ガイドが語るリアルなセノーテの魅力

第1位はメキシコ・セノーテのダイビングの魅力に迫った本記事。 現地でダイビングショップを営む、むねさん、しずこさんの二人にセノーテの成り立ちからダイビングポイントの魅力、街のおもしろさを教えていただいた。

みなさん、いつも読んでいただきありがとうございます。
来月も海やダイビングの情報、楽しみに待っていてくださいね。

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マンタ徹底解説!特徴、生態、見られるダイビングポイント、ウオッチングのコツまで

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ダイバーに高い人気を誇るマンタ。しかし、マンタについて実はよく知らないという方も多いのでは? マンタはどんな生き物? あんなに大きな体で、何を食べているの? どこの海に行けば会えるの?などなど、この記事ではマンタについて徹底解説していきます。

マンタの正体を探る

マンタって何だろう?

マンタは軟骨魚類(エイ・サメの仲間)の仲間で、イトマキエイ科に属しています。現在のところ、世界にナンヨウマンタ(学名Mobula alfredi)とオニイトマキエイ(学名Mobula birostris)の2種が確認されています(※)。
もともとはオニイトマキエイという1つの種とされていましたが、2009年に異なる種が混同されていることが判明してからは、2種に分類されたとのこと。また、大西洋にはさらに別の「マンタ」がいる可能性もあるそうです。

(※)オニイトマキエイの所属は近年までトビエイ科のManta birostrisとされ、多くの図鑑ではそのように記述されています。ところが2017年、ミトコンドリアDNA解析などの結果、Manta(オニイトマキエイ属)はMobula(イトマキエイ属)へ再分類されるという論文が発表され、現在はイトマキエイ科のMobulaという扱いになっています。

最も目につくマンタの特徴は、大きな胸ビレを翼のように広げ、空を飛ぶように泳ぐことでしょう。背中が黒っぽく腹部は白っぽいという一般的なマンタの色彩パターンは、表層~中層を主な生活場所とする魚類によく見られます。
第2の特徴は、その巨体。ナンヨウマンタでは、大きな個体は体の幅が5mを超え(平均は3mほど)、オニイトマキエイでは最大8~9mにもなり、これはエイの仲間で世界最大となります。
そして、第3の特徴は食性。多くのエイの仲間が海底の貝類や甲殻類などの小動物を食べているのに対し、マンタは動物プランクトンを捕食しています。

ナンヨウマンタとオニイトマキエイの見分け方

長年に渡って同じ種と思われていたくらいですから、両者は大変よく似ています。

ナンヨウマンタ

ナンヨウマンタ

両種ともに背中は基本的に黒っぽい

ナンヨウマンタの腹部

腹部は白く、斑紋があることが多い

オニイトマキエイ

オニイトマキエイ

背面の白斑の入り方に注目

オニイトマキエイの腹部

エラ孔の下の黒斑が目立つ

ここでは、2種の識別ポイントが分かりやすいように表にしてみました。写真と見比べてみてください。また、マンタの模様は個体差が激しいので、撮影地や目撃した場所(環境)、体のサイズなども重要な情報となります。

ナンヨウマンタ オニイトマキエイ
体盤背面(背中)の白色斑の形状 白斑の前端が口裂に沿って直線的ではなく、カーブを描く(Y字状) 白斑の前端が口裂に沿って直線的で、平行となっている
口周辺の色 灰色~白色 灰色~黒色
エラ下付近の模様 黒色斑はないことが多い 黒色斑がある
大きさ 最大で5m前後 最大で8~9m
生息環境 沿岸のサンゴ礁、岩礁域 沖合の外洋域
分布 インド-太平洋の熱帯、亜熱帯海域 世界中の熱帯、亜熱帯海域

日本近海には2種とも分布しており、沖縄のサンゴ礁などで見られるものは主にナンヨウマンタ、大洋の真ん中に浮かぶ小笠原諸島ではオニイトマキエイが多いようです。それぞれが好む生息環境の違いによるものでしょう。
また、ナンヨウマンタは英語圏ではReef manta ray(リーフマンタ)、オニイトマキエイはOceanic manta ray(オーシャニックマンタ)やGiant manta ray(ジャイアントマンタ)と呼ばれています。それぞれの特徴を反映していて覚えやすいですね。

マンタに似たエイ~モブラ

しばしばマンタと勘違いされるエイがいます。イトマキエイ(Mobula)の仲間たちで、世界に10種ほど。その属名からモブラ(モビュラ)と呼ばれ、日本にも標準和名イトマキエイなど複数種が分布しています。大きさは3m程度で、まさにマンタの小型版。ただ、マンタより尾が長く、全体にスレンダーな印象。口の位置も異なり、マンタでは頭の最前端に口があるのに対し、イトマキエイの仲間は前端ではありますが腹側に開口します。
群れをつくる習性があり、メキシコのバハ・カリフォルニアやロス・カボスなど東部太平洋では大群も見られます。その数、数百ときには数千尾にもなるそうです。また、しばしば水面上にジャンプをする習性があり、Flying ray(フライングレイ)とも呼ばれていますが、Devil ray(デビルレイ)が一般的な英名です。

モブラ(モビュラ)
モブラ(モビュラ)
ジャンプを披露することと、しばしば巨大な大群をつくることで、マンタとはまた別の魅力がモブラにはある

マンタの生態を探る

不思議な姿のワケ

マンタはエイの仲間ですが、私たちがイメージするエイとはかなり印象が異なります。その巨体や表層を泳ぐという行動のほか、体の形もどこか不思議。まず口の位置がまったく違います。一般的なエイは海底の小動物を捕食するため口は腹部にありますが、マンタの場合は頭の前端に開口しています。
そして他のエイにはなく、マンタやモブラにだけある特別なものに頭鰭とうきがあります。口の両端から伸びる1対の長いヒレで、自由に動かすことが可能。プランクトンを捕食する際、口に沿わせるように広げ、海水を取り込みやすくしているようです。

マンタ
エイ
マンタ()の口は頭の最前端にあるが、一般的なエイ()は腹部にある。また、エイは海底で生活するため、目の後ろにある噴出孔(呼吸を助ける器官)がよく発達している

そしてエラも異なります。左右に5対という数は同じですが、そのサイズがかなり違う。これも食性の違いからきています。

食事中のマンタ
一般的なエイ
食事中のマンタ()。口から取り込んだ海水を排出するため、大きなエラ孔をもっている。一般的なエイ()では、口もエラ孔もマンタに比べるとかなり小さい。なお、目のように見える部分は鼻孔。マンタの鼻孔は腹部ではなく、頭部先端にある

マンタの食事スタイル

世界最大のサメであるジンベエザメと同様、世界最大級のエイ、マンタの主食も動物性プランクトンです。ただ、摂餌方法は異なり、ジンベエザメは主に「吸引濾過」という豪快なスタイルですが、マンタは泳ぎながら大きな口を最大限に広げ、海水ごとプランクトンを口内に流し込むというもの。餌だけを濾過ろかして摂取し、不要な海水はエラから排出しているのです。
プランクトンが局所的に大量発生しているときは、同じ場所でクルクルと後方宙返りを繰り返すという行動を見せます。あちらこちらへ泳ぎ回るより効率的に海水を取り込めるのでしょう。また、大きな集団で弧を描くように摂餌するケースもあります。

マンタの集団での食事シーン。

集団での食事シーン。頭鰭をうまく使って海水を取り込んでいく

オスとメスの見分け方

マンタに限らず、軟骨魚類(エイ・サメの仲間)は腹ビレの形状から雌雄を識別できます。成熟したオスではクラスパーと呼ばれる交接器が発達し、メスにはありません。
クラスパーは哺乳類のペニスと同様、メスの体内に精子を送り込むための器官。つまり、軟骨魚類(エイ・サメの仲間)はペアが交尾(交接)を行なって体内受精をする生き物なのです。

マンタのオスの腹ビレに棒状のクラスパーが1対(2本)ある様子
マンタのメスにはクラスパーがない様子
オス()の腹ビレには棒状のクラスパーが1対(2本)あり、メス()にはない

マンタの一生~繁殖と寿命

軟骨魚類の研究者・矢野和成博士の書籍『サメ~軟骨魚類の不思議な生態』によると、1997年7月に小笠原諸島でマンタ(おそらくオニイトマキエイ)の交尾行動が観察されました。オスがメスの胸ビレに噛みつき、メスの下側に入り込んで片側のクラスパーを挿入。その後、別のオスが同じメスを30分ほど追尾し同様に交尾したそうです。繁殖シーズンにメスがオスを追い回す現象は沖縄やモルディブでも観察されており、「マンタトレイン」と呼ばれています。

また、交尾のときオスがメスに噛みつく行動は、エイ・サメの仲間ではよく見られ、マンタに限ったことではありません。25年に渡るマンタの長期飼育記録をもつ沖縄の「美ら海水族館」でも、同様の行動が観察されています。その「美ら海水族館」では、2007年に世界で初めて飼育下でのマンタの繁殖に成功しました。以来、10回ほど出産が観察されています。
マンタは卵胎生で、卵は母体内にいるうちに孵化ふかします。仔魚(赤ちゃん)は子宮内で未受精卵やミルクのような脂質子宮液を摂取して成長、約12カ月後に生まれてきます。たいてい1尾のようで、幅1.8m・推定体重60kgというビッグベビーです。

ナンヨウマンタがどのくらいの期間で繁殖年齢に達するかはよくわかっていませんが、「美ら海水族館」ではホルモン濃度や外部形態の変化をモニタリングし、約5年で性成熟に達したことを確認したそうです。自然界ではもう少し時間がかかるかもしれません。
寿命についてもまだ不明なことが多く、40~50年くらいではないかと言われています。

ダイビングでのウオッチング

マンタが集まる場所とは?

世界の海にはたくさんのマンタポイントがあります。マンタが集まってくる理由には、そこが通り道や回遊ルートである可能性、あるいはプランクトンが豊富な場所であることなどが考えられます。摂餌場では大きな口を広げて捕食するシーンなどが見られます。
また、クリーニングステーションがマンタスポットとなっているケースもあります。魚についた寄生虫などを食べるホンソメワケベラやコガシラベラなどのクリーナー(クリーニングフィッシュ)が待機している場所で、いろいろな魚が体を掃除してもらいにやってきます。マンタも例外ではありません。

マンタをクリーニングするミゾレチョウチョウウオ

黄色の小魚はミゾレチョウチョウウオ。サンゴのポリプや小動物などを食べる雑食性で、しばしばマンタなどの大型魚をクリーニングする

お腹の模様はヒトの「指紋」

マンタの腹部は基本的に白地に黒い斑紋が散在しています。この模様は個体によって千差万別で、変化することもほとんどないため、個体識別に利用できます。ヒトでいえば指紋のようなものですね。
そこに注目した八重山諸島・小浜島のダイビングガイド・伊藤隆さんは、当時マンタポイントとして有名だった石西礁湖せきせいしょうこヨナラ水道を中心に62個体ものマンタを個体識別し、『マンタ・ログ 62』を発表しました(1980年代後半頃)。その後も個体識別されたマンタは増え続け、親しみを込めてニックネームが付けられている個体も多数います。
現在もマンタの調査・研究、観察にあたって、腹部の模様による個体識別は非常に有効な手段です。ダイビング中に出会ったら、ぜひ腹部の画像を撮っておきましょう。

腹部側がほとんど真っ黒なブラックマンタ

腹部側がほとんど真っ黒な個体はブラックマンタと称され、レアということもありダイバーに人気が高い。腹部に付いている2尾の魚はコバンザメ

観察するときの注意点

マンタは野生動物。人為的なストレスを与えないことが基本スタンスです。ウオッチング時のシチュエーション別にチェックしていきましょう。

クリーニングステーション

多くの場合、大きな岩や根がステーションとなっています。ガイドの指示に従い、ステーション近くの海底で静かに待機。マンタが姿を現しても、興奮して近寄ったり中層に泳ぎ出したりする行為はNGです。また、呼吸は静かに。盛大に泡を吐き出してマンタを驚かせることがないよう注意しましょう。
マンタがまだステーションにいても、残圧や無減圧潜水時間などの関係で浮上しなければならないことがあります。その時も静かに行動、ステーションを迂回するように移動しましょう。

クリーニングステーションでマンタをウオッチング中のダイバー

クリーニングステーションでマンタをウオッチング中。カレントフックで安全を確保しつつ、海底の生き物への影響を最小限に抑えている

摂餌ポイント

プランクトンを捕食にくるマンタをウオッチングする場合、たいてい海底ではなく中層~表層が舞台となります。マンタはもちろん、ダイバーの安全のためにも、中性浮力をきっちりとれるスキルが必要です。
捕食中のマンタは後方宙返りをするなど激しく泳ぎ回り、ダイバーなど眼中にないように見えます。でも、だからといって追い回してはいけません。近くに寄ってきたからといって、手を伸ばして触れるような行為は慎みましょう。

移動中のマンタ

クリーニングを受けるでもなく、捕食するわけでもなく、ただマンタが通り過ぎるところに遭遇することもあります。このときも基本は同じ。マンタの進行方向に回り込まない、追いかけ回さないなどマンタにストレスを与えない行動をとることが大切です。

こんなところにも注目!

頭鰭の動きも面白い。写真はクルクルと巻き上げ、角のようになった状態。遊泳時などにしばしば見られるので、水の抵抗を軽減しているのかもしれない

一番じっくりマンタを観察できるのは、クリーニングステーションでしょう。何しろマンタは岩や根の上にホバリングをして、クリーナーが「掃除」しやすいようにじっと動きません。マンタの各部や細かい動きなどをじっくり見るチャンスです。また、クリーナーにはどんな魚種がいるのか、などに注目しても楽しいですよ。

マンタにはよくコバンザメがついています(サメとは名ばかりで、硬骨魚類の仲間)。世界に8種ほどいて、東部太平洋ではナガコバンという種類がよく付き従っています。コバンザメの仲間はマンタのフンを食べたり、総排泄孔(肛門)に潜り込んだりと、なかなかユニークな習性が知られています。次回のダイビングで、ウンが良ければ見られるかもしれませんね。

ずんぐりした体型のナガコバン

ずんぐりした体型のナガコバン。スレンダーなコバンザメとはかなり印象が違う。また、腹部ではなく背部に付いているところもよく見られる

マンタにつくコバンザメ

沖縄などでよく見られる標準和名コバンザメ

ダイバーに人気のマンタポイント

マンタとよく出会う海は世界中にあります。その代表的なポイントを簡単に紹介しましょう。

八重山諸島(沖縄)

運がいいと、全身真っ黒なブラックマンタに会えることも

日本で最初にマンタポイントと称されたのは、石垣島と西表島の間にある石西礁湖(ヨナラ水道)でしょう。現在はあまり多く見られないようですが、その代わり今では石垣島の「マンタスクランブル」「マンタシティ」「パナリ」などが人気です。シーズンは5~11月。

小笠原諸島

マンタと遭遇することはそれほど多くありませんが、外洋に位置するためオニイトマキエイが見られます。

パラオ

パラオ(撮影:長野浩)

撮影:長野浩

「ジャーマンチャネル」「ユーカクチャネル」などマンタポイントがたくさんあります。

モルディブ

乱舞するマンタ

南北に細長く、26もの環礁からなるモルディブ共和国。南北マーレ環礁をはじめあちらこちらにマンタポイントがありますが、最近はバア環礁「ハニファルベイ」が有名です。数十尾もの大群が集まり、回転しながら泳ぎ回る迫力満点の捕食行動は「グルグルマンタ」と呼ばれ大人気。

東部太平洋

バハ・カリフォルニアやラパス、ガラパゴス諸島などでは、世界最大のエイとなるオニイトマキエイとの遭遇が多いようです。また、モブラと出会うチャンスもあります。

まとめ

ダイバーに人気の海の大物・マンタについて紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。マンタと遭遇するチャンスがあったら、ウオッチングのルールを守りながらも、この記事を参考にじっくりとその姿、そして行動を観察してみてくださいね。

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【SSIが勧める!】死ぬまでに一度は行きたい!アジアの絶景ダイビングスポット10選【連載vol.12】

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ダイバーにとってアジア地域は、世界で最も人気のある旅行先のひとつとも言われています。色とりどりのサンゴから大物まで多種多様な生物が生息しているので、ダイバーにとってもアジアの海はまさに最高のパラダイス!ダイビングを始めたばかりのビギナーレベルのダイバーでも楽しめる海から、海外でのダイビングにも慣れているようなベテランダイバーも満足できるような海まで多くあります。
そこで今回は、世界150カ国以上に3,500以上のトレーニングセンター(加盟店)を展開するダイビング指導(教育)団体「SSI(Scuba Schools International – スクーバ・スクールズ・インターナショナル)」(以下、SSI)が、生物の多様性や特有の特徴があるダイビングスポットを厳選して「アジアの絶景ダイビングスポット10選」と題してご紹介します!

1. ラジャアンパット諸島(インドネシア)

(写真:SSIホームページより)

(写真:SSIホームページより)

多様な海洋生物の宝庫であり、豊富な植物プランクトンが酸素を発生することから「海のアマゾン」とも称される、コーラル・トライアングル(※)の中央に位置し、ひときわ輝きを放つ奇跡の海が、最初に紹介するこの「ラジャアンパット諸島」です。ラジャアンパット諸島はインドネシア東端に位置する、大小1500もの島々からなる群島。ここは、世界で見られる魚種の10%にも及ぶ1508種、そしてサンゴ種に至っては75%に及ぶ537種が生息しており、驚異的な生物多様性が最大の特徴の海。
大物でいうと、マンタやブラックチップリーフシャーク、ウミガメなどが生息。特に10月から4月はマンタのベストシーズン。遭遇率の高さや数の多さは、世界のマンタポイントの中でもトップクラス。初心者でも楽しめる水深の浅いポイントから、上級者向けのドリフトダイビングができるポイントまでさまざまな、ダイバーなら死ぬまでに一度は訪れたい世界的に有名なダイビングスポットです!

※パプアニューギニア、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ソロモン諸島、東ティモールを結んだ三角形の海域のことで、なんと世界のサンゴの種の半分以上が生息し、3,000を超える種類の魚が集まる海域

▶ラジャアンパットでのダイビング(SSI)

2. コモド諸島(インドネシア)

インドネシア・バリ島から東へ約500kmに位置するコモド諸島。コモド島、 リンチャ島、パダル島の3島を含むエリアをコモド諸島と呼び、世界自然遺産に指定されています。水中には言葉を失うほどに美しい景観が一面に広がり、パウダーブルーサージョンフィッシュやグレーリーフシャーク(オグロメジロザメ)、ウミガメ、ヒョウモンダコなど多様な海洋生物が見られます。
ポイントによっては、上級者向けの強い流れのあるドリフトダイビングができるポイントもアドレナリンを感じるエキサイティングな体験になること間違いなし。

コモド諸島では年間を通してダイビングができますが、ダイビングのベストシーズンは乾季の3月から10月。透明度が最も高くなるのは11月から1月。また、ダイビング以外の時間はコモドドラゴンのトレッキングツアーに参加してみてもいいかも!?
▶コモドでのダイビング(SSI)

3. シミラン諸島(タイ)


プーケットの北西に約100km、アンダマン海に点々と浮かぶ小さな9つの島からなるシミラン諸島。 クリアな水中には海底を覆い尽くすようなソフトコーラル、そして圧倒的スケールで迫ってくる魚影。 そんなダイバーには堪らないシーンの中、突如出現するジンベエザメとマンタ!この光景を見れば誰もが興奮する、ダイバーを飽きさせない世界有数のダイビングスポットです。

モンスーン(季節風)の影響で乾季(10月末頃〜5月初旬)の期間のみダイビング可能。ダイビング以外の時間は、タイマッサージやスパなどを楽しむのもあり!
▶シミラン諸島でのダイビング(SSI)

4. トゥバタハリーフ(フィリピン)

西太平洋のスールー海に位置する世界遺産トゥバタハリーフは、97,030haの南北に分かれた広大なサンゴ礁。このエリアは未だに手つかずの自然が残る貴重な場所。保護区とされており、3月から6月までの期間限定でダイビングが可能。ダイビングスタイルは基本的にはダイブクルーズでのドリフトダイビングが主流となっています。水中には、360種のサンゴや640種の魚たちをはじめ海洋生物の楽園が広がっており、マンタやジンベエザメが姿を見せることもあるんだとか。30〜40mほどあると言われる海の透明度も魅力のひとつです!
▶トゥバタハリーフでのダイビング(SSI)

5. シパダン島(マレーシア)

 (写真:SSIホームページより)

(写真:SSIホームページより)

マレーシアのサバ州に属するセレベス海にある島は、水深600mを超える海底から立ち上がってできたサンゴの島。島の目の前にはドロップオフがあり、バラクーダやカンムリブダイの群れ、ギンガメアジのトルネードなど、世界各国のダイバーをとりこに!

しかし、海洋生物の保護の観点から現在は入域制限がされており、1日に120人しか入ることができないエリアとなっています。その効果は徐々に現れており、魚影が戻り始め、バラクーダの玉のような群れも驚くほど大きくなってきているんだとか。
▶シパダンでのダイビング(SSI)

6. 慶良間諸島(沖縄)


日本からは慶良間諸島をご紹介!沖縄本島南部の那覇市から西に約40kmの東シナ海に点在する、大小20余りの島からなる島々「慶良間諸島」。「ケラマブルー」とも称される透明度は世界トップクラス!ボートの上からでも地形がわかるほど、透き通った海はこの世のものとは思えぬ美しさ。
もちろん透明度だけでなく、ウミガメや色鮮やかなサンゴやカラフルな魚をはじめ、1月〜3月にはザトウクジラ、6月〜10月マンタ、まで多彩な表情を持っており、日本だけでなく世界中のダイバーをとりこにしています。
▶慶良間諸島でのダイビング(SSI)

7. メルギー諸島(ミャンマー)

ミャンマー南部、マレー半島西岸の沖合のアンダマン海に浮かぶ800以上の島々からなると言われているメルギー諸島。メルギー諸島は1997年までは軍事的な理由から立ち入りが制限されていたため、真っ白な砂浜や洞窟など未だ手付かずの自然が残っており、水中にも美しいサンゴ礁が広がっています。「世界最後の秘境ダイビングスポット」とも言われ、世界中のダイバーから注目されています!

日本人ダイバーにはまだあまり馴染みがありませんが、プランクトンが多く、栄養豊富な海にはジンベエザメやマンタ、ロウニンアジなど大物なども出現!10月から5月の間、ダイブクルーズのみで行くことができます。
▶メルギー諸島でのダイビング(SSI)

8. デラワン島(インドネシア)


インドネシア領土のカリマンタン島の東に浮かぶデラワン島。島の周りでは、バラクーダやギンガメアジの大群が狙えるポイント、マンタのクリーニングステーションが点在するポイントなど、迫力満点のシーンを楽しむことができます。

また毒のないクラゲとシュノーケリングで一緒に泳ぐことができる湖「ジェリーフィッシュレイク」もカカバン島という島にはあるので、ぜひチェックしたいところ!海外で潜ってみようとダイバーが憧れるジパダン島から、約200km南下した場所に位置するデラワン諸島は、ジパダンに通い詰めたダイバーが次に目指すダイビングポイントとも言われているそう。

9.バリ島(インドネシア)


アジアを代表するリゾートでありながら、ダイビングのメッカでもあるバリ島。初めてのバリ島でのダイビングで外せないのは、バリ島を代表するダイビングエリア「トランベリン」にある全長120mの沈船「リバティ号」でしょう。このリバティ号はビーチからわずか30m、水深5mの場所にあり、世界で一番手軽に沈船ダイビングを楽しめる場所としても有名です。1963年に沈み、今ではカラフルなサンゴやたくさんの魚たちの楽園になっています。9月から11月は透明度が特に高くなるので、特におすすめ。
沈船以外にもマンタやマンボウに高確率で出会えるポイントや、ビーチダイビングでも南国の色鮮やかな魚の大群に会えるポイントが点在しています。
▶バリ島でのダイビング(SSI)

10. 緑島(台湾)

台湾でのダイビングに特におすすめなのが、台湾本島の台東から東に約30㎞の海上に浮かぶ、中型フェリーで50分ほどの場所に位置する緑島という小さな離島。ここは海底火山の噴火によりできた島で、海岸間際まで迫る緑の丘陵地帯が、青い海と美しいコントラストを演出!

沿岸部にはサンゴ礁が広がっており、さらに島の周りには黒潮が流れているため、豊かな生態系と平均20m以上の透明度を誇ります。1月から3月にかけてはハンマーヘッドシャークとの遭遇チャンスも!台湾ダイビングの聖地とも言われているほどローカルダイバーに愛されているのがこの緑島です!

いかがだったでしょうか。もし気になるダイビングスポットがあれば、旅とダイビングをサポートする最高のツールとして、SSIが提供する「MyDiveGuide(※)」を使って、見られる生物やダイビングショップ(トレーニングセンター)などを検索してみましょう!
▶︎ブラウザからアクセスする場合はこちら
▶︎SSIの無料ダイビングアプリ「MySSI 3.0」からもアクセス可能。iOSの方はこちら。Androidの方はこちら

※世界中の600以上のダイビングエリア、各地のダイビングポイント、そしてダイビングポイントで見ることができる生物の情報を、オンラインでわかりやすく紹介しているデータベース。

SSI の 「MyDiveGuide 」で世界中のダイビングポイントを探検!ダイバーのログからデータを反映!? 【連載vol.07】

今回で、2023年2月からスタートしたSSI連載が終了となります!SSIを通じて、一人でも多くの方が、海の楽しさに気づいてもらえたら幸いです。まだ過去の記事をチェックしてないという方はぜひ下記からご覧ください!
▶「SSI」50周年特別企画 〜SSIでダイビングの冒険をはじめよう~

Powered by HEAD Japan

50年以上の伝統をもつ指導団体「SSI」と創業75年を迎える老舗ダイビング器材メーカー「mares」を運営。自然を舞台に楽しむことをサポートする会社として、サスティナブルな社会への取り組みにも力を入れている。

【HEAD Japan ウォータースポーツ事業部 正社員募集】
HEADグループのウォータースポーツ(ダイビング)ブランドである Mares / SSI では、現在セールスメンバーを募集しています。詳しくは、お問合せください。

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【2/28〆切】ジャパントラベルアワード主催「インクルーシブトラベル フォーラム 2024」3/7開催

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ジャパントラベルアワードが主催する「インクルーシブトラベル フォーラム 2024」が東京アメリカンクラブにて3月7日(木)に開催される。ジャパントラベルアワードは観光からより良い社会をつくることを目的に、観光における DEI(Diversity, Equity, Inclusion = 多様性、公平性、包括性)、サステナビリティ、インバウンドへの取組みを審査し、ただの観光地ではない「感動地」に相応しい地域や企業を表彰するアワード。本フォーラムでは2024年の受賞者への表彰が行われ、「観光地が「感動地」へ変わるためにすべきこと」をテーマに過去の受賞者、審査員が一堂に会したパネルディスカッションも行われる。登壇者の1人は2024年グランプリとなった障害者のためのマリンアクティビティ施設「ゼログラヴィティ」理事であり、オーシャナCEOの河本雄太。ダイビングやマリンアクティビティの視点はもちろん、省庁/観光協会、宿泊施設などさまざまな視点のパネリストたちが課題をどのように乗り越え、アワード受賞に至ったかを具体的な事例と共に語る。

これからの観光を考え、ネットワークを広げる機会として、ダイビング事業者や観光関連事業者はぜひ参加してみては。

インクルーシブトラベル フォーラム 2024開催概要

日時: 2024年3月7日(木)14:00〜18:00(開場13:45)
場所: 東京アメリカンクラブ New York Ballroom(東京都港区麻布台2-1-2)

対象:
ジャパントラベルアワード受賞者、参加者
観光に携わる自治体や企業の方々
国内外のメディアの記者
プログラム:
14:00〜15:00: 表彰式
15:15〜16:15: パネルディスカッション
<トピック> 観光地が「感動地」へ変わるためにすべきこと
<登壇者>
なにわ一水 代表取締役 勝谷 有史 
戸隠観光協会 総務企画部主任 伊藤 久美子 
ゼログラヴィティ 理事 河本 雄太
ジャパントラベルアワード 審査委員長 本郷 アリー
<モデレーター>
しいたけクリエイティブ 代表取締役 本郷 誠哉
16:15〜18:00: 交流会(その後、六本木周辺で2次会を予定)
参加費: 10,000円(飲み放題1.5時間、豪華な軽食付)
定員: 先着150名(定員に達した場合は会場参加のお申込みを締め切り
お申込み方法: こちら ※締切: 2月28日(水)
お問合せ: ジャパントラベルアワード事務局

詳細はこちら

「ジャパントラベルアワード2024」グランプリは、オーシャナCEOが理事を務めるマリンスポーツ施設「ゼログラヴィティ」!

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ウミガメが直面するプラスチック問題。原因と解決策とは?

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Photo by adobe stock
現在、世界的にプラスチック製品の生産と使用量が加速度的に増大している。プラスチックは自然環境下での分解が極めて遅いため、使用後に適切に処理されないプラスチック製品は長期にわたって海洋を汚染し続ける状況だ。今もなお、海洋生態系におけるプラスチック流出による汚染の影響は年々深刻化しており、生物多様性の危機が叫ばれるようになっている。そこで、ウミガメをはじめとするプラスチック汚染の被害を受けている海洋生物の実状をまとめるとともに、私たちが今すぐできる解決策を提案したい。

プラスチックが海洋環境に与える大きな影響

マイクロプラスチックの場合

5mm以下のプラスチック片のことを指すマイクロプラスチックは、魚やウミガメが餌と間違えて誤食するなどして身体に取り込まれやすい。そして、食物連鎖を通じて影響が広範囲に広がっていくことが懸念されている。さらに、マイクロプラスチックに含まれる添加剤などの有害化学物質が、生体内に蓄積することで慢性的な健康被害を及ぼす可能性も指摘されている。この問題は、魚を食べる私たち人間にも関係することでもある。

プラスチックごみの場合

海を浮遊するビニール袋や漁業に使われる魚網などのプラスチック製品は、クジラやウミガメが誤飲したり身体を絡めたりすることで、致死的な障害の原因となる。たとえば、インドネシアの国立公園で発見されたマッコウクジラの死体からは、約6キロのプラスチックごみが検出された。これにはプラスチックコップ115個、ペットボトル4本、ビニール袋が25袋、ビーチサンダル2足が含まれており、海洋生物が直面する深刻な脅威を示した典型的な例と言えるだろう。

このように、海洋生物がプラスチックごみと直接接触することで起きる物理的な障害は、個体群の存続の危機にも直結する。特に、東南アジア諸国では使い捨てプラスチックが問題となっており、海に漂着するプラスチックごみの60%が中国、インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイの5カ国から出ているとされている。これらの国の中でも、タイはプラスチックごみ削減に向け急速な対応が行われており、2022年にプラスチック製レジ袋を全廃となるなど改善に向けた動きもみられている。

クジラを解剖する海獣学者が私たちに伝えたい海洋問題とは?

大型プラスチックとされる漁業網Photo by Unsplash, Kristin Snippe

ウミガメが直面するプラスチックごみ問題

ウミガメを含む長寿の海洋生物は、海洋プラスチック汚染の影響を最も受けやすい存在。なぜなら、生涯にわたって膨大な量のプラスチックを接触するリスクが高いからだ。

漂流するプラスチックごみや廃棄された漁具に身体を絡め取られ、溺死するケースが後を絶たない。また、クラゲなどの餌をプラスチック製品と間違えて飲み込むことで、消化管の詰まりや破裂が起き、死に至る例も数え上げるときりが無いほど発生している。

ウミガメの胃からは、ビニール、レジ袋、歯ブラシ、ライターなど、私たちの日常生活で使われるあらゆるプラスチックゴミが検出されている。マイクロプラスチックの摂取も多くみられ、将来的な健康被害が危惧される状況でもある。ウミガメにとってプラスチックは、生存そのものを左右する重大な脅威なのだ。

浮遊するビニール袋とウミガメ Photo by adobe stock

ウミガメがプラスチックを誤飲する理由

美味しそうな匂いが原因

今まで、誤食の原因は透明または半透明のプラスチック製品を、自然界での餌であるクラゲや他のゼラチン質の生物と見分けがつきにくいからという説があった。しかし、2020年に発表された、ウミガメの調査と保護を行うCaretta Research Project(カレッタリサーチプロジェクト)の研究員らの研究結果から、ウミガメがプラスチックごみを食べてしまうのは、海を漂うプラスチックに付着する藻類や微生物の臭いが原因ということが明らかになった。藻類もまたウミガメの餌であり、その匂いで餌と認識していたということだ。

このように、ウミガメがプラスチックを誤飲する現象は、海洋プラスチック汚染の深刻な副作用の一つであり、生態系全体に影響を及ぼす可能性がある。海洋プラスチック汚染が進むにつれて、ウミガメがプラスチックを誤飲する確率は高まり、その結果、消化管の障害や栄養不足、内分泌系の乱れなど、健康上の深刻な問題に直面することに繋がる。ウミガメの保護と海洋環境の改善に向けた取り組みは、これらの問題に対処するために不可欠なのだ。

海を漂うプラスチックごみと魚 Photo by Unsplash, Naja Bertolt Jensen

【衝撃映像】ダイビング中に遭遇したウミガメのお尻から出てきたものは……!?

ウミガメだけじゃない。他の生き物にも広がる被害

海洋プラスチック汚染の影響は、ウミガメ以外の生物種にも及んでいる。クジラ、イルカ、アザラシなどの大型哺乳類、アホウドリやカモメなどの海鳥類もまた、深刻な被害に晒されている。

これらの生物の胃からも大量のプラスチックゴミが検出されており、物理的な障害だけでなく、有害化学物質による健康への影響が危惧されている。プラスチックごみを餌と間違えることで栄養失調に陥り、生存競争に敗れる個体も出てきている。海洋生物にとってプラスチックは、避けて通れない死の危険だといえる。

網に締め付けられるアザラシ Photo by Unsplash, Brian Yurasits

海洋生物とプラスチック問題に対する解決策

海洋プラスチック汚染を食い止めるためには、世界中の人々の意識と行動、そして社会システムの変革が必要不可欠だ。ライフスタイルやビジネス活動を根本から見直し、使い捨てプラスチックの利用を最小限に抑える必要がある。

日常生活の中でできることとして、マイボトルの活用や過剰なパッケージを避けるなど、プラスチックごみの発生自体を減らすことが重要。行政による廃棄物処理制度の確立や、企業のプラスチック削減目標もまた大きな役割を担う。

たとえば、「mymizu(マイミズ)」という企業は、ペットボトルの使用料削減に向け、給水できるスポットを紹介するアプリを開発し、マイボトルを持つ習慣を啓蒙している。他にも、京都に店舗を構えるスーパー「斗々屋」では、ビニールや包装物の削減に向け、量り売りスタイルで商品を販売している。

今日では、科学技術の進展を活用し、環境負荷の少ない新素材の開発や、再生可能なバイオプラスチックの利用拡大が期待されている。そして、海を未来に受け継ぐために、世界中の人々が知恵を絞って行動を起こすことが求められている。1人で始められること、仕事で携われることなど、自分の身の回りでもプラスチック問題の解決に貢献できることを探してみてはいかがでしょうか。

まずはできることから!プラスチックの使用量を診断しよう

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「沖縄を聖地に」沖縄で12年ぶりにフリーダイビング海洋競技大会が開催決定

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沖縄フリーダイビングカップ2024

2024年6月26日(水)〜30日(日)にかけて、沖縄県・恩納村で「OKINAWA FREEDIVING CUP 2024」が開催決定! フリーダイビングの公式海洋競技大会が沖縄で行われるのは約12年ぶり。主催者は、世界でも数少ない、水深100mの記録を持つフリーダイバーの福田朋夏氏だ。開催にあたり、クラウドファンディングにも挑戦! その思いとは。

賞金あり!
水深80mまでチャレンジできる海洋競技大会

OKINAWA FREEDIVING CUP 2024で行われるのは海洋競技であるCWT、CWTB、CNF、FIMの4種目。最大水深は80mで、記録はAIDAインターナショナルに認定される。6月28日(金)を除く4日間が競技日となっており、出場選手はそのうち3日間競技にチャレンジすることができる。オフィシャルトレーニングは6月21日(金)から。大会へのエントリーは3月初旬に始まる予定だ。

海洋種目

フリーダイビングの海洋競技では、垂直に水中に下ろしたロープ沿いに一息で潜り、深度を競う。今回行われるのは、途中でウエイトの量を変えてはいけない4種目。それぞれ泳ぎ方や使用する器材が異なる。
CWT(コンスタントウエイト・アプネア・ウィズフィン):フィンをつけた状態で、自身の泳力だけで潜降・浮上をする。
CWTB(コンスタントウエイト・アプネア・ウィズバイフィン):フィンをつけた状態で、自身の泳力だけで潜降・浮上をする。CWTと違い2枚フィンでバタ足で泳がなくてはならない。
CNF(コンスタントウエイト・アプネア・ウィズアウトフィン):フィンをつけずに、自身の泳力だけで潜降・浮上をする。
FIM(フリー・イマージョン):フィンをつけずに、ガイドロープを手繰りながら潜降・浮上をする。

そして、各種目の上位入賞者にはメダルや表彰状だけでなく、フリーダイビングの大会としては珍しく賞金も贈られる。

「沖縄をフリーダイビングのメッカに」
福田氏の想い

これまで日本代表選手として数々の世界大会に出場し、日本代表チーム「人魚JAPAN」では金メダルを二度、銀メダルを一度獲得している福田氏。自身のホームグラウンドである沖縄でフリーダイビングの大会を行うのが夢だったそうだ。

実は、福田氏がフリーダイビングを始めたきっかけが、沖縄で2010年に行われた世界選手権。当時、沖縄の海の美しさに感動し、地元の北海道から沖縄に移住していた福田氏は、世界選手権に水中でダイバーの安全管理をするセーフティとして参加。世界のトップ選手たちが潜る姿に感銘を受け、沖縄を拠点に本格的に競技を開始。その後、トレーニングや大会出場のために世界を渡り歩いたが、コロナ禍をきっかけに沖縄に腰を据え、沖縄の海の素晴らしさやフリーダイビングにとって適した地であることを再認識したという。

沖縄の海は、温暖で透明度がよく、サンゴなど生態系豊かな海はシュノーケリングやダイビングを楽しむ人にとっても素晴らしく魅力的だ。今回大会が行われる恩納村の周辺は、ボートで5〜10分程度で水深50〜100m以上とれるフリーダイビングを行うのに最適の場所。そんな沖縄の海を、大会を通して世界のフリーダイバーにもっと知ってもらい、沖縄にフリーダイバーを集め、沖縄を盛り上げたい。そんな思いから福田氏は大会の開催を決めたという。また、今回の大会を皮切りに、継続的に沖縄で大会を行うことで沖縄をフリーダイビングのメッカにしていきたいとも。

3月開始
クラウドファンディングで応援しよう

OKINAWA FREEDIVING CUP 2024実施にあたり、福田氏はクラウドファンディングに挑戦する。まだまだ日本ではマイナースポーツであるフリーダイビングでは、大会の運営スタッフはボランティア、選手にも賞金がでないというのが当たり前。クラウドファンディングを通し、多くの方にフリーダイビングという競技を知ってもらうこと、そして支援してもらうことで、今回の大会を盛り上げ、次回以降の大会開催に繋げていきたいという。

リターンにはオリジナルグッズのほか、フリーダイビングの講習やウエットスーツなども含まれている。フリーダイバーはもちろん、海好き、沖縄好きの方、フリーダイビングに興味があるという方、ぜひクラウドファンディングで応援していただければ幸いだ。

クラウドファンディングの詳細は近日公開予定。そのほか大会関連情報は、大会公式Instagramアカウントにて随時発信中。

OKINAWA FREEDIVING CUP 2024

大会名:沖縄フリーダイビングカップ2024
競技会場:沖縄県恩納村 真栄田岬沖
オフィシャルトレーニング:2024年6月21日(金)〜25日(火)
競技日:2024年6月26日(水)〜30日(日)
競技種目:海洋種目 [水深競技]
最大水深:最大 80m 
記録認定:AIDAインターナショナル
主催者:福田 朋夏
運営:トゥルーノース沖縄
協力:
株式会社オーシャナ
OceanApeFreediving
Freedive emu
マリンクラブNagi
後援:一般社団法人 人魚JAPAN
メインスポンサー:
ワールドダイブ株式会社
株式会社キヌガワ
株式会社エシカルライフ

▶︎大会公式サイト:OKINAWA FREEDIVING CUP 2024
▶大会公式Instagramアカウント

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GULL新マスク「LUVOS」の視界がヤバい!開発秘話と視界がダイビングに与える影響を深掘り

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メイド・イン・ジャパンのダイビングギアブランドとして高い人気を誇るダイビングギアブランド「GULL」から、待望の新作マスクがリリースされる。その名も「LUVOS(ルヴォス)」。「視界が明るく視野が広い」をコンセプトにした極上の視野を持った一眼マスクだ。
満を持して登場したこの「LUVOS」には一体どのようなこだわりが詰まっているのか!? そこで今回は、歴代多くのGULL製品を生み出してきた開発担当の藤田さんと営業の五味さんにお話を伺った。記事後半では、マスクの視界がダイビングに与える影響をダイビングガイドにインタビュー。さらに他製品との視界の広さの比較検証実験も行ったのでぜひ参考に!

左:開発の藤田さん、右:営業の五味さん

LUVOSのネーミングの由来

ラテン語で「明るい」を意味する「Lumos」と、英語で「像」を意味する「Vision」の2つのワードを掛け合わせた造語。名前からも視界が広いことを伝えるため、この名前に決定。


GULLのマスクへのこだわりとは

「上を見たいんです!」。
6年間の思いがついに。LUVOS開発経緯とは

編集部(以下、―――)まずは今回、このLUVOSを開発された経緯を教えていただけますか?

五味さん

純粋に上が見えるマスクを作りたかったんです。海に入る最大の目的は、何かを見るためじゃないですか。その“見る”という行為をストレスフリーに、かつよく見えるようにしたい。もちろん歴代の最高峰マスクのGシリーズ(VADERMANTIS LV)なども、十分な視野の広さを持っています。でも、もっともっと視界が広く、よく見えるマスクがほしい、という発想が原点でした。


―――なぜ、もっと視界が広く、よく見えるマスクがほしいという発想に至ったのでしょうか?

藤田さん

他社製品と比較すると、我々のマスクは下方視界が良いものが多いんです。というのも、ダイビングでは、インフレーターホースの操作やゲージ類の確認など胸元での作業があるにも関わらず、マスクを着けるとその胸元がどうしても見えづらくなってしまいます。一方で上方は首を上に向ければ、見ることはできます。だから下方の視界を広くすることはマスクを開発する上で優先的に取り組んできました。
そこで今回は、もっと視野が広く、よく見えるマスクを開発するにあたり、上方の視界の拡大に注力することが決定したんです。もちろん上方の視界にこだわるからといって、下方の視界を損なっても良いわけではないので、今までの製品にプラスアルファで上方の視界を良くする形でスタートしました。

五味さん

なによりも、上方が見えると不意なことにも気づける回数が絶対に多くなると信じています。私の体験談なのですが、以前に伊豆の伊東でガイドをしていたとき、いつも通りダイビングをし、船に上がると船長から「良かったな、マンボウ通っただろ!」と言われたのですね。マンボウは水面近くを泳ぐことがあるので、その姿を船上から船長は見たそうなのですが、私たちは見逃してしまい…。もう少し上が見えていれば、視野がもう少し広ければ…と、すごく悔しかったことがありました。だから、真上はもちろん斜め上など、今まで見えづらかったところを見たい!と5、6年前からずっと言い続けてきたんです。
究極は、マスクを付けているかいないか分からないマスクですよね。でも開発担当者からは「そんなもんは作れない!」と言われました(笑)。

「LUVOS」の詳細を見る

GULLらしさは外せない。こだわりのデザイン

―――デザインでこだわった部分はどのあたりでしょうか?

五味さん

デザインに関して営業側からは、「下も上も見えて、さらにかっこよくしてほしい」など、最初は漠然とした要望を伝えました(笑)。

藤田さん

この無茶振りとも言える、営業からの要望をどう形に変えるか。デザインに関しては、GULLらしさを損なわず、世の中に受け入れられる形であることは外せません。GULLらしさは世代によっても違いますが今で言うと、落ち着きがあって、品もある、万人が手を出せるようなデザインで、かつ高い性能。この一般的なGULLのイメージからは離れないように。でもあまり近づきすぎると、既存の同じ一眼マスクのVADERと似たようなものになってしまうので、「これがGULLの新作か」というインパクトは出るようにということを念頭に考えました。
あと、GULLらしさでいうと、見ているだけで楽しいと言われるカラーバリエーションの豊富さがあります。だから、完全に視界の広さだけに振り切ってしまえば、おそらく理想的な形状はフレームレスマスクなんですよ。でもフレームレスだと、シリコンの色である黒や白のみのカラーバリエーションになってしまって、色を選ぶ楽しさがなくなってしまう。それではGULLらしくないんですよね
あともう一つ、フレームレスにしない理由に、分解できなくなってしまうこともあります。GULLのアイテムは基本分解ができ、潮を隅々まで落とせますが、フレームレスだとそれができないんですよね。

五味さん

ここでも、営業側から「フレームはあるけど、フレームレスと同じくらい視界の広いものはできないか?」と言いましたが、「さすがにまったく同じにはできない!」と言われました(笑)。しかし、最終的には、GULLのマスクの中で最も広い上下の視界(105°)と一眼マスクの中で最も広い左右の視界(118°)で、一眼マスク歴代最高の広視界を実現(※)。フレーム形状のマスクでありながら、フレームレスマスクに匹敵する視野角にすることができました

※他製品と比べて上下の視界は約 5%アップ、左右の視界は 3%アップ

藤田さん

あと、GULLのマスクの根本には、水漏れがない・フィット感がいいなど、皆さんに安心して使ってもらえるような着け心地を重視しています。単純にレンズを大きくすれば視界は広くなりますが、レンズを大きくすると重量も増えます。デザインやレンズをこうしたいと思っても、着け心地を損なってまでとはいきません。そのバランスの取り方が、非常に難しかったですね。

―――GULLらしさは損なわずに視界の広さを確保した最高傑作というわけですね。
フレームの形状についても、詳しくお聞きしてもいいでしょうか?

藤田さん

特に3つの特徴をご紹介します。1つ目は、フレームのインテーク(穴)です。スポーツカーなどをイメージしてほしいのですが、車体のボディに空気抵抗を減らすために穴が空いているじゃないですか。マスクの場合、抵抗になるのは水なので、水を抜けやすくして抵抗を減らすために穴を開けました。泳いでいて、横からの流れがあっても、マスクがダイレクトに水を受けるのではなく、穴に沿って水が流れる清流効果を持たせました。これも歴代のマスクにはない、初のデザインです。

マスクの左右

マスクの左右

マスクの上部

マスクの上部

藤田さん

2つ目は、鼻部分のフレーム間の幅。一眼マスクだとしても、左右の目の間のフレームが狭まることによって、残像のようなものがありませんか?なるべくフレーム間の幅を可能な限り広げることによって、よりナチュラルに見えるようにしています。

藤田さん

3つ目は、フレームとレンズの繋ぎ目のゴムの部分。マスク上部のレンズ面に自分の吐いた空気がわずかですが溜まったりすることはないですか?これも視界を妨げる一因として、ゴムの部分に細工を入れて空気が溜まりにくいように、凹凸のない滑らかな形状にしました。


―――シリコンの部分についてはどうでしょうか?

五味さん

シリコン部分には、初めてマットな質感を採用しました。3Dプリントでサンプルを使ったときに、シリコン部分が艶のないマットな感じだったんですね。それが意外と渋くてかっこいいということで、採用しました。形状に関しては、「MANTIS LVR」にも採用している特許取得済みの究極のフィット感を得られるシリコン形状(コンフォートフィットテクノロジー)を採用していますので、着け心地はご満足いただけると思います。

―――カラーに関しては、7色展開。かっこいいカラーバリエーションですね!

安藤さん(※)

フレームのカラーは7色展開でかっこよさというコンセプトに合うように、クールでマットな感じにしています。でもほんのちょっと光らせたいということで、塗装業者と相談し、少しパールっぽい素材を入れています。そうすることで、角度と光の加減で色が変わって見え、それがフレームの凹凸の陰影をはっきりとさせるので、フレームの形の良さも引き出せるのではないか、ということで採用しました。

※カラーに関しては、マーケティング担当の女性社員・安藤さんが担当。

左上から「マットブラッククローム」、「マットグラスホワイト」、ラバーシェイブルー」、「マットミッドナイトブルー」、「ラバーナッシュブラウン」、ラバーリードグレー」、「クリア」

左上から「マットブラッククローム」、「マットグラスホワイト」、ラバーシェイブルー」、「マットミッドナイトブルー」、「ラバーナッシュブラウン」、ラバーリードグレー」、「クリア」

―――開発をする上で苦労した点はどこでしょうか?

藤田さん

営業の漠然とした言葉を形にするのが一番苦労したところですかね。抽象的な言葉を正しく理解して、何を求めているのか導き出し、設計エンジニアとして培ってきたノウハウを活かして形にするのが、最大の見せ場だったと思います。

「LUVOS」の詳細を見る

GULL史上最高スペック。新たに採用したレンズとは?

五味さん

歴代のGシリーズのマスクには「UV420CUT ARレンズ」が採用されています。これは、酸化ストレスやルテイン(色素)劣化に影響を与えるHEV(400〜420m)をカットする機能を持っています。このレンズは水中でのコントラストを上げるためにあえてアンバーカラー(黄色)にしており、対象物を明確に認識できるようにしているのですが、逆にそれが人によっては少し暗く感じたりといった声がありました。

藤田さん

そこで今回、LUVOSのレンズに採用したのは、GULL史上最もスペックの高い「UV380CUT AR IRレンズ」という透過率が高いクリアなガラスです。コンセプトが視界を広くしたいというものだったので、直感的に明るいと思えるのはやっぱりクリアだな、という思いがありました。さらに、より透明感を持たせるため、ガラスの表裏両面に低反射(AR)加工を施すことにより、反射を極力抑えて水中でクリアな視界を確保。また、紫外線よりも皮膚の深くまで届くと言われている、IR(近赤外線)をカットし、光老化(シワやたるみ)の発生を防ぐ効果もあります。

まるでレンズがないようなクリア感

まるでレンズがないようなクリア感

藤田さん

あと今までのGシリーズはすべてレンズの斜め上にロゴなどの文字が入っていたのですが、今回は下に入れています。これも上方の視界を邪魔させないように徹底した結果です。

ロゴなどの文字はレンズの下に

ロゴなどの文字はレンズの下に

―――極上の視野を持った一眼マスクの名に相応しく、細部までとことんこだわられているのですね。

「LUVOS」まとめ

●上方の視界の拡大にとことんこだわったマスク
●高いデザイン性と性能のGULLらしさは損なわず、一眼マスク歴代最高の広視界を実現した最高傑作
●安心して使ってもらえるような着け心地も重視
●フレームのインテーク(穴)で水の抵抗を削減
●鼻部分のフレーム間の幅を広くしてナチュラルな視界を確保
●マスク上部のレンズ面に自分の吐いた空気が溜まりにくい
●シリコンにマットな素材を採用して渋くてかっこいい印象に
●クールでマットなカラーを中心に7色展
●透過率の高いレンズで水中でのクリアさは抜群
「LUVOS」の「ラバーナッシュブラウン」を着用

「LUVOS」の「ラバーナッシュブラウン」を着用

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【番外編その1】視界が広いと何がいいの?現地ガイドに聞いてみた!

LUVOSの特徴を詳しく紹介してきたが、視野が広いことによってダイビングにどのような影響があるの?という部分を、水中で誰よりも多くの視覚的な情報を得る必要があるダイビングガイド2名にお話しを伺ってみた!

ワイド目線:神子元ハンマーズの代表・有松さん

静岡県伊豆半島最南端の南伊豆町にあるダイビングショップ。「神子元島」というハンマーヘッドシャークの群れが現れる世界でも類稀なるダイビングポイントをホームとしている。

「ハンマーヘッドシャークの群れを探すとき、上下どこから出るかわからない状態で、純粋に視界が広いことで探せる範囲が広くなり、ハンマーヘッドシャークに気づく確率が高まります。特に神子元のハンマーヘッドシャークは、浅い水深を泳ぐことでも有名なので、今回のLUVOSのように上方の視界が広いことはかなり嬉しいですね。
ハンマーヘッドシャークの群れを発見したら、群れの動きを見つつ、ゲストの位置も確認しながらガイドする必要があるので、意識せずともその姿が視界に入ってきてくれるとガイディングしやすいです。
スタッフが使用しているマスクはGULLの「VADER」や「ABYSS」などのとにかく視界の広い一眼マスクです。二眼のマスクを使っているスタッフはいないかもしれません。たまに、普段使っているものと違うマスクを使うこともあるのですが、そのときはいつも見えている範囲が見えなくなって、視界が狭く感じるのでストレスを感じます。視界の広い状態を一度知ってしまったら、もう前のマスクには戻れないです」。

マクロ目線:ダイビングショップNANAの代表・佐藤さん

神奈川県葉山町にあるダイビングショップ。葉山の海を中心にマクロ生物を楽しめるとして、水中カメラマンがフォトセミナーを開催するなど、多くのフォト派ダイバーが足繁く通う。

「マクロな生物は、岩壁や海藻などに近づいてじっくりと探しますが、もちろん生物を探しながらもゲストの安全管理をしながら潜る必要があります。そのとき、マスクの視界が少しでも広いことによって無意識に視界の中にゲストの姿を入れておけると、安心できますね。さらには、ゲストが次の被写体をそろそろ撮りたいのかな、ということにも気づくことができるので、ガイディングの質が上がるのではないでしょうか。
逆にゲストが視界の広いマスクを使った場合も、生物を見たり撮影しながらもガイドの姿が視界に入ることで、安全性が高まると思います。当店に来られるゲストも一眼のマスクを使っている方が多い印象です。
私は普段、デザインと視界の広さがが気に入っているGULLの一眼マスク「VADER」を使っていますが、他のマスクを使うと視界が狭く感じて、「VADER」の視界の広さを実感します。マクロならではなのかも知れませんが、生物を探しているときに特にマスクの“縁”が気になるんですよね。特に岩壁などを見るときは上を見上げることなどもあるので、今回の「LUVOS」では上方の視界が広くなったということで、楽しみです」。

ワイドとマクロのガイドそれぞれから見ても視界が広いメリットは、多いにあるようだ。視界が狭いマスクから広いマスクに変えても変化がわかりづらいかもしれないが、視界が広いマスクから狭いマスクに変えると普段のマスクの視界の広さを実感できそう。モニター会などで試してみてもいいかもしれない。

【番外編その2】マスクを着けて、視界の広さを検証してみた!

今回、ocean+α編集部もLUVOSを試させていただいたのだが、かなりの視界の広さを実感!他製品と比べて上下の視界が約 5%アップ、左右の視界が3%アップしたことでこんなに変わるとは。上述した現地ガイドさんの話にあったように、複数のマスクを着け比べると、特に視界の違いがよくわかる!この視界の広さを、どうやったら読者の皆さまに伝えられるだろうと考え、2つの検証(※)をしてみた。

※個人差もあるので、参考程度にご覧いただければ幸いだ。

1、陸上で見える範囲を比べてみた

画用紙に1から12までの数字を書き、目線の高さにセット。横目で見て、見えた数字が小さいほど視界が広いということになるのでは?という検証。

何も着けていないときは1から見えた

何も着けていないときは1から見えた

「LUVOS」は4から見えた

「LUVOS」は4から見えた

LUVOSと同じ一眼マスクで、GULLの最高峰マスクのGシリーズのひとつである「VADER」は5から見えた

LUVOSと同じ一眼マスクで、GULLの最高峰マスクのGシリーズのひとつである「VADER」は5から見えた

二顔マスクで、GULLの最高峰マスクのGシリーズのひとつである「MANTIS LV」は5が半分欠けている感じ

二顔マスクで、GULLの最高峰マスクのGシリーズのひとつである「MANTIS LV」は5が半分欠けている感じ

LUVOSと同じ一眼マスクで、視界の広さに定評のある「ABEAM」は6から見えた

LUVOSと同じ一眼マスクで、視界の広さに定評のある「ABEAM」は6から見えた

レンズが楕円形の「ABYSS」はレンズと目の間に他マスクと比べると距離があるためか、6が半分欠けていた

レンズが楕円形の「ABYSS」はレンズと目の間に他マスクと比べると距離があるためか、6が半分欠けていた

2、水中で見える範囲を比べてみた

検証者の斜め上をダイバーが泳ぎ、検証者はダイバーの姿が見えたら手を上げる。検証者の位置にダイバーが近ければ近いほど、視界が広いということになるのでは?という検証。

おまけ

「LUVOS」と「VADER」の水中での視界を再現してみるとこんな感じ。上方をよく見比べてみると、LUVOSの方が広い範囲を見られることがお分かりいただけるだろう。

「LUVOS」

「LUVOS」

「VADER」

「VADER」

「LUVOS」の詳細を見る

GULLから読者へのメッセージ

―――「LUVOS」に込められたこだわりとその性能について、とてもよくわかりました。最後に読者へメッセージをいただけないでしょうか?

藤田さん

LUVOSはノウハウを突き詰めてきた中で完成した形状で、かつ今まで以上にワイドの広視界にこだわったマスクです。視界が広くてストレスがないと言う意味ではビギナーダイバーの方にも快適に使っていただけます。今まで以上によく見えるし、使いやすいという意味でベテランダイバーさんにも満足いただけると信じています。レベル問わずダイバーの皆さんに使っていただけるマスクかなと思います。

五味さん

ぜひみなさんに視界の広さを体感してほしいですね。視界の角度を数字で見ると他製品と比べて数%アップで、少ないように見えますが、実際にマスクを着けてみると数字以上に「よく見える!」というのがあるので、ぜひ実際に着けてみてほしいですね。カッコいいデザインで男性寄りではありますが、かと言ってもちろん女性が使えないわけではないので、幅広いダイバーの皆さんに使っていただきたいです。

購入について

「LUVOS」は3月1日から全国のダイビングショップやダイビング器材販売店にて注文の受付開始予定。発送は4月上旬から順次予定。
▶取扱店舗一覧

現物を見てから決めたい!という方は、2024年4月5日〜7日に池袋で行われるマリンダイビングフェアにて、展示予定なので、ぜひチェックしてみよう。

「LUVOS」の詳細を見る

試したい場合には

モニター会・イベントでの貸し出し

4月以降に現地ダイビングサービスなど開催されるGULLのモニター会やイベントでは、実際に海で「LUVOS」を試着でき、メーカーから直接のアドバイスも聞くことができる。
2024年5月25日(土)には神子元ダイバーズ協議会にて「神子元クリーン作戦」を開催予定で、そこでは「LUVOS」の試用も可能。ぜひ気になる方はチェックしてみよう!
▶︎その他のモニター会・イベントの日程はこちら

ショップでの貸し出し

GULLの取扱店舗一覧から、ダイビングショップを確認し、ご利用予定のショップに相談してみよう!一部対応していないダイビングショップもあるので、事前確認は必須。
▶取扱店舗一覧

Sponsored by GULL(株式会社キヌガワ)
1983年にキヌガワグループのスタッフ数名によって立ち上げられたGULL 。カラーバリエーション豊富で日本人の顔にフィットする高機能なマスクが人気。シンプルで無駄のないデザインをポリシーとし、長い歴史に裏打ちされたテクノロジーとアイデアで、日本のダイビングシーンを牽引する商品を世の中に送り出している。

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日本のホエールウォッチング徹底ガイド!おすすめの時期と場所

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小笠原のホエールウォッチングで観察されたザトウクジラ

地球最大級の哺乳類、クジラ。
一度は野生のクジラの勇壮な姿をこの目で見たいと願う方も多いのではないでしょうか?

海に囲まれた日本では、様々な種類のクジラが観察できます。
ホエールウォッチングのツアーを開催するお店も多い日本は、実はホエールウォッチング大国なんです。

今回は、そんな日本のホエールウォッチング事情をご紹介します。
種類や場所、シーズンもご紹介していますので、ぜひ旅の参考にしてくださいね。

ホエールウォッチングとは?

奄美大島のホエールウォッチング

ボートなどでクジラを探して、近くでウォッチングする。奄美大島にて(写真/坪根雄大)

ホエールウォッチングは、主に船上から野生のクジラを観察するアクティビティです。
日本各地で盛んにホエールウォッチングツアーが開催されています。

とりわけアクロバティックな行動が見られるザトウクジラを観察することを指すことが多いですが、マッコウクジラやシャチ、ニタリクジラなどもホエールウォッチングの対象となっています。
一方で、野生動物であることから、100%遭遇ができるとは限らない点には注意が必要です。

近年では、野生のクジラと一緒に泳ぐホエールスイムも人気を得ています。
また、ダイビングショップがホエールウォッチングやホエールスイムのツアーを開催していることもあるため、クジラがやってくるシーズンにダイビング旅を計画する際には、ぜひ合わせて検討してみてくださいね。

ホエールウォッチングの魅力

ホエールウォッチングの最大の魅力は、普段見ることができない大きな海洋生物が見られること!

大人のザトウクジラの大きさは13〜15m。
時にこの巨体を海面上にジャンプ(ブリーチング)させます。
ちなみに、路線バスの大きさが10mほどなので……、路線バスを見かけた際は、ぜひバス以上の大きさの生き物が泳ぐ姿を想像してみてくださいね。

潮風を感じながら、大海原を悠々と泳ぐクジラを見る経験は、感動そのもの!
ぜひ、その迫力を肌で感じてみてください。

日本でのホエールウォッチングの基本

日本では、ホエールウォッチングツアーに参加して、クジラを観察するのが一般的です。
ホエールウォッチングツアーの所要時間は、約3時間で、午前と午後にそれぞれ開催されることが多いです。
クジラのプロである船長やガイドが、船からクジラを探し、案内してくれます。

料金や参加人数、送迎の有無などは船によるので、ツアー会社を探す時は自分に合うものをチョイスしましょう。

また、クジラが生息する海域では、ファンダイビングや体験ダイビング、シュノーケリング等にオプションでホエールウォッチングツアーを追加できる場合もあります。
また、ダイビングポイントの行き帰りで遭遇したり、ダイビング中に水中で遭遇する幸運に恵まれることもあるでしょう。

クジラとは?

そもそもクジラは鯨偶蹄目に属する生物の総称で、大きくヒゲクジラ類とハクジラ類の2つに分けられます。

ヒゲクジラ類は、歯がなく、内顎に生えているくじらひげ(ひげ板)でオキアミや小魚をはじめとするプランクトンを濾しとり食事をします。
対して、ハクジラは、魚やイカを歯で捕まえて食べます。

ところで、イルカもクジラの仲間ということをご存知でしょうか?
実は、クジラのうち、だいたい4m以下の大きさのものをイルカと呼び区別しています。
ヒゲクジラ類は、地球最大級のシロナガスクジラを代表に巨大な種が多く、体長5mのコセミクジラが最小なので、全てクジラ。
ハクジラ類は、大型のマッコウクジラやシャチはクジラと扱われる一方で、ハンドウイルカやカマイルカなどはその名の通りイルカと呼び分けられています。

クジラの主な行動

ホエールウォッチングの際、海で様々な行動を見せてくれるクジラたち。
その代表的な行動と種類をご紹介します。

ブロー(潮吹き)

奄美大島のホエールウォッチングで観察されたザトウクジラのブロー

クジラは、息継ぎのために水面に上がり、呼吸をします。
この時に見えるのがブロー(潮吹き)です。

ホエールウォッチングの際には、このブローを目印にクジラを探します。
クジラの種類により、ブローの角度や高さは異なります。

ブリーチング

奄美大島のホエールウォッチングで観察されたザトウクジラのブリーチング

奄美大島のホエールウォッチングで観察されたザトウクジラのブリーチング(写真/坪根雄大)

海面から体を宙に踊らせジャンプするーー。
この大ジャンプのことを、ブリーチングと言います。
水しぶきと激しい音は、迫力大!

ジャンプから降りてくる時には、背中側から落ちたり、腹から落ちたりと、様々なバリエーションがあるのも魅力です。

また、行動としてはよく知られているブリーチングですが、なぜクジラがブリーチングをするのかは分かっていません。
・他のクジラへの合図なのか?
・寄生虫を落とすためか?
・ただ遊んでいる?
などと仮説はあれど、未だ決定的な理由は判明していません。

ブリーチングは、一度だけのこともあれば、何度も繰り返すこともあります。
必ず見られるものではありませんが、ホエールウォッチングに参加するなら、ぜひ見てみたい光景ですね。

テールスラップ

久米島のホエールウォッチングで観察されたザトウクジラのテールスラップ

宙に突き出した尾ビレを海面に叩きつける行動です。
ザトウクジラやシャチが行うことが多く、何度も繰り返すことが多いです。

スパイホップ

久米島のホエールウォッチングで観察されたザトウクジラのスパイホップ

海面から顔を出し、あたりを見る行動です。

ペックスラップ

小笠原のホエールウォッチングで観察されたザトウクジラのペックスラップ

ペックは、胸ビレのこと。
胸ビレを宙に出し、海面を叩きつける行動です。
繰り返し行われることが多いです。

代表的なクジラの種類とその時期

日本のホエールウォッチングで観察できるクジラの中から、ザトウクジラ、マッコウクジラ、シャチをピックアップしてご紹介します。

ザトウクジラ

ザトウクジラ

ホエールウォッチングで最もダイナミックな姿が見られるのがザトウクジラでしょう。

ザトウクジラは、大人のオスで体長13〜15m、体重は30〜40tのヒゲクジラです。
この巨体を宙に踊らせジャンプ(ブリーチング)したり、尾ビレを海面に叩きつけたり(テールスラップ)と迫力ある姿を見せてくれます。

ザトウクジラは回遊しながら生活します。
日本を訪れるザトウクジラは、夏には餌が豊富なロシア、アラスカなどの寒い海で過ごし、冬になると繁殖や子育てのために暖かい日本近海にやってきます。

特に日本でザトウクジラが見られるのは、小笠原諸島、南西諸島(沖縄諸島、奄美群島)ですが、近年では八丈島でも見られています。
生まれたばかりの子どもクジラを連れた母クジラや求愛の歌(ソング)を歌うオスなど、様々なザトウクジラが観察されています。

マッコウクジラ

マッコウクジラ

ハクジラの中では最大の種類。
マッコウクジラのオスは、16〜18mという大きさです。
また、世界中の海に生息し、性別や年齢ごとに生息海域や群れが異なります。
日本では、北海道や千葉県、和歌山県などでホエールウォッチングの対象となっています。

深海で狩りをすることが知られており、水深1000m以上潜ることができるんだとか。
人間の目の届かない深い海でダイオウイカと戦って食べているのではないかと言われています。

通年見られる可能性がありますが、水深1000mの海域まで船を進める必要があります。

シャチ

知床のシャチ

先ほど、イルカもクジラの仲間とご紹介しましたが、シャチもクジラの仲間です。
ハクジラの仲間で、オスで大きさ6〜8mほど。
黒い体に白い模様(パッチ)が映える、人気のクジラです。

水族館で飼育されているシャチは、背ビレが垂れ下がってしまうことが多いですが、野生のシャチでは、ほとんどの場合、垂れ下がっていません。
ピンと立った長い背ビレは、野生のシャチである証でしょう。

シャチのホエールウォッチングといえば、北海道の知床・羅臼が有名です。
知床半島の雄大な自然を満喫しながらシャチを探す時間は、貴重な経験になるはずです。

日本のホエールウォッチングにおすすめの場所と時期

日本では、多様な種類のクジラが観察できるホエールウォッチングがあり、それぞれ観察できる時期と場所が異なります。
代表的なものをまとめました。

【北海道】知床・羅臼のホエールウォッチング

知床のホエールウォッチングで観察されたシャチ

4月下旬〜10月中旬が、北海道の知床・羅臼のホエールウォッチングのシーズン。
春〜初夏はシャチやミンククジラ、夏〜秋はマッコウクジラが観察できます。

特にシャチのホエールウォッチングがコンスタントにできる場所は貴重なため、シャチを目当てにホエールウォッチングに参加する方が多いです。

世界でも珍しい白いシャチ2頭が北海道知床の羅臼沖に現る、貴重映像も入手

【東京都】小笠原諸島のホエールウォッチング

小笠原のホエールウォッチングで観察されたザトウクジラ

小笠原諸島にザトウクジラがやって来るのは、毎年12〜5月頃。
その中でも2〜4月が、ザトウクジラのホエールウォッチングのベストシーズンです。

ボートでのホエールウォッチングが盛んに開催されているほか、高台にあるウェザーステーションに登ると陸からホエールウォッチングをすることもできます。

また、マッコウクジラは通年生息していることが確認されているものの、やや沖合でのホエールウォッチングになることから、海況により実施できる日が少ないという側面があります。
海況に恵まれた日には、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

【和歌山県】串本・那智勝浦のホエールウォッチング

和歌山県の串本・那智勝浦では、3月下旬〜9月頃(ツアー会社により異なる)にホエールウォッチングが開催されており、熊野灘を回遊しながら出産・子育てをするマッコウクジラを観察できます。
他にも、ザトウクジラやセミクジラ、ゴンドウクジラを見られることもあります。

【高知県】宇佐・大方・土佐清水のホエールウォッチング

5〜10月頃が、土佐湾のホエールウォッチングのシーズン。
そこで高確率で出会えるのがニタリクジラ。
ブローやフィーディングなどの行動を観察できる可能性が高いです。

【千葉県】銚子のホエールウォッチング

銚子沖でマッコウクジラやザトウクジラなどを観察できるシーズンは、11~3月頃。
カズハゴンドウやハナゴンドウ、コビレゴンドウなどと出会えるほか、時にシャチがやってくることも。

【鹿児島県】奄美大島・徳之島・沖永良部島のホエールウォッチング

奄美大島ではホエールウォッチングツアーが盛んに行われている(写真/坪根雄大)

奄美大島をはじめとする南西諸島にザトウクジラが訪れる12〜4月は、鹿児島のホエールウォッチングのシーズン。
特に観察しやすいのが、1〜3月頃です。

近年、ホエールウォッチングが盛んな奄美大島には、この冬季限定のアクティビティを求めて多くの人が集まります。
奄美大島のほか、徳之島や沖永良部島でも、ホエールウォッチングツアーが開催されています。

奄美クジラ・イルカ協会の興克樹会長に聞いた、奄美のホエールウォッチングの魅力+α

また、奄美大島・徳之島・沖永良部島では、自主ルールに基づき、ホエールスイムも開催されており、盛況です。

奄美大島の冬の代名詞!ホエールスイム&ウォッチングシーズン到来

【沖縄県】慶良間諸島(座間味島・渡嘉敷島)
沖縄本島・久米島のホエールウォッチング

久米島のホエールウォッチングで観察されたザトウクジラのテール(尾ビレ)

12〜4月、慶良間諸島にザトウクジラがやってきます。
慶良間諸島の中でも、特に盛んなのが座間味島。
1991年に発足された座間味村ホエールウォッチング協会が、山の上の展望台から見つけたブローを各船長に連絡。
高確率でスピーディなクジラとの出会いが期待できます。
また、渡嘉敷島でもザトウクジラのホエールウォッチングが開催されています。

また、沖縄本島各地から慶良間諸島をはじめ、伊江島などの沖縄本島近海へとクジラを観察しに行くホエールウォッチングツアーも多く開催されています。
アクセスの良い那覇発の船もあるため、旅程に合わせてチョイスできます。

また、沖縄本島周辺や久米島では、ホエールスイムも開催されています。

ダイビング中にザトウクジラに遭遇! 呼んだら来た? 夢のような10分間の様子をインタビュー

ホエールウォッチングに必要な準備

ライフジャケットの正しい装着方法なども事前に確認しておこう

ホエールウォッチングはボートやクルーザーに乗船し、クジラを観察しに行くアクティビティですが、そもそも船上という環境に慣れていない方も多いかもしれません。
ここでは、服装や持ち物についてご紹介します。

服装について

基本的に季節に応じた服装となりますが、夏は日差しが強いため紫外線対策は必須です。帽子やサングラス、長袖を準備しましょう。

冬は、陸上よりも冷えますし、時に波しぶきがかかることも。
風も強いため、陸上で過ごす服装にフリースやベストなどを一枚足した上で、防風防滴が期待できるボートコートやウインドブレーカー、ない場合はレインコートを着用するのもおすすめです。

また、船は揺れることもあるため、基本的にヒールはNG。
歩きやすい靴を準備しましょう。

携行品について

ホエールウォッチングの際は、必要に応じて下記のものを準備しましょう。

・カメラ
・双眼鏡
・飲み物
・酔い止め
・サングラス
・日焼け止め
・タオル

参加するホエールウォッチングツアーによっては、船に準備してくれている場合もあるので、事前に持ち物の確認を行いましょう。

下記に、特に気を付けたい持ち物について、ご紹介します。

カメラ

必ず持っていきたいのが、カメラ。
貴重な瞬間をぜひ記録に残しましょう。
カメラは、防水ケースに入れて持参した方がベター。
または、防水機能付きのものだと安心です。

また、ブリーチングやブローの一瞬を撮影するためには、シャッタースピードがコントロールできる一眼レフカメラやミラーレスカメラがおすすめ。
ブレてしまう場合は、動画の撮影に切り替えた方がいいでしょう。
スマートフォンで撮影する際は、くれぐれも落とさないように気をつけてくださいね。

双眼鏡

クジラを探す時や観察する時、双眼鏡があると便利です。
船上は揺れるため、双眼鏡を選ぶ際には手ブレ防止機能があるものにしましょう。

船酔い対策

船に乗ることに慣れていない方は、事前に酔い止めを服用しておくと安心です。
また、二日酔いや寝不足などの体調不良だと船酔いしやすくなってしまうため、前日のお酒は控えめにして、早く寝ることを心がけたいですね。
空腹や満腹も船酔いの原因になりやすいため、程よく食事をとって乗船しましょう。

船酔いの対処法については、下記の記事をご参照ください。

船酔いとの上手な付き合い方

ホエールウォッチングのルールとマナー、注意事項

ホエールウォッチングツアーに参加する際は、船長の指示に従いましょう。
船の上は、揺れます。
特にライフジャケットを着用するなど、安全上の注意事項は必ず守りましょう。

また、ホエールウォッチングツアーは、各地のホエールウォッチング協会や各店のルールに従って運営されています。
クジラに近づきすぎない、騒音を出さない、水中に入らない(スイムをしない)など、様々です。

野生動物の生息域にお邪魔している意識を持つことを忘れずにホエールウォッチングに参加したいですね。

また、クジラは野生動物であるため、100%遭遇できるとは限りません。
(ツアー会社によっては、遭遇できなかった場合に全額返金保証を設けているところもあります)
そして、海況により出港できないことがある点にも注意しましょう。

まとめ

奄美大島で撮影されたザトウクジラの尾ビレ(写真/坪根雄大)

広大な大海原で、野生のクジラと出会える奇跡。
もし出港できなかったり、遭遇できなかったりしても、それも自然!とおおらかに受け止めたいですね。

ぜひこちらの記事を参考に、クジラと出会う計画を立ててみてください。
きっと忘れられない思い出ができるはずです。

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3/9、3/10、大阪のSENNAN LONG PARKで、イベント「ウミガメを待つビーチ」開催!

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3月9日(土)、3月10日(日)の2日に渡り、大阪府泉南市のビーチに隣接する“関西最大級の交流・レクリエーション拠点「SENNAN LONG PARK(センナンロングパーク)(※)」にて、海水浴場に再びアカウミガメがやってくる日を願い、ビーチクリーンナップや水中ドローン操縦体験などを行うイベント「ウミガメを待つビーチ」が開催される。その気になる内容をご紹介!

今年も開催「ウミガメを待つビーチ」

SENNAN LONG PARKでは、実は、「タルイサザンビーチ」では過去に、アカウミガメの産卵がされた記録(※)が残っている。しかし、2014年以降、砂浜でアカウミガメの姿を見ることがなくなってしまった。そこで、アカウミガメにはきれいな砂浜を求めて産卵し、またそこに戻ってくる習性があることから、泉南の砂浜にも再びアカウミガメがやってくる日を夢みて、全員でビーチクリーンアップなどを行う、イベント「ウミガメを待つビーチ」が開催されることとなった。

※大阪湾に面した砂浜では、ウミガメの産卵自体が珍しいとされているにも関わらず、「タルイサザンビーチ」では、1995年(ふ化数約30匹)、1999年(ふ化数約120匹)、2010年(ふ化数約90匹)、2014年(ふ化数約140匹)にアカウミガメの産卵とふ化が確認されている。

イベントコンテンツ詳細

イベント当日は、ビーチクリーンアップの他、泉南の海を楽しく学べるコンテンツが充実!水中ドローン操作体験では、ocean+αスタッフも海底のコース設営に協力!当日も会場にいる予定。

ビーチクリーンアップ

開催日:3月9日(土)
受付開始:10:30よりSTART
清掃時間:11:00~12:00
集合場所:公園事務所前(海側)
服  装:動きやすく、汚れても良い恰好

出張!泉南サンゴ礁ラボ

開催日時:
3月 9日(土)12:00~12:45、14:30~15:15
3月10日(日)11:00~11:45、14:00~14:15
場所:SORA RINKU セミナー室
※参加には事前申し込みが必要です。申し込みはこちらから

ビーチヨガ体験

開催日時:
3月9日(土) 14:00~15:00
3月10日(日)11:00~12:00、14:00~15:00
※各回先着40名

稚魚の放流

開催日時:
3月9日(土) 13:30~14:00、15:30~16:00
3月10日(日)13:30~14:00、15:00~15:30

水中ドローン操縦体験

開催日時:
3月9日(土) 11:00~16:00
3月10日(日)11:00~16:00

老若男女、誰でも楽しめるコンテンツが盛りだくさん!ぜひ、ご家族、ご友人をお誘い合わせの上、イベントに参加し、きれいな海と砂浜づくりに貢献してみてはいかがだろうか。

基本情報

日 時:3月9日(土)・10日(日)
時 間:10:30~16:30
場 所:SENNAN LONG PARK 公演事務所前(海側)
参加費:無料
▶公式ホームページ

アクセス:
【電車】 南海本線「樽井駅」徒歩約10分
【車】 阪神高速湾岸線泉佐野南出口~和歌山方面へ約5km
※駐車場はSENNAN LONG PARKの有料駐車場をご利用ください
主催:泉南市

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ミラーレス一眼被写体別撮影テクニック「ウミウシ」の撮り方 後編

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ムラサキウミコチョウ/フラッシュOFF

前回に引き続き、AOIの新製品「AOI FLP-09」とOM SYSTEM社のM.ZUIKO DIGITAL90mmF3.5 Macro IS PROを使ったウミウシ撮影を解説します。使用するカメラはOM SYTEM OM-1。2月22日にOM-1MarkⅡが発売になりましたが、水中撮影においての基本性能はOM-1もOM-1MarKⅡもほぼ同じ、そして外観、寸法、ボタン、ダイヤルのレイアウトは2機種とも同じということで水中ハウジングは引き続きAOI UH-OM1が使用可能となります。

今回はウミウシ撮影ということですが、2回に分けてじっくり解説していきます。前半のパートではウミウシ撮影向きのカメラ設定や使いたいレンズの解説をしました。

後半のパートでは実際に海に出て、前編でセットアップしたカメラでウミウシの撮影を行い、撮影のコツと撮影データを交えながら撮り上がった作品について解説していきます。

前編で設定・解説した内容
  • ● 露出モードM(マニュアル)
  • ● シャッター速度は1/250
  • ● 絞り値はf11.0
  • ● ISO感度はAUTO(上限は6400)
  • ● ボタンの設定
  • ● ダイヤルとレバーの設定
  • ● ピント合わせはS-AF
  • ● Q1RCの設定はi-macro
  • ● LED撮影はQ1RCのLEDを照射
  • ● 極小のウミウシには90mmMacroのS.MACROで撮影倍率をアップさせる

詳細は前編を参照

今回はOM SYSTEMの新しいマクロレンズM.ZUIKO DIGITAL90mmMacro F3.5 IS PROを使った撮影です。90mmMacroレンズにはS.MACRO機能が搭載され、クローズアップレンズを使わずに撮影倍率4倍と超高倍率撮影が可能になります。普段使用しているM.ZUIKO DIGITAL60mmMacroの撮影倍率が2倍なので、単純比較でいつもの2倍大きく撮れます。小さな被写体も迫力の大きさに写るわけです。

今回の撮影では、普段は貴族のレンズと呼ばれる高価な超高倍率クローズアップが必要なほどの極小のウミウシを狙ってみました。3~5㎜程度の極小ウミウシの撮影となると、そのウミウシたちがどこに隠れているのか、私にはまったく見当がつかないので、カリスマガイドさんにヘルプをお願いしました。沖縄本島那覇をベースに可愛らしいマクロの被写体から豪快なワイド撮影まで幅広くフォト派ダイバーをケアするカリスマガイド「fillcolor」の出口さん。もちろんご本人もデジタル一眼で撮影されています。彼に見栄えが良いカラフルなウミウシをオーダーしてみました。

ウミウシ種類別撮影解説

フジナミウミウシ

◾フラッシュON
フジナミウミウシ/フラッシュON

撮影モード

M(マニュアル)

絞り

F11

シャッター速度

1/250

ISO感度

AUTO/200

露出補正

±0.0EV

フラッシュ

ON/RC

Q1RCのモード

i-macro

フラッシュ補正

±0.0EV

ホワイトバランス

水中

仕上がり

水中

フォーカス

シングルAF

フォーカスレンジ

S.MACRO

◾フラッシュOFF
フジナミウミウシ/フラッシュOFF

撮影モード

M(マニュアル)

絞り

F11

シャッター速度

1/250

ISO感度

AUTO/6400

露出補正

+0.7EV

フラッシュ

OFF

Q1RC

LED弱

ホワイトバランス

水中

仕上がり

水中

フォーカス

シングルAF

フォーカスレンジ

S.MACRO

ストロボON/OFFを比較すると、大きく発色が異なり両方共に楽しめたフジナミウミウシの撮影。前回のカメラセットアップで、OKボタンを押して表示されるスーパーコンパネ上で、フラッシュのONとOFFを設定して撮影します。ONの場合には、ISO感度はAUTOを選択した場合でも自動でISO200に設定されます。フラッシュOFFを選んだ場合には、照射するLEDの強さや環境輝度に応じて、自動で必要な感度を選択する制御になります。

ウミウシの撮影では、往々にしてライトが強いとウミウシがライトを嫌がり逃げ出し、撮影がしづらくなる経験があったので、今回も弱めにLEDを照射していました。(LEDが弱くても、ものすごく逃げ足の速いウミウシたちでした…)

LEDを最大光量にセットすればISO感度はそれに応じて低感度になりますが、使用目的がSNS掲載であれば最大ISO6400でもノイズは気になるレベルではないかと思います。同じ被写体で、フラッシュONとOFFを撮り比べると発色やシャープネスの具合も変わるので、そのバリエーションが楽しめました。

コヤナギウミウシ

◾フラッシュON
コヤナギウミウシ/フラッシュON

撮影モード

M(マニュアル)

絞り

F11

シャッター速度

1/250

ISO感度

AUTO/200

露出補正

±0.0EV

フラッシュ

ON/RC

Q1RCのモード

i-macro

フラッシュ補正

±0.0EV

ホワイトバランス

水中

仕上がり

水中

フォーカス

シングルAF

フォーカスレンジ

S.MACRO

◾フラッシュOFF
コヤナギウミウシ/フラッシュON

撮影モード

M(マニュアル)

絞り

F11

シャッター速度

1/250

ISO感度

AUTO/6400

露出補正

+0.7EV

フラッシュ

OFF

Q1RC

LED弱

ホワイトバランス

水中

仕上がり

水中

フォーカス

シングルAF

フォーカスレンジ

S.MACRO

あまりウミウシに詳しくないので、覚えていないだけかもしれませんが、このウミウシは初めて見たような気がします。どこの部分が触覚なのか、それともどこかに退化した目があるのか、わからないままに相当数シャッターを切っていました。

撮影当日、フードを忘れてしまい、それでいて85分も撮影していたので体温が下がり、浮上後、口数も少なくなるほどの低体温になりました。3~5mmという、あまりにも小さなウミウシの撮影でしたがAOIのフード付き拡大鏡「UMG-01」のおかげで、ショット数に対してピンボケになる確率は相当に低かったです。F11まで絞っての撮影でしたがM.ZUIKO DIGITAL90mmMacroIS PROのS.MACROはレンズ直前で被写体を捉えることになるので、被写界深度は倍率の高いクローズアップレンズを装着したくらいの感覚です。もう一絞り絞ってF16を選んでも良いかと思うほど、ピントの合う幅が薄いです。

このような撮影環境では、カメラをしっかりと固定します。左手でレンズポート先端を持つとぶれにくくなります。ポートを持った左手は地面につけることが最大のコツです。壁についているウミウシの撮影なら左手の指で壁に接地して、カメラを左手の上におくと良いでしょう。息を吐き気味に呼吸して、シャッターを切るタイミングでは、息を吐いた状態で止めると身体が沈み、ピント合わせが安定します。息を吸って止めると身体がふわふわと浮き気味になり、カメラが安定しなくなります。カメラが前後に1mmでも動けばピンボケになります。

ダイビングギヤの選択のコツは、フィンは重めのゴム製フィンであれば足が浮きにくく撮影がしやすいです。ウエイトはやや重めに調整すると良いでしょう。

フジムスメウミウシ

■フラッシュON
フジムスメウミウシ/フラッシュON

撮影モード

M(マニュアル)

絞り

F11

シャッター速度

1/250

ISO感度

AUTO/200

露出補正

±0.0EV

フラッシュ

ON /RC

Q1RCのモード

i-macro

フラッシュ補正

±0.0EV

ホワイトバランス

水中

仕上がり

水中

フォーカス

シングルAF

フォーカスレンジ

S.MACRO

■フラッシュOFF
フジムスメウミウシ/フラッシュOFF

撮影モード

M(マニュアル)

絞り

F11

シャッター速度

1/250

ISO感度

AUTO/6400

露出補正

+1.3EV

フラッシュ

OFF

Q1RC

LED弱

ホワイトバランス

水中

仕上がり

水中

フォーカス

シングルAF

フォーカスレンジ

S.MACRO

今回の撮影ではウミウシを画面に対して大半を占めるアップの状態ではなく、やや引いた状態で、まるでワイド撮影をしているような感覚を生かして撮影したいと考えていました。以前はクローズアップレンズを着けて、画面から溢れてしまうほどの倍率で撮影していた時期もありました。アップのカットが良くないわけではありません。しかし、やや引いて背景を入れ込んだ撮影を心がけると奥行きが感じられ、立体感と今にも動きそうなリアル感のあるカットになります。好みの問題と目的によって撮り方は自由ですが、被写体の種類を識別するならピントの幅が広くアップの写真のほうが良いかもしれません。

あくまで清水流ということで。

この新しい90mmマクロレンズのS. MACROの特徴は倍率が高く、大きく被写体を映し出すのと同時に、画面の隅々まで歪みがなく描写できることです。通常の高倍率撮影では解像感を得るために被写体を中央に置いて描写力をキープするのですが、この90mmMCのS.MACROであれば、被写体を端に配置させて背景の空間を生かす手法を楽しむことが可能です。皆さんも是非、ワイドっぽいウミウシ撮影を試してみてください。

ムラサキウミコチョウ

■フラッシュON
ムラサキウミコチョウ/フラッシュON

撮影モード

M(マニュアル)

絞り

F11

シャッター速度

1/250

ISO感度

AUTO/200

露出補正

±0.0EV

フラッシュ

ON

Q1RCのモード

i-macro

フラッシュ補正

±0.0EV

ホワイトバランス

水中

仕上がり

水中

フォーカス

シングルAF

フォーカスレンジ

S.MACRO

■フラッシュOFF
ムラサキウミコチョウ/フラッシュOFF

撮影モード

M(マニュアル)

絞り

F11

シャッター速度

1/250

ISO感度

AUTO/1000

露出補正

±0.0EV

フラッシュ

OFF

Q1RC

LED強

ホワイトバランス

水中

仕上がり

水中

フォーカス

シングルAF

フォーカスレンジ

S.MACRO

このムラサキウミコチョウには驚かせられました。1ダイブ目が終わって水面休息時にガイドの出口さんに、アドバイスをもらいます。

「ムラサキウミコチョウってきれいだけど、どう撮っていいかわかんないよ! だいたいどっちが前なのか後ろなのか分かんないし~」とかなり乱暴なコメントをする私。
出口さんはそれに対し「実は、ムラサキウミコチョウには目があるんです。よーく見ると黒い小さな点が二つあり、その目がある方が前側です」と優しくアドバイスしてくれました。

それと「ムラサキウミコチョウは水中を羽ばたいて飛ぶ」ということは聞いていましたが、本当に、フラッシュONの撮影中に羽ばたいて飛んでいってしまったのです。

これには驚きました。作品を見ていただくと、今にも飛び立ちそうな感じがありますよね?

このムラサキウミコチョウの撮影では、あまり動かないウミウシだったので発色を良くしようとLEDの光量を最大にしています。そのLEDが明るくて嫌だったので飛び立ったのでしょうか? なんとも不思議なことです。咄嗟のことで動画のRECボタンを押すこともできませんでした。

パスタチゴミノウミウシ

■フラッシュON
パスタチゴミノウミウシ/フラッシュON

撮影モード

M(マニュアル)

絞り

F11

シャッター速度

1/250

ISO感度

AUTO/200

露出補正

±0.0EV

フラッシュ

ON

Q1RCのモード

i-macro

フラッシュ補正

±0.0EV

ホワイトバランス

水中

仕上がり

水中

フォーカス

シングルAF

フォーカスレンジ

S.MACRO

今回の撮影で一番のお気に入りの作品です。このウミウシは透明な蓑を被っていました。その透明なベールの中に鮮やかな色彩がいっぱいに詰まっています。動きがすごく速く、撮影にかなり苦労しました。AF/オートフォーカスの食いつきがかなり良かったのでピント合わせには苦労はないのですが、一度レンズを被写体から外すと再びレンズを通じて被写体を捉えることが難しかったです。

このウミウシにも目がありました。撮影時には気がつきませんでしたが。

OM-1とAOI UH-OM1の組み合わせがウミウシ撮影に向いていると感じたのは、拡大鏡UMG-01を覗きながら被写体にピントを合わせてシャッターを切り、そのまま撮影後の画像を自動再生で確認ができること。もし一眼レフ機での撮影であれば、OVF(光学ファインダー)を見ながら撮影して、確認は液晶モニター画面でしなければなりません。撮影と撮影後の確認で、目の位置と距離を変えて確認しなくてはならず、撮影ごとに被写体をレンズを通して探す作業が必要になるわけです。液晶モニターを見ながら撮影のすべてを完結できる喜びは大きいですね。

また、Q1RCが優秀だとつくづく思いました。一つのデバイスでストロボ撮影とLED撮影のどちらもカバーできる。ストロボと別に大型LEDライトをハウジングに装着しなくて済む。重く大きな撮影システムを持ちたくない人たちに最適な撮影ギアですね。それでいてバッテリー容量が大きいので、一日中撮影していてもバッテリー切れになりません。最近ではケーブダイビングでもこのQ1RCをお供させています。

今回使用した撮影システム

カメラ

OM SYSTEM OM-1

レンズ

M.ZUIKO DIGITAL90mmMacro F3.5 IS PRO

ハウジング

AOI UH-OM1

レンズポート

AOI FLP-09

補助光

AOI USC Q1RC×2 (LED)

グリップ&ブラケット

MPBK-02

アーム&クランプ

AOI AMC-1BB-6 & AOI CP-02-SLR

拡大鏡

AOI UMG-01

いかがでしたか?
マニュアル露出撮影といっても撮影モードこそM(マニュアル)モードにセットしますが、最終的な露出コントロールは高性能なカメラに任せます。絞りとシャッター速度は撮影の目的によって定めますが、ストロボの発光量の調整やLEDライトの効き具合はカメラ任せです。撮影では被写体とのやり取りに専念できるし、失敗が少ないのでビギナーからプロまでこの撮影手法をお勧めします。

インスタライブ

3月6日(水)20:00〜
インスタライブは終了しました。アーカイブはこちらから↓


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清水氏の水中撮影教室でもっと学びたい方はこちら↓
▶マリーンプロダクト水中撮影教室

前編はこちら↓

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【富戸ダイビング】ポイント・見どころ総まとめ!行く前に知っておきたい基本情報

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静岡県東伊豆の富戸。都心からアクセスも良く、伊豆半島でも屈指のダイビングスポットとして知られている。本記事では、富戸の代表的なダイビングポイントの魅力だけでなく、富戸までのアクセス、ダイビングスタイルをご紹介。ぜひ富戸でのダイビング準備の参考に!

富戸ってそもそもどこにある?

手つかずの雄大な自然が残る静岡県伊豆半島の東海岸に位置する、富戸。海底火山の集まりからなる伊豆半島は「ジオパーク」にも認定され、陸上にも水中ダイナミックな景観が広がっており、多くの観光客が訪れる地だ。東京都心からは約150km、車だと約2.5〜3時間、同じく電車も伊豆急行線を経由して約2.5〜3時間ほどでアクセス可能。東京や神奈川からの日帰り旅行にも最適で、都心から離れて自然を満喫したい方におすすめのスポット。

富戸までのアクセス

車の場合

東名高速道路を利用し、厚木インターチェンジ(IC)で降りてから、小田原厚木道路および真鶴道路を経由。その後、熱海を経由して国道135号を南下。伊東を過ぎると、「川奈・富戸方面」の標識が現れるので、その指示に従って進むと富戸に到着。
休日や連休中は特に、国道135号線沿いで交通が混雑することもある。時間に余裕を持って出発することをお勧めしたい。

電車の場合

東京や名古屋方面からは、東海道新幹線または東海道線を使って熱海駅まで行く。熱海駅からは伊豆急行線に乗り換え、富戸駅、城ケ崎海岸駅、または伊豆高原駅へ向かう。
富戸を案内してくれる大半のダイビングショップは、最寄り駅からの送迎を提供していますが、利用するショップによって最寄りの駅が異なる場合がある。そのため、訪問前にダイビングショップやサービス提供者に確認し、最適な駅で降りるように。伊豆急行線は、特に夏季や休日には混雑が予想される。乗り換え時間にも余裕を持って計画しよう。

富戸のダイビングポイントの特徴

ビーチダイビング

富戸のダイビングの特徴は、ビーチポイントが充実していること。特に「ヨコバマ」と「脇の浜」がメインポイントとして、ライセンス(Cカード)講習からファンダイブまで多くのダイバーに潜られている。この2つのポイントは海底の砂質が異なるため、見られる海洋生物にも違いがあり、フォト派ダイバーにも人気。風が強くない限りは比較的穏やかな海況であることが多い。

ボートダイビング

富戸にはボートポイントがいくつかあるが、シーズンによってクローズするポイントもあるので、事前に確認が必要。魚影が濃く、大物との遭遇率の高さが魅力。こちらはより深い水深となるため、ビーチダイビングとはまた違った、海洋生物との出会いが期待できる。

ボートが発着する富戸港(写真:オーシャナ主催「Cカード取得サポート企画」Part4!富戸でファンダイブを初体験)

ボートが発着する富戸港(写真:『オーシャナ主催「Cカード取得サポート企画」Part4!富戸でファンダイブを初体験』より)

見られる生物の特徴

毎年、南方から黒潮に乗ってやってくるアジやタカベの群れ、カンパチなどの回遊魚も期待できる。マクロ生物でいうとカエルアンコウやギンポ、ウミウシなど、マクロ撮影に適した小さな生物も豊富。ネコザメやカスザメといった砂地に生息する大型の海洋生物との遭遇率も高い。

富戸のシーズナリティ

富戸のダイビングは年間を通して楽しめるが、特におすすめしたいのは冬の時期。冬は一年の中で最も透明度が高くなり、水が澄んで美しい。春濁りで透明度が下がるのは3〜5月。海日和になる夏場もやはり外せない。春に比べると、透明度も上がり、水温が上昇。魚の種類と数が増える傾向にある。初夏には、アオリイカの産卵を見ることができ、特定の季節にしか見られないダイビングの大きな魅力の一つ。秋も魚影が濃くなり、夏よりもさらに透明度が高くなっていく。

富戸のダイビングポイント詳細

①「ヨコバマ」(ビーチポイント)

●最大水深:30m
●流れ:ほとんどない

「ヨコバマ」は富戸を代表するビーチポイントで、ビーチエントリーのポイントなのに、地形が楽しめる「富戸ホール」は、「ヨコバマ」の一番の見どころ。天気が良い日には水面からの光が海底に降り注ぎ、思わずうっとりしてしまう。また、生物も豊富に見られ、共生ハゼやカエルアンコウなど、フォト派ダイバーにも人気の可愛い生物たちが。カスザメやネコザメといった大物に出会うことも。イソギンチャクとソフトコーラルが密生するエリアもあり、そこにはクマノミやソラスズメダイ、ベラの仲間。さらに、ニシキフウライウオやイザリウオ、ネジリンボウやカクレエビなども生息。また、季節ごとで言うと、初夏にはアオリイカの産卵を観察でき、秋にはブリやカンパチなどの大型回遊魚、ムレハタタテダイの大群。冬にはサギフエやアンコウ、時にはマンボウの姿も!
さらにエントリーとエキジットが別々のスロープを通じて行える一方通行システムは、ダイバーにとって非常に安全。

エントリー口にはスロープと手すりが設置されていて、安全にエントリーできる

エントリー口にはスロープと手すりが設置されていて、安全にエントリーできる(写真:「海牛杯開催中!オーシャナ編集部が挑戦してみたらこんなにたくさんのウミウシが…!」)

②「脇の浜」(ビーチポイント)

●最大水深:30m
●流れ:ほとんどない

富戸港の西側に位置するビーチポイント「脇の浜」。エントリーすると沖に向かって徐々に水深が落ちていく砂地に、大小の根が点在。ここは魚礁になっており、ウミガメが姿を現すこともある。また海底の砂の質が「ヨコバマ」と比べて粗く、ややくすんでいるのが特徴。そのため位置的には近くても見られる生物の種類が「ヨコバマ」とは若干異なり、ヒラタエイ、アカエイといった砂地に生息する大型の生物から、ギンポ、イロカエルアンコウタツノオトシゴ、カエルアンコウやウミウシなどが生息している。春から初夏にかけてはネコザメの赤ちゃんやサカタザメ、アサヒガニ、アオリイカの産卵シーンなどにも出会えるかも。
流れもほとんどないうえに、水中までロープをつたってエントリーできるため、ビギナーダイバーにもおすすめできるポイント。

エントリー時にはロープをつたっていけるので安心(写真:「海牛杯開催中!オーシャナ編集部が挑戦してみたらこんなにたくさんのウミウシが…!」)

エントリー時にはロープをつたっていけるので安心(写真:「海牛杯開催中!オーシャナ編集部が挑戦してみたらこんなにたくさんのウミウシが…!」)

大きさ約1cmほどのマメダコるをこともを発見することも

大きさ約1cmほどのマメダコるをこともを発見することも

③「ピラミッド(ヨコイソ沖)」(ボートポイント)

●最大水深:30m
●流れ:ときどきあり

「ピラミッド(ヨコイソ沖)」は、9月中旬から5月中旬までオープンする期間限定のボートポイント。その名の通り神秘的なピラミッド形状の魚礁がそびえ立っていることがこのスポットの最大の特徴で、まるで海底遺跡のよう。この魚礁は長さ80m、高低差15mにもなる。潮通しがいいため、魚礁にはソフトコーラルが密集しており、その色鮮やかさは圧巻。魚に関しては、キンギョハナダイやカゴカキダイ、タカベの群れが観察できる。カラフルな魚礁と活気ある海の生き物の世界を探索することができる、「ヨコイソ沖」は、冒険心をくすぐるダイビングポイント。

④「マエカド」(ボートポイント)

●最大水深:30m
●流れ:ときどきあり

「マエカド」は、港からわずか約5分という近さにもかかわらず、魚影の濃さとソフトコーラルの色鮮やかさは富戸でNo.1。ムツやアジ、タカベ、イサキ、テングダイなどさまざまな種類の魚が群れており、ドロップオフに沿ってカーテンのように広がることも。その様子は、訪れるダイバーを圧倒!他にもネコザメなどのサメの仲間や巨大クエが見られることもある。フォト派ダイバーも大満足の景観。ただし、「ピラミッド(ヨコイソ沖)」と同じく、急に水深が深くなっているので、中性浮力と減圧管理はしっかりしよう!

海から上がってすぐに入れる「温泉丸」

伊東市漁業協同組合富戸支所(通称、富戸漁協)が運営する富戸の現地のダイビングサービス「富戸ダイビングサービス」は、ダイバーが快適に過ごせるように設計された施設を提供。オープンエアのラウンジ、清潔なトイレ、シャワー、更衣室など、女性ダイバーも安心して利用できる環境が整っている。

そして、富戸の名物とも言える「温泉丸」は、漁船を改装したユニークな湯船舟で、ダイビングスーツのまま入れるダイバー専用のお風呂!海を眺めながらゆったりと体を温めることができ、ダイビング後の疲れを癒すのに最適な場所だ。

富戸のダイビングポイントについて紹介したが、いかがだっただろうか。幅広いダイバーから愛される富戸にぜひ一度訪れてみては!

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今や常識!海洋プラスチックごみ問題の現状とその影響・解決策をわかりやすく解説

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広大な自然の美しさと生態系の宝庫である海。しかし、今日、プラスチック汚染によってその存続が脅かされているのは言うまでもないだろう。今や海洋生態系のバランスを根底から揺るがすだけでなく、私たち人間の健康にまで被害を及ぼすとされている。
そこでこの記事では、海洋プラスチックごみ問題について、わかりやすく紹介。海洋プラスチック汚染の現状、主要な原因、環境への影響解決策について解説していく。

海洋プラスチックごみとは

海洋プラスチックごみとは、河川や陸地から海へ流出したプラスチック廃棄物のことで、漁具やペットボトル、レジ袋など大きなプラスチック片や、その大きなプラスチック片が波などによって砕かれたり、紫外線で分解されたりしてできる微細なマイクロプラスチック(※)までさまざまなものがある。この海洋プラスチックによる汚染は海洋生態系に深刻な影響を与え、動物の誤食や健康被害を引き起こし、食物連鎖を通じて人間にも影響を及ぼす可能性も強く指摘され、一刻も早い対策が必要とされている。

マイクロプラスチックの例

マイクロプラスチックの例

※マイクロプラスチック
マイクロプラスチックは直径5mm以下の極小のプラスチック片のことを言い、日本でも洗顔料や歯磨き粉に使われているスクラブ剤やフリースなどの合成繊維の衣類から洗濯時に出る微細な繊維、大きなプラスチック製品が分解されてできる断片などがある。極小であるために、微生物から魚類まで多くの生物に摂取されやすいのが特徴。

海に流れるプラスチックごみの量に関しては現在、海洋ごみの中で最も多く、毎年約800万トンものプラスチックが海に流入していると言われている。これは、ジャンボジェット機にして5万機相当に及ぶ量。2050年には海洋ごみの量が魚の量を上回るというのは有名な話だ。

これらの海洋プラスチックごみの大半は、陸上からの流出によるもの。不適切な廃棄物管理、都市化や産業活動、観光業からのごみの流出が主な原因として挙げられる。特に、雨水による排水システムを通じて街中にあるごみが河川や海に流れ出したり、または直接的に河川や海に投棄されることで、知らぬ間に大量のプラスチックが海に流出しているのだ。加えて、漁業活動も海洋プラスチックごみの重要な要因となっている。漁に使用された漁網やロープ(※)などだ。

※こういった海に流出した漁網やロープ、釣り糸、浮きなど、海で使われているプラスチック製の漁具が、海に廃棄されたり、流出したりすることで、ウミガメや魚、海鳥など、さまざまな海洋生物を絡め取り、命を奪う原因となっている。こういった海洋環境に放置されている漁具はゴーストギアと呼ばれ、人の手を離れた後も海洋生物の命を奪っている。これらのゴーストギアは、世界の海では、毎年50万~100万トンにのぼるゴーストギアが流出しているといわれ、海洋生態系への深刻な影響を与えている。

海中から回収されたごみは、ペットボトルなどが目立つ(写真:ふるさと納税で屋久島の海をきれいに! ダイバーたちが世界遺産の海を次世代に繋ぐより)

海中から回収されたごみは、ペットボトルなどが目立つ(写真:ふるさと納税で屋久島の海をきれいに! ダイバーたちが世界遺産の海を次世代に繋ぐより)

また、プラスチックごみは海洋ごみの中でも、自然分解にかなりの年月を要する。たとえば、ペットボトルの分解には450年、釣り糸に至っては600年以上もの長い時間が必要だ。一方で、紙製品の分解は数週間から数ヶ月程度と比較的早く、鉄製品は数年で錆びて分解される。この事実からも、特にプラスチックごみの問題がどれほど深刻で長期的なものであるかがわかる。

日本のプラスチックごみの現状

2017年のデータでは、日本は世界でも有数のプラスチック生産国で、国民一人当たりの容器包装プラスチック廃棄物の量は世界で二番目に多いとされている。コンビニエンスストアが全国各地に点在し、便利である一方で、レジ袋の使用は年間約400億枚にものぼると推測されている。さらに、ペットボトルの年間出荷数は227億本を超えるというデータもある。

日本のプラスチックごみのリサイクル率は84%と高い数字を示しはているが、その大半はサーマルリサイクルと呼ばれる燃焼によるエネルギー回収の方法。このプロセスでは、化石燃料を燃やすことになるため、二酸化炭素の排出が伴い、地球温暖化の問題に対するさらなる対策を必要としている。プラスチック生産量の多い日本の場合、重要となるのは生産・使用を「リデュース=減らすこと」が必要だ。

海洋プラスチックごみの影響

海洋プラスチックごみが、いかに海洋生態系に多大な影響を及ぼしているかはお分かりいただけただろう。ここからは、海洋プラスチックごみがどのような影響があるのかさらに詳しく各分野に分けて見ていこうと思う。

海洋生態系への影響

プラスチックごみは水中で分解されず、長期間にわたって海洋環境に残る。これが繊細で複雑な関係で結ばれている生態系のバランスを崩し、海洋生物の個体数や種の多様性に影響を与える可能性がある。そうすると漁業・養殖業や観光業など、海洋資源に依存する経済活動に悪影響が及ぶ可能性へと繋がる。プラスチックごみにおけるアジア太平洋地域での年間の損失は、漁業・養殖業では年間約3億ドル、観光業で年間約6億ドルという膨大な額になると言われている。
また、マイクロプラスチックは海洋微生物から大型動物まで、幅広い生物に摂取され、食物連鎖を通じて生態系全体にさまざまな健康リスクを引き起こす可能性が指摘されている。

海洋生物への影響

海洋ごみによって魚類、海鳥、アザラシなどの海洋哺乳動物、ウミガメを含む少なくとも約700種もの生物が傷つけられたり死んだりしており、このうち92%がプラスチックごみの影響と言われている。
たとえば漁網などに絡まり自由に動けなくなってしまったり、ビニール袋を餌と間違えて食べてしまい消化管の塞がりや栄養吸収の妨げによる餓死などの健康被害が深刻化。プラスチックごみの摂取率に関しては、ウミガメで52%、海鳥の90%とも推定され、実際にクジラのような大型海洋生物の胃から大量のビニール袋が発見されたり、カメの鼻にストローが刺さっていたりする事例が確認されている。
またプラスチックによる物理的な損傷や化学物質の放出により、生殖率の低下や成長の阻害が起こることもある。

クジラの胃から発見された衝撃的な量のプラスチックごみ(写真:【衝撃】クジラの胃から見つかる大量のプラごみ。海獣学者が危惧する生態系破壊より)

クジラの胃から発見された衝撃的な量のプラスチックごみ(写真:【衝撃】クジラの胃から見つかる大量のプラごみ。海獣学者が危惧する生態系破壊より)

人間への影響

魚介類を通じて、私たち人間の体内にもマイクロプラスチックが混入。1週間に食べているプラスチックの量は1週間でクレジットカード1枚分(約5g)、1ヶ月でレゴブロック1個分(約21g)、1年でヘルメット1個分(約248g)とも言われ、健康リスクを引き起こす可能性があると懸念されている。
具体的には、ホルモン系の乱れや生殖機能の障害、消化器系の炎症や組織の損傷、がんリスクの上昇、与え感染症の抵抗力の低下、発達障害や学習障害の原因になることなどが考えられている。

地球環境への影響

マイクロプラスチックは土壌や水源にも影響を及ぼし、陸上環境にも悪影響を与えることが明らかになっている。さらに、経済的な観点から見てみると、プラスチック汚染は海岸線の美観を損ね、観光業に悪影響を及ぼすのは言うまでもないだろう。

世界的な対処の現状

海洋プラスチックごみに対する世界的な対処は、国際的な合意と国内政策によって徐々にではあるが進展している。国連環境計画(UNEP)は、加盟国間での協議を通じて海洋プラスチックごみ削減のためのガイドラインを設け、他国間での取り組みを促進。欧州連合(EU)では、使い捨てプラスチックの使用禁止を含む厳しい規制を導入し、海洋プラスチックごみの削減に向けた具体的な行動計画を実施している。

また個々の国も、プラスチック製造の減量、リサイクルの強化、持続可能な代替素材への移行を促す国内法を改正。企業レベルでは、CSR活動としてのプラスチック削減イニシアチブや、製品のライフサイクル全体での環境影響を評価する動きが見られる。
しかし、実際の海洋へのプラスチック流出は依然として高水準にあり、これらの取り組みが具体的な改善につながるか、引き続き注視が必要である。

新しいリサイクル技術の取り組み

新しいリサイクル技術の取り組みには、化学リサイクルやバイオリサイクルなど、従来の物理的な方法を超える革新的なプロセスが含まれる。化学リサイクルでは、プラスチックを原料レベルまで分解し、新たなプラスチック製品の製造に再利用。バイオリサイクルでは、特定の微生物を利用してプラスチックを分解し、環境への影響を最小限に。これらの技術は、リサイクルの効率を高め、廃棄物の減量に貢献。

リサイクルされたら何になる?回収されたゴミのその後とは?

微生物による分解

微生物によるプラスチック分解は、特定のバクテリアや菌類がプラスチックをエネルギー源として利用し、自然に分解する能力を活用する技術。これらの微生物は、特にポリエチレンテレフタラート(PET)やポリウレタンなどの特定のプラスチックに対して効果的とされている。研究者はこれらの生物を利用して、環境に優しい分解方法を開発し、持続可能な廃棄物管理への応用を目指している。このアプローチは、廃棄されるプラスチックの量を減らし、海洋汚染を削減する新たな可能性となりそうだ。

微生物による分解の実例

1.イデオネラ・サカイエンシス: 2016年に発見されたバクテリアで、ポリエチレンテレフタラートを二酸化炭素と水にまで分解できる能力があると確認。
2.ペクチン分解酵素: 英国の研究者が、ペクチンから分離した酵素がポリエチレンテレフタラートを分解することを発見。
3.プラスチック食べるミールワーム: ミールワームというゴミムシダマシ科の甲虫の幼虫の腸内に存在するバクテリアが発泡スチロールを分解できることが明らかになっている。

ボランティア活動や政策の提言

ボランティア活動や政策の提言は、海洋プラスチックごみ問題に取り組むための草の根的アプローチ。ボランティアによるビーチクリーンアップや教育キャンペーンは、地域コミュニティの意識を高め、実際のプラスチック廃棄物の量を削減した例もあるほど。また、市民団体や非政府組織(NGO)が政策提言を行い、持続可能な消費と生産に向けた法律や規制の改正を促すことで、より大きな社会的変化を推進。こうした活動は、一般市民が環境問題に積極的に関与し、政策立案者に影響を与えるための重要な手段である。

大量の漂着ごみを地元住民が主体となり回収(写真:999日石垣島でごみ拾いを続ける田中さんとビーチクリーンby日焼け止め「NEXTA®」より)

大量の漂着ごみを地元住民が主体となり回収(写真:999日石垣島でごみ拾いを続ける田中さんとビーチクリーンby日焼け止め「NEXTA®」より)

PADI AWARE・水中クリーンナップin平沢。ocean+α編集部も参戦して、タイヤ・釣り竿・懐中電灯など回収

国際的に見た日本の取り組み

世界有数のプラスチック生産国で、国民一人当たりの容器包装プラスチック廃棄物の量は世界で二番目に多いと言われる日本。プラスチックごみに対するさまざまな対処や取り組みが行われる中、日本ではどのような取り組みを行なっているのだろう?
2019年のG20大阪サミットで日本は、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を提案したことは、日本の確かな目標を国際社会に提示した画期的な事例。

また、途上国への経済的支援やキャパシティビルディングの面でも、日本は積極的に関与。資金提供、技術移転、人材育成を通じて、これらの国々の廃棄物管理能力の向上をサポートしており、海洋プラスチック問題の根本的な解決に向けた国際的な努力を強化している。

日常生活でできる海洋プラスチック削減の取り組み

リユースとリサイクルの推進

プラスチック製品の使用を避け、代わりにガラスや金属、布製の再利用可能なアイテムを選ぼう。水筒やエコバッグ、布製のストローなど、日常的に使えるリユース可能な製品を活用することで、使い捨てプラスチックの使用量を減らすことができる。

買い物時の意識改革

買い物をする際は、できるかぎり過剰包装されていない商品を選び、プラスチックの使用量を削減。また、自分で容器を持参して、量り売りの商品を購入することも効果的。

正しい廃棄方法の実践

プラスチック製品を使用する場合は、正しい分別とリサイクルに努めよう。自治体のルールに従い、プラスチックごみを適切に分別し、リサイクルのサイクルに貢献。

ビーチクリーンへの参加

海岸や川辺でのクリーンアップ活動に参加し、海に流出する前にプラスチックごみを回収。これは地域社会への貢献だけでなく、海洋プラスチック問題に対する自身の意識を高める機会にもなる。

啓発活動への参加と情報拡散

SNSやブログなどを通じて、海洋プラスチック問題や上記で上回してきた日常生活でできる削減策について情報を共有し、周囲の人々の意識改革を促してみよう。

まとめ

海洋プラスチックごみ問題は現代社会が抱える最も深刻な環境問題の一つ。この問題への対応として、プラスチックの使用削減、リサイクルの促進、持続可能な代替素材への移行、厳格かつ迅速な政策と規制の施行が求められている。
また、教育と啓発活動を通じて市民の意識を高めると同時に、ボランティア活動や政策提言を促進することが重要だ。国内外での連携と国際的な取り組みは、持続可能な海洋環境を守るために不可欠だ。
私たちも、ポイ捨てをしないのは当たり前で、加えてマイボトルやエコバッグを使って使い捨てプラスチックの利用回数を減らしたり、ビーチクリーンイベントに参加するなど、身近な取り組みからまずは始めてみよう。

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3/10まで日本科学未来館で海洋プラスチック問題を海中360度体験withリコー

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海洋プラスチック問題を考えよう!

日本科学未来館1階コミュニケーションロビーにて2024年3月2日(土)~10日(日)にかけて株式会社リコーが、海洋プラスチック問題を考える展示を開催中。今回のイベントは、昨年リコーが開催したイベント「360度映像で体験するSDGs ~遠くの国の課題も同じ地球のできごと~」での、来場した子どもたちへのアンケートをもとにしたもの。世界各地で深刻化する海洋プラスチックごみ問題を、未来を担う子どもたち一人ひとりが身近な社会課題としてとらえ、循環型社会の実現に向けて自分たちができるアクションについて考えるきっかけを提供する。

会場全体図

会場全体図

360度カメラの浮力調整器「STAYTHEE(ステイシー)」を使用して撮影したマイクロプラスチックが漂う海中の360度映像の体験や、プラスチックに対する身近なアクションを知るゾーン、描いたお魚が泳ぎ出すゾーンなど、子どもから大人まで楽しみながら学ぶことができる。

海中360度体験ゾーン

海中360度体験ゾーン

プラスチックごみの疑問にお答え

プラスチックごみの疑問にお答え

海中のプラスチックごみのリアルが展示

海中のプラスチックごみのリアルが展示

360度画像を撮影できる「RICOH THETA」とカメラを中性浮力にして撮影ができる「STAYTHEE」の展示も

360度画像を撮影できる「RICOH THETA」とカメラを中性浮力にして撮影ができる「STAYTHEE」の展示も

会場の様子をTHETA360で見てみよう

開催概要

名称:海洋プラスチック問題を考えよう!~わたしたちができることって?~
会期:2024年3月2日(土)~10日(日)8日間 ※3/5(火)は休館日
時間:10:00~17:00
会場:日本科学未来館 1階 コミュニケーションロビー

主催:株式会社リコー
入場料:無料
展示概要
エピソードゾーン/海中360°体験ゾーン/あなたができることゾーン/わたしたちができることゾーン/キレイな海に魚を増やそう!ゾーン

▶︎詳細はこちらから

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【世界記録・ギネス認定】知床・ウトロの流氷下、尾関靖子選手が126mアイスフリーダイビング達成!

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尾関靖子

2024年2月22日(木)北海道斜里郡(しゃりぐん)斜里町(しゃりちょう)ウトロのウトロ漁港にて、フリーダイバーの尾関靖子選手が流氷下でアイスフリーダイビングの世界記録を達成した。今回の記録はダイナミックウィズフィン(DYN)with ウエットスーツという種目。これまでの125mを上塗りする126m。記録認定はイタリアに本拠地を置くフリーダイビングの国際競技団体のCMAS(※)により公式認定され、合わせてギネス世界記録としても認定された。
CMAS(シーマス/クマス):世界水中連盟

今回行われたダイナミックウィズフィン(DYN)with ウエットスーツは、モノフィンという大きな人魚のようなフィンを履き、一息で泳げる距離を競う。通常はプールで行われる種目で尾関選手のプールでの記録は221m。

尾関選手は2年連続でAIDA(※)年間全種目の世界ランキング総合1位というトップダイバー。しかし、流氷下で行うこの種目は別物と言って良い。気温はマイナス二桁、水温も海水のため氷点下以下、ウエットスーツを着用し抵抗力が増し浮力調整も難しく、加えて頭上に分厚い氷が張り、いつでも浮上できるわけではない。プールとは比べ物にならない過酷な条件下でのこのチャレンジとは、一体どのようなものだったのか?
AIDA(アイダ):フリーダイビング競技の規則や記録の管理、資格認定などを行う団体。

実は奇しくも、翌日にクロアチアの選手に記録を塗り替えられてしまったため、たった1日の世界記録となった。数字だけではないこのチャレンジの背景と、アスリートやチームメンバーの思いについて、今回セーフティダイバーとして参加し、当初から流氷フリーダイビングに携わってきた筆者の視点を交えてレポートする。

アイスフリーダイビング

アイスフリーダイビングとは?

そもそもアイスフリーダイビングとは何か? そんな競技が存在していたのか! と思われる方も多いと思う。数年前からヨーロッパの寒冷地を中心に、一部のフリーダイバーによる「エキストリームな体験」として、いわば遊びとして行われていた氷の下を潜るというアクティビティ。実は数年前から、スポーツとしてルール化と整備が進み、公式種目化されてからは、続々と新記録が出ていた。記録アテンプト(※)はロシア、フィンランドなどの凍った湖で開催されてきたが、アジア圏では今回が初となる。

関連記事:氷の下の「アイス・フリーダイビング」で世界記録が続々と更新!公式競技化も

※アテンプト:世界記録挑戦の試技

知床・ウトロでの流氷フリーダイビング

実はこの地では、11年前から有志による「流氷フリーダイビングカップ」が開催されていた。主催者はフリーダイバーで写真家の野口智弘氏と地元の高木唯氏だ。当初はほんの数名の、「モノ好き」が集まりひっそりと行われていた。

▼初期の頃の様子
フリーダイバーが魅せられる水中世界 ~究極の素潜り「知床ウトロ・流氷フリーダイビング」レポート~

次第に安全に開催するためのノウハウも蓄積され、メンバーのスキルアップ、そして地元での信頼、協力体制も整ってきた。加えて数年前からは台湾や韓国など海外のフリーダイバーも参加する一大イベントとなっていた。世界大会アテンプトには国際基準での会場設定や日本人以外の認定ジャッジが必要だが、それができるための環境が11年かけて育ち、数年前から企画チームに寺嶋拓哉氏が加わり、いわば、満を持してのアテンプトが実現したと言える。主催者3名へのインタビューは後述する。

コロナ禍で中止も続いていたが、今回は尾関氏のアテンプト以外にも「ファンダイブ」としての「流氷カップ」イベントも同時開催され、多くのフリーダイバーが集まった。

今回同時開催されたファンダイブでの台湾チーム

今回同時開催されたファンダイブでの台湾チーム

今回、ファンダイブイベントには台湾から人気の水中パフォーマーも参加した。

2024年2月22日
知床・ウトロでの世界記録アテンプト

では実際のアテンプトの様子を紹介する。20年に一度という流氷の当たり年となった2024年2月、世界記録アテンプトを祝福するかのように、ウトロ沿岸には一面にびっしりと、流氷が打ち寄せていた。

知床

アテンプト会場となった場所は知床・ウトロ漁港の「旧港」。世界記録認定のための会場には厳密な安全ルールが敷かれており、万一の際の車での移動手段、救急車のルートなども想定した会場設営がなされた。まさに地元の協力無くしては不可能なイベントだ。主催者は実は数年前から申請などの準備を進め、スタッフを集め、事前の綿密なプランニング、オンラインでのミーティング、さらに現地で前日までのリハーサルと準備を万全に進め当日を迎えた。

知床ウトロ旧港

これが上から見た会場全体図。真っ白な雪に覆われているが、これはすべて凍りついた港の上だ。
写真中央のラインが、競技会場。雪が積もっていると水中がますます暗く視界が悪くなるため、競技ラインの真上に沿って氷を露出させている。

ここに一定間隔で、複数の穴を開けている。スタート、ゴール以外に126mの間に20mおきに(ゴール近くには間を詰めて)7つの穴が用意された。水面下には競技ライン、選手用の目視ライン、セーフティダイバー用のライン、スキューバダイバー用のライン、と複数のロープが設置されている。流氷はゴツゴツとしているため、一度ロープを見失うと出口を見失うことになるため文字通りの命綱だ。またロープのたわみや絡みが重大な命取りになる。氷は分厚く、吹雪の中でのこの会場設営は過酷かつ細心の注意が必要で、チームは数日前から入念に設営を行った。

アイスフリーダイビング設営 アイスフリーダイビング設営 アイスフリーダイビング設営
3名のベテランスキューバダイバーも配置された

3名のベテランスキューバダイバーも配置された

そして当日は吹雪の中、朝早くからジャッジやスタッフが最終の会場チェック、それぞれの持ち場のチェックをしてスタンバイした。

持ち場につきスタンバイするセーフティダイバー

持ち場につきスタンバイするセーフティダイバー。氷の上からはアスリートが見えないため、ダイブタイムを頼りに潜り込み、伴泳して安全管理を行う。特殊で過酷な環境での任務を務めるセーフティダイバーは自身の安全管理も求められ、流氷ダイブ経験と臨機応変な対応力、お互いの連携プレーが問われた。ただ座っているだけでも手足が見る間に凍りついてくるのがわかり、時間との勝負でもあった。

尾関靖子

すべての準備が整い、尾関選手がスタート地点で待機する。この日の外気温はマイナス10度以下。こうして呼吸を整えているものの数分でフィンにパウダースノーが積もり真っ白になる。

エントリー

ジャッジによるカウントダウン。そしてトップタイムを迎え、入水。

エントリー後

大勢の陸上スタッフ、そしてジャッジ。水面下の様子は見えず、ダイブタイムを頼りに穴から穴へと走り移動し、見守る。

これは筆者が待機する80m地点。水面付近のケモクライン(真水と海水の境目)で水面下の様子がよく見えない。覗き込む顔は冷たいというより痛いはずだが、緊張感でそれすらも感じなかった。

陸上からの指示を出し、持ち場を終えたセーフティの安全を確認する主催者の寺嶋氏

陸上からの指示を出し、持ち場を終えたセーフティの安全を確認する主催者の寺嶋氏

尾関氏は非常に速い。陸上スタッフは氷上を走る

尾関氏は非常に速い。陸上スタッフは氷上を走る

スキューバチームの大川拓哉氏が撮影した水中の様子。複数のロープ、そして奥にセーフティダイバー

スキューバチームの大川拓哉氏が撮影した水中の様子。複数のロープ、そして奥にセーフティダイバー

尾関靖子

ゴール! 無事126mを泳ぎ切り、浮上する尾関選手。世界記録達成の瞬間だ、極寒の会場はこの上もない熱気に包まれ、誰もが笑顔でハグをかわした!

アイスフリーダイビング

こうして、アイスフリーダイビング世界記録が無事に達成された!

なお、この翌日2/23(金)に、クロアチアのValentina Cafolla選手がイタリアのAnterselva湖にて同種目で140mを達成、1日でこの記録は塗り替えられた。アテンプト申請は数ヶ月前にそれぞれが行うため、事前にこれは分かっていたことだが、たった1日でも価値があることとして尾関選手は敢えてチャレンジを選んだ。

今回の尾関選手のチャレンジは湖の平らな氷ではなく、塩分のある海で、そして分厚くゴツゴツとした流氷の下で行われる点で非常に難易度が高い。加えて温暖化に伴い、流氷の到来は必ずしも確約されていなかった。今回の知床のアテンプトは、選手のずば抜けた潜水能力、気象条件、タイミング、地元の協力、チームワーク、全てが組み合わさって達成できた偉業だ。この先数字が塗り替えられることがあっても、この価値と、チーム全員が感じた達成感と誇りは、決して色褪せることはないだろう。

左からジャッジを務めた河野美絵氏、アスリート尾関靖子選手、CJAC(CMAS日本フリーダイビング委員会)大谷装子氏、メインジャッジ台湾の丁奕先  (Ting Yi-Hsien)氏

左からジャッジを務めた河野美絵氏、アスリート尾関靖子選手、CJAC(CMAS日本フリーダイビング委員会)大谷装子氏、メインジャッジ台湾の丁奕先 (Ting Yi-Hsien)氏

尾関選手へのインタビュー

尾関靖子

ーなぜアイスダイビングWRにチャレンジしようと思ったのですか?
4年前に初めて知床でアイスダイビングをした時に、主催者の野口さんからアイスダイビングのギネス記録があるという話を聞きました。当時のギネス記録はフィンを履いて息を止め、水平に泳ぐ 「ダイナミック」という競技の記録が112.3mで、通常のプールで行う競技の自己ベストから考えると、できない距離ではないなと思いました。それでも、最初は冗談だと思っていましたし、現地入りしても、私本当にやるのかな?と不思議な感覚がありました。

ー今回のチャレンジに向けてどのように準備を行いましたか?
コロナ禍でしばらくチャレンジはできなかったのですが、2年前に少人数で知床に来てウエットスーツの厚さやウエイト量を何パターンか試し、チャレンジに最適な装備を確認しました。また、今年の1月に本栖湖へ行き、冷たい水の中で実際に100mのダイナミックをしてみました。その時の感覚が良かったので、126mいけるかも、という気持ちになりました。現地入りも早めに行い、アテンプトのための穴開けやロープセッティングが順調に進んだので2日間トレーニングすることができました。最初は短い距離から試し、競技前日に100m潜り、感覚の最終確認と精神面での準備を行いました。

ー今回泳いだ距離は尾関選手のプール記録からすると短い距離ですが、アイスダイビングにおいてはどんな点が難しく、どんな点が楽だと思いましたか?
確かに、距離だけで考えると余裕はあるのですが、氷の下という閉塞された世界、冷たい水温、普段とは違う装備はプレッシャーを感じずにはいられませんでした。逆に、プール競技はどこで浮上するか決まっていないのに対し、アイスダイビングは穴開けの都合上、泳ぐ距離は126mと決まっているので、126m泳ぎ切ってしまえば浮上できると考えると気持ちは楽になりました。

ー今回の世界記録達成についてどのように感じていますか?
フリーダイビングは一人で潜ることはできず、安全管理のためのセーフティチーム、スキューバチーム、医師、ジャッジ、記録申請時に証拠として送る映像を撮影するカメラ係等、多くの方の協力が不可欠でした。そのため、協力してくださった皆様へは感謝の気持ちでいっぱいで、チームとして成功できて良かったというのが大きいです。特に、企画からロープセッティングの構想、実際の設置準備を進めてくださった野口さん、知床・ウトロ出身のフリーダイバーで、現地の関連団体や医療機関、消防との調整を行ってくれたゆいちゃん、ギネスやCMASへの申請等の情報収集や海外ジャッジ招聘、資料作成を行ってくれた寺嶋くんは4年間に渡り一緒に世界記録を目指してくれて、とても心強かったです。このメンバーだからこそチャレンジを実現することができまし た。

ー今後またアイスダイビングに挑戦する予定はありますか?
今はまだ具体的な目標はありませんが、また機会があればチャレンジしたいなと思います。今回はモノフィンでのチャレンジだったので、バイフィンやノーフィン等、別の種目も魅力的だなと感じています。海外のアイスダイビングは湖で行われていて、フラットな氷の下で潜るのが一般的ですが、知床は流氷の美しい起伏の中で潜ることができる特別な場所です。また、知床は流氷以外にも壮大な自然が広がっており、人々と自然との共存がいつまでも続くよう祈りながら、自分もそれを伝えるためのお手伝いをできればと思っています。

最後に、今回の世界記録達成の仕掛け人、影の主役とも言える主催者3名のコメントでこの記事を締めくくりたい。

流氷フリーダイビングカップ、及び流氷世界記録アテンプト主催者
左から寺嶋拓哉氏、野口智弘氏、高木唯氏

流氷フリーダイビングカップ、及び流氷世界記録アテンプト主催者
左から寺嶋拓哉氏、野口智弘氏、高木唯氏

●寺嶋拓哉氏(写真左端)からのコメント

(フリーダイバー、水中写真家。ワールドレコードアテンプトの発起人で申請や手配を務めた)
流氷フリーダイビングに魅了された1人のフリーダイバーとして、裏方のサポートをさせていただきました。流氷下の個人アテンプトという特異な環境下での挑戦でしたが、CMAS InternationalとCMAS Japanのメンバーの支援、さらに信頼のおけるスタッフチームの協力により、スムーズに準備することができました。尾関選手の世界記録の達成は数字だけでなく、人間としての可能性を示すものであり、現在までの日本のフリーダイビングコミュニティ全体が築き上げてきた1つの形だと感じます。改めてフリーダイビングの素晴らしさを感じることができました。今後もこの美しいコミュニティを、情熱のあるフリーダイバーたちと共にさまざまな形で盛り上げていけたら良いなと思います。

●野口智弘氏(写真中央)からのコメント

(写真家、フリーダイバー。ウトロでの流氷フリーダイビング創始者)
11年前、私たちは流氷下フリーダイビングというイベントを始めました。最初は手探りの状態でしたが、地元の方の助言と協力により、徐々に方法が確立されてきました。同時に、フリーダイバーのスキルも着実に向上してきました。今回の流氷下の世界記録へのチャレンジは、アスリートの強い意志、スタッフの熱意、そして私たちが積み重ねてきた知識と経験が11年を経て流氷フリーダイビングという文化となり、成し遂げたものです。スタッフやフリーダイバーたちの喜びはもちろんですが、地元の方からの祝福の声には感慨深いものを感じました。

*なお、野口氏が流氷下でフリーダイバーを撮影した写真展『海の雲』2024年 2月3日から3月31日まで知床自然センターで開催中。氷の下の光とフリーダイバーの機微をモノクロフィルム、パノラマカメラで撮影した写真が展示されている。

撮影:野口智弘 モデル:高木唯

撮影:野口智弘 モデル:高木唯

●高木唯氏からのコメント

(ウトロで生まれ育ち、現在も地元の活性化の仕事に携わるフリーダイバー)
2013年に面白そうだからやってみよう、というだけで始まったこのイベントが、毎年恒例となり、ついに世界記録・ギネス記録を更新。当初、驚きと奇異の目で見られていたように思いますが、地元の人にも「今年はいつやるの?」「流氷いい感じでできそうな天気だね」と声をかけてもらえるようになりました。ただ記録にチャレンジしたというだけでなく、毎年みなさんが来てくれているからこそ実現できたチャレンジだと思います。
この小さなまちで世界的な記録が作られたということ、そこに関われたということがとても嬉しいです。
以前野口さんが言っていた「知床に流氷が来なくなってしまった時に、こんな記録を作れるほどの流氷がウトロには押し寄せていたということを残したい」という言葉の重みを感じています。また来年も、その先もたくさんの流氷とフリーダイバーが知床にやって来ることを楽しみにしています。

※氷点下でのフリーダイビングは地元で特別に許可を得て行っています。過酷で危険と隣り合わせです。絶対に安易に真似をしないようお願いいたします。参加者は日頃から潜水のトレーニングを積み、安全管理のもとに実施しています。通常、流氷上へはドライスーツを着用の上、ガイドの同行が求められています。本イベントでは参加者にドライスーツまたは衣服の中にウェットスーツの着用を義務付け、関係機関に届出済みののぼりを携帯しています。

台湾から参加した「女子的海 MS.OCEAN」が撮影、編集した動画

写真提供:icefreediving知床実行委員会

主催者
野口智弘、高木唯、寺嶋拓哉

水中セーフティ
長坂麻美子、尾越あい、Efy Chen、Benjamín Yavar、武藤由紀、細田 周志、野口智弘

氷上セーフティ
蒲倉早苗、高木唯

スキューバチーム
大川拓哉、飯田 紗世、山口耕

医師
渕野 悟史

CMASジャッジ
丁奕先、河野 美絵

撮影
大川拓哉、Vanessa Chen

CJAC(CMAS 日本フリーダイビング委員会)
大谷装子

協力
MEPS

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【応募作品募集中】時代は縦動画!「水中リール動画コンテスト」を開催中

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自然写真家として、国内外の海・陸の撮影をしてきた関戸紀倫氏(以下、関戸氏)が「水中リール動画コンテスト」を開催中!日本ではおそらくダイビング業界初となる、Instagramをプラットフォームとした、オンライン型かつ縦動画(9:16)専用の動画コンテスト。気になるその内容とは!?

「水中リール動画コンテスト」とは?


現在世界中でInstagramの投稿機能「リール投稿」において縦動画が当たり前のコンテンツとなっており、 拡散力もかなり強くなっている。一方で関戸氏が調査した限り、日本のダイビング業界では、まだまだ利用されていないコンテンツだという。縦動画が気になっているダイバーも多くいる中、まだその縦動画のアウトプット(使い道)がわかっていない方も多いそう。

日本のダイビング業界でこの縦動画が流行すれば、ダイバー間で「動画」という新たな目的ができ、ダイビング業界が更に活気づくとともに、ダイビングの魅力や水中世界の魅力が多くの人に拡散され、ダイバーが増える可能性も期待できる。

コンパクトながら臨場感あふれる映像を撮影できるアクションカメラも普及し、誰でも気軽に動画が撮れる時代。ぜひ本コンテストに、自信作を応募して、入賞を目指してみよう!

「水中リール動画コンテスト」応募要項

応募期間

2024年3月1日~2024年5月31日

発表

6月17日(月)20:00〜 ライブ配信にて発表

応募方法

Instagramのリール投稿より15秒以内の水中縦動画を準備してキャプションにタイトルと「#水中リール動画コンテスト」 「#URMC」の2つのハッシュタグを加えて「@wildkirinphotography」を「フォロー」&「タグ付け」して投稿してください。原則として9:16のアスペクト比でのリール投稿作品に限ります。 (16:9の比率で撮影した動画を回転してリールに投稿するのは可)

テーマ

水中動画であれば特に問わない

応募資格

日本国内在住の方に限る(プロのフォトグラファー、ビデオグラファー、クリエーターの方は応募できません)ただし、ダイビングインストラクター、水中ガイドは応募できます。

審査員

KIRIN SEKITO(ダイビングショップ賞は運営側で厳選し、ダイビングショップ様に審査していただきます)

対象作品

・撮影地は国内の水中映像のみ
・撮影機材は問いません
・撮影日は問いません
・応募作品は、応募者が著作権を有しているオリジナル作品に限リます。
・以下の作品は応募できません。
1. 他人が権利を有する著作物
2. 生き物に触れている様子がわかる作品
3. 意図的に生き物を動かしたり、不自然な環境に生き物がいる様な作品と審査員 が判断した場合
4. 過激過ぎるような内容が含まれている作品

応募データ

9:16のFullHD以上のデータでInstagramのリール投稿を完了してください

応募費用

無料

応募点数

1人最大5点まで

賞 グランプリ

1名 準グランプリ
1名 優秀賞
2名 ダイビングショップ賞
6名 関戸紀倫賞
10名 再生回数が多い上位10名にサイン付き2Lパネル写真をプレゼント

副賞

グランプリ「フィッシュアイ カタログギフト2024」
フィッシュアイ取扱製品から厳選したアイテム満載のギフトカタログからご自分の欲しい機材を自 由にお選びいただけます!

準グランプリ 「Anbientec社 クジラのランプ」
静寂が包み込むような暗く冷たい海の中で、そのたった一頭の存在が、不思議な安らぎを生み、心を優しく温めるような。まるで時間の流れまでもがゆるやかに変化するような。“Cachalot(カシャロ)“は、そのような自然界の生命が持つ造形的要素を引用した、彫刻的な光のオブジェです。

優秀賞「LUVOS -ルヴォス-」
まるでムービースクリーン!?の様な広角なGullの2024年待望の最新マスク

「APEKS ローラーキャリー」
90Lローラーは全てのギアを保護して持ち運べるラージサイズ。中身に応じてエンベロープを調節可能。

ダイビングショップ賞 「ダイビングショップ オリジナルステッカー」
ダイビングショップ Nana、ダイブクーザ、マリンステージ串本、ふらら日和、熱海クローバー、Dive Family Yellowの6つの中のダイビングショップさんのオリジナルステッカーを1枚。

関戸紀倫賞 「関戸紀倫2L作品パネル」
世界各地で撮影した関戸紀倫の人気の作品を2Lパネル。 軽い素材ですので気軽に壁などに飾っていただけます。

▶︎詳細は関戸氏のInstagramをチェック

Profile 関戸紀倫

関戸紀倫
1988年7月6日生まれ
東京にフランス人の父、日本人の母の間に生まれる。生まれて間もなくフランスのパリに移りフランス人として成長し10年。父は写真家、ダイビングインストラクター。
小さい時から父にフィリピン、タイ、ガラパゴス諸島など自然豊かな場所に連れて行ってもらい、いつの間にか自然が大好きになる。時が経ち2010年にダイビングを始め2011年から沖縄でダイビングインストラクターとして活動。2013年からオーストラリアのダイビングクルーズ船にて働くことになりそこで船内販売用に写真を撮る。今度は撮った写真をソーシャルネットワークにも載せたりするようになり友達に『世界にはこんな場所がある!こんな海がある!』などと紹介するのが楽しくなる。2014年10月にクルーズ船の仕事を終え帰国前にオーストラリアを一周することに決め念願の一眼レフを手に入れ放浪。 現在は、自然写真家として水中写真をメインに世界中を撮影し活躍中。

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「ロビンソンダイビングサービス」西村さん×水中写真家鍵井さん×オーシャナ河本が語る、流氷ダイビングの歴史と魅力

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西村さん(左)、鍵井さん(中央)、河本(右)

「ニッポンの海と文化」第4話で、水中写真家・鍵井靖章さん、オーシャナの河本雄太と坪根雄大が潜ったのは、北海道知床の海。そして取材チームをアテンドしてくれたのは、知床の海を知り尽くしたダイビングガイド「ロビンソンダイビングサービス」。

「ニッポンの海と文化」第4話 北海道・知床 本編では鍵井さんの撮りおろし水中写真で、知床に接岸した流氷の下に広がる海の魅力を紹介した。そしてダイビング取材の後、「ロビンソンダイビングサービス」のオーナー西村浩司さんと鍵井さん、河本で今回の撮影を振り返りながら、流氷ダイビングのこと、今回の取材で感じたことについて語っていただいた。

約20年前に始まった流氷ダイビング

河本雄太(以下、河本)

 流氷ってそもそもどうやってできているんですか? 流氷とはなんぞやと聞かれるとまだちゃんと答えられないかも。

西村浩司さん(以下、西村さん) 

ロシアの大陸にアムール川という対岸が見えないほどの大きな川があるんです。そこから川の水=淡水がオホーツク海に流れ込み、11月の下旬ぐらいからシベリア下ろしと言われるガチガチの北風に冷やされて凍り、それが成長していき最終的にはこの知床半島まで流されてきます。知床に接岸するのはだいたい2月の上旬くらい。と言った流れで、凍ったロシア産の淡水がここに流れ着くというわけです。

鍵井靖章さん(以下、鍵井さん) 

あの氷ってしょっぱくないんですか?

西村さん 

海水は塩分濃度があるので凍らないです。比重が淡水の方が軽いので、水面に淡水層が浮いていきます。なので、気温が下がって冷えると水面が凍ってしまうんです。淡水が凍ってできているのが流氷なのでしょっぱくないですし、ほとんどが、アムール川の水でできています。

鍵井さん

なるほど、そうなんですね。

穴を開けたエントリーする場所の付近には、薄い氷が浮かぶ(撮影:鍵井靖章)

河本

流氷に乗って、動物も運ばれてきたりするんですか?

西村さん 

はい。今はなかなかないですが、昔は「サハリンやロシアまで流氷の上を歩いて行けるぞ」という笑い話ができるぐらい、ロシアから知床まで流氷が全部繋がっていたんです。

河本

そんな話があったんですね(笑)。ところで、西村さんが最初に流氷ダイビングに携わったのはいつからですか?

西村さん 

初めて潜ったのは1997年です。「ロビンソンダイビングサービス」は自分が2代目なんですが、ちょうど2代目になった10年前から、1ヶ月間知床に常駐して開催するやり方を始めました。それまでは、毎週末札幌から往復して知床まで潜りに来ていました。

鍵井さん

えっ!昔は往復してきてたんですか!?

西村さん 

はい。昔は流氷が厚かったから、穴を開けるのがまず一苦労で。でも、穴を開けないと潜れないし(笑)。チェーンソーンの刃が63cmあるんですが、それが届かないぐらいの厚さがありました。だから、2段に分けて掘ったり、一生懸命人力で穴を開けてっていうのは、多分20数年前はやっていましたね。それはもう大変でした。

河本

じゃあ今みたいに流氷がないなんて確率は、少なかったんですか?

西村さん 

そうですね。以前は1回穴を開けたら多少の風が吹こうが1ヶ月ぐらい氷は動かなかったです。沖までずっと盛り上がって繋がっているので、地上が猛吹雪の中でも、海は穏やかなので潜れていました。なので、今みたいに流氷ダイビングが中止になる日がなかったです。

河本

すると、どこかのタイミングで「あれ、流氷がなくなっている!」となり始めたんですか?

西村さん 

せっかく穴を開けたのに流氷が離れてしまって、開けた穴が無くなり始めたのは、だいたい15年前ぐらいからですね。ここ10年ぐらいは昔と比べると、明らかに氷の面積や勢力が少ないし、寒くないし雪が少ない。西高東低の気圧配置の冬型気圧配置が長続きしなくて、南風がビュービュー吹いて気温が6度から8度ということは、昔の知床ではありえないですね。まず、南風が吹くこと自体ありえないことだったんです。

奥まで流氷が続く知床の海の風景。中央から右中央へ続く氷を取り除いた部分の下を移動してダイビングする。(撮影:坪根雄大)

河本

ちなみに今回の流氷はどうですか?

西村さん 

僕らダイビング業者としては、流氷の状況が良くなくて潜れない状況が一番困ります。なので、爆弾低気圧も来ておらず意外と穏やかで落ち着いていますが、流氷に迫力がないかな。海が荒れて接岸するともうぐちゃぐちゃになって、それこそ水底に突き出すような氷がたくさんできるんですけど。意外とスーっとたどり着いた状態ですね。だから平らじゃないですか。以前はもっと山みたいになっていたり、凹凸がこの3倍ぐらいあったんです。

対談場所の窓から見える流氷を見ながら、昔と今の流氷の勢いの違いを説明する西村さん

アイスアルジーと光が織りなす造形美は圧巻

――流氷ダイビングを初めて経験した河本さん、実際に潜ってみていかがでしたか?

河本

率直に、想像していたよりも楽しかったです。最初に勤めたダイビングショップの社長、副社長レベルの人が流氷ダイビングに行っていたので、レジェンドダイバーたちが最後に行くすごいダイビングポイントみたいな印象が20年前ぐらいにはありました。その時は、「チェーンソーで氷に切れ目を入れて、そこをジャンプして穴を開けてエントリーした」という話を聞いていたので、いつか行きたいなと思っていましたが、ずっと行くチャンスがありませんでした。そもそも、雪が降っている北海道に来るのも初めてでした。

西村さん 

なるほど。それでいきなり流氷の下を潜っちゃったんですね。

河本

流氷ダイビングをするとき、水面が流氷に覆われていて、上に出られないっていうのはどんなに怖いものなのか、氷が動いて閉じちゃったらどうするんだろう?とか思っていたんですけど、実際にやってみたら大丈夫でした。流氷ダイビングって毎年来る方いらっしゃいますよね?

体験する前にイメージしていた流氷ダイビングと、体験した後に感じた感動を伝える河本

西村さん 

そうですね。ダイビングショップのツアーは、リピーターの方が7~8割ぐらいです。もちろん個人の方もいらっしゃいます。

――今回で3回目に流氷ダイビングとなる鍵井さんはどうでしたか?

鍵井さん

もう今年で終わりかな…なんて冗談ですけど(笑)。多分、2022年に来た時の方が流氷は厚くていい感じだったと思うんです。ですが、氷の下に潜ることだったり、アイスアルジー(※)があることだったり、他の海にはない景色がここにはあると思っています。なので、氷が厚いとか薄いとかではなく、氷から溢れてくる光とアイスアルジーのあのオレンジ色とグリーンの水だけで、僕は十分魅了されているし、氷の下に潜れるっていう特別なことだけで、今年も十分楽しめました。写真撮っていても、すごい楽しかったですね。

※アイスアルジー:海氷や流氷の底部に付着する藻類。大繁殖すると茶色やオレンジ色、褐色に色づく。オキアミなどの海洋生物の餌となり、豊かな生態系の食物連鎖を支える役割を持っている。

アイスアルジーによりオレンジ色になる流氷の底部(撮影:鍵井靖章)

河本

透明度は年によって変わるんですか?

西村さん 

だいたい一緒です。狭いエリアで常時10人ほど人が入っているので、朝イチで潜った方がきれいですね。あとは、晴れて日差しが入っている時は、もっときれいです。

――鍵井さんは、極寒の流氷下での撮影で難しいところ、他の海と違うところはありましたか?

鍵井さん

 ミトンのグローブをつけているので、やっぱカメラの操作は少ししにくくなるとか不自由はもちろんあるけれど、撮影の仕方を変えているかと言われたら、僕は変えていないです。さっきも言ったように、氷の厚みとか氷から溢れてくる光に目がいって、そういう部分では他の海よりも凹凸と光や影があるから撮影する楽しみは大きいですね。

流氷ダイビングは日本が誇る最高のアドベンチャー

――皆さんが思う流氷ダイビングの最大の魅力はなんでしょう?

西村さん 

やっぱり流氷ダイビングでしかできないアドベンチャー イン ダイビングですかね。重装備、低水温、頭上閉鎖、何をとっても「本当にこんなところ潜るの!?」というインパクトがあると思います。そして、潜ると流氷の造形美や差し込んでくる光、さらにその中で、生きものたちが生息して、繁殖しているシーンも見られます。また、一年中潜れるわけではなく、流氷が接岸しているわずか約1ヶ月間だけの期間限定というところも、魅力でしょうかね。

鍵井さん

僕は、流氷ダイビングが日本国内でできるという環境の面白みというか、ありがたさというのを感じました。ダイバーにとって、「寒い」ということがネックになるかもしれないけど、一度は流氷ダイビングを体験してみたいなと思っている人も多いと思うんです。今では、すごく安全に流氷ダイビングをさせてくれる場所があって、ドライスーツやフード、グローブなどの装備もすごく良くなって温かさを確保できるようになっているので、昔よりも快適に氷の下の世界を楽しめます。

あと、流氷ダイビングをしたことがあるって、ダイバーにとってランクアップというか、達成感が味わえるんじゃないですかね。日本人であり写真家である僕は、流氷ダイビングを経験したことがない時に比べて、やっぱり胸張って「写真家だぜ!」って言えるところがあるような気がします。さっき西村さんが言っていたようにダイビングの1つの楽しみはアドベンチャーだと思うので、気軽に安全に体験することができるようになった今、ダイビングの目標や憧れにしてほしいと思います。

陸上は一面真っ白、水面下には栄養豊富な深緑色の海が広がっている

河本

世界的に見て自慢できる日本の海遊びっていくつかあると思うんですけど、その1つが流氷ダイビングだと思います。海外から来た外国人の方たちが日本に来て遊ぶとなった時、流氷ダイビングはとても価値のある遊びだと感じました。でも、多くの日本人が、この素晴らしい景色を一度も見ることなく、自分の国で起こっていることを知らずに終わるんだろうなともったいなく思う反面、ある程度のスキルが必要な流氷ダイビングは誰にでもやってほしいっていう感覚でもなくて…。なので、僕もダイバーとしての一つの目標になるような遊びになるといいかなと思います。

西村さん 

今となっては流氷ダイビングを開催しているのは、うちのサービスしかなくて。以前は札幌のダイビングショップが、月に何回か往復するスタイルでやっていたんですが、みんな辞めちゃいました。

鍵井さん

なんで辞めちゃうんですか?

西村さん 

やっぱり大変だからじゃないですか?

河本

西村さんのところには、若いダイバーたちがヘルプに来ていますが、そういうのはいいですよね。

西村さん 

そうですね。ダイビングの環境が過酷なところで経験を積みたいとか修行したいという方が来てくれています。すごく助かっていますね。

(左から)UnderwaterCreator 茂野優太氏、西村さん、ロビンソン 西村知晃氏、水中写真家 石野昇太氏、DIVE SERVICE WATANABE 渡邉浩昭氏、SoBlueDivers 松井一真氏

河本

また行きたいと思う場所っていっぱいありますが、時期や場所が限られる場所ってなかなかないですし、いつまで見られるかわからないという切迫した状況ということもあり、流氷ダイビングをしにまた来たいと思いました。知床が流氷の南限って、言ってましたよね? 

西村さん 

そうですね。レジャーで流氷ダイビングができるのは、世界中でもおそらくここだけです。

河本

そうなんですね。サンゴ礁の北限も日本ですよね? 僕は3日前まで、海から上がったら水のシャワーを浴びて、短パン履いて、車で暑いからエアコンつけてという気温の奄美大島にいました。そして、今は氷点下の北海道で流氷を見ています。日本は北から南までダイビングができる島国なのに、海遊びをする日本人は減っているという…。

鍵井さん

僕は流氷ダイビングのために北海道に初めて来て潜ったときに、積丹とか鮭の遡上、支笏湖など北海道の他のダイビングエリアにも興味を持つことができて。自分にとって、流氷ダイビングはよいきっかけだったと思います。

鍵井さんの写真集『にほんの海』では、積丹の海の写真も掲載されている

国内26地域、50ヶ所近くで撮影された水中写真家・鍵井靖章氏の写真集『にほんの海 日本列島海中写真紀行』

河本

鮭の遡上はどのあたりで、何月ぐらいに見られるんですか?

西村さん 

知床でもやっています! カラフトマスというオホーツク沿岸にしか遡上しないマスを見るツアーを9月中旬にやっています。

知床は、鮭マスの水揚げ量日本一で、カラフトマスのことをオホーツクサーモンというブランド名で販売しています。水産資源が豊富な海なので、鮭マスをはじめ、イクラ、カニ、タラなど、挙げ出したらきりがない海鮮料理を楽しんでほしいと思います。特に、鮭は料理のレパートリーも豊富ですし、北海道を代表する魚類です。

河本

流氷があるからいろんな動物たちの生態系に繋がったんだなと、知床に来て感じました。また、水温の上がり下がりが起こることで水産物が豊かなことも知床の一つの文化なんでしょうね。

西村さん 

流氷がもたらす恵みというのが、水産資源にも繋がっています。2002年に世界遺産に登録されたのは陸だけじゃなくて、実は海のエリアも登録されているんですね。エネルギー循環のお手本のような場所で、流氷のアイスアルジーから動物性プランクトンが生まれ、小型の魚が捕食、中型の魚が捕食し、最終的には海の王者と言われているシャチに繋がっている。それが、陸の恵みにも繋がり、クマやキツネが運び山の栄養分になり、エネルギーが循環する。知床には、非常に豊かな自然があります。

今回の取材で出会ったエゾシカ。日本の他の地域に生息するニホンシカよりも大きい (撮影:鍵井靖章)

流氷ダイビングは、潜るにある程度のダイビング経験とスキルが必要で、誰でもすぐに楽しめるわけではない。しかし、だからこそ経験した人しか味わえない景色と感動があることも間違いないようだ。ロビンソンダイビングサービスの西村さん、ありがとうございました!

北海道・知床で潜るならこのダイビングショップ

ロビンソンダイビングサービス

札幌市西区に店舗を構えるダイビングサービス。ライセンス講習やファンダイブなどを幅広く行っていて、冬は知床の流氷ダイビング、夏は積丹半島や支笏湖でのダイビングを楽しませてくれる。1982年の創業以来、「海の感動教えます」というキャッチフレーズのもと、多くのお客様に北海道の海の素晴らしさを伝えている。今回ご協力いただいたダイビングインストラクター、ガイドでオーナーの西村浩司さんは、ダイビング歴32年、ガイド歴25年の大ベテラン。生まれも育ちも北海道で、海はもちろん陸の魅力も存分に教えてくれた。

住所:札幌市西区発寒14条2丁目3-1

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【ランキング】2024年2月に人気だった海やダイビングのニュース・コラム・おもしろ記事

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こんにちは、オーシャナ編集部です。

寒くなったり暖かくなったりと不安定な気候が続いていますね。春の到来が待ち遠しいですね。

さて、今日は2024年2月公開の人気記事ランキングをご紹介。
拡散&いいね、よろしくお願いします!!

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コブダイのオス

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第2位:【現地レポート】公募で集まった一般ダイバー4名がリブリーザーに挑戦してみた!果たして結果は!?

第2位はリブリーザー「HORIZON」体験レポート。初めて体験したダイバー4名の感想はいかに。

第1位:「天草うみの学校」森さん×水中写真家鍵井さん×オーシャナ河本が思う、天草の海の魅力とは

2月にもっとも読まれたのは、「ニッポンの海と文化 第3話熊本県・天草」のスピンオフ記事。「正直あまり教えたくないダイビングスポット」と3名が語るその海とは。

みなさん、いつも読んでいただきありがとうございます。
来月も海やダイビングの情報、楽しみに待っていてくださいね。

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クマノミ徹底解説! 種類や特徴、驚きの性転換まで!

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クマノミ

(写真/坪根雄大)

鮮やかなオレンジ色の体に、愛らしい顔つきでダイバーやシュノーケラーに人気の高いクマノミ。水族館などでも見られることから、老若男女に知られる生きものです。今回はそんなクマノミの種類や生態を詳しく紹介していきます。

クマノミとはどんな生き物?

イソギンチャクがマイホーム

ハナビラクマノミ

イソギンチャク(sea anemone)と共生することから、英語圏ではクマノミの仲間は一般にアネモネフィッシュと総称される。また、クラウンフィッシュと呼ぶこともある。写真はハナビラクマノミ

ハマクマノミ

「クマノミ」の語源は、「隈取り(歌舞伎の化粧)のある魚」から「隈(くま)の魚(み)」になったという説がある。魚(み)は古語で、魚介類の総称のこと。写真はハマクマノミ

クマノミとは、硬骨魚類(スズメダイ科)の一グループ(クマノミ亜科)の総称です(“クマノミ”という標準和名の種もいます)。最大の特徴は「イソギンチャクと共生する」こと。水槽など人工的な環境は別として、自然界では「マイホーム」とするイソギンチャクをもたないクマノミの仲間はいません。ときにイソギンチャクから遠く離れて中層に泳ぎ出ることはあっても、危険を察知すると素早く戻って触手の中に逃げ込みます。クマノミたちにとって、イソギンチャクは生き抜いていくためには必要不可欠な存在なのです。

でも、ここで疑問がひとつ。イソギンチャクは刺胞動物。触手に仕込んだ刺胞という毒針で小魚などを捕らえることもある生き物です。クマノミたちはなぜ餌食にならないのか? 実はクマノミの仲間は体表に特別な粘液をもっているため、触手に触れても刺胞が発射されることがないのです。

一方、イソギンチャクにとっても、クマノミの仲間がすみつくことでメリットがあるようです。触手内をクマノミが動き回ることで新鮮な海水が供給され、広がった触手にはまんべんなく太陽光が当たり、イソギンチャクの体内にいる共生藻類の光合成が促進されるのだそうです。また、イソギンチャクの触手をついばもうと近寄るチョウチョウウオなどの小魚をクマノミが追い払うことがあり、両者の関係は「相利共生」と考えられています。

※相利共生…一緒にいることで互いに何らかのメリットがある共生のこと。片方だけに益がある場合は片利共生、片方に益があり片方に害があるときは寄生という。

世界にクマノミは何種類?

クマノミの仲間は、世界に400種以上を数えるスズメダイ科に属しています。そのスズメダイ科の中でも、「イソギンチャクと暮らす」というユニークな特徴から、特にクマノミ亜科として1つにまとめられています。現時点では、世界にクマノミ亜科は30種。18世紀末から報告され始め、最近では2010年に英名パシフィック・アネモネフィッシュという新種が記載されました(トンガ、フィジーなどに分布)。

ただし、30種のうち2種(英名ティレズ・アネモネフィッシュ、ホワイトボンネット・アネモネフィッシュ)は、セジロクマノミとオレンジフィン・アネモネフィッシュとの自然交雑種と推測され、「独立した種」として扱われないこともあります。水槽内の実験でも、種によって相性はありますが、クマノミの仲間は容易に交雑することが知られています。
また、同種であっても色や模様の変異や乱れはしばしば見られ、アクアリウム業界ではそうした個体を飼育下でかけ合わせ、自然界には存在しない奇抜な模様の「品種」を開発しています。特にカクレクマノミの改良種は人気があり、スノーフレーク・オセラリスなどが知られています(※)。

(※)オセラリス(ocellaris)はカクレクマノミの種小名(学名)。

クマノミの体形と模様

クマノミの仲間は丸っこい体形をしており、これはスズメダイ科に共通した特徴です。体の大きさは手のひらサイズ。比較的小型であるカクレクマノミで最大8~9cmほど、大型となるトウアカクマノミでも最大15cm程度です。
色については、オレンジや赤などの暖色をベースに、白帯や黒い縁取りが入るというイメージですね。でも、暖色部のほとんどが黒ずんでいるケースは結構ありますし、中にはもともと全身が「白と黒」という種類もいます。例えば、マックローキーズ・アネモネフィッシュ(オーストラリアのロードハウ島、ノーフォーク島に分布)やワイドバンド・アネモネフィッシュ(オーストラリア東部、ロードハウ島に分布)。どちらも局所的な分布をする、いわゆる固有種です。
また、クマノミという種類では、ほとんどの個体で体のどこかに暖色がありますが、小笠原に生息する個体群は暖色が一切なく、全身「白と黒」という配色です。

クマノミの見分け方

ツーバンド・アネモネフィッシュ

体側に2本の白いバンドが入るクマノミは複数種いる。尾ビレがオレンジ色であること、2本めの白帯が1本めより明らかに細いこと、そして撮影地が紅海であることから、この個体はクマノミという種ではなくツーバンド・アネモネフィッシュとわかる

カクレクマノミ

カクレクマノミはアマモなどの海草が生えるような浅場の穏やかな環境を好み、潮通しのいい深場ではあまり見られない(写真/坪根雄大)

クマノミの仲間は分類的にも生態的にもよくまとまったグループで、「クマノミの仲間」というところまでは誰でもわかるでしょう。ただ、種の同定となると少々ややこしいというのが正直なところ。理由のひとつに、同種内でも個体によって、あるいは成長過程や環境、生息地などによって色や模様が微妙に変わるということが挙げられます。それを頭に入れた上で、クマノミの種類を調べる重要ポイントとして次のことが挙げられます。

①白帯の本数と太さ、形状、位置
②ヒレの色
③生息環境(内湾の砂泥か潮通しのいい岩礁か、など)
④目撃した地域

特に④はかなり重要です。クマノミの仲間は種類ごとに比較的狭く、限定された海域に分布する傾向があります。逆にいえば、「どこで出会ったか」「どこで撮影したか」は種の同定に際し有益な情報となります。
記事の後半では、日本&世界で見られる主なクマノミの種類を紹介しますので、具体的なことはそちらを参照ください。

クマノミが見られる海

クマノミの仲間が1種でも分布する海は、インド-西太平洋の熱帯・亜熱帯海域。サンゴ礁や岩礁などでよく見られます。特に種類が多いのは日本を含む東南アジアで、その一方、東部太平洋や大西洋には1種も生息していません。意外ではありますが、ダイビングが盛んなハワイ諸島やカリブ海にはクマノミの仲間がいないのです。また、非常に狭い地域だけで見られる、いわゆる固有種が多いこともクマノミ類の特徴です。

クマノミの固有種例
●ツーバンド・アネモネフィッシュ(紅海、アデン湾)
●モルディブ・アネモネフィッシュ(モルディブ諸島、スリランカ)
●モーリシャン・アネモネフィッシュ(モーリシャス諸島)
●マダガスカル・アネモネフィッシュ(マダガスカル島、コモロ諸島)
●セイシェル・アネモネフィッシュ(セイシェル諸島、アルダブラ諸島)
●オマーン・アネモネフィッシュ(アラビア半島オマーン)
●チャゴス・アネモネフィッシュ(チャゴス諸島)
●アラーズ・アネモネフィッシュ(東部アフリカ沿岸)
●レッドサドルバック・アネモネフィッシュ(アンダマン海~スマトラ島とジャワ島のインド洋側)
●オーストラリアン・アネモネフィッシュ(オーストラリア北西部)
●バリアリーフ・アネモネフィッシュ(オーストラリア東部~ニューカレドニア)
●マックローキーズ・アネモネフィッシュ(ロードハウ島、ノーフォーク島)
●ワイドバンド・アネモネフィッシュ(オーストラリア東部、ロードハウ島)
●スリーバンド・アネモネフィッシュ(マーシャル諸島)など

クマノミの生態を探る

「ファミリー」に血縁はない?

トウアカクマノミの「ファミリー」

トウアカクマノミの「ファミリー」。ペアと数尾の幼魚で構成されているが、親子である可能性は限りなく低い

クマノミは一夫一婦制。同じイソギンチャクに一組のペアで暮らしています。体の大きいほうがメス、小さいほうがオスですが、雌雄差があまりない種類もいます。
ペア以外に、小さな個体が同居していることもよくあります。まだ成長しきっていない幼魚なので、しばしば「クマノミの家族」「ファミリー」と勘違いされていますが、ペアと幼魚たちの間に血縁関係はありません。彼らは別の場所で生まれ、たまたまここにたどり着いた赤の他人。というのも、卵から孵化したクマノミの赤ちゃんたちは、いったん水面へと上昇し、しばらく海の中を漂って過ごします。再び海底に戻るころには、両親の暮らすイソギンチャクからは遠く離れてしまっていることでしょう。

クマノミに性転換が起こるとき

われわれ哺乳類は母体内で胎児を育ててから出産するため、繁殖のための組織や器官、システムが非常に複雑となり、生物学的な意味で性を変えることは不可能です。しかし、卵や精子を作るだけの魚類の場合、性転換はさほど珍しくありません。ベラ科やキンチャクダイ科、ハタ科などでは普通に見られる現象。クマノミの仲間も同様ですが、多くの性転換魚類が雌性先熟(メス→オス)であるのに対し、クマノミは雄性先熟(オス→メス)という少数派です。

クマノミの生殖腺には精巣部分と卵巣部分があり、いわゆる両性具有の魚です。「ファミリー」の中で最も体が大きい個体は卵巣を成熟させメスとなり、2番目の個体はオスとして性成熟するのです。残りの幼魚たちは、ペアが存在する限り精巣も卵巣も未成熟のまま。つまり繁殖に参加できません。

ところが、ある日突然ナンバーツーであるオスがいなくなったとしましょう。すると幼魚たちの中で最も体の大きな個体がオスとして成熟し、ナンバーワンのメスと新たにペアを組みます。また、ナンバーワンのメスが消えたときは、オスがメスへと性転換し、幼魚たちの中から新たなオスが生じます。つまり、「体の大きさ」という社会的地位が性転換、性成熟のトリガーとなっているのです。ただ、周囲にイソギンチャクがたくさんあって、個体の生息密度が高いようなケースでは、オスはオスのままで別のメスとペアを組むこともあるそうです。

クマノミ夫婦は子煩悩

産卵中のクマノミのペア

産卵中のクマノミのペア。メスが卵を産み付け、オスが受精させる。産卵床となる石や岩の表面は、卵が付着しやすいよう事前に「掃除」してある

汚れを取り除いたりヒレで新鮮な水を送ったり、卵の世話は主にオスの担当。体の大きなメスは外敵を追い払う。たまにダイバーに噛みついてくることも(写真/堀口和重)

産卵直後は濃い暖色だった卵は徐々に色が薄れ、やがて眼が確認できるようになる(発眼卵)。卵内に赤く残っているところは成長のための栄養が詰まったヨークサック(写真/堀口和重)

孵化直後のクマノミの赤ちゃん

孵化直後の赤ちゃん。このあと水面へと浮上し、8~12日間ほどは浮遊生活を送る(写真/堀口和重)

タツノオトシゴやダンゴウオのように、卵が孵化するまでの間、オスが保護するという習性の魚類がいます。スズメダイ科も同様なのですが、クマノミの場合はペアが同じ場所に暮らしているため、メスも育児に関わっています。

イソギンチャクの好き嫌い

クマノミの仲間が共生するイソギンチャクは約10種類。サンゴイソギンチャクの仲間やシライトイソギンチャク、センジュイソギンチャク、ハタゴイソギンチャクの仲間、ジュズダマイソギンチャクなどがよく知られています。

興味深いことに、特定の1~数種のイソギンチャクにしか共生しない種類もいれば、選り好みをしない種類もいます。前者の代表はハマクマノミとスパインチーク・アネモネフィッシュで、サンゴイソギンチャクの仲間でしか見られません。後者の代表はクマノミで、約10種すべてと共生します。その理由としてはイソギンチャクとの生化学的な相性、イソギンチャク及びクマノミが好む生息環境の関係、クマノミの種間競合など諸説あるようです。

日本で見られるクマノミ6種

日本は6種ものクマノミが見られる世界でも珍しいエリア。沖縄や奄美諸島など亜熱帯のサンゴ礁がメインですが、温帯の南日本でもクマノミという種類が見られます。

国内で見られるクマノミを覚えるための標語に、「1ハマ、2クマ、3カクレ」があります。これは「体側の白帯1本はハマクマノミ、2本はクマノミ、3本はカクレクマノミ」という特徴を表しています。ただ、海外では通用しないのでご注意を。

クマノミ~最も分布が広い普通種

伊豆半島で撮影されたペア。尾ビレが白いほうがメス(左)、黄色はオス

沖縄のペア。メスは尾ビレが白~淡黄(手前)、オスは上下縁が黄色で縁取られる

シライトイソギンチャクやセンジュイソギンチャクには幼魚が集団で居着くことがある(写真/堀口和重)

小笠原諸島で見られるクマノミ

小笠原諸島で見られるクマノミ。暖色部分がまったくなく、全身が白黒。尾ビレも雌雄とも白い

標準和名クマノミは、クマノミの仲間を代表する種類。西はペルシャ湾あたりから東はメラネシアまでインド-西太平洋に広範囲に分布し、日本では房総半島以南から見られます。体側に2本の白帯があり、一般に2本めの白帯は1本めと同じ幅かやや太め。
体色や模様は個体や地域、あるいはホストとするイソギンチャクによって様々な変異が見られます。また、地域によっては尾ビレの色で雌雄の識別が可能ですが、南日本と沖縄では微妙に異なることに注意。大きさ10cm程度。

ハマクマノミ~雌雄の区別が簡単

オスは美しいオレンジで、メスは体側が黒ずんでいる

若魚は明るい暖色(写真/坪根雄大)

眼の後ろに、黒で縁取られた1本の白帯があることが特徴(小さな幼魚は2~3本の場合あり)。オスや若魚は鮮やかなオレンジ色をしていることから、英語圏ではトマト・アネモネフィッシュと呼ばれます。西部太平洋に分布し、日本では沖縄や奄美諸島でよく見られます。主にサンゴイソギンチャクと共生。大きさ11cm程度。

カクレクマノミ~シュノーケリングでも観察可能

多くの場合、白帯やヒレには黒い縁取りがある

黒い縁取りが少ないタイプ(写真/坪根雄大)

クマノミの中でも一番人気。明るいオレンジに白帯が3本あり、中央の白帯が頭部方向に膨らんでいることが特徴。浅場の穏やかな海域を好み、イソギンチャクからもあまり離れないようです。インド洋の東端~西太平洋に生息し、容姿が酷似するクラウン・アネモネフィッシュの分布とは重複していません。また、稀に自然界でもオレンジの部分が黒化した個体が見られます。大きさ9cm程度。

ハナビラクマノミ~眼の後ろと背に白線

模様に雌雄差はない。右の大きい個体は腹部が膨らんでおり産卵前のメスと思われる

シライトイソギンチャクやその近縁種と共生することが多い

ピンクまたは淡いオレンジという地色で、眼の後ろと背中に白いラインが入ることが特徴。潮通しのいい岩礁などでも見られ、イソギンチャクから離れてプランクトンを捕食することもあります。インド洋の東部~西部太平洋に分布、日本では沖縄や奄美諸島で普通。大きさ8cm程度。

セジロクマノミ~背中に白線がクッキリ

ハタゴイソギンチャクの仲間とよく共生している

正面から見るとまるでハクビシンのようだ

濃いオレンジの地色で、背中に太い白帯1本という独特の模様。日本では奄美大島以南で見られ、フィリピンからパプアニューギニア、インドネシア、オーストラリア北西部に分布。イソギンチャクから離れることはほとんどありません。大きさ11cm程度。

トウアカクマノミ~6種の中では最もレア

砂地や砂泥域を好み、ハタゴイソギンチャクと共生することが多い。近くに適当な岩がない場合、石や貝殻、木の枝などを運んできて産卵床とする(写真/堀口和重)

幼魚や若魚は地色が淡い(写真/坪根雄大)

日本で見られる6種のうち最も個体数が少なく、本種が見られるダイビングポイントは海洋生物や魚好きのダイバーに人気。 眼の後ろに白い太帯が1本、「腰」のあたりにスダレ状の白い斑紋があることが特徴ですが、個体や地域によって様々なバリエーションがあります。イソギンチャクから遠く離れて行動することもあり、強気な性格なのか抱卵中はダイバーをも攻撃してきます。沖縄からフィリピン、インドネシア、パプアニューギニアにかけて分布。大きさ15cm程度。

ダイバーが出会う世界のクマノミ10選

日本産6種以外にも、海外には20種以上のクマノミが生息しています。その中から10種ほど紹介。なお、海外には日本の標準和名に相当する名称がありません。複数の種を同じ英名で呼んだり、同じ種に複数の英名があるケースが多々あるのでご注意ください。

①オレンジフィン・アネモネフィッシュ

マリアナ諸島などミクロネシアからポリネシアまで西部太平洋に広く分布。暗色のボディと鮮やかなオレンジのヒレをもつことが特徴だが、パラオやポンペイで見られるものは尾ビレが白い。また、暗色部分がくすんだ茶色で発色が悪い個体もたまに見られる。大きさ15cm程度。

②スパインチーク・アネモネフィッシュ

エラブタに大きなトゲを持つことが特徴。クマノミ亜科の中で本種だけが別属(Premnnas)で、他はすべてクマノミ属(Amphiprion)とされることが多い。頭部と体側、尾の付け根に白い白線がある。インド洋東端のアンダマン海からマレー諸島、パプアニューギニア、東部オーストラリアまで分布。雌雄差が大きく、オスは鮮やかなオレンジ色で7~8cm程度と小さいが、メスは15~16cmとクマノミの仲間の中では最大級となる。また、体色も黒ずみ、大きな個体では白線も目立たなくなるほどだ。

③モルディブ・アネモネフィッシュ

モルディブ諸島とスリランカに分布。頭部に白帯が1本、腹ビレと尻ビレが黒いことが特徴(ブラックフット・クラウンフィッシュとも呼ばれる)。個体による色彩変異が少なく、分布も局所的なので他種と混同することはない。イソギンチャクが群生しているところでは、しばしば大きな集団で暮らしている。大きさ11cm程度。

④クラウン・アネモネフィッシュ

パプアニューギニアからメラネシア、およびオーストラリア北東部に分布。カクレクマノミと酷似するが、カクレクマノミより黒色部分が多く、また分布も重複しないことから識別できる。ディズニーアニメのキャラクター“ニモ”のモデルは、分布からすると本種であろう。大きさ8cm程度。

⑤スカンク・アネモネフィッシュ

分布が連続せず、東側(アンダマン海やジャワ海、ジャワ島とスマトラ島の南岸)と西側(アフリカ東岸、セイシェル諸島、コモロ諸島、マダガスカル島)に分断されている点が興味深い。セジロクマノミと似ているが、本種は地色が淡く白帯が細い。また分布は重ならない。大きさ11cm程度。

⑥レッドアンドブラック・アネモネフィッシュ

ダスキー・アネモネフィッシュと呼ばれることもあり、フィリピン南部からミクロネシア、インドネシア、ポリネシア南東部まで西太平洋に分布する。個体や地域によって色彩変異が激しく、尾ビレが白いものや白帯を欠く個体もいる。大きさ6cm程度。

⑦レッドサドルバック・アネモネフィッシュ

アンダマン海からジャワ海、スマトラ島とジャワ島のインド洋側に分布。幼魚には頭部に細い白帯が1本あるが、成魚になると消えてしまう。体側にある暗色の斑紋は、メスでは体の後半部分を覆うほどになる。トマト・アネモネフィッシュとも呼ばれる。大きさ12cm程度。

⑧ツーバンド・アネモネフィッシュ

紅海とアデン湾に分布し、レッドシー・アネモネフィッシュと呼ばれることも。クマノミと酷似するが、すべてのヒレが暖色であること、2本めの白帯が1本めより細いことで区別できる。暗色部は変異が大きく、全身明るい黄色という個体もいる。大きさ14cm程度。

⑨セイシェル・アネモネフィッシュ

インド洋のセイシェル諸島、東アフリカのアルダブラ諸島に分布。尾ビレに独特の黒い模様が入ることで、よく似たアラーズ・アネモネフィッシュなどと識別しやすい。大きさ14cm程度。

⑩アラーズ・アネモネフィッシュ

ケニアからダーバンにかけての東部アフリカ沿岸に分布。同じインド洋には、よく似たマダガスカル・アネモネフィッシュやセイシェル・アネモネフィッシュもいる。大きさ15cm程度。

クマノミの周辺に見られる生き物たち

イソギンチャクと共生する生き物はクマノミだけではありません。次回のダイビングでは、こんな生き物も探してみてはどうでしょうか。

ミツボシクロスズメダイ

ハマクマノミが暮らすイソギンチャクに同居中

蛍光ブルーで縁取られた白い「星」が美しい

幼魚のときは頭部と体側に合計3つの白い点がよく目立ち、イソギンチャクの触手内に身を寄せています。成魚になると10~15cmほどとなり、白星は目立たなくなります。英名スリースポット・ダムゼルフィッシュ。

アカホシカニダマシ

ハタゴイソギンチャクの仲間の近くにいることが多い。名前の通りカニではなくヤドカリの仲間。大きさは2cmほど

イソギンチャクエビ

大きさ1~2cmほどのテナガエビの仲間。また、イソギンチャクモエビというモエビの仲間もいる

クマノミについて詳しく紹介したこちらの記事、いかがでしたか? クマノミは国内でも6種類が見られ、さらに海外では固有種もさまざまなダイビングエリアで見られます。ぜひダイビングやシュノーケリングを楽しむ際には、その海にすむクマノミをチェックしてみてくださいね。

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【速報】奄美大島北部で2024年初のミステリーサークルを発見

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ミステリーサークルと聞くと、宇宙人到来?と考える方もいるかと思う。しかし、ここでいうミステリーサークルを作っているのは、メスが産卵する場所(ミステリーサークル)をオスが作って求愛する不思議な習性を持つ「アマミホシゾラフグ」というフグ。

今回は、奄美大島の北部にあるダイビングショップ「ネイティブシー奄美」のスタッフ鈴木さんより、2024年初のミステリーサークル発見情報をいただいたので、熱々の情報をお届けしたい。

アマミホシゾラフグとは?

アマミホシゾラフグとは、奄美大島周辺海域に生息する固有種で、2012年に新種として和名が命名される。「ミステリーサークル」は、体長約10~15cmのオスがメスに産卵してもらうために作る産卵床で、その大きさは、なんと体長の約20倍の大きさである直径約2m。美しい幾何学模様はまさに自然の芸術作品。例年3月中旬から7月上旬まで観察できる。

がんばってメスに尽くす、1匹のアマミホシゾラフグのオスの物語

現場から!今シーズンのミステリーサークルの進捗情報

鈴木さんが3月18日(月)の時点で確認したところ、今シーズン最初のサークルを3つ発見。3つのうち、2つは3月22日前後に完成するであろうサークル、残りのひとつは既に前の周期で産卵が終わったものだったという。

3月22日前後に完成するであろうサークルの1つ目

3月22日前後に完成するであろうサークルの2つ目

前の周期で産卵が終わったミステリーサークル

完成したミステリーサークルを見るためには

サークルは完成まで約10日前後かかり、完成した状態の形は3月〜7月のシーズンの中でも、1ヶ月に2日~3日しか観察できない。奄美大島北部のミステリーサークルは大潮の前に完成するため、スタッフはその周期をある程度予想できるという。完成したミステリーサークルを見たい方は、予約時に現地ダイビングショップに問い合わせてから日にちを決めるのがおすすめ。

運が良ければ、オスがミステリーサークルを作っているところ、求愛しているところに出会えるかも。観察する際は、オスが一生懸命作ったミステリーサークルを壊さないように配慮し、温かい目で見守ろう。

情報提供:ネイティブシー奄美

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『DiveLife』第3号が4/1より発売開始!テーマは「ファミリーで海とダイビングを楽しもう」!

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ダイビング先進国であるイタリア発祥のダイビング指導団体・SNSI(Scuba and Nitrox Safety International)ジャパンから、ダイビング情報誌『DiveLife』の第3号の発売が発表された!その気になる内容とは!?

『DIVELIFE』は、2022年に第1号を創刊した、ダイバーとダイビングをこれから始めるノンダイバーを含む海が大好きなすべての人に贈るダイビング情報誌。SNSIジャパンの教材作成チームのノウハウを中心に、現役ダイビングプロフェッショナルやダイビング器材メーカーによる、リアルかつタイムリーな最新情報満載の内容となっている。

第3号のテーマは「ファミリーで海とダイビングを楽しもう」。巻頭の特別インタビューには、家族でダイビングを楽しむ俳優の杉浦太陽さん、そしてTBSドラマ「DCU」で認定ダイバーになった同じく俳優の高橋光臣さんが登場!その他にも国内外ダイビングスポットの紹介やダイビング業界を支える器材メーカーのスタッフへのインタビュー、最新のダイビング器材ガイド、メディカル情報など、今回も読み応えたっぷりの内容となっている。

すでにダイバーの方はもちろん、これからダイビングを始めようとしている方もぜひ、『DIVE LIFE』を手に取って最新のダイビング情報をゲットしよう!

・誌 名:DiveLife(ダイブライフ)
・仕 様:A4・本文 152 ページ、フルカラー 
・発行時期:2024年4月1日
・販売価格:1,500 円(税別)
▶公式ホームページはこちら
▶予約・購入はこちら

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南大東島ダイビングの魅力と2024年現在の最新情報

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南大東島_空撮

南大東島がどこにあるか知っているだろうか?沖縄本島から東に360km、太平洋の水深4000mにポツンと現れる2つのサンゴ礁の島が大東諸島の「南大東島」と「北大東島」である。

日本国内に「いつかは潜ってみたいダイビングアイランド」はいくつかあるが、その中でも小笠原諸島・与那国島・宮古諸島の多良間島に負けず劣らずの秘境感と透明度を誇るのが大東諸島でのダイビング。

まだまだ知られていない南北大東島のダイビングを、2023年に新規オープンしたダイビングショップ「ボロジノDIVE」のガイドで陸も海も地底湖までも調査してきた。

【ボロジノとは】
1820年にロシアの艦隊が太平洋を航行中に島を発見して、船名のBorodino号から名を取り「South Borodino Islands」として世界地図に掲載されたことが歴史の始まり。沖縄本島から見て「果てしなく東」の大東島と名がついた今でも、ボロジノアイランドと呼ばれている。

南大東島とは?

南大東島_文化センター

開拓中の南大東島 ふるさと文化センターで撮影

南大東島のとある居酒屋で「島4800万年、人100年」と書かれたポスターを見かけた。旧石器時代から3万8000年の歴史がある日本で、明治時代からやっと人間が住み始めたという歴史の浅い島なのだ。

マグロやサワラ、カジキが釣れることで釣りや漁業では沖縄県内で有名だが、海中景色はまだまだ開拓中。人類未到のポイントに潜れる可能性もある。

南大東島の概要と地理

南大東島_飛行機からの景色

飛行機の窓から見た南大東島 広大なサトウキビ畑と大きな池が見える

南大東島は沖縄県に所属しているが、地理も歴史も沖縄より伊豆諸島の八丈島や小笠原諸島に近い島だ。たった130年前まで無人島だった島に、八丈島からはるばる航海してきた開拓団が移住してサトウキビのプランテーションを作ったことが有人島の成り立ち。

今でも主産業であるサトウキビ農業は、島の特産品でもあるラム酒「コルコル」を作り出し、沖縄唯一の機関車や鉄道跡といった観光資源にもなっている。

これらの島の成り立ちはとても壮大!インドネシアの東側にあるニューギニア諸島で火山島として地球上に誕生し、「フィリピン海プレート」に乗って沖縄近海までやってきた。

島は海中に沈んで頂上にサンゴ礁を形成し、その後に再び隆起して石灰岩の島となった。石灰岩は酸性雨で溶ける地質なので、島の地下には鍾乳洞や地底湖が200以上もあると言われている。

まるでメキシコのユカタン半島のようだ。地底湖もテクニカルダイバーによる調査・探検が続いており、近い将来、セノーテのように神秘的な鍾乳石の洞窟を潜ることができるかもしれない。

南大東島_地底湖

現在水中調査中の地底湖を案内してもらった

それに対して、沖縄の島々は「ユーラシアプレート」に位置している。地球規模で海底地形図を見ると、大東諸島と同じフィリピン海プレートには伊豆半島・伊豆諸島・小笠原諸島・マリアナ諸島があり、それらの島で見られる魚や固有種と言われてきた魚に南大東島で出会うことができる。

南大東島へのアクセス方法

南大東島_飛行機

沖縄の離島を結ぶ琉球エアーコミューターの飛行機

飛行機で行く場合は那覇空港から毎日1〜2便がJALグループのRACで就航。約1時間のフライトで絶海に浮かぶ島が見えてくる。

仕事関係の人が多く利用する8:00の便なら、到着日から3ダイブが可能。料金は片道12,000円〜30,000円とやや高めで、座席数が39席しかないので早めの予約が必要だ。

搭乗の際は窓側の席を予約し、水深2000mの真っ青な海と、島の一面がサトウキビとダイトウビロウの緑や黄色に覆われた島の景色を楽しんでほしい。

南大東島_フェリー

クレーンで荷物や人を積み下ろしする南大東島のフェリー

船で行く場合は那覇の泊港から週に1〜2便の定期船「だいとう」が南大東島間を発着。約15時間の長旅だが、夕方17:00に乗って船内で食事をとり、ベッドで眠りにつけば朝の8:00に到着するのであっという間だ。

料金は片道約5,800円とお手頃価格。断崖絶壁で波やうねりの激しい南大東島は、着岸が困難なので船から港へ巨大なクレーンで荷物や人を積み下ろすことが有名だ。

このUFOキャッチャーのようなアトラクションを楽しむために船旅を選ぶ方もいるくらい人気がある。

飛行機は高額で、船は前月まで出港日が分からず予約が取りづらいこともあり、南大東島は「沖縄で最も行きづらい島」と言われている。しかし、そのような秘境感を味わえるからこそ、日本中から島旅好きや秘境ハンター、リゾバ女子たちに「最後に行きつく島」と言われ、着いた時の感動と居心地の良さが愛され続けている。

南大東島のダイビングについて

南大東島の地形ダイビング

南大東島は隆起環礁という世界的に見ても珍しい島で、山や川がないので汚水が海に流れ出ることがほとんどなく、平均透明度が40mに達する。

サンゴ礁の石灰岩で造られたアーチやクレバスの地形が多く、地形スポットで有名な宮古島に近い環境だ。島の周囲が水深2000mもあるので沿岸でダイビングしてもすぐに水深が深くなる。

ボートからエントリーすると絵の具の色のような真っ青な「ボロジノブルー」の海中は水面から水深30〜40mまで丸見え。そのまま水底まで潜降し、潮に乗ってドリフトダイビングで潜るのが主流だ。

南大東島ダイビングの魅力とは?

南大東島のダイビング

南大東島のダイビングは何といっても40mまで見えてしまう透明度が1番の魅力!そこには長年をかけて成長したであろう巨大なイソバナやウミウチワなどの原始的な風景や、日本で最も美しく珍しいハゼと言われるシコンハタタテハゼが見られる。

また、沖縄の他の島では見ることができない日本固有種のユウゼンなどのフィッシュウォッチングが楽しめ、ワイドかマクロか、カメラやレンズを選ぶのに悩んでしまう海だ。

南大東島の海岸を空撮

断崖絶壁の南大東島にはビーチがない。それゆえに潮の干満で砂浜のにごりが沖合へ運ばれることがなく、沿岸から沖合まで常に透明度が高いことがボロジノブルーの美しさだ。

現地ガイドが「今日は濁ってますね」と言うようなプランクトンが多い日でも、透明度・透視度ともに30mは見えていた。

レア種の魚やサメなどの大物との出会いも魅力だが、透明度が高いということは浮遊物が少ないので、地形ダイビングの写真が美しく撮れることが一番の魅力だと感じた。

南大東島のダイビングで出会える生物

南大東島のシコンハタタテハゼ

シコンハタタテハゼ

1.愛称の「ヘルフリッチ」から、英名がLavender Blushed Dartfishに変わったシコンハタタテハゼ。新しい名前のようにラベンダー色の体色がとても美しい。2ヶ所のダイビングスポットの水深40m地点で発見した。

南大東島のユウゼン

ユウゼン

2.日本固有種として友禅染の名が付けられたユウゼン。伊豆諸島の八丈島や小笠原諸島でしか見られないチョウチョウウオだが、沖縄では大東諸島のみで見られる。水深10m前後〜40mに幅広く生息。

オグロメジロザメ

オグロメジロザメ

3.英名のGrey Reef Sharkから「グレイリーフ」と呼ばれるオグロメジロザメ。パラオなど海外の海でよく見るこの美しい流線形のサメが島の周囲に住み着いている。素潜りしていると集まってきて怖い。

南大東島のハクテンカタギ

ハクテンカタギ

その他にも、ハワイ諸島に多く生息するトンプソンチョウチョウウオやキイロハギ、小笠原諸島に多いコガネヤッコ、レンテンヤッコ、シテンチョウチョウウオやシチセンチョウチョウウオ、ハクテンカタギなどの珍しい魚も見られる。後述するダイビングスポット情報内で紹介していこう。

南大東島のダイビングショップを紹介

南大東島のダイビングショップ

フラットで使いやすいボロジノDIVEの和船

南大東島では20年ほど営業していたダイビングショップが閉業し、約5年間はスキューバダイビングができない環境だった。

2023年5月に、島に移住したダイビングガイドがサービスをオープン。続いて、南大東島出身で釣りや素潜りでの漁業、宿泊業、飲食業、建築業など幅広く事業を営む屋嘉比康太氏(以後、康太さん)が、自社で所有する和船でダイビングサービス「ボロジノDIVE」をオープン。

2024年の一般客受け入れスタートに向けて、ダイバーが快適に過ごせるよう施設を準備中。

ショップの特徴と提供サービス

南大東島のダイビングショップ

ボロジノDIVEのオーナーガイド 屋嘉比康太さん

16歳の頃から素潜りで島中を潜っていた康太さんは、水中の地形や潮の流れ、サメや回遊魚の出現ポイントに精通している。島で唯一の自社船ダイビングで、海況が良い日は北大東島まで約1時間の遠征ダイブも可能。また、北大東島で宿を経営しており、1泊2日の島観光付きダイビングトリップもリクエストできる。

南大東島のダイビングショップ

立地の良い通り沿いにあるショップ施設

南大東島のメインストリートにダイビング設備を建設中で、すでに器材洗い場と干し場、ログ付けやバーベキューを楽しめる憩いのテラスが完成している。

漁師でもある康太さんが獲ってきたミーバイ(ハタ科の高級魚)やイセエビを使った海鮮BBQは絶品だ。

南大東島のダイビングショップ

ログ付けやバーベキューで利用する屋外テラス

一棟貸しコテージタイプやコンテナハウスタイプの宿泊施設も建築中で、南大東島の悩みである宿泊予約の取りづらさや快適性が大きく変わりそうだ。

南大東島のダイビングスポットとその特徴

南大東漁港

南大東島は周囲約20kmの小さい島なので、船をゆっくり走らせても1時間ほどで1周できる。メインの港は北西の「南大東漁港」で、絶壁を削って造られた「日本唯一の掘り込み型港」だ。

港を出港し、近いダイビングスポットはわずか5分、遠くても30分で到着する。午前中に2ダイブ、港か船上でランチを取り、午後に1ダイブして帰ってくることが多い。

先代が使用していたスポットから新しく開拓したスポットまで、港から島を反時計回りの近い順にダイビングスポットを紹介しよう。

ヤギバナ

南大東島のヤギバナ

巨大なカイメン

港からボートで10分。最大水深55m(潜るのは40mまで)。陸地には万里の長城のような防波堤が見える。エントリーすると水深30〜35mのほぼフラットな水底まで見え、ところどころにある白い砂地がボロジノブルーを引き立てる。ダイバー3人分はある巨大なイソバナ(ウミウチワ)と大型のカイメンが点在する原始的な景色のポイント。水深40m付近に緩やかなドロップオフがある。

ユウゼンや体色の美しいハナゴンベを始め、深場に生息するシコンハタタテハゼ、ニラミハナダイ、オキナワサンゴアマダイが見られる。

エントリーした瞬間の濃厚なブルーに、水底の白い砂地のラインまで見える透き通った景色、ゆるやかながらも力強い潮の流れが小笠原諸島や与那国島の海を彷彿とさせる。

ゴンゴン穴

南大東島のゴンゴン穴

港からボートで15分。最大水深は25m。定期船が着岸する西港の手前なので運がよければクレーンの積み下ろしに遭遇できる。海岸のすぐ下に水深5mから25mまでのドロップオフがある地形ポイント。神様が巨大な手で引き裂いたような連続したクレバスの隙間に進入する豪快な地形。有名な海外ダイビングスポットを感じさせる。

水深20〜25mの水底には砂地があり、白い絨毯のような砂紋がとても美しい。

クレバスを抜けた先に空いた穴にはアカマツカサ(方言でゴンゴン)と大東島型のホウセキキントキ、イセエビが住む穴がある。穴の中は小笠原諸島に多いアジ科のカッポレがウロウロしていて、ホワイトチップ・リーフシャークもよく見られる。

南大東島のゴンゴン穴

ドロップオフを沖側に泳ぐと大きなオーバーハングがあり、暗い場所からは絵の具をこぼしたようなボロジノブルーにダイバーやサメをシルエットで入れて撮ることができる。

オーバーハングを抜けると小さな縦穴が空いた岩があり、下から見上げて中層を泳ぐダイバーを撮るのも楽しい。

ケーブル

南大東島のケーブル

港からボートで20分。最大水深は35m。水底に沖縄本島まで約400kmの長さの光ケーブルがあるポイント。水深25〜30mのなだらかな水底をドリフトダイビングで流す。

南大東島は島の南に向かうほど魚の数が多くなり、まるで宮古諸島の伊良部島や下地島のようにアカモンガラが中層に多くなる。水底では珍しいアゴハタ(soap fish)も時に見られる。

電波を発しているからなのか、海底ケーブル周辺にはなぜか魚が集まる。ここでは大きなハナミノカサゴが2匹住み着いていた。ケーブルの手前には大きなハイビスカスのような白いサンゴを見つけた。

南大東島のケーブル

海底ケーブルがあるダイビングスポットは多くの離島で見られるが、水中から陸地の地下に入っていく景色を見られることは珍しい。

後半は水深20m付近で大物との遭遇を期待しながら泳ぐ。1mを超えるダイバー慣れしていないアオウミガメや、2m近い最大サイズに育ったナポレオンフィッシュが見られた。

塩屋ホール

南大東島の塩屋ホール

港からボートで20分。最大水深は18m。海岸には夕陽や海水浴を楽しむ塩屋プールがある。3本目に潜ることが多いポイント。

水深15mに小さなL字型のホールの狭い入口があり、穴を真上に抜けていったダイバーを水底から撮影するのがおすすめ。透明度が良いので水面までくっきり映りきれいに撮れる。穴を抜けたら水深は10m。そこから島沿いに10〜15mを流す。

南大東島の塩屋ホール

南大東島では珍しく浅場をのんびり泳ぐポイントで、ノコギリダイやヒメジなどの根魚の群れ、チョウチョウウオの塊、1匹1匹が大きなサイズのウメイロモドキなどが見られる。

アカバハマ

南大東島のアカバハマ

港からボートで30分。最大水深は30m。北西にある南大東漁港から反時計回りに、西港、塩屋海岸、南の亀池港を超えてたどり着く南部のダイビングスポット。

水深25〜30mに連続したアーチがあり、ホワイトチップリーフシャークが複数住み着いている。2mサイズの大きなサメがグルグルしているシーンを見られることも。

北風を避けられるので秋冬でも水面が穏やか。ここではボロジノブルーにダイバーを入れてアーチのシルエットを撮りたい。また、黄色に水色ストライプが美しいヨスジフエダイの群れも見られる。

南大東島のアカバハマ

ヨスジフエダイ

平均水深が深くなるのでDECOに注意。特に、ヤギバナなどの深場を潜った後の2本目や2日目以降のダイビングでは注意しよう。

実釣り場

南大東島の実釣り場

ユウゼンのペア

港からボートで30分。最大水深は25m。「みのつりば」と呼ぶ名は、まるで木々に芳醇な果物が実るようにフィッシュウォッチングができる。わけではなく、釣り師の「みのるさん」が愛した釣り場。南大東島は場所に人の名前をつけることが多いらしい。

大きなゴロタの広場に流線型が美しいオグロメジロザメが複数匹見られる。パラオやモルディブで多く見られるグレイリーフシャークと呼ばれるサメだ。時には目と鼻の先まで近寄ってくることも。

水深15mあたりをドリフトダイビングで流すと、ところどころにある広場の一角に黄色い体色のアカヒメジの群れが見られる。ここでも、ユウゼンのペアやシングルが泳ぎ回っている。

古南(ふるみなみ)

南大東島の古南

ゴシキエビ

港からボートで30分。最大水深は60m(潜るのは40mまで)。「ふるみなみ」と読む、波の当たりが激しい荒磯の釣り場の沖に水深40mから60mに緩やかなドロップオフがある。

エントリーしてすぐの水深40mでレンテンヤッコの若魚、ゴシキエビ、少し進むとハナゴンベがたくさん現れて、ヤギバナと似た砂混じりの岩場にシコンハタタテハゼを発見した。

水中ライトを当てても隠れなくて、とても撮影がしやすい個体だったが、NDLの制限時間があるので1ダイブで完璧な写真を撮ることは難しい。マクロ撮影が得意な方はぜひ挑戦してほしい。

2023年10月末の大東諸島ダイビングスポットの開拓取材で現地ガイドとオーシャナカメラマンが調査のために潜り、ラベンダー(シコンハタタテハゼの愛称:以前はヘルフリッチ)を発見した新しいポイントである。

料金と予約方法

南大東島のダイビングショップ

ボロジノDIVEの器材洗い場

南大東島は絶海の孤島と言われているだけあってガソリンや建築資材、食料品などの輸送が困難だ。ゆえに、施設の維持費や船舶利用料のコストが高くなってしまう。

そのような環境でなるべく多くのダイバーに大東諸島の海を潜ってもらうべく、持続可能なダイビングの料金を設定している。以下ではダイビングショップ ボロジノDIVEのWebサイトを参考にメニューと料金を紹介する。(すべて税込)

ファンダイビング料金

2ボートダイブ 20,000円
3ボートダイブ 26,000円

器材レンタル料金

フルレンタル 5,000円
重器材セットレンタル 3,000円
軽器材セットレンタル 1,500円
ウェットスーツレンタル 1,500円
ダイブコンピューターレンタル 1,500円

宿泊料金

コテージタイプ(一棟貸し 6名様まで)
25,000円/1棟
コンテナタイプ(1部屋2名様まで)
4,500円/1名

ダイビング&宿泊セット割引

コテージタイプ
1日の合計料金から5,000円割引
コンテナタイプ
1日の合計料金から1,000円割引

ダイバー向けの割引があるので、4名のグループで宿泊とダイビングを予約すれば、1人あたりの宿泊代は5,000円になる。飛行機代が割高な分、宿泊費を抑えられるのはありがたい。メンバーを集って潜りに行けば、ダイビング後はテラスでのバーベキューも盛り上がるだろう。

南大東島のダイビングショップ

一緒に潜ったダイビング仲間とテラスで乾杯

予約はWebサイトの予約フォーム(メールでのやり取り)の他、ガイドやスタッフと直接やりとりがスムーズにできるLINEやInstagramのDMで可能だ。1日の受入人数が7名までなので、航空券やフェリーの予約をする前にまずはダイビングショップへ相談しよう。空き日程はもちろん、島の観光や食事も含めておすすめのプランも紹介してくれる。

南大東島ダイビングのベストシーズンと特長

南大東島の海と陸地

取材に訪れた10月末は南大東島では珍しくベタ凪の日もあった

南大東島のベストシーズンは6月〜7月と言われている。8月〜9月は台風の影響で島周辺の波やうねりが高くなり、ダイビングができないどころか島へ到達不可能もしくは脱出不可能になってしまう。

大東地方は沖縄地方の台風予報で最初に出てくる名前でもあり、沖縄や小笠原諸島に上陸するほとんどの台風が大東諸島を通ることになるので注意が必要だ。

月別の特長とおすすめ時期

4月〜7月は生物観察のベストシーズン

南大東島のコガネヤッコ

青い縁取りのコガネヤッコは沖縄では珍しい

海況が安定し、島の周囲や北大東島への遠征ダイビングも行きやすく、ダイビングのベストシーズン。ただ、春先は日中の潮汐変化が激しいので強い潮の流れに注意が必要だ。

ユウゼンなどのチョウチョウウオ科やレンテンヤッコ、コガネヤッコなどのキンチャクダイ科の愛らしい幼魚が見られる時期でもある。

他の沖縄地方や奄美群島よりも年間降水量が少ないので、梅雨時期に休暇が取れる方にもおすすめ。

南大東島には海底から光ケーブルがつながっているので、Wi-Fiの速度も問題なし。仕事と休暇を含めたワーケーションでの利用も増えている。

8月〜11月は台風か安定かの不安定なシーズン

南大東島のニラミハナダイ

まだ1匹しか発見できていないニラミハナダイ

台風の発生を考慮してフェリーでの旅行予約やダイビング器材の発送は避けた方がよいだろう。飛行機移動であれば、欠航や変更に柔軟に対応できる。

航空便は那覇空港からの出発なので、沖縄本島周辺や慶良間諸島へのダイビングに予定変更することもできるだろう。

南大東島周辺の海は10月でも水温は27〜28度あるので、沖縄本島周辺よりも少し暖かい。より南の宮古島や石垣島に近い水温だ。北風が吹き始めて肌寒く、海が冷たくなってくる時期にまだまだ暖かいダイビングができる。大潮でも潮の流れが落ち着いている日が多く、シコンハタタテハゼやニラミハナダイなどの深場マクロ撮影に最適だ。

12月〜3月は透明度と魚介グルメのベストシーズン

ザトウクジラ

冬のホエールウォッチングやスイムも調査中

台風の発生はほとんどないが、低気圧による強い北からの波やうねりで海が荒れる日が多い。島の南にダイビングポイントが多いので潜ることは可能だ。透明度が50mを超える日もある。

小笠原諸島や奄美群島、沖縄本島と同様にザトウクジラが出産・子育てにやってくるので、ホエールウォッチングやホエールスイムの調査・開拓も進めている。

また、冬は大東島で獲れる魚に脂が乗り、ただでさえおいしい大東産の魚を1年間でもっともおいしく食べられる時期でもある。

南大東島のダイビングをさらに楽しむためのコツと注意点

南大東島は潮の流れが速く、大物との遭遇が期待できるものの、与那国島のハンマーヘッドシャークや粟国島のギンガメアジトルネードのように確率が高いものではない。

至高の透明度で潜る地形ダイビングや、大深度のレア種ウォッチング、沖縄と小笠原の魚種という特異なフィッシュウォッチングを楽しんでいただきたい。

ドリフトダイビングの注意点

南大東島でドリフトダイビング

絶海の孤島での漂流は絶対に避けたい

南大東島と北大東島は四方360kmにわたって他の島が存在しない。万が一、島から離れて漂流した場合に発見されることは絶望的だ。ましてや人類史において1800年代まで発見されなかったという秘境中の秘境だ。ドリフトダイビングに慣れているダイバーもいつもより注意してほしい。

ほとんどのダイビングで、ボートからのエントリーは全員一緒のタイミングで入り、潜降も同じタイミングで行う。エントリーした時点で水底が40mのスポットもあるので、一人で先に潜降することは絶対に避けよう。また、ガイドと離れてしまった時のことを考えてシグナルフロートやSMBの打ち上げもできるようにしておいてほしい。

流れが弱く、水深が浅い場合のみ、ガイドの判断で水底集合になることもある。ダイビング前のブリーフィングは必ず聞いてダイブプランを理解し、不安がある場合はバディやスタッフに相談しよう。

水中写真や動画撮影のコツや注意点

南大東島のゴンゴン穴

地形ポイントではダイバーのポジショニングが重要

地形ポイントや沈船を撮影する時はダイバー同士でコミュニケーションを取ってみよう。透明度が高いので、見えている範囲はすべて映ることもあり、位置取りや体の向き、持っている水中ライトの方向や、きれいな泳ぎ方などをお互いに意識するとよい。撮影者とモデルを交代しながら撮影するのがおすすめだ。

深場のマクロ生物を撮影する時にはダイブコンピューターのNDLを頻繁に確認してほしい。水深40m付近では10分も滞在できないので、ガイドが発見するまでの行動も重要だ。撮影時は、2〜3枚撮ったら交代すること、近づきすぎたり水中ライトを当てすぎたりして生物が逃げないようにすることなどを注意してほしい。

南大東島ダイビングのまとめ

南大東島の夕日

沖縄本島から飛行機で1時間、フェリーで15時間の南大東島は、人間が住み始めてからたった130年ほどの歴史しかない離島。ダイビングでは、宮古島のように隆起サンゴの石灰岩が造りだす地形ポイントや、フィリピン海プレートで繋がっている八丈島や小笠原諸島の魚が沖縄県で唯一見られることが特徴だ。

海の中はまだまだポイント開拓中なので、驚きの出会いがあるかもしれない。

初めてご利用する方は、航空券やフェリーの予約をする前にまずはダイビングショップWebサイトのお問い合わせフォーム、InstagramのDMやLINEで相談しよう。空き日程はもちろん、島の観光や食事も含めておすすめのプランを紹介してくれるだろう。

南大東島の宿付きダイビングショップ ボロジノDIVE
南大東で生まれ育った素潜り漁師がオーナーを務めるボロジノDIVE。絶海の孤島、南大東島を拠点に、南北大東島海域を自社船で案内をしてくれる。宿泊施設は2024年に完成したばかり。

The post 南大東島ダイビングの魅力と2024年現在の最新情報 first appeared on ダイビングと海の総合サイト・オーシャナ.

【抽選で1名様に講習プレゼント】スポーツリブリーザーHORIZONに挑戦しよう

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レクリエーショナルダイビングで楽しめるリブリーザーHORIZON。もっと水中に長くいたい、生き物に近寄りたい、海と一体感を味わいたい。そんなダイバーたちの夢を叶えてくれる。

昨年オーシャナでは、このHORIZONの体験コースを提供し、4名の参加者に実際に体験していただいた。参加者の皆様からは初めての使用にも関わらず「呼吸音が静か」、「水中の抵抗が少ない」、「保湿された暖かい空気が吸える」といった感嘆の声や、長時間のダイビングに対する期待も寄せられた。

HORIZON体験コースの様子はこちら

そして、今回の企画では、なんと体験ではなくHORIZONの「SCRダイビング・コース」を抽選で1名様にプレゼント。講習をしてくれるのは、Diving Lounge aqua QUEST(以下、アクアクエスト)の澤田淳さん。HORIZONのインストラクタートレーナーとしても活躍し、多くのHORIZONユーザーやインストラクターを生み出している。ぜひこの機会にチャレンジしてみよう。応募締切は4月10日まで!

リブリーザーとは
HORIZON使用レポート

講習を担当の「アクアクエスト」澤田さん(中央)

講習を担当の「アクアクエスト」澤田さん(中央)

SCRダイビング・コースについて

SCRダイビング・コースは、HORIZONを使用してダイビングを行うための最初のコース。最低4日間の講習を経て認定を受けると、水深30mまでのHORIZONを使ったファンダイビングができるようになる。

SCRダイビング・コース
最大潜水可能深度 30m
最低必要日数 4日間(学科・プール・海洋実習4本)
前条件  18歳以上
アドバンスランク以上のCカード
24本以上のダイビング経験
エンリッチド・エア・ナイトロックス40 ダイバーSP
ディープ ダイビングSP

当選した方にはアクアクエスト(巣鴨)に来ていただき、講習前の事前説明後、SSIアプリへの登録などを行う。その後、e-ラーニングにて自習をしていただき、対面での学科講習1日、プール講習1日、海洋実習2日という流れで講習を行っていく。スケジュールは、続けて4日間でも、バラバラでもOK。

なお、本企画での講習では、HORIZONはレンタルで使用することができる。認定後にHORIZONでのダイビングを続けて行きたい場合は、アクアクエストから購入することもできるし、レンタルプランでのダイビングも楽しめる。さらに深く潜りたいという方は、「SCR EXTENDED RANGE アップグレード・コース」、「SCR EXTENDED RANGE ダイビング・コース」を続けて受けるのも良いだろう。

SCR EXTENDED RANGE アップグレード・コース SCR EXTENDED RANGE ダイビング・コース
最大潜水可能深度 30 → 40m 40m
最低必要日数 3日間(学科・プール・海洋実習2本) 6日間(学科・プール・海洋実習6本)
前条件 18歳以上
SCR ダイビング(Mares HORIZON)
18歳以上
アドバンスランク以上のCカード
24本以上のダイビング経験
エンリッチド・エア・ナイトロックス40 ダイバーSP
ディープ ダイビングSP

募集概要

条件

・18歳以上
・保有資格
アドバンスランク以上のCカード、エンリッチドエアナイトロックス、ディープスペシャルティ
・ダイビング経験本数100本以上
・ブランクなし(3ヶ月以内にダイビングをしている)
・ダイバーメディカルチェックシートのチェック、健康診断医師による評価シート(医師のサインあり)の提出が可能
・軽器材・スーツ(ウエット・ドライどちらでもOK)持参
※ドライスーツの場合、浮力調整がスムーズに行える方
・4〜5月中に講習(計4日間)を行える方
・平日に受講できる方
・オーシャナの記事での写真・インタビュー掲載などOKな方

講習について

・講習場所
学科:アクアクエスト(巣鴨)
プール:ザムロッド本厚木(予定)
海洋:大瀬崎(海況によって変更の可能性あり)
・プレゼントに含まれるもの:講習費、テキスト代(オンライン)、プール/ダイビング施設/タンク/ウエイト使用料、HORIZON使用料、認定料
※現地までの交通費、宿泊費、食費、HORIZON/タンク/ウエイト以外の器材レンタル料などその他必要経費は参加者負担

当選発表について

当選者にのみ記入の連絡先へご連絡差し上げます。

Sponsored by Diving Lounge aqua QUEST
アクアクエスト
巣鴨駅から徒歩3分!レンタル器材無料や器材預かり、プライベートスケジュールなど、初心者もベテランも続けやすいサービスでダイビングライフをサポートする。HORIZONをいち早く取り入れ、サブスクプランやトレーニングを開催している。
東京都豊島区巣鴨1-31-6
TEL:03-6906-8177
FAX:03-6906-8182
営業時間:月〜土曜日 12:00〜20:00、日曜・祝日 12:00〜19:00
定休日:11月〜4月:毎週火曜日

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